学資保険の途中解約・乗り換えのデメリットとは?解約返戻金も計算!

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学資保険を途中解約したい・乗り換えしようかなと迷う方もいらっしゃるでしょう。今回、学資保険の途中解約は損なのか、どんなデメリットがあるのか、解約したら解約返戻金はいつ、いくら戻るのか計算します。また、学資保険以外で子供の教育資金を積立る方法も解説します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

目次を使って気になるところから読みましょう!

学資保険を途中解約すると損?デメリットや解約返戻金の計算方法


子どもの教育資金としてためて学資保険に加入したけれど、毎月の保険料支払いが苦しかったり、進路が変わってしまったりと、解約したいと検討されていることでしょう。


途中解約のデメリットはあるのか?どれくらいの返戻金を受け取ることが出来るのかが心配かと思います。


じつは、途中解約すると積立ててきた保険料総額よりも、受取金が少なくなる場合があります


結果的に損をすることが多いので、むやみに途中解約をするのはおすすめできません。


この記事では、

  • 途中解約で損をしてしまう理由
  • 解約返戻金はいくらくらい?計算方法は?
  • 返戻金以外のデメリット
  • 途中解約を避けるための3つの対処法
  • 解約の手続き方法、いつ振り込まれる?
  • 学資保険以外で教育資金を貯めるための方法
を解説していきます。

学資保険の途中解約を検討している方向けに、途中解約のリスクと解決方法を分かりやすく紹介します。

ぜひ最後までチェックしてみてください。

【結論】学資保険を途中解約すると損をすることが多い

結論からいうと、学資保険の途中解約は損をしてしまう可能性が非常に高いです。


学資保険は、「子供の教育資金を貯める」という性質から、契約時に設定したタイミング(大学入学時など)で、お金が受け取れるように設計されています。


つまり、満期タイミングを迎える前に解約してしまうと、

  • 解約返戻金が既に支払った保険料を下回る(元本割れ)
  • 解約時期によっては、解約返戻金が0円

ということも考えられるので、注意が必要です。


次項以降では、具体的にどれくらいの解約返戻金が受け取れるのか簡単に試算してみますので、参考にしてみてください。

途中解約時に受け取れることもある解約返戻金の計算方法

解約返戻金は、総保険料払込額から運用利率や保険会社の経費などを加減算した結果です。


契約内容や保険料や保険期間等を考慮し計算されますが、参考までに以下内容でシミュレーションした結果を紹介します。

  • 契約者・被保険者年齢:30歳、0歳
  • 契約プラン:Ⅱ型(満期時に一括で受け取るタイプ)
  • 満期学資金:140万円(18歳満了)
  • 保険料:11,800円/年
満期時の18年後に受け取れる返戻金は110.4%と好条件ですが、

解約時年齢総保険料払込額返戻金返戻率
5歳712,000円557,962円78.4%
10歳1267,000円1202,880円94.9%
18歳1267,000円-110.4%
となり、途中解約してしまうと元本割れを起こしてしまいます。

加入済みの学資保険で返戻金がいくらになるのかは、各社サポートセンターや営業担当者へ連絡するか、web上で確認が可能です。

また、保険加入時の設計書・提案書に返戻金のシミュレーション結果も記載されている場合がありますので、参考にしてみてください。

参考:学資保険の解約返戻金はいつ受け取れる?

加入先の保険会社によっても異なりますが、ソニー生命では、書類に不備がなかった場合、書類到着から2日後に振り込みを行うこととされています。

参考:ソニー生命 解約返戻金はいつ振り込まれますか?


各社とも、

  1. 解約したい旨を連絡
  2. 保険会社から送付された書類を記入し返送する
  3. 保険会社にて書類を確認し、解約成立
  4. 返戻金の入金

の手順は同じで、不備があると確認に時間がかかったり、再提出を求められたりと、1週間以上かかる場合もあります。


解約したいと思っても、即日返戻金を受け取れるわけではないのに注意が必要です。


また、解約連絡をする際は、担当者による引き留めなどによりスムーズに解約できないことも考えられます。


解約返戻金の受け取りまでは時間がかかると思っておくのが良いでしょう。

学資保険で途中解約をするデメリットを解説


学資保険の途中解約を回避できる対処法を確認したところで、実際に学資保険を解約した場合に受けるリスクを5つご紹介します。


5つのうちどれか…ではなく、5つとも受ける可能性が十分にあることを理解しておいてください。


やむを得ない事情で、「どうしても学資保険を途中解約するしか方法がない…」という場合には仕方がありませんが、リスクについても十分に把握して手続きの時期も含めて検討し、進めていくことが必要です。


また学資保険が差押えられてしまっている場合、その権利は債権者に移っていますので、契約者は勝手に解約することができないということは、覚えてきましょう。

デメリット①:保険料支払い額より受取金が少なくなる(元本割れ)

学資保険は、その貯蓄性の高さから長期で運用することを前提とされており、保険料の一部は以下のようなものに充てられます。

  • 保険金の支払い
  • 契約の締結や維持に必要な経費
  • 医療保障(特約等ついている場合)

そのため、途中解約するタイミングでは、払い込んだ保険料を下回る金額しか戻らない可能性も十分に考えられ、元本割れの可能性が高まってしまいます。


解約返戻金の金額は、

  • 契約時の年齢や性別
  • 保険料払込期間
  • 保険会社の規定

などによって異なります。


特に契約してからの期間が短い場合は、解約返戻金として戻ってくる割合が小さくなったり、あるいは解約返戻金がないという場合もあります。


解約を検討する場合には、『いつ』その手続きをするのがベストなのかも事前にしっかり検討する必要があるのです。

デメリット②:学資保険に入り直せないことがある

学資保険の途中解約後に改めて学資保険に再加入する場合には、「年齢」と「健康状態」の2つの条件をクリアする必要があります。

年齢

学資保険に加入できる被保険者(子ども)の年齢には、制限があります。

保険会社加入対象年齢(歳)
A生命0~12/0~3
B生命0~3
C生命0~6
D生命0~7

学資保険に入り直せた場合でも、再加入時の年齢が高ければ高いほど月々の保険料は高くなる傾向があります。


契約者(親)の年齢にも制限があり、さらには被保険者(子ども)の場合と同様に、再加入時の年齢と保険料は比例する傾向が見られます。

健康状態

契約者の健康状態によっては条件付きとなったり、もしくは加入できない場合もあります。

デメリット③:学資保険の未経過分保険料が返ってこないことも

保険法改正前に学資保険に契約している場合は、未経過分の保険料が返ってきません。具体的な条件を上げると、

  • 保険加入が、平成22年4月1日以前である
  • 年払いや半年払いなどの払込方法を選択している

に該当する契約が対象です。


例えば、年払いの保険料引き落としが7/1で、7/31に解約手続きを行った場合、8月~翌6月までの保険料はムダになってしまいます。


実際に解約する場合は、解約タイミングに注意するか、事前に払込方法を月払いに変更しておくなどの対策が必要です。

デメリット④:学資保険の契約者に万が一があった時の保障が無くなる

学資保険には将来の子どもの教育資金のための貯蓄に加えて、子どもの医療保障や払込免除の特約や育成年金などが付いていることがあります。

契約者に万が一のことがあった時こそ、この保障が本領を発揮するところでもあり、子どもの教育資金だけは確保してくれるのです。

学資保険を解約することで、これらの保障はすべてなくなってしまう…ということを認識し、代わりに比較的安価な掛捨ての医療保険や共済に加入しておく必要があります。

「万が一の」のこととは、保険期間中に
  • 契約者が死亡
  • 契約者が所定の高度障害状態
  • 契約者が所定の身体障害状態
のいずれかに該当する場合をいいます。

家族としては決して起こってほしくない状況であり、想定などしたくもないのが本音ですが、その「万が一」の大変な状況下で支えてくれる縁の下の力持ちが保障なのです。

デメリット⑤:学資保険の解約返戻金受け取り時に税金がかかることも

学資保険にかかる税金も気を付けておきたいポイントです。


契約者と受取人の関係性によって、対象となる税金の種類が異なります。


契約者=受取人の場合

契約者本人が受取人となる場合にかかる税金は所得税です。


返戻金額から今までに払った保険料を引いた金額が50万円を超える場合に所得税がかかります。


ただし、途中解約となる場合、払い済みの保険料総額よりも返戻金が小さくなる場合がほとんどなので、返戻金には税金はかからないと考えてもよいでしょう。


契約者≠受取人の場合

親が契約者で子供が受取人になっているケースなど、契約者と受取人が異なる場合は贈与税が対象です。


贈与税は年間110万円を超える場合に、課税金額に応じて10~55%の税金がかかります。


例えば、返戻金額は200万円だった場合は、

  • 学資保険解約金:200万円
  • 控除後の課税金額:200万円-110万円(控除額)=90万円
  • 贈与税額:90万円×10%=9万円
となり、手元に残るお金は191万円です。

途中解約の場合は、返戻金が元本割れしていることがほとんどで、さらに税金が引かれてしまうので、デメリットは大きいと分かります。

学資保険の途中解約を避けるための対処法を紹介


子育て中は何かとお金がかかるものです。子どもの成長とともに出費がかさむことも多くなってくるものです。

また転職、離婚などの家庭環境の変化によっても、家計状況は大きく変わってきます。

子どもの誕生を機に、将来の教育資金のために…と選び抜いて加入した学資保険にもその影響は及び、保険料の支払いが負担になってくるようなこともあるかもしれません。

「学資保険の途中解約…」という言葉が頭の隅をよぎるようになってきたら要注意です。

学資保険の途中解約は、思っている以上に大きなリスクを伴うものなのです。

学資保険の途中解約を検討するその前に、途中解約を回避できる対処法を3つご紹介します。

途中解約は、こちらを検討してからでも決して遅くはありません。

契約者貸付制度を利用する

契約者貸付制度とは、解約返戻金を担保にお金を借りることができる、契約者本人限定の制度です。


借入れ中も学資保険は保険は継続できますので、一時的に保険料の支払いが困難になってしまった場合におすすめのシステムです。


学資保険の契約者貸付制度のメリットには、以下のようなことがあげられます。

  • 上限額の範囲内であれば、何度でも借入れが可能。
  • 審査がなく、信用情報にも影響しない。
  • 使用目的を限定されない。
  • 返済計画が固定されておらず、比較的自由。

また以下のような注意点もしっかり把握したうえで、計画的に利用することが必要です。

  • 貸付額(元金+利息)が解約返戻金を越えると、学資保険が消滅する可能性がある。
  • 複利で計算される。
  • 借入れ中に祝い金・満期保険金が発生した場合、元利金が差し引かれてしまう。

一部解約(減額)して保険料を下げる

学資保険を一部だけ解約して保険料の負担を軽くする方法を一部解約または減額と言います


『今よりももう少し保険料の支払額が少なければ、払込期間満了まで支払いができる』という場合におすすめの方法であり、満期保険金の額は減るものの無理のない範囲で保険を維持することができます。


また解約した分については、解約返戻金を受け取ることができます。


保険料の支払いが可能な金額に合わせて残すことができますので、月々の支払額を減らしたり、あるいは特約の部分だけ解約したりとさまざまな方法で金額の調整をすることができます。


今後の保険料の支払いに不安を感じたら、いつでもお近くのゆうちょの窓口や保険会社の担当さんに相談して、ベストな返済額を検討しましょう。

自動振替貸付制度を利用する

自動振替貸付制度とは、保険料の払い込みが一定期間行われなかった場合に、解約返戻金の範囲内で自動的に充当する制度です。


申込等はなく保険会社内で自動的に適用される制度で、一時的もしくは短期的に保険料支払いができない場合などは利用を検討するのが良いでしょう。


ただし、あくまでも貸付制度なので利息がかかります。


返済せずに満期を迎えたり、途中解約となると貸付額+利息分が返戻金から差し引かれてしまいますので、制度利用した場合も必ず返済手続きを行うことが大切です。


また、利息を含む貸付額が返戻金相当額を超過する場合は、契約自体が終了します。うっかり失効してしまうことのなように十分に注意します。

学資保険に特約を付けているなら解約する

月々の保険料を節約する方法もおすすめです。例えば、郵便局で申し込みが出来るかんぽ生命(ゆうちょ)の学資保険の場合、以下の特約を付加することが出来ます。

  • 無配当災害特約
  • 無配当障害医療特約
  • 無配当総合医療特約
  • 無配当先進医療特約

それぞれ、特約単体での月々保険料は小さいですが、年間や保険期間全体を通してみるとかなりの金額となります。


特約の保障は受けられなくなってしまいますが、主契約の保障が続くので、途中解約を検討している場合も、まずは特約のみの解約を検討しましょう。

払い済み保険にして保険料を支払わないようにする

「長期的に見て、今後はもう全く保険料を支払える余裕がない」という場合には、払い済み保険に変更するという方法もあります。


払い済み保険というのは、今まで払い込んだ保険料の範囲内で保険を継続させるという方法です。


解約返戻金は、ほぼそのまま払い済み保険の元金となりますので、

  • 手元に現金は残らない。
  • 満期保険金の額が少なくなる
  • 特約や祝い金などが消滅する

というリスクは伴いますが、変更以後は保険料の支払いのことで悩むことはなくなり、将来の子どものための教育資金を蓄えておくことができます。


想定外の出来事によって家計が苦しくなっても、最低限の教育資金を守っていけるということは、親としてとても嬉しいことですね。

学資保険以外で教育資金を積立する方法

学資保険以外にも教育資金を準備する方法はいくつかあります。


特に現在は低金利政策の影響で、なかなか好条件の返戻率を期待できないので、いくつかの選択肢を比較してみるのが良いでしょう。


次項以降では、

  • 米ドル建て終身保険
  • 投資信託(つみたてNISAやジュニアNISA)
  • 変額個人年金保険

について、おすすめポイントをそれぞれ解説します。


学資保険からの乗り換えを検討されている方も、ぜひ一度チェックしてみてください。

米ドル建て終身保険

学資保険の代替商品として、よく勧められるのがドル建ての終身保険です。


毎月の保険料を積み立てておき、返戻率が100%を超えた後、資金が必要なタイミングで解約する使い方をします。


学資保険と比較しても利率が良く高い返戻金を期待できるのに加え、終身保険として万が一の保障があるので、学資保険に代わる商品として人気です。


最低3%の利率を保証していることも多く、自分で資産運用をするのに不安な方にもおすすめです。


メリットは多いですが、

  • ドル建てで毎月の保険料が一定ではない
  • 保険金受取時に為替の影響を受ける

などデメリットもあり、事前にリスクを把握した上で慎重に検討しましょう。

投資信託(つみたてNISAやジュニアNISAなど)

つみたてNISAやジュニアNISAなどを使って教育資金を準備する方法もあります。


どちらも限度額内での投資による運用益が非課税なので、コツコツ積み立てられるのが魅力です。


投資経験が少なく、投資リスクを心配される方でも、長期に渡って一定額を積み立てていく方法であれば、リスク分散出来るのでしっかりと教育資金を貯めることが出来ます。


また、つみたてNISAやジュニアNISAで投資対象として選択できる商品は、低リスクで長期間の積立向きな商品が多いため、過度に不安になる必要はないでしょう。


ただし、あくまでも投資であるので元本割れのリスクは存在するのと、学資保険のように万が一の場合の保障がない点には注意が必要です。

変額個人年金保険

変額個人年金保険は、受け取れる保険金額が運用実績に応じて変動するタイプの保険商品です。保険会社が契約者の支払った保険料を元手に運用し、運用利率が良ければ受け取る保険金が大きくなります。


満期時の保険金には最低保証がある保険も多く、高い返戻率を期待できるのと、死亡保険金など、万が一の保障を準備出来るのが魅力です。


一方で、中長期の運用を前提としているため、途中解約は元本割れしてしまう可能性が高く、学資保険と同じく途中解約は慎重に検討する必要があります。

参考:学資保険の解約時、引き留めに合わずにスムーズに解約する方法

学資保険の解約手続きをするにあたって、営業担当者からの引き留めを心配される方もいらっしゃるでしょう。

前述のとおり、解約手順はまず営業担当者かコールセンターを通じて解約意思を伝えるところからなので、担当者によってはスムーズに解約できない可能性もあります。


新規契約時や保険金請求時に頼りになる営業担当者だけに、なかなか言い出しづらい場合は、コールセンターに直接電話をするのが良いでしょう。また、その際に解約手続き書類は郵送してもらうのが大切です。


営業担当者が持参する場合、説得されて解約できなくなってしまうのを防ぐためです。


詳しくはこちらの記事にて解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

まとめ:学資保険の途中解約は損することが多い


いかがだったでしょうか。


この記事のまとめとしては

  • 学資保険の途中解約は損をすることが多い
  • 途中解約のデメリットは、①元本割れ、②学資保険に再度加入できない、③未経過保険料が払い戻しされない、④死亡保障などは受けられない、⑤返戻金に税金がかかる
  • 学資保険の途中解約をする前に、まずは、契約者貸付・一部減額・特約解約などの手段を検討する
  • 教育資金準備のためには、ドル建て終身保険、変額個人年金保険、資産運用(つみたてNISA・ジュニアNISA)などもおすすめ
  • 主な学資保険ごとの途中解約手続きの方法を確認

でした。


学資保険の途中解約によって受ける「解約返戻金による元本割れ」や「保障の消滅」は、非常に大きいデメリットであり、一度解約してしまうともう元に戻すことはできません。


子どもの将来の教育資金のことを思うと不安は募るばかりですが、それぞれの「苦しい状況」を解決に導いてくれる対処法があります。なるべく途中解約をしなくてすむ方向で最良の手続きを選択しましょう。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事を多数掲載しています。ぜひご覧になってください。

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