火災保険は一度使うと契約が切れる?保険料は高くなる?

火災保険は一度使うと契約が切れるの?追加請求は可能?と心配する方も多いはず。実は、一度使うとしても請求金額が保険金額に達していない場合は、保険金の追加請求が可能で、保険料の変化なく契約を継続できます。地震保険は被害が全損認定された場合は一度使うと契約が切れるので注意が必要です。

火災保険は一度使うと契約は切れる?保険料は高くなる?

火災保険は一度使うと契約が切れてしまうのでしょうか?


また、自動車保険の場合のように一度使うと保険料が上がってしまうのでしょうか?


気になるところですよね。


実は、火災保険は保険金額に達するまでは、保険料が上がることなく使うことができます。


そのため、結論から言うと、「一度使うと火災保険の契約が切れるというのは誤り」です。


そこで、この記事では「火災保険を一度使うとその後どうなるのか」について

  • 火災保険を申請できる回数と契約終了の条件
  • 地震保険との関係
  • 火災保険利用の注意点
  • 火災保険の補償範囲・申請手順・修理業者選択の注意点

をお伝えします。


この記事を読んでいただければ、火災保険の使える回数に加え、使用するタイミングやコツまで詳しくお分りいただけると思います。


是非最後までご覧ください。

火災保険の申請回数は無制限!契約が切れるのはいつ?

火災保険は1回の支払いが保険金額の80%を超えない場合は何度でも使うことができ、一度使うと更新するまで使えないということはありません。

確かに、保険金請求に必要書類を用意したりするのは大変ですが、補償対象の修理には火災保険を是非活用したいものです。

それに、使わなければせっくか払っている保険料が無駄になってしまいます。

保険を申請したい旨を伝え、あとは書類を書いて提出すれば、保険金請求は完了です。

以下の文章では、
  • 火災保険の契約が切れる時期
  • 過去の損害でも請求できるのか、またいつまで遡って請求できるのか
  • 火災保険の請求にあたっての禁止行為
について紹介していきます。

契約が切れるのは保険金額に達したときのみ

火災保険には使用上の注意点があります。

保険契約が切れるのは、1回の保険金の支払いが保険金額の80%を超えた場合です。

80%を超える損害は全損であり、家が全損したということは保険の対象である家がもはや存在しないために、火災保険契約も終了することになります。

火災保険を一度使っても、保険の対象である家が存在する限りは保険契約が続きます。

個人賠償責任特約を付帯している場合では、保険金額の80%の保険金額が下りる損害が発生したとき、火災保険だけでなく個人賠償特約も契約終了になってしまうということです。

火災保険は過去の損害も請求できる!保険金がおりない場合とは

火災保険は、過去に発生した火災事故の損害も請求することができます。たとえば、火事に遭った時に後片付けに気を取られて、1年近く火災保険の請求を行わなかった場合でも保険金はおりるのです。


ただし、保険金を請求できるのは火災事故に遭ってから3年間とされています。保険法95条に保険金請求の時効が3年間と定められているからです。


また、既に損害の修理が終わっていても保険金の請求は可能です。その場合には、損害の状況がわかる写真や罹災証明書、修理の見積書などの立証書類が必要となります。


なお、保険会社によっては別個の対応をとっているところもあります。そのため、火災保険の契約時に確認しておくことが大切です。


そのうえで、火災保険には3年以内の事故であっても次のように保険金がおりないケースが存在します。

  • 経年劣化
  • 故意・重大な過失
  • 法令違反
  • 地震、噴火またはこれらによる津波
  • 免責金額
  • 外観上の損傷(すり傷等)

経年劣化のように建物の老朽化による損害は対象外となります。火災保険は突発的かつ不測の原因によって起きた損害を補償するものだからです。

故意やわざと行ったに等しい過失によって発生した事故は補償されません。

また告知義務に違反した場合であって、それと火災事故との間に因果関係が認められる場合、法令違反とされ保険金は支払われません。

地震、噴火、津波といった自然災害は火災保険の補償の対象外となります。

免責金額がある火災保険に契約した場合、その金額内の損害については補償されません。

何かの原因で建物や家財が傷ついたとしても、その機能に支障がない場合には火災保険では補償されません。

参考:地震保険は全損認定された場合は一度使うと契約が切れる

地震保険は全損とされて保険を一度使うとその契約は切れてしまいます。


地震保険が保険期間の中途で終了するのは次のケースです。

  • 火災事故などで主契約が消滅
  • 地震で建物が全損と判断され保険金を受領
地震保険は単独での加入ができず、主契約と呼ばれる火災保険と一緒に入る必要があります。いわば、主契約に付随しているわけです。この性質から、主契約が消滅すると地震保険も終了します。

例として、火災によって建物が全損となった時に、保険を一度使うと主契約である火災保険は終了。同時に地震保険も消滅するのです。

地震保険の被害区分は全損、大半損、小半損、一部損の4つです。このうち、全損にあたる場合に保険を一度使うと地震保険の契約は終了します。

全損以外の損害で地震保険がなくなることはありません。

火災保険を利用する際の禁止行為とは

保険金が下りないケースとして免責事項が契約約款に記されていますが、ここではその中でもやってはいけない禁止行為について解説します。

火災保険にも保険金詐欺のような禁止行為がいくつかあり、主なものは次のとおりです。

  • 虚偽の請求
  • 故意の破損
  • 法令違反による破損
  • 焼け太り行為


これらの禁止行為は保険金が下りないだけでなく、保険契約も解除になったり、保険金詐欺として訴えられたりすることがあります。


火災保険は住宅や家財が受けた損失額を保険金で埋め合わせることが目的です。


したがって、災害以外の原因による損失を災害によるものと偽って火災保険の保険金を請求することは違法となります。


また、損失額以上の保険金を受け取ることも、保険金で儲けようとする行為であり、禁止されています。


以下ではこれらの禁止行為について詳しく解説していきます。

禁止行為①:虚偽の保険金請求・故意の破損

火災保険を請求するにあたり、禁止行為に虚偽の保険金請求と故意の破損がありました。

虚偽の保険金請求は、災害によって破損したわけでなく、何らかの過失や災害以外の原因によって破損したのに、災害で破損したと偽ることです。

あるいは改修業者と結託して、実際の改修費用以上の見積書を保険会社に提出することなども考えられます。

また、故意の破損による請求とは、保険金欲しさにわざと家の一部や家財を壊して保険金請求をすることです。

もっとも悪質なものは、自宅に放火して保険金を受け取ろうとする行為で、法令違反行為でもあり放火の罪も加わります。

禁止行為②:焼け太り行為

そもそも火災保険における「焼け太り行為」とはどのようなことをいうのでしょうか。


焼け太りとは、「たしかに損失はあったが、保険金が実際の損失額よりも多くおりたために結果的に利益を得ることができた状態」のことをいいます。


しかし、火災保険は「損失したものを補償する保険」ですので、「マイナスになってしまった分をゼロ(元通にするだけ」です。


以下、焼け太りの例を2つ紹介します。


例1)2000万円相当の家が全焼になったが、2500万の保険金が掛けられていた


この場合家の価値は2000万円なので、火災保険は2000万円までしかおりません。


例2)2社に火災保険をかけ、2社から保険金を受けとろうとした


両方の保険会社に連絡を入れ、両方から保険金を受け取りその額が2000万円を超えると、保険会社にはわかりますので不当な請求だとみなされます。



申請時は被害状況を把握すべき

台風竜巻などで屋根が大きく損傷したり、床上浸水してしまったという場合であっても火災保険は適用されます。


しかし、保険金を請求するときは単に「台風の被害に遭いました」のみでは保険金請求は不可能です。


申請時には、被害にあったことを証明する罹災証明書や実際に受けた被害状況が分かる写真などを用意する必要があります。


被害状況をあやふやに伝えてしまうと、保険会社から不当な保険金を受け取ろうとしているのではないかと疑われてしまいます。

参考:火災保険の保険金で修理しない場合でも保険金請求は可能

火災保険の保険金を修理以外の別の用途に使うことは差し支えありません。


火災保険は火災によって被った損害を支給するものです。したがって、保険会社は損害額の審査を厳密に行います。保険金の支払いはそのうえです。しかし、支払った保険金の使途は確かめません。


保険会社の行う業務は損害額の査定に基づく保険金の支払です。保険金の使途の見定めは業務の範疇ではありません。それゆえ保険金を何の目的に使ったのかは問わないのです。


ただし、被害の修理目的以外で保険金を使った場合、契約者は次の不利益を被ることとなります。

  • 修理費用を別の手段で捻出する必要がある
  • 再度同じ箇所に損害を被った場合、保険金が支給されないおそれがある

保険金を別の用途に使うのなら、修理費用は別の方法で捻出しなければなりません。


一方で、保険会社の査定業務は保険金の使用を前提にして行われます。それゆえ損害が生じた時に以前の損害箇所が修理されていなければ、その前提が崩れてしまいます。


そうなると保険会社は契約者に重大な過失があると判断し、保険金を支払わない可能性がでてくるのです。


保険金は自由に使えます。とはいえのちのちの不利益を考えると修理費用とするのが賢明でしょう。

火災保険の補償範囲って?必要書類・申請の流れ・診断業者の特徴も解説

火災以外にも落雷、風災、雪災などの自然災害から破裂、爆発などの事故による災害まで火災保険の補償の範囲は広いです。

個人住宅の火災保険の分類は、補償の範囲が狭い住宅火災保険と補償の範囲が広い住宅総合保険があります。

市販の火災保険には、補償の狭い住宅火災保険から補償の広い住宅総合保険まで、その中間も含めてさまざまな補償の範囲のものがあります。

ここでは、火災保険の補償の範囲、被災したときの必要書類・申請の流れ、診断業者の特徴を解説します。

火災保険の補償範囲とは

火災保険の補償の範囲を住宅火災保険と住宅総合保険で見てみましょう。

災害の種類住宅総合保険住宅火災保険
火災
落雷
破裂・爆発
風災・ひょう災・雪災
物体の落下・飛来・衝突など
床上浸水や土砂崩れなど水災
水漏れ
盗難

表中の〇印が補償される項目です。


市販の火災保険の補償の範囲は、特約も含めて住宅総合保険住宅火災保険か、またはその中間になります。


いずれにしても、火災保険は火災だけでなく地震災害を除く住宅のほとんどの災害に対して補償してくれるものであることが分かります。


たとえば、車が住宅に突っ込んできた場合や台風で床上浸水した場合なども火災保険で補償されるし、家財が盗まれたときも火災保険が下りることになります。


特約も含めるとこれ以外にもいろいろな補償がありますので、すでに火災保険に加入している人は、補償の範囲を今一度確認して、請求漏れがないようにしましょう。

補足:屋根の修理に保険金がおりるのは「風災」

竜巻や台風などの「風災」で屋根が壊れた場合、火災ではないので火災保険が使えないのではないかと思ってしまいがちです。

災害で屋根が壊れたときは、火災保険で修理することができるんですね。

ただし、火災保険を使って屋根を修理する際には屋根修理の見積書や風災であることを証明する写真を添付しなければなりません。

したがって、まず現地調査(診断)をしてもらう必要があります。

診断をしてもらわないまま、保険金を請求しても保険金はおりませんので注意しましょう。

申請から保険金受け取りの流れ・必要な書類を紹介

一度保険金請求をすると火災保険の受け取りの流れが分かると思います。


では、申請から保険金を受け取るまでの流れを以下に記載しました。

  1. 保険会社に連絡を入れ、申請書をもらう
  2. 役所に罹災証明書を発行してもらう
  3. 具体的に損傷個所が把握できるように写真を撮る
  4. 修理業者や担当の業者に修理にかかる見積書を作ってもらう
  5. 1~4までを保険会社に送付する
といった流れになります。

少しでも早く保険金を受け取るために上の1~4を同時に進めておくとよいでしょう。

火災保険も一度使うと慣れてくるので、小さな修理でも補償の対象であれば面倒がらずに請求しましょう。そのためには、まず一度使うことです。

火災保険の診断業者の費用

火災保険で屋根を修理する場合、修理業者もしくは保険が適用できるかどうかを判断する診断士に現場を見てもらう必要があり、その際に費用がかかります。


屋根の修理業者に依頼をする場合

火災保険が適用されたら、屋根の修理代として保険金を渡す必要があります。これは全額になります。


診断士に依頼する場合

火災保険の保険金のうち何%かを成功報酬として支払う必要があります。

火災保険を利用する際の注意点を紹介

今までは火災保険の補償範囲や保険金請求の手順を解説してきました。


ここからは火災保険の利用に伴うトラブルや注意点について紹介します。


今回は、


  • 屋根修理を悪用したトラブル
  • 火災保険を使用する際の注意すべき免責事項


の2点を解説します。

屋根修理を悪用したトラブルに注意

最近では、加入していない保険会社の方から、「家の中で壊れているものを火災保険で直しませんか」と言った内容の電話がかかってくる場合もあるようです。


さらに修理後、現在契約している保険会社に保険金請求をすると、先に連絡してきた保険会社から「違約金」として保険金の半額を請求してくる悪質な業者もいます。


以下では実際にあった、屋根修理を悪用したトラブルを紹介します。


実際にあった例)は70代・男性の場合です。


A保険会社に入っていたが、ある日、B保険会社を名乗る人から連絡がきて、「A保険会社は一度使うと更新までは使えない」と言われ、B保険会社と屋根修理の契約を交わした。


しかし、男性が不安に思ってA保険会社に連絡を入れると、「一度使うと2度目は使えないことはない」と言われ、A保険会社に修理を依頼したところ、B保険会社の方から契約解除の違約金として下りた保険料の半額の支払いを命じられた。


契約していない保険会社からの修繕に関する連絡や、「一度使うと火災保険はもう使えない」などと言ってくる会社は悪質業者だと思ってよいでしょう。

一度使うとしても保険料の値上がりはしない!免責事項に要注意

最初にも述べた通り、火災保険は自動車保険とは異なり、一度使うとしても、保険料がその後から上がることはありません。


ただし、免責事項には注意が必要です。


免責設定方法にはエクセス方式とフランチャイズ方式の2パターンがあります。


エクセス方式とは

小損害免責(損害が生じたとしても、一定の率または金額に達しない損害については補償はされない)の一種です。


損害が一定割合または一定額を超えたときに、「免責金額だけをさし引いて」超過した金額だけを補償する方式のことをいいます。

  • 例)免責金額5万円の場合

損害保険金5万円のとき、5万円ー5万円=支払保険金0円

損害保険金10万円のとき、10万円ー5万円=支払保険金5万円

損害保険金20万円のとき、20万円ー5万円=支払保険金15万円

フランチャイズ方式とは

フランチャイズ方式とは、免責金額以下の損害に保険金は支払われませんが、免責金額以上の損害に対しては損害額の全額が支払われる方式をいいます。

  • 例)免責金額20万円の場合

損害額10万円のとき、支払保険金0円

損害額19万円のとき、支払保険金0円

損害額50万円のとき、支払保険金50万円

火災保険に加入する際、ご自身の建物の状況に合った保険に加入することを考慮しましょう。


状況に合わせた免責設定をすることが大切です。

まとめ:火災保険は一度使うとしても契約はきれない

火災保険は一度使うとしても解約はされないということについて説明してきましたが、いかがでしたか。


今回この記事のポイントは、

  • 火災保険を追加請求できる回数に制限はないが、保険金の支払いが80%を超える場合、一度使うと契約が切れる
  • 地震保険は火災保険に付随する
  • 禁止行為に注意
  • 火災保険では火災だけではなく自然災害、盗難など補償範囲が広い
  • 免責事項や火災保険を利用する悪質業者に注意
です。

今まで「一度使うと二度目は使えないから」と思い込んでいた方も安心されたのではないかと思います。 
 
火災保険は使用可能な範囲が広くて、加入していればいざという時に安心ですね。


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