法人成りした時に必要な経営セーフティ共済の手続きと税務処理を解説

経営セーフティ共済(倒産防止共済)は法人成りした際に引き継ぎか解約かを選択することになります。解約をしてしまうと解約金に税金がかかってしまうため引き継ぎが理想です。今回は法人成りの際経営セーフティ共済を引き継ぐ際の手続きや税務処理について詳しく解説します。

内容をまとめると

  • 法人成りの際経営セーフティ共済引き継ぎを行うためには「加入条件を満たしている」「貸付金や制度の違約金も継承」「継承後3カ月以内」という3点が条件
  • 法人成りの際の必要書類は金融機関窓口に提出。オンラインでも書類を取得できる。
  • 法人成り前の仕訳方法(中小企業や個人事業主):現預金雑収入で処理
  • 法人成り後の仕訳方法保険積立金現預金で処理
  • 不測の備えとして経営セーフティ共済だけでなく法人保険も併用するとより良い
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法人成りしたら経営セーフティ共済(倒産防止共済)はどうする?

個人事業主からへの法人成りにはさまざまな手続きが必要です。各項目ごとに最善をつくしたいですよね?


特に加入者も多いとされる経営セーフティ共済(倒産防止共済)は解約すべきか、引き継ぐべきの2択を迫られます


解約金は税法上、法人は益金に該当し個人事業主は事業所得の収入として扱われます。



そのため無駄な納税を避けるためにもできれば引き継いだ方が良いでしょう


この記事では以下の内容について解説していきます。

  • 経営セーフティ共済を法人に引き継ぐための条件
  • 法人化して引き継ぐための手続きと必要書類
  • 経営セーフティ共済(倒産防止共済)の引き継ぎ時の経理処理方法


法人成りの際の経営セーフティ共済の引き継ぎについての条件や手続きについて一緒にチェックしていきましょう。

経営セーフティ共済を法人に引き継ぐための条件


法人成りの際経営セーフティ共済を引き継ぐためには

  1. 加入条件を満たしている
  2. 共済金や一時貸付金の返済・違約金の支払い義務の引き受け
  3. 法人成りから3カ月以内
の条件を満たさなければなりません。

毎年加入者が増加傾向(※中小機構の現状参考)にある経営セーフティ共済には、法人成り前に加入していた場合は特に経営を行う上で精神的な安定につながります。

条件をしっかり確認し、準備を行うことで問題なく引き継ぎができるようにしましょう。

下記に各項目についてまとめています。

①加入資格を満たしている

加入資格は1年以上事業の継続をしている中小企業・個人事業主が前提条件です。


企業・個人事業主


加入条件には資本金従業員数の規程があり、事業内容や職業の種類によって異なります。

業種資本金または出資額の総額常時勤務している従業員数
製造業、建設業、運輸業その他の業種3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下
ゴム製品製造業(一部を除く)3億円以下900人以下
ソフトウェア業または情報処理サービス業3億円以下300人以下
旅館業5,000万円以下200人以下


組合


  • 企業組合、協業組合
  • 共同生産、共同販売等の共同事業を行っている事業協同組合、事業協同小組合、商工組合

に限ります。


以上の加入条件に適していたとしても認められないケースもあります。そちらは中小機構のホームページに記載されている加入いただけない場合をご覧ください。

②共済金や一時貸付金の返済・違約金の支払い義務を引き受ける

法人成りの際引き継ぐものとして

  • 掛金の支払い
  • 一時貸付金の返済
  • 一時貸付金の違約金の支払い
も含まれます。

掛金は5000円~200000円の間であれば変更できますので、法人化に伴い掛金の変更があれば早めに手続きを行いましょう。

一時貸付金を借りているのであればそちらの返済義務も当然引き継がれます

もしも貸付金の返済が遅れてしまった場合は違約金が発生しますが、こちらも同様に引き継がれることになります

中小機構から債務引き受けの書類が送付されますのでそちらに記入してください。

③法人成りから3ヶ月以内に申し込む

加入するためには法人成りから3カ月以内に申し込まなければなりません。指定金融機関に継承の旨を申し出ましょう


法人成りの際にはさまざまな手続きが必要です。


次々に期限が迫ってきますのでいつのまにか3カ月を過ぎてしまい、引き継ぎができないとならないように気を付けましょう。

事業を法人化して引き継ぐための手続きと必要書類

経営セーフティ共済に加入している中小企業や個人事業主が法人成りをする際の手続きと必要書類を簡単に説明します


ただし事業内容や規模によって必要書類等が違う場合がありますので、悩んだ際は中小機構のホームページに掲載されている「よくある質問」の下部に問い合わせ先がありますので相談してみると良いでしょう。

手続きの流れ


法人成りの際の経営セーフティ共済を引き継ぐための手続きの流れは

  1. 必要な書類を取得
  2. 所定箇所に記入
  3. 窓口に提出
  4. 中小機構から証書が届くため受領
です。

窓口は委託団体か融資取引を行っている金融機関のみです。融資取引がない場合は預金取引が1年以上ある金融機関であることが条件です

ただし指定金融機関の中にゆうちょ銀行や労働金庫は含まれていないため注意してください。

経営セーフティ共済申し出を行った金融機関は一度指定すると原則変更はできませんので、当初の選択は慎重にしましょう。

必要書類

提出が必要な書類一覧です。

  • 承継申出者(法人)の印鑑登録証明書
  • 被承継者(個人事業主)の印鑑登録証明書
  • 商業登記簿謄本または履歴事項全部証明書
  • 契約承継申出書
  • 重要事項確認書 兼 反社会的勢力の排除に関する同意書
  • 掛金預金口座振替申出書(変更用)
  • 共済契約締結証書(紛失の場合は紛失届を記入)
証明書は発行から3カ月以内のものが有効です。

契約承継申出書と共に重要事項確認書兼反社会的勢力の排除に関する同意書は送付されます。

掛金預金口座振替申出書は変更がある際はもちろんのこと、変更がない場合でも必ず必要ですので忘れないようにしてください

契約承継申出書以下の書類はホームページでのダウンロード、FAXでの依頼またはコールセンターに問い合わせることで取得できます。

経営セーフティ共済(倒産防止共済)の引き継ぎ時の経理処理(仕訳)

経営セーフティ共済を引き継ぐ際は解約返戻金相当額で譲渡処理を行います


今回は解約手当金が500万とします。


【個人事業主の際の仕訳】

借方貸方
現預金 500万雑収入 500万

掛金は今まで費用として計上していたため引き継ぎのタイミングで解約手当金相当額を収入に計上する必要があります。


【法人成りしてからの仕訳】

借方貸方
保険積立金 500万現預金 500万

個人に支払う500万は費用になりません。


【掛金支払期間が12カ月に満たない場合】


経営セーフティ共済は掛金を12カ月以上支払わなければ共済金支払い対象になりません


解約手当金が0であれば価値も0となるため仕訳の必要はありません。個人も課税の対象外です。

法人成りするなら法人保険の加入も検討するべき!


法人成りをするのであれば経営セーフティ共済だけでなく法人保険の検討もおすすめします


経営セーフティ共済はあくまで取引先企業が倒産したときに共済金の借入ができる制度であり、契約者の死亡や退職金の準備が主ではありません。


もちろん積立金がありますので解約手当金は多少ありますが、限度は800万までと決まっています。40カ月をすぎれば返礼率は100%になりますがそれでも事業のための準備としては物足りなく感じるかもしれません。


そのため経営セーフティ共済との併用に適した法人保険は何かプロに相談してみましょう


相談先は「マネーキャリア」をおすすめします。


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法人を得意とするFPも在籍しておりますのでぜひ一度利用してみてください。

まとめ

経営セーフティ共済の法人成りの際行う引き継ぎについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。


経営セーフティ共済は法人成り後も経営の不安を軽減してくれる頼もしい制度です

スムーズに引き継ぎを行えるようマネーキャリアの無料相談などをうまく利用しながら事前に準備をしっかりしておきましょう。


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