更新日:2023/09/18
農業者賠償責任保険とは?補償内容や他に加入すべき保険も解説!
農業には、水害による作物の被害、農作物の盗難などのリスクがあります。そのような農業を取り巻くリスクを回避するために保険に加入することをおすすめします。また、事業のリスクや保険に関する相談を専門家にしたい方は、「マネーキャリア」をご利用ください。
内容をまとめると
- 農業には、風水害などの自然災害や業務上の損害賠償に関するリスクがある
- 農業を取り巻くリスクを回避・軽減するために法人損害保険に加入する必要がある
- 法人保険や事業を取り巻くリスク対策に関する相談は「マネーキャリア」がおすすめ
- NOSAIとJA共済の違いは運営している組織が違ったり、提供している保険制度に違いがある
目次を使って気になるところから読みましょう!
農業を取り巻く潜在的なリスクについて
農業を取り巻くリスクマップ
今回のこちらの記事では、まず農業での経営を取り巻くリスクにはどのようなものがあるのかを解説していきます。その後に、農業の経営において加入すべき法人向けの損害保険の紹介をしていきます。
上記に掲載しているマップはリスクマップと言います。事業が抱えるリスクを可視化してマップにしているものです。リスクが発生する頻度とリスクが経営にどのくらい影響を与えるのかの2つの軸で構成されています。事象を社会的経済的リスク、自然災害事故リスク、経営リスクの3つのカテゴリに分類しています。
今回は以下の3つのリスクを重点的に解説していきます。
- 風水害・落雷(発生頻度・中、リスク・大)
- 業務上の損害賠償(発生頻度・高、リスク・中)
- 原材料価格の高騰(発生頻度・高、リスク・大)
①風水害・落雷(発生頻度・中、リスク・大)
最初は風水害や落雷に関するリスクです。こちらのリスクは発生頻度が中程度のリスクの上に事業の経営に与える影響はとても大きいリスクの一つです。
風水害は、強風、竜巻、台風、洪水などによって引き起こされます。これらの災害により、農作物の被害、農地の浸水、土壌の流失、施設の破壊などを引き起こす可能性があります。最終的にこれらの影響によって、農作物の生産量や品質、収穫期間に大きな影響を与え、生産性の低下につながる可能性があります。
また、落雷は、農作物に直接落ちたり、電気機器や建物などに損害を与える可能性があります。落雷による損害は、農家にとって深刻な問題となる場合があり、修繕費用などがかかることがあります。
②業務上の損害賠償(発生頻度・高、リスク・中)
続いては業務上の損害賠償に関するリスクを解説していきます。こちらのリスクは発生頻度が比較的高く、経営に与える影響は中程度のリスクと考えられています。
業務上の損害賠償に関するリスクとは、農作物の品質低下や収穫量の低下による損害、農作の操作ミスにより農作物に損害を与えた場合などがこちらのリスクに該当します。
事前にリスク対策を行っていれば発生頻度を下げることができるリスクの一つでもあるのでリスクマネジメントも徹底する必要があります。しかしそれでも完全にリスクを防ぐことは出来ないので、保険に加入してできるだけリスクが大きくならないような対策を取るようにしましょう。
③原材料価格の高騰(発生頻度・高、リスク・大)
最後は原材料価格の高騰に関するリスクです。こちらのリスクの発生頻度は比較的高い上に経営に与える影響も異常に高いリスクになります。
材料価格が高騰すると、生産コストが上昇し、農家の利益が減少する可能性があります。また、原材料価格の上昇により、農家が生産する作物や畜産物の価格を引き上げることができない場合でも利益が低下することがあります。
つまり生産コストが上がっているのにも関わらず、販売価格が上がらない場合は利益が減少します。
また販売価格が上昇すると、顧客が離反する可能性もあるため売上の減少も考えられます。このように原材料価格が高騰することで経営にとても大きいマイナスな影響を与えることになってしまします。
農業で実際に起こった損害事例
ここからは農業の経営で実際に起こった事故や・損害事例を紹介していきます。こちらの記事では以下の事例を紹介します。
- 農作物の盗難事例
- 労働災害に関する事例
- 水害に関する事例
事例1:農作物の盗難事例
事例2:労働災害に関する事例
続いては農業での労働災害に関する事例を紹介します。農業で多い労災の事例はトラクターが関連する事故です。そこでここでは、トラクターが関連している労災の事例を紹介します。
一つ目は、トラクタで作業に向かい、道路を右折してほ場に入ろうとした際、対向車も右折するように見えたため進んだところ、
実際には対向車は直進だったため衝突し、投げ出されたという事例です。
安全キャブ・フレームおよびシートベルトが装着されていないトラクターだったため、衝突時に投げ出されてしまった例です。
二つ目は、日没後に別の農場までトラクタを運転中、右折のため右側車線を走行していたところ10tトラックに追突され、反対車線を越えて歩道付近で横転し、左肩甲骨周辺を打ったという事例です。
こちらはシートベルトを装着していなかったため、キャブ内で身体を強打してしまうけがを負いました。
事例3:水害に関する事例
最後は、水害に関する事例です。2022年7月18日に宮城県大崎市を流れる名蓋(なぶた)川が決壊しました。3日目には農地の浸水や冠水で、2500ヘクタール以上と広範囲に及んでおり、すぐに復旧することができなかったそうです。
この水害に行ったった原因は降水量が観測史上最大となる239ミリとなったことが原因であると考えられます。大豆畑はほぼ水に漬かり、葉が枯れたり、苗も腐ってしまいました。このうち、約8割は「収穫を断念せざるを得ない」という状態になりました。また残りは収穫できたとしても「ろくなものはできない」と農家は取材に答えました。
このように自然災害が影響で大切に育てていた、農作物が収穫できない状態になったり、販売できない状態になってしまうと事業として継続していくことが大変困難になります。
そのため保険や政府の補償制度を利用して、災害が起きたとしても適切な対応を取れるようにしましょう。
農業を取り巻くリスクを回避・軽減するための損害保険
ここからは、農業の経営を取り巻くリスクを回避・軽減するための損害保険を紹介します。今回こちらの記事で紹介する損害保険は以下の3つになります。
- 農業者賠償責任保険
- 労働災害総合保険
- 収入保険
①農業者賠償責任保険
まず最初は農業者賠償責任保険を紹介します。農業者賠償責任保険とは、施設が起因での損害賠償責任、生産物が原因での損害賠償責任、施設などの資産保全を補償する、農家のための総合保険になります。
また以下の特約を付けることで補償の幅を広げることができます。
- 生産物品質特約
- 民泊補償特約
②労働災害総合保険
続いて2つ目は労働者災害総合保険についての解説です。労働災害総合保険とは、従業員の方が、政府労災保険等で給付の対象となる労働災害を被った場合に、災害補償金や損害賠償金を負担することによる損害を補償する保険の事です。
法定外補償保険および使用者賠償責任保険の2つの補償を組み合わせた保険で、いずれか一方のみを契約することも可能です。
法定外補償保険とは、被保険者が政府労災保険等の上乗せ補償を行うことによって被る損害を補償する保険です。
また使用者賠償責任保険とは、被用者の労災事故について、被保険者が使用者として法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害を補償する保険です。
保険料など労働災害総合保険について詳しい内容を知りたい方は、「マネーキャリア」の無料相談をご利用ください。
③収入保険
最後に紹介する保険は、収入保険です。農業経営のリスクに備えるための収入保険とは、すべての農産物を対象に、収入が落ち込んだ部分を補償してくれる制度です。経費などを差し引いた所得ではなく、農家の総収入が保険の対象です。
こちらの保険の適用対象として認められるのは、農家の経営努力では解決できないリスクです。主な対象としては以下が挙げられます。
- 自然災害
- 市場価格の減少
- 農家が病気やケガにより作業を出来ないケース
- 取引先の倒産
- 作物の盗難など
NOSAIとJA共済の違いとは?
ここではNOSAIとJA共済の違いについて解説していきます。まずNOSAIとは公益財団法人全国農業共済協会が運営する農業共済組合のことです。それとは別にJA共済とは、生命・建物・自動車などの各種共済による総合保障であり、営利を目的としない相互扶助の事業です。
NOSAIの保険内容は、農作物、果樹、畑作物、家畜などを短期的に補償します。またNOSAIは国からの補助も使用して運営されてますが、JAは基本独立採算制です。
NOSAIとJA共済について詳しく知りたい方は、「NOSAIとJA共済について」からご覧ください。
まとめ:農業を取り巻くリスクと損害保険について
ここまで農業を取り巻く潜在的なリスクとそれらのリスクを回避・軽減するための損害保険の紹介をしました。以下が今回の記事のまとめになります。
- 農業には、風水害などの自然災害や業務上の損害賠償に関するリスクがある
- 農業を取り巻くリスクを回避・軽減するために法人損害保険に加入する必要がある
- 法人保険や事業を取り巻くリスク対策に関する相談は「マネーキャリア」がおすすめ
- NOSAIとJA共済の違いは運営している組織が違ったり、提供している保険制度に違いがある