パスポートの取得費用(証明写真・印紙代など)は経費にできる!

海外出張のある会社の場合、パスポートの取得が必須です。仕事で必要であると認められる場合は、パスポートの取得費用が経費にできることを知っていますか?本記事ではパスポートの取得費用の経費化に関して、条件や注意点などを解説します。




▼この記事を読んで欲しい人
  • 海外出張が必要な人
  • 仕事で使うパスポートの取得を検討中の人
  • 会社の経理担当者や経営者
  • 法人の税金対策を検討中の人

▼この記事を読んでわかること
  • パスポートの取得費用が経費にできるパターン
  • パスポート取得にかかる費用
  • パスポートの取得費用が経費にできないパターン
  • パスポートの取得費用を経費計上する場合の注意点
  • 旅費を福利厚生費に計上する条件
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内容をまとめると

  • パスポートの取得にかかる費用は全て経費にできる!
  • パスポートの取得にかかる費用の勘定項目は租税公課で仕訳
  • 経費にできるのはビジネスで必要なパスポート取得のみ
  • ビジネスとの関連性が証明できない場合は否認される可能性が高い!
  • 海外出張が急遽キャンセルになった場合は取得費用が経費にできる可能性がある!
  • 経費化するためには海外出張の証拠が重要
  • 経費化する場合は旅費規定を定める!
  • 社員旅行などの旅費は福利厚生費にできる!
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パスポートの発行手数料などは全て経費にできる!


パスポートの発行手数料などは、全て経費にできます。


社員が海外出張へ行く場合、パスポートがなければ仕事ができません。


パスポートの発行費用は決して安くないため、プライベートで海外旅行に行く習慣のない社員にとっては大きな負担になります。


そのため仕事で海外に行く必要があると認められる場合に関しては、申請代金を会社負担とし、発行手数料などを経費にできるのです。


仕事で必要といっても、社員旅行は除外されるため注意しましょう。


本章ではパスポートの経費計上に関して、


  • 勘定科目
  • 取得にかかる費用


以上の2点に関して解説します。

勘定科目は「租税公課」で仕訳する

パスポートの勘定科目は、全て租税公課でまとめて仕訳をします。


租税公課とは、国や地方に納める税金や、公共団体に支払う会費・罰金などを指します。


パスポート取得時に租税公課に仕訳できるものは下記の通りです。


  • 戸籍謄本
  • 住民票の写し
  • 収入証紙・収入印紙


証明写真については、雑費として計上します。


パズポートにかかる費用には、租税公課ではなく旅費交通費も適用可能です。


ただし収入印紙代が含まれていることを踏まえると、租税公課で処理することがのぞましいでしょう。


個人事業主でプライベートでも海外旅行に行く予定がある場合は、家事按分としても計上できます。


いずれにしても経費にできるのは、仕事上必要であると認められるケースのみです。


パスポートにかかる費用を経費にするためには、


  • 訪問先に関する資料
  • 出張のスケジュール


など、仕事上必要である証拠を必ず残しておきましょう。


ただし海外情勢や現地の都合等で、予定が急遽キャンセルになった場合は、実際に行っていなくても経費として認められる可能性があります。

パスポートにかかる一般的な費用

パスポートにかかる費用を、東京都の場合を例にご紹介します。


申請の際に必要な費用は以下の通りです。


手数料収入印紙合計
新規申請
切替新規申請
訂正新規申請
(10年)
2,000円14,000円16,000円
新規申請
切替新規申請

訂正新規申請
(5年)
2,000円9,000円11,000円
記載事項変更申請 2,000円4,000円8,000円
 査証欄増補申請500円2,000円2,500円


更新を行う場合は、


  • 有効期限が切れる前 → 切替新規申請
  • 有効期限が切れた後 → 新規申請


以上の手続きになります。


また申請時に必要な書類にかかる費用は以下の通りです。


料金
戸籍謄本450円
住民票の写し300円


証明写真の費用に関しては、スタジオ写真かスピード写真かにより、料金が大幅に異なります。


相場としては以下の通りです。


料金
スタジオ写真2,000〜10,000円
スピード写真700〜1,000円


スピード写真の方が安価ですが、公的な証明書に用いる写真のため、身だしなみや写りにこだわりたい場合は、スタジオ写真の方が良いかもしれません。

パスポートの発行手数料を経費にできないパターン


仕事上で取得が必要なパスポートの費用については、基本的に全て経費にできます。


しかし中には経費にできないケースもあるのです。


経費にできないことを知らずに取得をして計上すると、最悪の場合は税務署から脱税を疑われる結果になるかもしれません。


本章ではパスポート取得にかかる費用を、経費にできないパターンを解説します。


税務署からの指摘に対して的確な回答を行うためにも、どのような場合に経費にできないかをしっかり確認しておきましょう。

①プライベートでパスポートを取得した

プライベートでパスポートを取得した場合は、発行手数料などの費用を経費にはできません。


仕事以外で取得するということは、プライベートで使用する予定があるということでしょう。


経費として認められるのは、あくまで仕事上の使用を目的とした取得が対象です。


そのためプライベートで取得したパスポートの発行手数料等は、経費にできません。


仕事で必要になるか未定にも関わらず、「持っておいた方が良いと思うから」と先に取得するのは避けた方が良いでしょう。


ただし個人事業主であれば、仕事とプライベートの両方で使用する場合に、家事按分として経費計上ができます。

②ビジネスとの関連性を証明できない

パスポートの取得費用を経費にするには、ビジネスとの関連性の証明が必須です。


証明をするためには、


  • 訪問先
  • 取引先の名刺
  • 出張の目的
  • 出張の期間
  • 宿泊先


などの資料を証拠として用意しておく必要があります。


取引につながっていれば、請求書や発注書の会社名と一致するため、証明がしやすいです。


取引につながっていなくとも、視察等ビジネスにつながる目的であれば、認められる可能性があります。


その場合は写真やパンフレットなど、視察先の資料を可能な限り残しておいてください。


万が一ビジネスとの関連性を証明できない場合は、パスポートの取得費用を経費にできません。


税務署から指摘があってもすぐに答えられるように、海外出張の証拠は可能な限り揃えておきましょう。

③パスポートが必要ではなくなった

パスポートが必要でなくなった場合も、経費にできない可能性があります。


国内のみの出張やオンラインでの商談など、そもそも取得する必要がない場合は、もちろん経費にできません。


しかし中には、


  • 新型コロナウイルスの流行で海外出張ができなくなった
  • 海外からのメンテナンス依頼がキャンセルになった


など、キャンセルになったことで、準備しておいたパスポートが急遽不要になるケースもありますよね。


このような急なキャンセルに関しては、パスポートの取得費用が経費として認められる可能性があります。


その場合は実際に出張に行くときと同様に、証拠を残しておくことが大切です。


  • 依頼内容
  • 訪問先とのやりとり


などを残して、説明が求められたときに向けて備えておきましょう。

パスポートの発行手数料を経費にする際に知っておくべき注意点

パスポートの取得費用を経費にするためには、


  • 社員に周知するべきこと
  • 社内でルールとして定めるべきこと


などがあります。


万が一社員の理解に漏れがあると、経費計上ができなくなる上に、最悪の場合は揉め事に発展するかもしれません。


本章ではパスポートの発行手数料を経費にする際に、知っておくべき注意点を解説します。


円滑に経費計上するためにも、ポイントを押さえ、社員に向けて周知しておきましょう。

①海外に行った証拠を必ず残す

パスポートの発行手数料などを経費にする場合は、海外に行った証拠を必ず残しましょう。


証拠には国名だけではなく、何を目的にどこに行ったかを明確にしておく必要があります。


出張へ行った証拠として提示できる例は、


  • 訪問先の会社名や資料 
  • 目的(取材など) 
  • スケジュール 
  • 出張内容


などです。


出張の結果、取引があった場合には、請求書や発注書などと照会することで説明しやすくなります。


取引がなく視察のみの場合は、視察先の写真を残しておいても良いでしょう。


このような証拠が全くない場合は、パスポートの取得費用が経費にできない可能性があります。


税務署から指摘があった際に明確に答えられるように、証拠はしっかり残しておきましょう。

②従業員のパスポート代なら半額を会社が負担するのが基本

従業員のパスポート代については按分計上とし、半額を会社が負担するのが基本です。


按分計上とは私用と業務用を分ける計上方法です。


役員と違って従業員は流動的なため、取得してから数年以内に退職してしまう可能性が高いです。


パスポートは期間に5年か10年という縛りがあることから、期間内に退職する可能性は十分に考えられます。


退職をされると会社としては、代わりの人員へ再度パスポート代を支給しなければなりません。


いくら経費にできるといっても、会社からお金が出ていく以上は、会社の負担となってしまいます。


そのため従業員のパスポート代については、私用と業務用を半々にし、按分計上を適用すると良いでしょう。

③旅費規定を定める

パスポートの取得費用の取り扱いについては、旅費規定に記載しておきましょう。


旅費規定とは原則社員全員を対象とした、


  • 出張費
  • 宿泊費
  • 交通費


などを定めたルールのことです。


旅費規定がないと、領収書による精算が必要なため、経理処理が複雑になりがちです。


一方旅費規定があると、規定に基づいた金額が支給できるため、経理処理が簡単になります。


また旅費規定があれば、出張等にかかった費用を経費として損金参入できます。


パスポートの取得費用を旅費規定に入れておけば、ルールに基づいた費用として計上ができます。


旅費規定を定める場合は、パスポートの取り扱いについても忘れずに入れておきましょう。

【参考】旅費を福利厚生費にするための条件

社員旅行などの福利厚生を目的とした旅行のためのパスポート取得については、取得費用を経費にはできません。


ただし旅費に関しては一定の条件を満たせば、福利厚生費として計上ができます。


福利厚生費とするための条件は以下の通りです。


  • 社員の半数以上が参加
  • 国内は旅行期間が4泊5日以内、海外は滞在日数が4泊5日以内
  • 会社負担は1人につき10万円以内が基本


役員だけや、成績優秀者だけなど、特定の社員だけを対象とした旅行に関しては、福利厚生費にはできません。


社員旅行は取引先や社員の家族も同伴するケースもありますが、福利厚生は社員が対象のため、経費にできるのは社員の旅費だけです。


条件を満たしていないにも関わらず福利厚生費に計上している場合、税務署からの指摘が入る可能性があります。


福利厚生が目的であることを明確にするためにも、社内ルールを整備しておきましょう。

パスポートの発行手数料の経費化に関するまとめ

パスポートの発行手数料等の経費化に関して解説しましたが、いかがでしたでしょうか?


海外出張や海外視察など、ビジネス上必要である場合は、基本的に全額を経費にできます。


ただしビジネスとの関連性が証明できない場合は、税務署からの指摘が入り経費にできない可能性が高いです。


パスポートの取得費用の経費化を円滑に行うためにも、海外出張の証拠になる資料はきちんと残しておきましょう。


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ほけんROOMでは法人の税務に関する記事を多数掲載していますので、興味のある方はぜひ参考にしてください。

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