養育費は何歳まで支払い義務があるの?離婚後の支払い期間を解説

離婚をした際などに出てくる養育費問題ですが、子供が何歳まで養育費の支払い義務があるのか、またその支払い期間についても解説します。さらに、民法改正で成人年齢が18歳に引き下げられたことにより何歳まで扶養義務があるのか、法律の内容も交えてご紹介します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

養育費は何歳まで支払い義務があるのか?


離婚した際に支払い義務が生じる養育費は、子供を引き取った親にとってとても重要なお金になります。

一般的には子供が成長するまで支払う必要があるという認識だと思いますが、具体的にはいつまで支払わなくてはいけないのかはっきりと理解できていない方が多いと思います。

さらに民法改正により、成人年齢が18歳に引き上げられたことで養育費の支払い期間が少し変わっています。

そこで今回は、養育費の支払いについて
  • 養育費とはどんなお金なのか
  • 支払期限はいつまで?
  • 養育費の支払いが中断することはある?
  • 養育費を何歳まで支払うのか決める手順とは
以上のことを中心に法律の内容も加えて解説していきます。

この記事を読むことで、子供が何歳になるまで養育費の支払い義務があるのか、何歳まで扶養義務があるのかについて理解できるでしょう。

ぜひ最後まで読んでください。

養育費とは?何に対するお金なのか

まず、養育費について解説していきます。養育費とは、「未成熟子が社会人として独立するまでにかかるお金」のことを言います。


子供が生活していくうえで必要となる、教育費や治療費、衣食住、子供の娯楽費などが当てはまります。


離婚したとしても、親としての責任がなくなるというわけではありません。子供の生ベルが自分と同じ水準でなくてはいけないと法律で定められています。


養育費という形で、離婚後も親としての責任を果たしていかなくてはいけないのです。別れた元配偶者にお金を渡したくないから養育費の支払いはできないという理由で支払いを拒むことは許されていません。

養育費は子供の進路や家庭状況によって何歳まで払うか決める

養育費は子供が何歳になるまで、支払いの義務が生じるのでしょうか。実は養育費の支払い期間は、明確に「子供が何歳になるまで支払わなくてはいけない」という決まりはないのです。


養育費は、当事者同士で話し合いながら支払い期間を決めることが可能です。期間が法律で定められていない分、家庭の状況に合わせた養育費の支払い期間が決められます。


一般的には、成人である20歳まで支払うケースが多いようですが、子供の進路や家庭状況によって支払い期間は様々です。


ここでは、支払期間の決め方について

  • 高校卒業後就職する場合
  • 大学進学を希望している場合
  • 子供に障害がある場合
この3パターンの支払い期間の決め方について、何歳まで支払うのが一般的なのかそれぞれ解説していきます。

子供が高校卒業後に就職して自立する場合

子供が高校卒業後、就職して自立する目処が立っている場合は何歳まで養育費を支払えばいいのでしょうか。


このケースの場合、成人である20歳になる前にすでに自立していることから18歳まで支払われるのが一般的です。しかし、何かしらの事情により就職が困難になった場合は20歳まで支払わなくてはいけません。


予め20歳まで養育費を支払うことを決めていて、高校卒業後に就職した場合は18歳で養育費の支払いをやめることも可能です。


高校卒業後、子供が経済的に自立した場合は親の助けがなくても大丈夫だとみなされます。


子供の誕生日によって支払い期間が変わるのではないかと思いましたが、一般的に支払い期間としては、高校卒業する年である満18歳になった後の3月までが多いようです。

本人または親が大学進学を希望している場合

子供、または親が高校卒業後は大学や専門学校への進学を希望している場合の養育費は何歳まで支払うのか解説します。


この場合、ほとんどが大学卒業まで養育費を支払う必要があります。大学進学した場合、学生であることから満22歳の3月まで支払い期間があります。


初めに20歳まで養育費を支払うと決めていたとしても、途中で大学進学を目指した場合は22歳まで伸ばすことができます。ただ、大学生になるとバイトなどを行う場合が多いため、減額するケースもあるようです。


当事者同士でいつまで支払いが行えるか決められない場合は、裁判所で子供の学力や親の学歴などから大学進学の見込みがあるかどうか決めてもらえます。

子供に障害があるため家計に不安がある場合

子供に何かしらの障害があり、将来的にも症状の改善が見込まれないというケースの養育費支払い期間について解説します。


この場合は特殊なケースとして扱われ、養育費を何歳まで支払うのか決めるのが非常に難しいです。一般的には裁判所で公平に決めてもらうことが多いようです。


養育費の支払いは基本的に20歳までは必ず行われます。その後の支払いについては、障害者年金の給付などの給付金を考慮に入れつつ、支払い期間や金額を決めていきます。


それぞれの家計に合わせて、妥当だといえる金額と期間が決められるでしょう。

養育費の日払は一般的に20歳になるまでが多い

様々なケースを見てきましたが、一般的には20歳になるまで養育費を支払う場合が多いです。子供が高校卒業後、どんな進路を選択するのかによっても変わってきます。


養育費については、一度決めたものは一生変わらないというわけではありません。例を挙げると、大学進学を希望していたが落ちてしまったため、一年浪人するといった場合でも本来22歳まででよかった養育費は23歳まで伸びます。


養育費はあくまでも、子供の成長のために支払われるものなので事情に合わせて変更が可能となることを覚えておきましょう。

養育費は年齢ではなく子供が「未成熟子」の間は支払い義務がある

養育費は、子供が何歳まで支払わなくてはいけないというわけではなく、子供が「未成熟子」の間は支払わなくてはいけません。


気を付けておきたいのは、未成年の間というわけではないことです。未成熟子というのは、自分で働くことができないため親の助けが必要な子供です。


自分で生活費を稼げるようになるまでは養育費の支払いをやめてはいけないということになります。


実年齢に合わせて支払うのではなく、社会人として自立しているのかどうかで変わるのが養育費です。ここでは、養育費についてさらに詳しく解説していきます。

養育費の支払い義務は扶養義務以上の責任を求められるもの

離婚後、子供を一人で育てていくのはとても大変なことです。金銭面でもそうですが、精神的にも肉体的にも辛いときがあるでしょう。


子供を直接的に育てていない場合でも、子供の親としての責任というものは必ずあります。そこで子供を安定した生活で育てることができるよう、請求できるのが養育費です。


この養育費の支払いというのは、子供が最低限の生活が行えるレベルの支払いではありません。養育費には生活保持義務というものが定められています。


生活保持義務とは、養育費を支払う側の生活水準と同じレベルの生活を子供に与えなくてはいけないものです。そのため、養育費の中には衣食住や医療費にかかる費用だけでなく、子供の娯楽費も含まれています。


よく話を聞くのが、「自分の生活が苦しくなるから養育費を支払えない」というケースです。この主張に関しては、認められません。たとえ、自分の生活が苦しくなろうとも子供に対しての養育費の支払いは行わなくてはいけません。

民法改正で成人年齢が18歳になっても養育費に直結はしない?

平成30年6月に民法改正で成人年齢が18歳に下げられました。これにより、養育費も20歳と決めていたけれど支払い期間が短くなるのでは?と考えたかと思います。


しかし、法務省が発表した内容を見ると成人年齢の引き下げは養育費の支払い期間に直結しないと記載されています。

(参考:法務省


これは、養育費の定義として「未成熟子への支払い」と決められているからです。例えば、18歳で成人になったとしてもまだ学生である場合は当然、支払い義務が発生します。


養育費は、「成人するまで支払えばいいもの」ではなく子供が経済的に自立するまで支払うものなので、基本的には20歳、もしくは自立するまでは支払い期間があります。

離婚後に相手が再婚した場合は養育費を中断することもできる

離婚後、相手が再婚した場合の養育費はどうなるのでしょうか。一見、再婚相手がすべて面倒見るようなイメージがあるため、支払わなくてもいいようにも思います。


相手が再婚した場合、養育費の支払いをある条件をクリアした場合のみ中断できます。それは、再婚相手と子供が養子縁組した場合は中断、もしくは減額が請求できます。


あくまでも請求できるだけなので、絶対中断もしくは減額できるとは限りません。というのも、養子縁組した場合でも再婚相手の子供の生活を保証する経済力がないと判断されれば養育費を支払う必要があるからです。


養育費の中断は行うことができるものの、その可能性は極めて低いでしょう。ほとんどのケースが、減額のみだと思います。養育費の支払いをやめると、子供の状況把握も困難になるので支払ったほうがいいのかなとも思います。

事情によっては養育費の期間や金額が変わることも

家庭の事情によって養育費の支払い期間や金額が変更されることもあります。子供が小さいうちに離婚したのであればなおさら、今後子供がどんな進路を進むのか見当もつきませんよね。


例えば、大学受験に失敗してしまい浪人した場合は養育費の支払い期間が延びます。高校卒業後就職する予定だったけれど、進学した場合も支払い期間が延びます。


逆に、大学進学希望だったけれど就職した場合には減額もあります。大学生になりバイトを始めた場合にも、減額が認められることもあるでしょう。


子供の生活によって養育費の金額や期間が変わるということを覚えておきましょう。

養育費を何歳まで払うか支払い期間を決める手順

養育費を何歳まで支払うのかや金額を決めるための方法を解説します。基本的には話し合いを行いながら進めていくのですが、それぞれの家庭で離婚理由は様々です。


話し合いが行えないというケースもありますので、そういった場合はどうれすればいいのか悩みますよね。話し合いをしているのになかなか決まらない場合も考えられます。


ここでは養育費を何歳までいくら支払えばいいのか、後でもめないためにもしっかり決めておく手順を解説します。

養育費について何歳まで支払うかを父母で協議

基本的には、子供の両親で何歳まで支払うのか協議していきます。この際、支払い期間を明確に設定し、いくら支払っていくのかも決めておく必要があります。


子供の進路やこれから必要となるであろうお金を二人で話し合いながら決めていくのが理想でしょう。父と母で同意さえしていれば、養育費の金額や支払い期間は好きなように決められます。


できるだけ穏便に済ませたいのであれば協議で決めることが一番ですが、折り合いがつかない場合やそもそも話し合いができない場合も考えられます。その場合は家庭裁判所で調停を行います。

協議で養育費の支払い期間が決まらない時は家庭裁判所で調停

協議で何歳まで支払うのかや金額が決まらない、または決められない事情がある場合は家庭裁判所で調停を行いましょう。


裁判所の調停委員を加えることで、法律的観点からの指摘も受けることが可能となり、二人での話し合いよりスムーズに決めることが出来るでしょう。


第三者を入れることで決まりやすくなるとはいえ、家庭裁判所での調停でもお互いの同意がなくては決めることができません。つまり、いくら法律的観点から指摘されても納得できない場合は養育費を決められないということです。

調停で解決しない時は家庭裁判所に離婚訴訟を提起

家庭裁判所での調停でも解決できない場合は、家庭裁判所に離婚訴訟を提起できます。一般的には離婚裁判と一緒に養育費を決めていく形になります。


裁判になると、長ければ1年以上かかる場合もあります。体力も必要ですが、精神的負担もとても大きなものとなるためあまりおすすめできません。


専門的な知識をもった弁護士の方への相談も行う必要があるため、時間もお金もかかってしまうでしょう。できる限り、協議や調停で話し合いが行えるようにすると良いと思います。

養育費は何歳まで支払い義務があるのかのまとめ

今回は、養育費は何歳まで支払い義務があるのかについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか?


この記事のポイントは、

  • 離婚後も親としての責任があるため、養育費の支払いは必ず行わなくてはいけない
  • 何歳まで支払うのかは基本父と母で決めることができるが、子供が未成熟子である間は支払う必要がある
  • 養育費は、生活保持義務が定められており、扶養義務より責任が大きい
  • 家庭の事情によって、養育費は途中で増減することもある
  • 養育費は基本的に、協議か調停で話し合って決めるのが理想
でした。

養育費を何歳まで支払わなくてはいけないという決まりはありません。子供に対しての責任を果たすという意味合いが強いことがわかります。後でもめないためにも、何歳までいくら支払うのか決めておきましょう。

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