更新日:2019/10/28
離婚後の学資保険の手続きは?名義変更・養育費の財産分与を解説
離婚をした場合学資保険はどのような手続きを行えばよいでしょうか。名義変更をしないと満期金受け取りの際に税金がかかる場合があります。その他にも財産分与や養育費の問題もあり複雑になります。この記事では途中解約を含めた離婚後の学資保険の対処方法を解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
離婚した場合に学資保険について考えるべきこととは?
子どものために学資保険で教育資金を貯めてきた方は多くいらっしゃいます。
しかし、離婚をした場合に学資保険はどのようになってしまうのか不安になりますよね。
離婚後の学資保険の手続き次第では満期の受取金が自分の手元に来ない場合もあるので十分な注意が必要です。厚生労働省「離婚の年次推移」より、離婚は年間25万組もされているので他人事といえませんね。
そこでこの記事では、離婚をした方・離婚を考えている方に向けて、離婚後の学資保険の手続きにおいて注意すべき点を
- 学資保険の名義変更
- 解約した場合の財産分与
- 離婚後の手続きをスムーズに行うための方法
の順で分かりやすく解説します。
この記事を最後まで読んだ方は離婚後に何をすればいいのかがしっかりわかるはずです。
ぜひ最後までご覧ください。
離婚後に学資保険の名義変更をするべき理由と手続きについて
離婚したら学資保険の名義変更をすべきかどうか、悩んでいる方も多いですよね。
- 保険証券
- 印鑑
- 契約者の本人確認書類
- 新契約者の本人確認書類
- 戸籍謄本
- 新契約者の口座振替依頼書
- 保険契約者継承請求書
離婚後の学資保険は契約者のものになる
学資保険とは、契約者である保護者が加入者である子どもについて保険会社と間で交わされた約束事です。
契約者には満期までの支払い義務と保険内容の変更・解約などを行う権利が生じ、離婚をしたとしても保険会社と契約者との間の契約は結ばれたままとなります。 よって、離婚後の学資保険は契約者のものとなってしまうのです。
学資保険の契約者というのは必ずしも保険料を支払っている人ではありません。 保険料を夫婦で支払っていても、保険において重要視されるのは書面に記載され、承認された契約者となります。
離婚後に親権は取ったけど学資保険の契約者が違う場合には、満期金や祝い金が受け取れない恐れがあるので注意が必要です。
受取人を親権者に変更しても、契約者の意志で変更することができるので安心とは言えません。
親権者と契約者が同じになるようにすべき
親権者と契約者を同じにしなければいけない理由はいくつかあります。
- 契約者の意志のみで解約や変更手続きが行われてしまう
- 契約者と受取人が同じでない場合は祝い金や満期金を親権者がもらえない可能性がある
- 契約者が保険料の支払いを滞納させたりすると解約されてしまう
- 親権者になにかあっても払込免除にならない
契約者が保険会社に名義変更を申請しなければならない
離婚したら学資保険の名義変更はこちらから申請しなければ行われません。そして、契約者からの申請がなければ名義変更はできません。
名義変更の申請先はいくつかあります。
- 加入している保険会社のコールセンター
- 保険の営業担当者へ連絡
- 保険会社のホームページから手続き
名義変更の手続きは基本的に契約者しかできませんが、万が一契約者が手続きに行けない場合には委任状などがあれば代理人でも手続きが可能となります。
契約者に名義変更をする意思がなければ名義変更ができないのがネックとなりますが、拒否されたとしても後のことを考えてどうにか手続きをしておく方がいいでしょう。
離婚後に学資保険を解約した場合:学資保険と財産分与の関係とは
離婚する際に行われる手続きとして財産分与がありますが、実は学資保険も財産分与の対象となります。学資保険に限らず解約した際に返戻金が発生する保険は財産分与の対象となるのです。
学資保険は子どものために夫婦で支払う保険ですが、離婚したら親権はどちらか片方となりますので、満期金を受け取るのもどちらか片方の親だけとなります。
トラブルを回避するためにも離婚と同時に契約者の名義を親権者と同一にしておくか、解約するなどしてきちんと清算しておく必要があります。
そして、学資保険は財産分与の対象となることから、途中解約した場合には返戻金を夫婦で分配する必要があります。
財産分与とは
財産分与とは婚姻を結んだ時点から離婚に至るまでの期間で、夫と妻が二人で貯めてきた資産を公平に分けることを指します。簡単に言えば、離婚したときに貯めてきた資産をそれぞれに分配することです。
民法768条1項によると、離婚をした場合には元パートナーに対して財産を分け与えるよう請求できると書かれています。
多くは親権者による請求が大きいですが、親権者ではない方でも請求することができます。
ただし、財産分与が可能なのものは共有財産と言われるものであり婚姻を結ぶ前に所有していた財産や婚姻生活に関係しない財産は対象外となります。
そして、財産分与には3つの種類があります。
- 清算的財産分与
- 扶養的財産分与
- 慰謝料的財産分与
離婚後学資保険を解約した場合の財産分与の方法とは
離婚時に学資保険を解約した場合には財産分与に基づいて返戻金をそれぞれに分配となりますが、もし離婚をした後に、解約したとすると返戻金は財産分与されるのか気になりますよね。
実は、離婚後でも2年間は財産分与の請求が認められています。ですので、離婚後してから2年以内に学資保険を解約された場合には返戻金の財産分与を請求しましょう。
ただし、学資保険の解約は契約者の意志で行えますので、親権者の目の届かない間に学資保険を解約されていて、気づいた時には2年を過ぎていた、なんていう事もありますので注意が必要です。
そのようなトラブルが生じないようにするために、離婚を検討し始めたらまず考えるべきは契約の名義を変えること、もしくは解約の手続きを済ませておきましょう。
離婚後学資保険の契約者変更をスムーズに進めるために
離婚後も元夫婦の間でのトラブルは起きがちです。そしてそれは、学資保険の名義変更の際にも起こる場合があるのです。
よくあるトラブルとしては
- 契約者が必要な書類を準備してくれない
- 契約者が名義変更に合意してくれない
- 契約者と親権者の日程が合わず手続きがスムーズにできない
離婚公正証書に記載する
学資保険の変更手続きは契約者しか行うことができないということは既にお伝えした通りです。これは残念ながら保険会社との取り決めですので変えることはできません。
しかし、離婚をする際に離婚公正証書という書面に記載を加えることで、離婚後の財産分与や学資保険の名義変更などにも有利に働いてくれる場合があります。
離婚公正書面に記載する内容としては
- 契約者変更をする旨と、変更手続きに協力するといった約束の記載
- 学資保険で受け取った祝い金や満期金、途中解約の返戻金は子どものために使用するなどの文言の記載
証書の中身もしっかり指定する
離婚公正証書には離婚に関する決め事が記載できます。この離婚公正証書は中立公正な第三者が作成する公文書となりますので、高い証明力を持っています。
この離婚公正証書の中身は大変重要となりますので、しっかり下調べをして慎重に作成しましょう。下手に指定してしまうと内容によってはマイナスに働いてしまう場合もあります。
公正証書の作成に困った時は弁護士などプロに相談してみるのもスムーズに名義変更するひとつの手と言えるでしょう。
まとめ:離婚後の学資保険は財産分与の対象!手続きはスムーズに
離婚後の学資保険の名義変更、もしくは解約した際の財産分与などについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回の記事のポイントは、
- 離婚時の学資保険の名義変更は契約者しか申請が出来ない
- 離婚時に学資保険を解約した場合は財産分与の対象となる
- 離婚公正証書に記載をすると学資保険の名義変更をスムーズに行える場合がある