養育費を払わないと言われた!払ってくれない元夫に払わせたい場合

養育費を払いたくないと言われた場合、養育費を払わない元夫に払わせることってできるの?他の男性と再婚した場合・自分の浮気で離婚した場合や面会拒否したいけど子供を会わせない場合は違法なのか気になりますね。この記事では、強制執行で養育費を払わない元夫に払わせる方法を弁護士が徹底解説します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

養育費を払わない元夫に払わせる方法はあるのか?

子どもがいる夫婦が離婚した場合、気になるのが養育費ですよね。いくら相手が払うと言ったとしても、ちゃんと毎月支払ってくれるのか不安だという人は多いのではないでしょうか。


実際に離婚や別居中になると、お金を一切払わないという夫もいるため、養育費を受け取りたい妻は事前にしっかりと対策を立てておく必要があります。


そこで、今回の記事では、

  • 元夫から養育費を受け取る方法
  • 強制執行しても養育費を受け取れない可能性がある
  • 浮気や再婚をした場合でも養育費はもらえるのか
  • 養育費に関する法律について
  • 養育費不払いは深刻な日本の社会問題である
以上のことを解説します。

養育費の件で大事にしたくないという人は、この記事を読めば養育費を受けとる方法や、いざという時に取るべき手段を知ることができるでしょう。ぜひ、最後までご覧ください。

元夫から養育費を受け取る方法はある!

元夫から養育費を受け取る方法は、

  • 公正証書に一筆入れてもらっている場合
  • 公正証書なしの場合
主に上記の2つがあります。

ここでは、公正証書がある場合となしの場合について解説します。

子どもが小さい場合、養育費は何十年も継続して支払い続けてもらなくてはいけないため、払わないことのないように、事前にきちんとした対処が必要となります。

養育費は支払わなくても処罰されないため、曖昧にしたままにすると、後々踏み倒しやもらえないなどのトラブルに発展するかもしれません。

公正証書とは、
  • 公証役場で作成される公文書のこと
公正証書があるかなしかでどのように変わるかというのは、次以降の見出しで詳しく解説します。

これから先、離婚を考えている妻は養育費の取り決めについて、公正証書を作るかどうかきちんと考えたほうが良いでしょう。

公正証書に一筆入れてもらっている場合

公正証書があることの一番のメリットは、

  • もし、元夫が養育費を払わない・遅れたりした場合、妻は裁判を起こさなくても相手の財産の差し押さえができる
似たようなものに離婚協議書というものがありますが、これには財産を差し押さえるだけの効力はありません。

お金に関する契約をするときに、支払いの安全を確保したいのであれば公正証書が断然有利だということがわかります。

また、公正証書を作成することで、契約を守らなくてはいけないという心理的なプレッシャーを元夫に与えることができます。

そこまでしなくても良いのではないかと思う人もいるかもしれません。

ですが、養育費を払わない人に対する罰則がないため、最初は養育費を払っていても、年々支払額が減ってきて、最後は払わない人が多くなるというのが現実なのです。

公正証書なしの場合は?強制執行で訴える!

公正証書が養育費の取り決めに対して有利なものであることはわかりましたが、その手続きをしないまま離婚してしまったという夫婦は多いと思います。


もし公正証書がない場合は、強制執行という手段を取れば元夫から養育費が受け取れるかもしれません。


①強制執行とは

養育費の支払いが全くなく、支払いの要求をしたにもかかわらず元夫が何もしてくれなかった場合、裁判所に強制執行命令の申請ができます。


これにより、元夫に対して

  • 不動産執行
  • 債権執行
  • 動産執行
上記の3つを差し押さえする手続きができます。

養育費の場合、主に債権執行が多く使われているようです。銀行預金有価証券給料の差し押さえなど)


②強制執行に必要な手続きとは

強制執行に必要な書類は、以下になります。

  • 送達証明書
  • 登記事項証明書
  • 住民票・戸籍謄本などの書類
  • 公正証書による合意書の正本
強制執行の流れは、どの財産を差し押さえるかによって多少変わることもあります。

ほとんどの人が弁護士に相談すると思いますので、細かい内容や準備する書類はその時に確認すれば確実でしょう。

強制執行しても養育費を受け取れない可能性

強制執行は、裁判所から元旦那の財産を差し押さえる手続きです。


元旦那が養育費を払わない理由に、転職して会社が変わり収入が下がった、他の支払いで手一杯、無職になったなど様々な理由を言われるかもしれません。


ですが、養育費は基本的にお金がないことを理由に免除されることは無いものです。


しかし、本当にお金や財産がない場合に限っては、養育費を請求したとしても受け取れない可能性があります。


離婚する前は収入が安定していたとしても、もしかしたら元旦那も離婚が原因で生活環境が変わる可能性だってあります。


では、元旦那にお金や財産など資産がない場合はどうしたら良いのでしょうか。

元旦那に資産がない場合

元旦那に対して強制執行をしても、本当に資産が無ければ差し押さえるものがないため、養育費を払いたくても払えないかもしれません。


その場合は、

  1. 再度強制執行手続きをする
  2. 親(元旦那の)に支払ってもらう
この2つの方法のどちらかで、養育費が受け取れるかもしれません。

まず、1の再度というのは、元旦那に十分な資産が見込まれる時期を見極めて、再度手続きをするという意味です。一度申し立てを取り下げて改めて強制執行をします。

元夫が自営業をしている場合、売上げが良い時期を見極めて強制執行をするのも良いでしょう。

2の親というのは、元旦那が養育費を支払えなくなった場合、親が支払うことを保証していた場合に限ります。

養育費は基本的に支払えなくなっても個人的な問題になるため、親が肩代わりを絶対にしなくてはいけないということはありません。

浮気や再婚をした場合でも養育費はもらえるの?

離婚の原因には様々なものがあると思います。もし、原因が妻側にあったとしたら養育費はどうなるのでしょうか。


ここでは、養育費がもらえるのかどうか、

  • 自分の不倫・浮気が原因で離婚した場合
  • 自分が他の男性と結婚したらどうなる?
  • 元夫が他の女性と再婚したらどうなる?
以上のことについて解説します。

離婚後にお互い新しい人生を歩むため、再婚するケースも当然あるでしょう。

この場合、再婚することで養育費がどうなるのか疑問を感じている人もいると思います。大切なご自身の人生のことですので、ぜひチェックしてみて下さい。

自分の不倫・浮気が原因で離婚した場合

一般的な話になりますが、離婚をすれば妻が親権をもち、夫が子どもの養育費を支払うイメージが強いですよね。


もし、離婚の原因が親権を持つ元妻の不倫・浮気だったとしても、養育費は子どもが大人になるための必要なお金であるため割り切るしかないのです。


元夫がなぜと疑問をもち、養育費を払わないと感じれば慰謝料を元妻に請求する可能性があるでしょう。


慰謝料は元妻だけではなく、不倫・浮気相手もされる可能性があります。


しかし、慰謝料も養育費もできれば泥沼状態にならず、相談しながら決めたほうが子どものためになることを理解しておくべきです。

自分が他の男性と結婚したら

基本的にご自身が他の男性と再婚をしても、養育費が無くなるということはありません。


ただし、

  • 子どもと再婚相手が養子縁組をした
  • 再婚相手に十分な経済力がある
この場合、元夫から養育費の減免請求があれば養育費が減額する可能性があります。

また、養子縁組をしなければ、法律上は再婚相手に子どもの養育義務は発生しません。

実際に現代では、結婚しても子どもの養育までは考えていないと考える男性も多くいるようです。

反対に、養子縁組をしても再婚相手に子どもを養うだけの経済力が無いと判断されれば、元夫は養育費を払わないとは言えなくなります。

元夫が他の女性と再婚した場合

元夫が他の女性と再婚した場合、

  • 女性の子ども(連れ子)と養子縁組をした
  • 女性との間に子ども(妊娠)ができた
子どもができると、当然ですが子どもの扶養義務が発生するため、以前の子どもの養育費の金額は下げざるを得ないと言えるでしょう。

認知して養子縁組をしなければ、再婚相手の子どもは「他人」と法的には扱われますので養育費は支払い続けなくてはいけません。

また、仮に養子縁組をした再婚相手とも離婚してしまった場合、血がつながっていなくとも子どもと元夫の親子関係はそのままです。

つまり、再婚相手の子どもの養育費支払い義務が発生するという訳です。

養育費に関する法律はどうなの?弁護士が解説!

離婚するときに考えなくてはいけない親権や養育費の問題。実際に養育費に関する法律はどうなっているのでしょうか。


ここでは、

  • 養育費の未払いはどれくらいいるのか
  • 養育費の法律について
  • 養育費不払いの元夫に子供を会わせないのは違法なのか
以上のことを解説します。

離婚するかしないかは夫婦間の問題ですが、養育費は子どもを育てるためのお金であり別問題です。

きちんと養育費のことを理解して、元夫が払わないことのないようにしましょう。

実はこれだけいる!養育費未払いの割合

厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によりますと、養育費を受け取っている母子世帯は24.3%、父子世帯は3.2%だとされています。


離婚をするときに養育費の話をどこまでしているのかはわかりませんが、実際に受け取っているのはおよそ2割だというのは少ないとは思いませんか。


養育費は払わなくても罰則がないため、このことを利用して払わない方法を考えている人もいると言われています。


もし、元夫が払わないのであれば、まずは電話やメールで連絡を取ることをおすすめします。


ただし、そこでけんか腰になってしまっては、話し合いにならず余計養育費を払わない可能性が出てきます。そのため、できる限り冷静にお願いすることが大切です。


人によっては元夫と事情があって、連絡を取りたくないというケースもあるでしょう。そのような場合は、弁護士に依頼をして解決するという手段もあります。


弁護士費用が掛かるかもしれませんが、確実に手続きをしてくれるでしょう。

養育費の法律ってどうなっているの?

養育費は離婚理由など関係なく、子どもが自立するまでの費用であり支払うことは親の義務となります。


主に、

  • 生活をするための経費
  • 医療費
  • 教育費
などが含まれます。

平成23年に民法第766条が改正され、養育費の分担も明文化されました。

離婚をするときに夫婦間で離婚協議を行い、親権・養育費についてお互いが納得するまで話し合います。

養育費の金額を決めるポイントは、現実的に支払い続けられるかどうかです。そのときに、後々トラブルにならないためにも口約束ではなく誓約書・念書などの書面にしておくことが大切です。

話し合いだけではまとまらない場合、家庭裁判所による調停・審判を行い養育費を決定します。

面会拒否したい!養育費不払いの元夫に子供を会わせないのは違法?

養育費を払わない夫に子どもを会わせたくないと思うのは、母親であれば当然の気持ちですし許せないと思います。


ですが、養育費面会交流は法的に考えると別で扱われているため、会わせなくても良いとはならないのです。


面会交流は母・父の権利ではなく、子どもの福祉の観点から認められているものです。


逆に、面会交流をきちんとしておくことで、父親として子どもに愛情を持ち、養育費をきちんと払ってくれるケースもあるようです。


会わせたくないという気持ちは十分に理解できますが、会えないようにすることで、かえって養育費を払わない可能性があることも考えておくべきです。


また、逆に元夫が子どもに会わないと言っても、養育費の支払いを拒否することはできません。

養育費不払いは深刻な日本の社会問題

子どもの養育費は支払い義務があるにも関わらず払わない人が多いため、日本の社会問題として深刻に取り扱われています。


ここでは、

  • 沖縄の養育費問題
  • 海外の養育費問題
以上の2点を紹介します。

養育費未払いの割合は約2割程度だと解説しましたが、つまり4人に3人の元夫は養育費を払わないでいるということです。

養育費不払いがここまで酷いのは、先進国でも日本だけとも言われています。

日本の養育費問題:沖縄の場合

沖縄は離婚率が全国でNo.1であり、親子によっては2代で離婚経験があるという人も珍しい話ではないのだとか。


沖縄の男性は離婚しても養育費・慰謝料を払わないという無責任なケースが多く、そのせいもあってか沖縄の女性は強いとも言われています。


離婚したことを明るく話題にして、元旦那のことをクズや最低だと悪口は多く言いますが、養育費を払わないのが当たり前という現状をどう受け止めるべきなのでしょうか。

海外の養育費問題

海外では日本とは違い、子どもの権利を第一に考えている国では養育費の大胆な徴収をしています。

オーストラリアでは、給与から養育費を強制的に天引きしたり、フランスやスウェーデンでは、払わない夫に対して国が養育費を立て替える制度があったりするようです。

もし、元夫が養育費を滞納や逃げるなどの手段に出たら、パスポートの発行拒否・運転免許の停止などの対応を取っているケースもあり、日本とは全く対応が異なることがわかります。

ですが、日本が今海外と同じような対策を立てた場合、名前を公表しようものなら、結果的に相手が追い込まれて養育費の支払いが困難になる恐れがあるとも懸念されています。

日本と海外の養育費問題の差を理解して、どのように解決をしていくか真剣に向き合うことが大切です。

まとめ:離婚後の養育費不払いを解決する方法はある

養育費を払わない夫に支払わせる方法はあるのか、法律や日本の現状などを解説しましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは、

  • 元夫から養育費を受け取るためにも、公正証書を用意するべき
  • 公正証書がなくても強制執行があるが、受け取れない可能性もある
  • 養育費未払いの割合は、母子世帯は24.3%・父子世帯は3.2%である
  • 養育費不払いは深刻な日本の社会問題である
  • 養育費は子どもが自立するための費用であり、親は支払う義務がある
以上となります。

性格の不一致や不倫・浮気など夫婦の離婚理由にはさまざまなものがあると思います。

ですが、養育費と夫婦間の問題は全く別であり、親は子どもが大きくなるまで養育費を支払う義務があります。

養育費を支払わないで困っているのであれば、しかるべき手段を取ってきちんと支払ってもらいましょう。

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