アルバイトの雇用に必要な手続きとリスクをわかりやすく解説

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アルバイト雇用にあたっては、様々な手続きが必要になります。また、労働基準法を守って雇用する必要があります。アルバイトの雇用に必要な手続きの流れや注意点、気をつけるべき法律違反に加え、アルバイトによる損害賠償リスクなどについて解説します。

内容をまとめると



▼この記事を読んで欲しい人
  • アルバイトを雇うときの手続きを知りたい人
  • アルバイトを雇うことで起こり得るリスクを知りたい人
▼この記事を読んでわかること
  • アルバイトを雇うときに押さえておきたい手続き
  • 気をつけるべきアルバイトに関する法律違反
  • アルバイトによる損害賠償リスクの危険性
  • アルバイトを雇う際はさまざまな手続きが必要
  • 意図せぬ法律違反には注意が必要
  • アルバイトがお客様に損害を与え、企業が賠償リスクを負う恐れがある
  • アルバイトによる損害賠償リスクには法人保険で備えられる
  • マネーキャリアでは経験豊富な専門家に法人保険の無料相談ができる

アルバイトを雇ったら確認・注意すべき5つの手続き

アルバイトを雇うにあたっては、いくつか確認・注意しておくべき手続きがあります。


それは、主に次の5つです。

  1. 源泉徴収
  2. 社会保険と労働保険
  3. 給与や労務管理
  4. 契約書類
  5. 助成金

アルバイトの採用経験が少ない場合は特に、これらの事務手続きの対応に戸惑うケースは多いのではないでしょうか。


とはいえ、アルバイトを雇う際は、必要な事務手続きを漏れなく、正しくおこなうことが重要です。


スムーズに事務処理を進めるために、それぞれの手続きについて、特徴や手続きの流れ、注意点などを詳しく解説します。

①源泉徴収

アルバイトを雇用する場合、給与から「源泉所得税」を徴収する必要があります。


手続きにかかる書類や提出先、期限は次のとおりです。


提出書類給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
提出先
税務署
提出期限事業開始時(アルバイトを雇って事業を始めるとき)
または雇用後1ヶ月以内


手続き後、所得税を納付するための書類が届きます。


徴収した所得税は、翌月10日までに税務署に納付しましょう。


給与を支払う対象となる従業員が10人未満の場合、納付期限を半期ごとに設定することもできます。 


手続きには「源泉所得税の納期の特例に関する承認申請書」の提出が必要です。


源泉徴収所得税は、正社員と同じように「給与所得の源泉徴収税額表」をもとに計算します。


所得税の控除額は一律ではなく、次の3種類の税区分があります。

  • 甲:「給与所得者の扶養控除等(異動)申請書」の提出があるとき
  • 乙:「給与所得者の扶養控除等(異動)申請書」の提出がないとき
  • 丙:あらかじめ雇用契約の期間が2ヶ月以内と定められているとき、または日々雇い入れている場合には継続して2か月を超えて支払をしないとき


また、「給与所得の源泉徴収税額表」には、月額表日額表があります。


月額表は、原則として月単位の給与の支払いに用いられます。


日額表は、原則として日単位の給与の支払いがある場合または日雇賃金の場合に用いられます。


アルバイトの源泉徴収額に過不足が生じてしまう恐れがあるため、計算方法には注意が必要です。

②社会保険と労働保険

一定の条件を満たした場合、アルバイトでも社会保険・労働保険への加入対象となります。


まず、社会保険とは、健康保険厚生年金のことをさします。


アルバイトの場合、「1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、同じ事業所で同じ業務をおこなっている正社員など一般社員の4分の3以上」であれば、社会保険の加入対象です。


また、前述の条件にあてはまらないときでも、従業員501人以上(厚生年金の被保険者数)の企業であれば、下記基準をすべて満たすアルバイトは社会保険の加入対象となります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 雇用期間が1年以上またはその見込みがある
  • 月の賃金が8万8,000円以上
  • 学生以外


労働保険とは、労災保険雇用保険のことをいいます。


労働者が業務災害や通勤災害にあったとき、その労災について補償する労災保険は、雇用形態に関わらず、すべての労働者が加入対象です。


忘れずに手続きをおこないましょう。


雇用保険は「31日以上雇用されることが見込まれ、1週間の労働時間が20時間以上であること」という要件を満たすアルバイトが加入の対象となります。


それぞれの加入手続きにかかる、書類の提出先と提出書類名をまとめました。


提出先提出書類
健康保険
厚生年金
年金事務所
健康保険・厚生年金保険所 新規適用届
健康保険・厚生年金 被保険者資格取得届
健康保険 被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)
健康保険厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書
労災保険労働基準監督署保険関係成立届
労働保険概算保険料申告書
履歴事項全部証明書
雇用保険公共職業安定所
(ハローワーク)
雇用保険被保険者資格取得届


③給与や労務管理

アルバイトが働くうえでの管理体制を整えておくことは非常に大切です。


給与制度

パートタイム・有期雇用労働法により、事業主は正社員との均衡を考慮しながら、アルバイトの職務内容・成果・意欲・能力・経験などから賃金を決定する努力をする必要があります。

次に挙げる事項のすべてに当てはまる場合は、正社員とアルバイトを差別することが禁じられています。


  • 正社員と同じ職務内容である
  • 人事異動の有無や範囲が正社員と同じである
  • 契約期間が実質的に無期契約である


休暇制度

休暇制度も整備しておきましょう。

  • 雇い入れの日から6ヶ月経過している
  • その期間の全労働日の8割以上出勤した
上記の要件を満たすアルバイトには、有給休暇を付与する必要があります。


  • 週所定労働時間が30時間以上
  • 所定労働日数が週5日以上
  • 1年間の所定労働日数が217日以上

上記の要件のいずれかに当てはまるアルバイトには、次のとおり有給休暇が与えられます。


雇い入れからの
継続期間
付与される
有給休暇の日数
6ヶ月10労働日
1年6ヶ月11労働日
2年6ヶ月12労働日
3年6ヶ月14労働日
4年6ヶ月16労働日
5年6ヶ月18労働日
6年6ヶ月20労働日


上記の条件に当てはまらないアルバイトであっても、所定労働日数・年間所定労働日数・雇い入れからの継続勤務期間に応じて有給休暇が与えられます。

④契約書類

アルバイトを雇用したときは、「労働条件通知書」と「雇用契約書」を作成しましょう。


それぞれの書類には、次の特徴があります。


労働条件通知書雇用契約書
書面締結の必要性義務
任意
合意の必要性雇用者側からの一方的な交付  雇用者と労働者での合意が必要
適用される法律労働基準法
パートタイム労働法
労働者派遣法
民法


労働条件通知書には、下記を記載する必要があります。


  • 労働契約期間
  • 就業の場所や従事する業務内容
  • 始業開始・終業時刻
  • 所定労働時間を超える労働の有無
  • 休日や休暇、休憩時間(交替勤務の場合は就業時転換)
  • 賃金の発生基準や計算方法、支払い方法、締め切り及び支払い時期に関する事項
  • 退職に関する事項
  • 昇給の有無
  • 退職に関する事項
  • 賞与制度の有無
  • 相談窓口について

決まった様式はありませんが、厚生労働省ホームページより、テンプレートをダウンロードできます。


雇用契約書は義務ではないものの、雇用主と労働者双方が合意していることを証明する書類となるため、トラブルを避けるためには発行することが望ましいでしょう。


2部作成し、それぞれが保管することになります。


労働条件通知書と雇用契約書は、「労働条件通知書兼雇用契約書」として兼用で発行することもできます。

⑤助成金

アルバイトを雇用する際、条件を満たす場合は助成金を受給できます。


主な助成金は、次のとおりです。

  • トライアル雇用助成金
  • 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

トライアル雇用」とは、特定の労働者を3ヶ月間、有期雇用できる制度のことをいいます。


企業・トライアル雇用対象者双方の合意がある場合、有期契約満了日にその労働者を正社員として雇用することも可能です。


人件費が抑えられるほか、トライアル雇用中に対象者の適性を判断することができます。


申し込み先は、労働局・ハローワークです。


特定求職者雇用開発助成金とは、高年齢者や障害者など、就職が特に困難な方をハローワークや民間の職業紹介事業者などの紹介により、継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して支給されるものです。


支給申請先は、労働局・ハローワークとなります。

アルバイトに対するよくある法律違反

たとえ雇用形態がアルバイトであっても、きちんと労働基準法を守らなければなりません。


内容をしっかり把握できていない場合、意図せず法律に違反してしまう恐れもあるため、注意が必要です。


よくある法律違反としては、次のものが挙げられます。

  1. 残業代がない
  2. 罰金制度を課している
  3. 最低賃金を以下の給与
  4. 労働基準法を超えたペナルティ
見落としがちなこれらの法律違反について、詳しく解説します。

①残業代がない

アルバイトであっても、法定時間外労働があったときは正社員と同様に残業代を支払う必要があります。


残業したタイミングが深夜や法定休日であれば、深夜手当や休日手当も発生します。


  • 時間外手当:1日8時間以上、1週間で40時間以上の労働をさせたとき
  • 深夜手当:夜22時から早朝5時までの間に労働をさせたとき
  • 休日手当:法定休日に労働をさせたとき


それぞれの手当は、1時間あたりの賃金に一定以上の割増率をかけた額を支払う必要があります。


手当ごとの割増率は、以下のとおりです。


手当の種類割増率
時間外手当25%以上
深夜手当25%以上
休日手当35%以上


違反した場合は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が定められています。


「アルバイト代は労働時間×時間給」という考え方が強い場合、法定時間外労働の発生を見落としてしまう可能性もあるため、注意が必要です。


アルバイト一人ひとりの勤務時間をしっかり把握・管理する必要があるでしょう。

②罰金制度を課している

アルバイトがおこなう仕事に、目標やノルマを設けるケースもあるでしょう。


仕事へのモチベーションアップのために目標やノルマ設けることや、達成したときの報奨制度を定めることには問題はありません。


しかし、達成できなかったときに罰金などのペナルティを課すことは、労働基準法違反となるため、注意が必要です。


労働基準法には「賠償予定の禁止」という条文があるためです。


「備品を壊したら罰金○円」といった罰金制度や、罰金を給与から控除することも、原則として違法行為となります。


違反した場合は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が定められています。


罰金制度を設けるのではなく、アルバイトの教育や働きやすい環境を整えることが重要といえるでしょう。

③最低賃金を以下の給与

日本では、「最低賃金法」という法律により、都道府県ごとに1時間当たりの最低賃金が定められています。


最低賃金を下回る賃金で労働者とアルバイトの双方に合意がある場合でも、法律により無効とされ、最低賃金と同額に定めたものとみなされます。


もし最低賃金を下回っていた場合は、最低賃金との差額を支払う必要があります。


違反した場合は、50万円以下の罰金が科せられます。


なお、最低賃金は毎年更新されます。


気がつかないうちに最低賃金を下回ってしまっていた、というケースもあるため、注意が必要です。


定期的に最低賃金をチェックするようにしましょう。

④労働基準法を超えたペナルティ

労働基準法を超えた、重すぎるペナルティにも注意が必要です。


たとえば、アルバイトが遅刻や欠勤をしたときに給与を減給するケースです。


就業規則で定めている場合、給与の減給自体に違法性はありません。


ただし、

  • 1回の事案につき平均賃金(1日あたりの賃金)の半額を超える減給
  • 複数回の事案につき給与総額の10分の1を超える減給
はできないことが「制裁規定の制限」という法律によって定められています。


違反した場合、30万円以下の罰金が定められています。


また、いくら就業規則で定めているとしても、アルバイトに非がない遅刻や欠勤に対してペナルティを課すことは避けるべきでしょう。

アルバイトがお客様に損害を与える賠償リスクに注意!

思わぬトラブルにより、アルバイトがお客様に損害を与えてしまうこともあります。


  • 熱い飲み物をこぼし、お客様に火傷を負わせてしまった
  • 火災が起きたとき、誘導ミスでお客様にケガを負わせてしまった
  • 誤ってお客様の個人情報を漏洩してしまった
  • 会計時、お客様のスマートフォンを落として壊してしまった
  • 商品の配達中、通行人にケガをさせてしまった


故意による損害でない限りアルバイトに損害賠償責任はないため、こうした損害による賠償リスクは企業側が負わなければなりません。


場合によっては、高額な賠償リスクを負うことになります。


こうしたリスクには、法人向けの損害賠償保険で備えることができます。


とはいえ、どのように保険を選べばよいか悩むケースは多いのではないでしょうか。


法人保険を検討するときは、事前に専門家に相談することがおすすめです。


マネーキャリアであれば、経験豊富な専門家に法人保険に関する疑問を無料で相談できます。


安心して事業を展開していくために、ぜひマネーキャリアの無料相談をご活用ください。

参考:バイトテロにも要注意!

バイトテロ」という言葉をご存知でしょうか。


アルバイトなどが起こした不適切行為が映る動画をSNSに投稿することをさすインターネット上の造語のことで、「バカッター」ともよばれています。


投稿された動画が複数のSNSで拡散され、企業側に大きな影響を与えることもあります。


業務を円滑に回すための助けとなるアルバイトですが、過去には残念ながらバイトテロが大きな問題となったケースも発生しています。


ここでは、

  • バイトテロの事例
  • バイトテロによる企業へのリスク
  • バイトテロの対策事例

についてご紹介します。

バイトテロの事例

過去には、どのようなバイトテロが起きているのでしょうか。


実際に起こり、大きな問題となったバイトテロの事例を3つご紹介します。


事例1:外食チェーン店

アルバイト従業員が厨房のコンロの炎でくわえ煙草に火をつけるといった様子を撮影した動画がSNSに投稿・拡散されました。

企業側は謝罪をおこない、再発防止と信頼回復のため、法的措置の検討と従業員の再教育を徹底する旨を発表しています。

事例2:コンビニエンスストア

アルバイト従業員が商品のおでん「しらたき」を口に入れて吐き出す動画がSNSに投稿・拡散され炎上しました。

企業側は謝罪をおこない、アルバイト従業員2名を解雇しました。

また、法的措置を含む厳正な処分を検討し、全国の加盟店オーナーにも従業員の再教育を徹底するよう申し入れをおこなう旨を発表しています。

事例3:牛丼チェーン店

アルバイト従業員2名が店内の床に氷を投げつけ散乱させる、調理器具を下半身に当てる、といった動画がSNSに投稿・拡散され、批判が殺到しました。

企業側は謝罪をおこない、アルバイト従業員を解雇したことをウェブサイトで発表しています。

バイトテロによる企業へのリスク

もしバイトテロが起きた場合、企業には次のようなリスクが想定されます。


  • 不適切投稿の拡散
  • 消費者への影響
  • 株価への影響
  • 雇用への影響 

インターネット上では、不特定多数の目に触れることになります。


不適切な投稿があった場合、別の媒体にまでどんどん投稿が拡散されてしまうリスクがあります。


一度拡散されてしまったら、完全に削除することは難しいでしょう。


バイトテロが起きてしまった場合、企業のブランドイメージが低下して顧客が離れ、休業や廃業まで追い込まれてしまう恐れもあります。


株価に影響が及ぶリスクもあるでしょう。


また、求職者に敬遠され、採用活動にも影響が出る可能性もあります。


アルバイトの悪質行為に対して損害賠償を請求できたとしても、すべての損害をカバーできるとは限りません。


バイトテロが企業の利益に大きな影響を及ぼすリスクはじゅうぶんにあるのです。

バイトテロの対策事例

バイトテロを防ぐためには、どのような対策をおこなえばよいのでしょうか。


具体的な対策事例として、以下が挙げられます。


  • 勤務中のスマートフォンの取り扱いに関する規則を定める
  • 風評監視のサービスを利用する
  • SNSリスク研修の実施
  • 採用時に身元保証書​の提出を求める


就業規則で仕事現場へのスマートフォン持ち込みを禁止するなど、SNSに投稿させないような環境を整えておくことも対策となるでしょう。


風評監視ツールや有人監視サービスを利用し、自社に関する書き込みの情報管理をおこなうという手段もあります。


SNSリスク研修をおこない、アルバイトに対しバイトテロの事例や企業・個人への影響などを理解させる機会を設けることも大切です。


採用の段階で身元保証書の提出を求めるという対策方法もあります。


身元保証書は身元の保証だけでなく、雇用する人材が企業に与えた損害を身元保証人が連帯して賠償責任を負うことについて約束する書類にもなります。


あらかじめ身元保証書で、不適切な行動で企業が被害を受けたときの補償額を定めておくとよいでしょう。

アルバイトの雇用に関するまとめ

今回はアルバイトの雇用に必要や手続きやリスクについてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。


源泉徴収、社会保険や労働保険の加入手続き、給与制度の整備や契約書類の発行など、アルバイトの雇用にあたってはさまざまな手続きが発生します。


抜け・漏れがないよう、しっかり手続きを進める必要があるでしょう。


気がつかないうちに法律に違反してしまうケースもあるため、注意が必要です。


また、故意ではなくとも、アルバイトがお客様に損害を与えてしまう恐れもあります。


賠償リスクには、法人向けの損害賠償保険で備えましょう。


法人保険を検討するときは、経験豊富な専門家に無料相談できるマネーキャリアの利用がおすすめです。


アルバイトの雇用を考えている場合は、ぜひご活用ください。

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