タックスヘイブンに会社設立し税金を抑える方法をわかりやすく解説

海外へ法人を設立することで税金対策が可能だということを、聞いたことがあるかもしれませんね。税金の少ない国をタックスヘイブン(租税回避地)といいます。今回は、タックスヘイブンへ会社設立する方法をご紹介していきます。

▼この記事を読んで欲しい人

  • タックスヘイブンについて知りたい人
  • タックスヘイブンへ会社設立したいと考えている人
  • タックスヘイブンへ会社設立する方法を知りたい人

内容をまとめると

  • タックスヘイブンで会社設立をして税金対策をする方法で、もっともリスクが少ないのは、実際に移住して現地でビジネスをおこなうこと 
  • タックスヘイブンで会社設立をして税金対策をする方法で、過去に良く使われていた方法は、ペーパーカンパニーを設立すること 
  • ペーパーカンパニーを活用する方法は、タックスヘイブン対策税制が施工されたことにより、現在では無意味となった 
  • タックスヘイブン対策税制の対象となるのはペーパーカンパニーであることや現地で実際に事業を行っていないこと
  • タックスヘイブンで会社設立することにより、相続税や法人税を抑えることもできる
  • タックスヘイブンの事例:マレーシア・ラブアン島はアジアで最も税率の低いタックスヘイブン
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タックスヘイブンに会社設立して法人税を設立する方法

タックスヘイブンとは租税回避地のことで、税金がかなり低かったり、無税だったりする国や地域のことをいいます。 


また、タックスヘイブン(租税回避地)は、別名オフショアともいい、日本では、法人税率が20%以下の地域をこのように呼びます。


税金対策のひとつとして、タックスヘイブンへ会社を設立することによって、税金の支払額を低くすることができるということをご存じでしたか?


ここでは

  1. タックスヘイブンに会社を設立して事業をすることによって法人税を抑える
  2. タックスヘイブンにペーパーカンパニーを設立して法人税を抑える

といった方法をご説明します。


海外に法人を設立して税金対策をする、と聞くと怪訝に思う人もいるかもしれません。


ですが、タックスヘイブンに会社を設立することは違法ではなく、合法です。


タックスヘイブンに会社設立することで、税金の支払を少なくできるということを、ぜひ知っておいてください。


タックスヘイブンや税金の安い国について知りたい方はまずこちらの記事をご覧ください。

①タックスヘイブンに法人を設立して事業をする

タックスヘイブンに会社設立して対策をしようとしたときに、最もリスクが低く確実な方法は、タックスヘイブンへ会社設立して、実際にそこへ移住して事業をおこなうことです。


この方法なら、タックスヘイブン対策税法の対象には当てはまりません。


海外にたくさんあるタックスヘイブンでは

  • 所得税や法人税が安くなっている
  • さらに、相続税は無料

となっており、税制面でかなり優遇されているため、多くの企業がこのような地域で事業を営んでいるのです。


また、このような税制面での優遇措置があることから、多くの富裕層も移住しています。


アジアで有名なタックスヘイブンは

  • シンガポール
  • 香港
  • マカオ

などでしょう。


多くのタックスヘイブンは、こうした税制上の優遇措置をとることで発展してきたのです。


しかし、実際に現地で事業をすることが規制にひっかかるリスクが低いとはいっても、会社とともに実際に個人が移住するともなれば、一般の人にとってはカンタンなことではありません。


また、事業内容によっては現地での業務が難しいといったこともあるでしょう。


この方法は、実現する為の条件のハードルが高いといえますね。

②ペーパーカンパニーを設立する

もうひとつの方法は、タックスヘイブンにペーパーカンパニーを設立するという方法です。


この方法は、過去によく行われていた方法です。


カンタンに説明すると、タックスヘイブンに子会社としてペーパーカンパニーを設立し、日本の本社から送金する、という方法です。


たとえば、タックスヘイブンに設立した子会社に著作権・特許権や、船舶などを出資します。


そして、日本にある本社は著作権や特許権のライセンス料や、船舶などのリース料などとして、タックスヘイブンにある子会社に料金を支払います。


タックスヘイブンにある子会社が日本の本社に対して何らかのサービスを提供したというカタチで、売り上げをたてるわけです。


このようにして、日本の本社からタックスヘイブンの子会社へ送金します。


タックスヘイブンにある子会社の売り上げには、日本の高い税制が適用されず、現地の税制が適用されるため、法人税が安くなり税金対策をできる、ということになります。


以前はこのような方法で対策を行う企業は多かったのですが、タックスヘイブン対策税法が創設され、規制がかけられるようなりました。


現在では、タックスヘイブンにペーパーカンパニーを設立し送金するという方法は、有効ではありません。

タックスヘイブンを利用した対策を規制する税制改正が施行

タックスヘイブンへ子会社を設立し課税を免れる、という方法は、現在では有効ではありません。


なぜなら、現在はタックスヘイブン対策税制が存在するからです。


平成30年4月1日から、改正タックスヘイブン対策税制が施工されています。

<参考>国税庁 我が国タックスヘイブン税制と租税条約の関係


タックスヘイブン対策税制とは、タックスヘイブンのように税率の低い地域にペーパーカンパニーを設立することによる課税逃れを規制するものです。


タックスヘイブンン対策税制の対象となった場合、たとえタックスヘイブンの地域の口座に送金したとしても、

  • 日本にある本社とタックスヘイブンにある子会社の利益を合算し、日本で法人税を支払う

ということになります。



ここでは、タックスヘイブン対策税制の対象となり規制されるのはどのような条件かということについて、

  1. ペーパーカンパニーかどうかの判定方法について
  2. 経済活動基準について

ご説明していきます。


タックスヘイブン対策税制によって、タックスヘイブンにペーパーカンパニーを設立するだけの方法は無効となりました。


タックスヘイブンへ会社設立をして税金対策に活用しようと考えたときには、タックスヘイブン対策税制の対象の条件を十分にふまえた上で、取り組むようにしましょう。

①ペーパーカンパニーかどうかの判定方法

タックスヘイブン対策税制の対象となるかどうかの判定については、まずはペーパーカンパニーであるかどうかをみます。


ペーパーカンパニーというのは、法人としての登記だけを行い、事務所などが存在しない法人をいいます。


またペーパーカンパニーであるということについては

  • 目的が金融資産の保有であり、事業を行っていない
  • 租税に関する情報の交換に非協力である国としてリストアップされている国に本店を置く法人

などといった条件があげられます。


タックスヘイブンで会社設立した場合、タックスヘイブン対策税制の対象となる条件としては

  • 持ち株比率が50%以上
  • 会社がある地域の法人税率が20%未満

といったものがあります。


「タックスヘイブンにあるペーパーカンパニー」であれば、上記の条件はほぼ該当してしまいますね。


たとえば、香港の法人税率は8.25%、シンガポールの法人税率は17%となっており、法人税率20%未満という条件にあてはまります。


タックスヘイブン対策税制の対象となる条件にあてはまった場合は、タックスヘイブンにある口座に資金を送金したとしても、全額日本での納税となります。

②経済活動基準による判定方法

タックスヘイブン対策税制の対象かどうかの判定には、さらに、実際に事業をおこなっているかどうかということをみます。


その為に経済活動基準が設けられています。


税金対策のためではなく、実際にタックスヘイブンの地域でビジネス活動をしている企業についてはタックスヘイブン対策税制の対象とはなりません。


経済活動基準の各項目については以下となり、1~3に該当し、かつ4か5のいずれかに該当すれば、タックスヘイブン対策税制の対象外となります。


  1. 事業基準―主たる事業が株式の保有やIPの提供・船舶等のリースなど、どの国でも営めるという内容ではないこと
  2. 実態基準―現地に事業所や、店舗などが存在していること
  3. 管理支配基準―本店所在地国で、事業の管理・決定や意思決定を自らおこなっていること
  4. 所在地国基準―製造業、小売業で主に現地でビジネスを営んでいること
  5. 非関連者基準―卸売業、銀行業、保険業などで取引の50%以上が海外の企業であること


つまり、現地に実際に店舗がある、その地域の人を相手に事業をおこなっているといった場合には、タックスヘイブン対策税制の対象にはならず、現地での税金を納めるということになります。

タックスヘイブンを利用した相続税・贈与税を抑える方法

タックスヘイブンに法人を設立して税金対策に活用しようとするとき、効果があるのは法人税だけではありません。


タックスヘイブンでは、所得税や法人税がかなり安くなっていますが、さらに相続税や贈与税については無料となります。


ここではタックスヘイブンでの会社設立を活用した税金対策について


  • 一時所得を利用する方法
  • 配当所得を利用する方法


をご紹介します。

①一時所得を利用する

タックスヘイブンへ会社設立することで相続税や贈与性を抑える方法として、一時所得を利用するという方法があります。


  1. 親がタックスヘイブンに法人を設立し、その法人に財産を贈与する
  2. タックスヘイブンにある法人から、子や親族に財産を贈与する
  3. 一時所得が発生するが、贈与税は免れることができる


という方法です。


結局、一時所得が発生するので、対策にはならないのではと考える人もいるかもしれません。


ですが、一時所得に係る納税額は贈与税よりも低くなっていますから、かなりの税効果が得られることとなります。


そして、この方法は違法ではありません。


しかし、「租税回避行為」だとして、税金を回避したとみなされる可能性は否定できませんので、しっかり調べた上で、場合によっては税理士などのプロに相談しながら検討していきましょう。

②配当所得を利用する

タックスヘイブンへ会社設立することで相続税や贈与性を抑える方法には、一時所得を利用するほかに、配当所得を利用するという方法があります。


  1. 子や親族が、タックスヘイブンへ法人を設立する
  2. 親がタックスヘイブンにある法人にコンサルティング料などのサービスに対する料金として支払いをしたり、贈与をおこなったりする
  3. タックスヘイブンにある法人が、子や親族に支払われた金額を利益として配当する


相続や贈与としてではなく、配当所得として受け取れば、税率は一律で20%となります。


贈与税や相続税、一時所得とくらべても、かなりの税効果となりますね。


ただし、この方法であっても、一時所得を利用しての対策のときのように、「租税回避行為」だとして、税金を回避したとみなされる可能性はありますので、同様な注意は必要となります。

マレーシアのラブアン島の例

タックスヘイブンといえば、アジアで有名なのは、シンガポール香港マカオなどです。


そこで、ここでは日本ではあまり知られていないラブアン島についてご紹介します。


ラブアン島はマレーシアにあり、実はアジアでもっとも税率が低いタックスヘイブンなのです。


ここでは、アジアの金融特区、ラブアン島について

  • 法人税は3%、もしくは2万ギリット(約60万円)でアジアでは最も低い税率
  • 所得税は12万程度となっており破格!

といった内容でみていきますね。

法人税は3%か2万リンギット(約60万円)

ラブアン島での法人税は「事業取引会社」「持ち株会社」で異なっています。


  • 事業取引会社 法人税率3%もしくは一律2万リンギット
  • 持ち株会社 法人税率0%


以上のようになっています。


ラブアン島で設立された法人は、マレーシアでの通常の現地法人とは別に「ラブアン法人」と呼ばれ、特殊な制度のもとに成り立っています。


ラブアン法人の税率は、「3%」か「2万ギリット」を選択できることになっています。


さらに、2万リンギットを納税すれば、最大税額を払った企業として会計監査も免除となるのです。


また、定額55万の法人税を選択することもできます。


そのため、利益が大きくなればなるほど、法人税率3%よりも少なくなっていくことになるのです。


日本の法人税率は30%を超えてますし、マレーシアの法人税率は20%を超えています。


比較すれば、ラブアン島の法人税率がどれほど低いものなのか、おわかりいただけるでしょう。

所得税は12万円程度

ラブアン法人には、法人税の優遇措置だけではなく、所得税においても優遇措置があります。


条件としては

  • ラブアン島の就労ビザを取得し、マレーシアに移住する
  • 182日以上マレーシアで生活する

ということ。


こちらの条件にあてはまれば、所得税が12万円ほどとなります。


さらに、ビットコインでの所得については非課税。

消費税やたばこ税、酒税もありません。

タックスヘイブンを利用した対策のまとめ

今回は、タックスヘイブンに法人を設立して税金対策をする方法をまとめてお伝えしてきました。


タックスヘイブンで会社設立をすることでの税金対策については、タックスヘイブン対策税制も施工されたため、過去に頻繁に行われていたような、ペーパーカンパニーを設立することでの対策は難しくなりました。


ですが、そうはいってもタックスヘイブンで会社設立をして対策をする方法はたくさんあり、条件次第ではまだまだ税金対策として検討の余地が十分にあるといえます。


タックスヘイブンでの会社設立に興味があり、活用したいと考えている人は、マネーキャリアへご相談ください。マネーキャリアでは法人の方も無料で相談可能なため、この機会に利用してみてはいかがでしょうか。


ほけんROOMでは他にも税務に関する記事を多数掲載しておりますので、興味のある方はぜひ参考にしてください。

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