更新日:2024/03/07
法人成りした時に必要な経営セーフティ共済の手続きと税務処理を解説
経営セーフティ共済(倒産防止共済)は法人成りした際に引き継ぎか解約かを選択することになります。解約をしてしまうと解約金に税金がかかってしまうため引き継ぎが理想です。今回は法人成りの際経営セーフティ共済を引き継ぐ際の手続きや税務処理について詳しく解説します。
内容をまとめると
- 法人成りの際経営セーフティ共済引き継ぎを行うためには「加入条件を満たしている」「貸付金や制度の違約金も継承」「継承後3カ月以内」という3点が条件
- 法人成りの際の必要書類は金融機関窓口に提出。オンラインでも書類を取得できる。
- 法人成り前の仕訳方法(中小企業や個人事業主):現預金と雑収入で処理
- 法人成り後の仕訳方法:保険積立金と現預金で処理
- 不測の備えとして経営セーフティ共済だけでなく法人保険も併用するとより良い
- 法人成りや経営セーフティ共済を始めとした悩みはプロに相談!「マネーキャリア」がおすすめ
目次を使って気になるところから読みましょう!
法人成りしたら経営セーフティ共済(倒産防止共済)はどうする?
個人事業主からへの法人成りにはさまざまな手続きが必要です。各項目ごとに最善をつくしたいですよね?
特に加入者も多いとされる経営セーフティ共済(倒産防止共済)は解約すべきか、引き継ぐべきの2択を迫られます。
解約金は税法上、法人は益金に該当し個人事業主は事業所得の収入として扱われます。
そのため無駄な納税を避けるためにもできれば引き継いだ方が良いでしょう。
この記事では以下の内容について解説していきます。
- 経営セーフティ共済を法人に引き継ぐための条件
- 法人化して引き継ぐための手続きと必要書類
- 経営セーフティ共済(倒産防止共済)の引き継ぎ時の経理処理方法
法人成りの際の経営セーフティ共済の引き継ぎについての条件や手続きについて一緒にチェックしていきましょう。
経営セーフティ共済を法人に引き継ぐための条件
法人成りの際経営セーフティ共済を引き継ぐためには
- 加入条件を満たしている
- 共済金や一時貸付金の返済・違約金の支払い義務の引き受け
- 法人成りから3カ月以内
①加入資格を満たしている
加入資格は1年以上事業の継続をしている中小企業・個人事業主が前提条件です。
企業・個人事業主
加入条件には資本金と従業員数の規程があり、事業内容や職業の種類によって異なります。
業種 | 資本金または出資額の総額 | 常時勤務している従業員数 |
---|---|---|
製造業、建設業、運輸業その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
ゴム製品製造業(一部を除く) | 3億円以下 | 900人以下 |
ソフトウェア業または情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
組合
- 企業組合、協業組合
- 共同生産、共同販売等の共同事業を行っている事業協同組合、事業協同小組合、商工組合
に限ります。
以上の加入条件に適していたとしても認められないケースもあります。そちらは中小機構のホームページに記載されている加入いただけない場合をご覧ください。
②共済金や一時貸付金の返済・違約金の支払い義務を引き受ける
法人成りの際引き継ぐものとして
- 掛金の支払い
- 一時貸付金の返済
- 一時貸付金の違約金の支払い
③法人成りから3ヶ月以内に申し込む
加入するためには法人成りから3カ月以内に申し込まなければなりません。指定金融機関に継承の旨を申し出ましょう。
法人成りの際にはさまざまな手続きが必要です。
次々に期限が迫ってきますのでいつのまにか3カ月を過ぎてしまい、引き継ぎができないとならないように気を付けましょう。
事業を法人化して引き継ぐための手続きと必要書類
経営セーフティ共済に加入している中小企業や個人事業主が法人成りをする際の手続きと必要書類を簡単に説明します。
ただし事業内容や規模によって必要書類等が違う場合がありますので、悩んだ際は中小機構のホームページに掲載されている「よくある質問」の下部に問い合わせ先がありますので相談してみると良いでしょう。
手続きの流れ
法人成りの際の経営セーフティ共済を引き継ぐための手続きの流れは
- 必要な書類を取得
- 所定箇所に記入
- 窓口に提出
- 中小機構から証書が届くため受領
必要書類
提出が必要な書類一覧です。
- 承継申出者(法人)の印鑑登録証明書
- 被承継者(個人事業主)の印鑑登録証明書
- 商業登記簿謄本または履歴事項全部証明書
- 契約承継申出書
- 重要事項確認書 兼 反社会的勢力の排除に関する同意書
- 掛金預金口座振替申出書(変更用)
- 共済契約締結証書(紛失の場合は紛失届を記入)
経営セーフティ共済(倒産防止共済)の引き継ぎ時の経理処理(仕訳)
経営セーフティ共済を引き継ぐ際は解約返戻金相当額で譲渡処理を行います。
今回は解約手当金が500万とします。
【個人事業主の際の仕訳】
借方 | 貸方 |
---|---|
現預金 500万 | 雑収入 500万 |
掛金は今まで費用として計上していたため引き継ぎのタイミングで解約手当金相当額を収入に計上する必要があります。
【法人成りしてからの仕訳】
借方 | 貸方 |
---|---|
保険積立金 500万 | 現預金 500万 |
個人に支払う500万は費用になりません。
【掛金支払期間が12カ月に満たない場合】
経営セーフティ共済は掛金を12カ月以上支払わなければ共済金支払い対象になりません。
解約手当金が0であれば価値も0となるため仕訳の必要はありません。個人も課税の対象外です。
法人成りするなら法人保険の加入も検討するべき!
法人成りをするのであれば経営セーフティ共済だけでなく法人保険の検討もおすすめします。
経営セーフティ共済はあくまで取引先企業が倒産したときに共済金の借入ができる制度であり、契約者の死亡や退職金の準備が主ではありません。
もちろん積立金がありますので解約手当金は多少ありますが、限度は800万までと決まっています。40カ月をすぎれば返礼率は100%になりますがそれでも事業のための準備としては物足りなく感じるかもしれません。
そのため経営セーフティ共済との併用に適した法人保険は何かプロに相談してみましょう。
相談先は「マネーキャリア」をおすすめします。
全国対応で何度でも相談は無料です。オンライン相談でどんな場所からでも相談できます。
契約件数は10,000件以上にのぼり、顧客満足度は驚きの93%を誇っている信頼できる保険サービスです。
法人を得意とするFPも在籍しておりますのでぜひ一度利用してみてください。
まとめ
経営セーフティ共済の法人成りの際行う引き継ぎについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。