更新日:2023/07/15
漁業で加入すべき法人向けの保険と取り巻くリスクを徹底解説!
漁業には、漁船内での労働災害などのリスクが取り巻かれています。このような漁業を取り巻くリスクを回避・軽減するための保険に加入しましょう。保険や事業に関する相談、保険の見直しは、専門家に相談できる「マネーキャリア」をご利用ください。
内容をまとめると
- 漁業の経営には、労働災害や人材確保・育成が困難などのリスクがある
- 漁業の経営を取り巻くリスクを少しでも軽減するために法人保険の加入がおすすめ
- 法人保険や事業のリスク対策に関する相談は「マネーキャリア」がおすすめ
- 水産庁では漁船損害等補償制度や漁業災害補償制度という保険、共済制度がある
目次を使って気になるところから読みましょう!
漁業を取り巻くリスクを解説!
今回のこちらの記事では、まず漁業での経営を取り巻くリスクにはどのようなものがあるのかを解説していきます。その後に、漁業の経営において加入すべき法人向けの損害保険の紹介をしていきます。
上記に掲載しているマップはリスクマップと言います。事業が抱えるリスクを可視化してマップにしているものです。リスクが発生する頻度とリスクが経営にどのくらい影響を与えるのかの2つの軸で構成されています。事象を社会的経済的リスク、自然災害事故リスク、経営リスクの3つのカテゴリに分類しています。
今回は以下の3つのリスクを重点的に解説していきます。
- 資金繰りの悪化(発生頻度・中、リスク・大)
- 従業員の労働災害(発生頻度・高、リスク・低)
- 人材確保・育成(発生頻度・高、リスク・中)
①資金繰りの悪化(発生頻度・中、リスク・大)
まずは、資金繰りの悪化に関するリスクです。こちらのリスクは発生頻度が中程度ある上に、事業の経営に与える影響は比較的大きいリスクの一つです。
漁業はこちらが変えることができないような外部出来要因で経営が左右されてしまう可能性がある事業でもあります。
例えば自然災害などの影響で漁獲量が減少し借入金の返済や資金調達が困難になる可能性があります。その結果、財務リスクが高まり、経営に支障をきたす可能性があります。
また市場環境が変化し、需要が減退する場合も同じようなリスクがあるため、経営に支障をきたす可能性を秘めています。これらを踏まえると資金繰りの悪化は見逃すことができないリスクの一つであると考えられます。
②従業員の労働災害(発生頻度・高、リスク・低)
続いて2つ目は、従業員の労働災害に関するリスクです。こちらのリスクの発生頻度は非常に高いのですが、経営に与える影響はそこまで大きくないリスクであると考えられています。
漁業では、船舶の航行中や荷役中に、海難事故や転落事故、機械の故障などが起こることがあります。この場合労働災害だけでなく船を新たに購入する費用や修理する費用が発生します。
そのため漁業においては、労働災害が起こった場合、同時に大きい費用や損害が発生するため、決して単体ではリスクが低いからと見逃すことができないリスクであると言えます。
③人材確保・育成(発生頻度・高、リスク・中)
最後は、人材確保や育成に関するリスクの解説をしていきます。こちらのリスクは発生頻度は高い上に、リスクが経営に与える影響も中程度のリスクであると考えられています。
日本の漁業地域では、過疎化や高齢化が進んでおり、若い人材の確保が困難になっています。また、高齢化に伴い、退職や引退による人材の減少が起こっているのも事実です。
また若年層の間では、長時間労働や過酷な労働環境に対する意識の変化が見られ、漁業の労働力不足が深刻化しています。
そのため若者に対して、漁業の魅力や重要性をアピールし、働き方改革や労働環境の整備などによって、漁業に対する就労意欲を高めるなどの対策を取る必要があります。
漁業で実際に起きた損害事例
ここからは漁業で実際に起きた事故や損害に関する事例を紹介します。こちらの記事では以下の2つの事例を紹介します。
- 野生生物による損害事例
- 船内での損害事例
事例1:野生生物による損害事例
最初は野生生物による損害事例を紹介します。
一つ目が北海道周辺では、トド等の海獣類による漁具の破損などの被害が報告されています。
二つ目が養殖の貝に外来種が付着し、養殖貝の成長に悪影響を与えている事例です。こちらの事例も北海道で発生しています。ヨーロッパ産のホヤが養殖の貝に大量に付着し、声調を止めてしまったり、ホヤの重さで養殖貝が養殖施設から離れて行ってしまうなどの被害が出ています。
このように漁獲量の減少に関する被害だけでなく、漁具などへの被害も野生生物によって起こされていることが分かります。
事例2:船内での損害事例
続いては、船内での損害事例を紹介します。ここでは3つ事例を紹介します。
- 揚網作業中の事故
- 漁船内での動作の反動・無理な動作に関する事故
- 海中に転落した事故
漁業を取り巻くリスクを回避・軽減する法人向け損害保険
ここからは、漁業の経営を取り巻くリスクを回避・軽減するための損害保険を紹介します。今回こちらの記事で紹介する損害保険は以下の3つになります。
- 漁船保険制度
- 労働災害総合保険
- 環境汚染賠償責任保険
①漁船保険制度
それではまず、漁船保険制度の解説からしていきます。
漁船保険制度とは、漁船が、不慮の事故等によって受ける損害や、漁船の運航に伴う不慮の費用負担等を、保険の仕組みを通じて漁業者が相互に補てんし合い、漁船の復旧や更新を容易にするとともに、漁業経営の安定を図ることを目的とした「漁船損害等補償法」という法律に基づいて実施されている制度です。
漁船保険制度には、以下のような漁船保険があります。
- 普通損害保険
- 満期保険
- 漁船船主責任保険(漁船PI保険)
- 漁船乗組船主保険
- 漁船積荷保険
- 転載積荷保険
- PB責任保険
②労働災害総合保険
続いては労働災害総合保険についての解説をしていきます。労働災害総合保険とは、労働災害に関して「政府労災保険」の 上乗せ給付や損害賠償責任を補償するための保険です。
「政府労災保険」は従業員を雇用している企業は加入が義務付けられていますが、こちらの労働災害総合保険は任意の保険になります。こちらの保険は、法定外補償保険および使用者賠償責任保険の2つの補償を組み合わせた保険です。
法定外補償保険とは、被用者の労災事故について、被保険者が政府労災保険等の上乗せ補償(法定外補償)を行うことによって被る損害を補償する保険です。また使用者賠償責任保険とは、被用者の労災事故について、被保険者が使用者として法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害を補償する保険です。
これらのどちらか一方のみに加入することも可能です。 従業員のもしもの事のためにこちらの保険に加入しておくと企業が負担する損害費用が少なくて済むためおすすめの保険の一つです。
③環境汚染賠償責任保険
最後は、環境汚染賠償責任保険の解説をしていきます。環境汚染賠償責任保険は、突発性の環境汚染事故に加えて、長期にわたって拡大した汚染に起因する第三者賠償事故や行政の命令等による汚染浄化費用を補償する保険です。
日本国内においては水質汚濁防止法や土壌汚染対策法など、また海外においても環境関連の法令が厳格化しています。しかし一般的な賠償責任保険では、環境汚染に起因する損害に対して補償が十分ではない可能性があります。
そのため環境汚染に起因する損害に対する損害賠償に対応するためにこちらの保険が誕生しました。
こちらの保険では、第三者の身体の障害や財物の滅失、汚損等のみならず、行政からの指示・命令による汚染浄化費用や使用不能損害・漁業権侵害による損害に対応できます。
水産庁が提供している補償制度
最後は、水産庁が提供している補償制度について解説していきます。水産庁では以下の2つの補償制度を設けています。
- 漁船損害等補償制度
- 漁業災害補償制度
①漁船損害等補償制度
漁船損害等補償制度とは、漁船の不慮の事故によって受ける損害などを補てんし、漁業経営の安定に資することを目的としています。国は、漁業者が支払う保険料の一部を負担するとともに、漁船損害等補償制度の安定化を図るため、漁船保険団体が行う保険事業の再保険事業を行っています。
漁船損害等補償制度では、漁船損害等補償法に基づき以下の保険を提供しています。
- 漁船保険
- 漁船船主責任保険
- 漁船乗組船主保険
- 漁船積荷保険
②漁業災害補償制度
2つ目の漁業災害補償制度とは、中小漁業者の営む漁業について、異常の事象又は不慮の事故によって受ける損失を補てんし、漁業再生産の阻害の防止及び漁業経営の安定に資することを目的としています。
国は、漁業者が支払う共済掛金の一部を補助するとともに、漁業災害補償制度の安定化を図るため、漁業共済団体が行う事業の保険事業を行っています。つまりこちらは共済制度となっています。
こちらの制度では以下の漁業共済があります。
- 漁獲共済
- 養殖共済
- 特定養殖共済
- 漁業施設共済
まとめ:漁業を取り巻く潜在的なリスクと損害保険について
ここまで漁業を取り巻く潜在的なリスクとそれらのリスクを回避・軽減するための損害保険の紹介をしました。以下が今回の記事のまとめになります。
- 漁業の経営には、労働災害や人材確保・育成が困難などのリスクがある
- 漁業の経営を取り巻くリスクを少しでも軽減するために法人保険の加入がおすすめ
- 法人保険や事業のリスク対策に関する相談は「マネーキャリア」がおすすめ
- 水産庁では漁船損害等補償制度や漁業災害補償制度という保険、共済制度がある