駐車場代が経費になる場合をパターン別に紹介!注意点や勘定科目も解説

事業経営において、駐車場代は身近な経費のひとつです。しかし、状況に応じた仕訳が必要であり、経費を計上するときの注意点や法人・個人事業主ごとの違いもあります。具体的な仕訳の例やポイントをご紹介しながら、駐車場代の適切な対応の仕方について解説します。




▼この記事を読んでわかること
  • ケース別の駐車場代の勘定科目
  • ケース別の駐車場代の仕訳
  • 駐車場代を経費計上する際の注意点
  • 自宅周辺・自宅の駐車場代の損金計上にかかる法人・個人事業主ごとの対応方法
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内容をまとめると

  • 駐車場代の勘定科目は、月極駐車場代は地代家賃コインパーキング代は旅費交通費が基本。その他は状況に応じて使い分けが必要
  • 駐車場代には消費税がかかるケースが多い
  • 駐車場代の経費計上の注意点は「勘定科目に一貫性を持たせる」・「目的や場所をメモしておく」・「月極駐車場の契約時の費用
  • 自宅周辺・自宅の駐車場代は、法人は全額経費個人事業主は家事按分
  • 適切な会計処理を。法人保険で税金対策したい場合はマネーキャリアでプロに無料相談

駐車場代の勘定科目は状況によって変わる!仕訳例も解説

事業を経営している場合、社用車の管理や営業・接待など、さまざまなシーンで駐車場代が発生するのではないでしょうか。


駐車場代を経費計上するために利用する勘定科目は、目的によって使いわける必要があります。


また、駐車場代の支払い方によっても仕訳の方法は変わってきます


駐車場代が発生するシーンを次のように分類し、具体的な仕訳例をご紹介しながら解説していきます。

  • 月極の駐車場代の場合
  • コインパーキングを利用した場合
  • その他
支払い方に応じた仕訳例もあわせてご紹介するので、参考にしてください。

月極の駐車場代の場合は「地代家賃」

社用車などの駐車のために、月極の駐車場を契約していることもあるかと思います。


月極の駐車場代の場合、勘定科目(経費項目)を「地代家賃」として経費計上します。


地代家賃とは、事業の経営に必要な土地建物を借りる際に発生する賃借料を経費に計上するときに用いる勘定科目です。


地代家賃は、事務所の家賃にも利用する勘定科目でもあります。


毎月支払う月極駐車場の賃料も、事務所の家賃と同じ考え方ということになります。


具体的な例で、仕訳の方法を確認してみましょう。


まず、月3万円の月極駐車場代を口座引き落としで支払った場合の仕訳例をご紹介します。

借方貸方
地代家賃 33,000円預金 33,000円


前述の駐車場代を現金で支払った場合は、貸方科目を「現金」にします。

借方貸方
地代家賃 33,000円現金 33,000円


このように、月極の駐車代の勘定科目は「地代家賃」を利用することが基本です。

駐車場・コインパーキング利用の場合は「旅費交通費」

営業や出張で時間貸しのコインパーキングを利用した場合、経費計上の仕方は月極の駐車場代とは異なります。


コインパーキング代については、「旅費交通費」を勘定科目として経費計上することが一般的です。


旅費交通費とは、「旅費」と「交通費」を合わせた勘定科目です。


事業に関わる業務として遠隔地へ出張したときの宿泊費などの「旅費」と、電車代・高速代などの「交通費」を合わせたものです。


営業スタッフが取引先に出張し、800円でコインパーキングを利用した場合を例に挙げ、現金払い・クレジットカード払いそれぞれのケースの仕訳例をご紹介します。


800円を現金で支払ったときは、次のように仕訳します。

借方貸方
旅費交通費 800円現金 800円


800円をクレジットカードで支払ったときは、貸方科目を「未払金」として仕訳します。

日付借方貸方
8月7日
(購入費)
旅費交通費 800円未払金 800円


カード払い分が引き落とされたときは、次のように仕訳します。

日付借方貸方
8月25日
(引き落とし日)
未払金 800円
預金 800円

このように、コインパーキング代の勘定科目は「旅費交通費」を利用することが基本です。

【補足】他にも場合に応じて駐車場代には様々な勘定科目がある

駐車場代は、先にご紹介したように「地代家賃」または「旅費交通費」を勘定科目とすることが基本です。


ただし、場合によっては、以下のケースでその他の勘定科目を利用することもあります。

勘定科目使用場面
車両費車に関する費用をまとめて管理している場合
研修費研修のために支払った駐車場代など
福利厚生費社員旅行のために支払った駐車場代など
交際費取引先との接待のために支払った駐車場代など
雑費勘定科目をわける必要がない(めったに駐車場代が発生しない)
場合


いくつか仕訳の具体例をご紹介します。


社員旅行でコインパーキングを利用し、3,000円をクレジットカードで支払った場合の仕訳例は、次のとおりです。

日付借方貸方
8月5日
(支払日)
福利厚生費 3,000円未払金 3,000円

なお、カード払い分が引き落とされたときは、前述の旅費交通費の例と同様、次のように仕訳します。

日付借方貸方
8月25日
(引き落とし日)
未払金 3,000円預金 3,000円

現金払いのときは、貸方科目を「現金」として仕訳します。


取引先との接待のために800円(現金払い)でコインパーキングを利用した場合は、勘定科目を「交際費」として経費計上することができます。

借方貸方
交際費 800円現金 800円

クレジットカードで支払ったときは、旅費交通費や福利厚生費の例と同様に仕訳します。


目的によって勘定科目を使いわけることで、何のための経費なのかが明確になり、経費管理がしやすくなります。

駐車場代の消費税に気をつけよう

基本的に、土地の貸し借りにかかる消費税は発生しません。


そのため、駐車場も消費税の非課税対象となるように思えますが、実は課税の対象となるケースが非常に多いのです。


会計帳簿の記載にも影響するため、気をつける必要があります。


ここでは、月極の駐車場コインパーキング利用時の消費税について、それぞれ解説していきます。


また、ここまでの仕訳例は税込経理でしたが、ここでは、実務では一般的な税抜経理での仕訳をご紹介しますので、参考にしてください。

月極駐車場利用時の消費税

月極駐車場の場合、一部の例外をのぞいて消費税が発生します。


消費税の課税対象となるのは、どのようなケースでしょうか。


具体例を挙げてみます。

  • 駐車車両の管理が行われている
  • 駐車場の地面が整地されている
  • 白線ライン・ロープなどによって区画されている
  • フェンス・屋根・車庫などが設置されている

上記のような月極の駐車場の場合、消費税が発生します。


一方、駐車場としてまったく手を加えていない空き地を青空駐車場として利用している、というようなケースでは、非課税となります。


ただし、設備が整っていない駐車場であったとしても、貸付期間が1カ月未満であれば課税対象となるため、注意が必要です。


月3万円の月極駐車場代を口座引き落としで支払った場合における、税抜経理の仕訳は次のとおりです。

借方貸方
地代家賃 30,000円
仮払消費税 3,000円
預金 33,000円

コインパーキング利用時の消費税

コインパーキング利用については、消費税が発生すると考えてよいでしょう。


コインパーキングは、アスファルトなどで駐車場の地面が整備されていることがほとんどであるほか、「1カ月未満の利用」にあたると考えられるためです。


駐車場として整備されていない空き地を利用した場合においても、駐車場代が発生するのであれば、消費税の課税対象となります。


コインパーキング利用時の税抜経理の仕訳例についてもご紹介します。


営業スタッフが取引先に向かう際に、コインパーキングを利用して現金で330円を立替え払いし、後日精算したケースの仕訳は、次のとおりです。

借方科目借方金額
旅費交通費 300円
仮払消費税 30円
現金 330円


駐車場代の計上するときの注意点3つ

ここまで、駐車場代の勘定科目や消費税について説明してきました。


駐車場代の経費を計上するときは、注意しておくべきポイントがあります。


それは、主に次の3つです。

  1. 勘定科目に一貫性を持たせる
  2. 目的や場所をメモしておく
  3. 月極駐車場の場合は契約時の費用に気をつける
ここでは、具体例もまじえながら、それぞれの項目ごとに詳しく解説していきます。


適切な会計処理をおこなうための参考にしてくだい。

①勘定科目に一貫性を持たせる

駐車場代の勘定科目は「地代家賃」または「旅費交通費」として経費計上することが基本ではありますが、状況によって、その他の勘定科目を利用することもあります。


しかし、絶対的なルールがあるというわけではありません。


そのため、経理担当者によって使用する勘定科目が異なってしまうことも考えられます。


これは駐車場代に限った話ではありませんが、会計上のルールとして、一度決定した勘定科目は継続して使い続ける必要があります。


そのため、勘定科目に一貫性を持たせることが大切です。


経費管理という面から考えても、統一性があったほうが好ましいですよね。


どの担当者が処理しても問題がないように、あらかじめ社内で統一ルールを決めておくことをおすすめします。

②目的や場所をメモしておく

出張で公共交通機関やコインパーキングを利用した場合、旅費交通費として仕訳することになります。


その際は、目的場所(行先)をメモしておきましょう。


その主な理由は、次のとおりです。

  • 領収書の代わりになる
  • 経費の水増し請求の防止になる
  • 税務調査対策になる
特に、公共交通機関を利用した場合、領収書の発行はありません。


そのようなとき、日付・金額に加えて目的や場所(行先)を記載した出金伝票を切ることで、領収書の代わりとすることができます。


領収書がある場合も、目的や場所をあわせて確認することで、経費の水増し防止に繋がります。


また、目的をきちんと記録しておくことで、税務調査で旅費交通費のチェックを受けたときの対策にもなります。

③月極駐車場の場合は契約時の費用に気をつける

月極の駐車場を新規契約するとき、いくつか気をつけておきたい費用があります。


新たに駐車場を契約する場合、仲介手数料のほか、初期費用として次に挙げる費用が発生する可能性があります。

  • 敷金:ガソリン汚れ・車両火災といった修繕費用に使われる。契約内容によって、使用しなかったときに返還されるケースと返還されないケースがある。
  • 保証金:敷金と同様の意味を持つ
  • 礼金:貸主に対する謝礼などの意味を持つ
  • 共益費:共有部分の修繕・維持に使われる
それぞれの費用を処理する場合、利用すべき勘定科目が異なるため、注意する必要があります。


各費用と勘定科目を表でまとめました。

費用勘定科目
敷金
(返還される場合)
「差入保証金」が基本
敷金
(返還がない場合)
長期前払費用
保証金敷金と同様 「差入保証金」または「長期前払費用」
礼金「地代家賃」が基本
共益費「地代家賃」が基本

なお、仲介手数料の勘定科目は「支払手数料」として処理することが一般的です。

自宅周辺・自宅の駐車場代は個人事業主か法人かどうかで対応が変わる


ビジネス目的の支出は、損金計上することができます


駐車場代に関しても、ビジネスで必要な支出であれば、法人・個人事業主問わず、経費にすることが可能です。


ただし、その対応の仕方は、法人個人事業主では違いがあります。

  • 法人の場合:全額経費
  • 個人事業主の場合:家事按分
基本的には、上記のような対応となります。


事業を経営している場合、自宅その周辺を駐車場として利用しているケースは多いかと思います。


ここでは、法人・個人事業主に場合分けして解説していきます。

法人の場合は全額経費

自宅や自宅周辺の駐車場を法人名義で契約している場合、支払った駐車場代の全額を損金計上することが可能です。


法人契約においては、会社が借りた駐車場に社用車を駐車して発生した駐車場代を会社のお金で支払う=事業目的であることから、全額を経費にすることができるのです。


ただし、個人契約の場合は、全額を損金計上することはできないため、注意が必要です。


個人のお金から支払うことになる個人契約では、仕事で利用した分とプライベートで利用した分を按分して考える必要があるためです。


詳しくは、次の個人事業主のケースでご紹介します。

個人事業主の場合は家事按分

個人事業主の場合、自宅を事務所として使用していたり、自宅近くに事務所があったりするケースは多いかと思います。


自宅や自宅周辺の月極駐車場代を個人契約で支払う場合、その中にはプライベートの利用による支出が含まれていることが多いのではないでしょうか。


プライベート利用分が含まれている場合、全額を経費にすることはできず、「家事按分」を活用します。


家事按分とは、全体でかかった費用を、合理的な基準に基づいて事業用生活用に分けることをいいます。


たとえば、自宅の駐車場を仕事プライベートにおいて半分ずつの割合で使用していたとします。


駐車場代が月1万円だった場合、経費にすることができるのは、仕事で使用した5千円のみです。


なお、プライベートで使用した残りの5千円については、「事業主貸」という勘定科目を利用して処理します。

まとめ:駐車場代の損金計上を理解し、正しく会計処理しよう

駐車場代は身近な経費でありながら、それぞれのケースに合わせて適切な対応が求められるものでもあります。

経理担当の方にとっては大変な作業かもしれませんが、何の目的でどのくらいお金を使ったのか明確にすることは、事業の経営において非常に重要になります。

正しい知識を身に付け、適切な会計処理で課税金額の減額に繋げたいですね。

事業を経営するにあたり、税金対策は最も重視したいポイントのひとつではないでしょうか。

対策をかねて法人保険の加入や見直しを検討している場合は、ぜひマネーキャリアを活用してください。

ほけんROOMでは会計や税務に関する記事を多数掲載していますので、興味のある方は合わせてご覧ください。

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