音大の学費をランキング形式で紹介!国立音楽大学の学費はいくら?

音楽大学と言うと学費が高いイメージがありますよね。今回は実際4年間でかかる総額費用はどのくらいなのか、内訳や高い理由、そっして音大学費ランキングを解説します。また学費が高くて払えないと心配な方のために、奨学金制度や免除方法について紹介するので、是非参考にしてみてください。

音大の4年間の学費の総額はいくら?

内容をまとめると

  1. 公立音楽大学の学費は873,577円/年 
  2. 私立音楽大学の学費は1,923,381円/年 
  3. 私立音楽大学に通う場合、4年間の学費が800~1,000万円程度になる 
  4. 学費以外にも、レッスン料、楽器の購入費・メンテナンス費などの支出も多い 
  5. 奨学金や学費免除制度を利用すると経済的な負担が軽くなる

子供に音楽の才能があり音大に通わせてあげたいと思っても、音大は漠然と学費が高いイメージがあります。音大学費を捻出するため家を売った、4年間通わせるのに最低1000万円必要等のニュースを耳にすることもあり、学費は一体いくらくらい必要なのか?と気になるのではないでしょうか。


実際に、大学4年間のうち最もお金がかかるといわれる初学年度の学費だけをみると、東京の大学の平均額は約196万円です。また、学費以外にも演奏会や楽器・楽譜の購入費、個人レッスン料など学費以外の費用も必要です。


この記事では、

  • 国立音楽大学と私立音楽大学の学費の内訳と平均
  • 学費以外にかかる費用
  • 音大学費の安いランキング

について、詳しく解説します。


また、自分には音大学費が払えないのでは?と心配される方へ、音大の奨学金や学費免除制度についても紹介します。この記事を読んでいただければ、音大入学にあたって、学費がいくらくらい必要なのかが分かります。ぜひ最後までご覧ください。


国立音楽大学と私立音楽大学の学費の内訳と平均

音大入学にあたっていくら必要なのでしょうか。国公立音楽大学と私立音楽大学それぞれで学費の内訳と平均額は以下の通りです。

  • 国公立音楽大学:873,577円/年
  • 私立音楽大学:1,923,381円/年
※弊社独自調べ。全国の音楽大学各学科の平均額を元に、国公立音楽大学と私立音楽大学の費用平均額を算出しました。


国公立大学は年間約87万円、私立大学は年間約192万円で私立大学の学費は国公立大学の2.2倍となります。上記は大学に支払う金額ですが、学費以外にも演奏会や個人レッスン料などにもお金がかかるので、私立大学に通う場合4年間で1,000万円というのは大きな嘘ではなさそうです。


学費の内訳は、大まかに以下の4つに分けられます。

  1. 入学金
  2. 授業料
  3. 施設維持管理費
  4. 同窓会費/後援会費

入学金は、国公立、私立に関わらず30~60万円程度といわれています。授業料は、どの音大に入学するのかによって大きく異なりますが、目安として国公立の場合は年間50万円、私立大学の場合は年間150万円といわれています。設備管理費は私立大学のみ必要で、年間50万円程度です。


同窓会費/後援会費については、同大学の同窓会や後援会(OB・OG会)の会費として年間数万円程度かかることが多いようです。

学費以外にかかる費用

学費以外にかかる費用として、以下4つが挙げられます。かかる費用は個人差の大きいところですが、一般的な事例で紹介しますので、参考にしてみてください。

  1. 演奏会・コンクール出場費
  2. 楽器、楽譜、小物類の購入費
  3. 個人レッスン料
  4. 練習室・家賃

演奏会費は、定期演奏会やコンクール、大学内での演奏会などの出場費などです。例えば、新人音楽家の登竜門として知られる「日本音楽コンクール」に挑戦する場合、出場料として3万5000円かかります。また、演奏会出演にあたってドレスやタキシードなどの衣装代もかかります。購入する場合は10万円程度の支出です。


次に、楽器・楽譜・小物類の購入費です。楽器を専攻する場合は、自分の楽器を購入するための費用がかかります。良い楽器を使う場合はそれだけ購入費も高くなります。また、声楽や指揮専攻の場合も、楽譜や教科書、小物類の購入費が発生します。3~5万円程度と想定されますが、専攻や先生によって大きく異なります。


学費以外の費用として大きな割合を占めるのは個人レッスン料です。週に1回程度、一回1~2万円程度の費用が一般的で、年間60万円程度と想定されます。著名な先生に習うのであればレッスン料は高くなりますし、遠方までレッスンに通うのであれば交通費もかかります。


最後に、練習室や家賃です。少しでも練習量を確保するため、大学以外で練習する場所も用意する必要があります。スタジオを借りて練習する場合は練習室料が1時間1,000~2,000円程度かかります。


また、大学近くで部屋を借りる場合は、防音設備の整った「24時間楽器演奏可能物件」や「楽器可物件」の物件を探す必要があります。一般的に通常の物件に比べると家賃は割高で、2割程度高い家賃といわれています。自宅から通う場合も、1室を防音室にリフォームすると300万円程度の費用がかかります。

安い順!音大の学費ランキング

首都圏、関西圏の大学はもちろん、全国の大学ごとに各学科の平均学費を算出しました。ランキング一覧で紹介します。

ランキング大学名都道府県学費金額(年)
1北海道教育大学北海道817,800円
2お茶の水女子大学東京都817,800円
3東京藝術大学東京都817,800円
4愛知県立芸術大学愛知県817,800円
5沖縄県立芸術大学沖縄県932,800円
6京都市立芸術大学京都府1,037,460円
7明治学院大学東京都1,388,200円
8城西国際大学千葉県1,397,000円
9桜美林大学東京都1,514,000円
10広島文化学園大学広島県1,520,000円
11活水女子大学長崎県1,523,563円
12鹿児島国際大学鹿児島県1,583,660円
13国際基督教大学東京都1,698,000円
14同志社女子大学京都府1,725,000円
15札幌大谷大学北海道1,756,960円
16平成音楽大学熊本県1,766,660円
17相愛大学大阪府1,780,733円
18エリザベト音楽大学広島県1,793,750円
19日本大学東京都1,800,000円
20フェリス女学院大学東京都1,800,300円
21名古屋芸術大学愛知県1,806,327円
22京都精華大学京都府1,829,000円
23東海大学東京都1,842,867円
24金城学院大学愛知県1,865,800円
25尚美学園大学埼玉県1,894,140円
26名古屋音楽大学愛知県1,935,625円
27武庫川女子大学兵庫県1,952,700円
28大阪音楽大学大阪府1,955,300円
29宮城学院女子大学宮城県1,978,400円
30くらしき作陽大学岡山県2,003,333円
31玉川大学東京都2,013,867円
32上野学園大学東京都2,026,267円
33大阪芸術大学大阪府2,080,000円
34徳島文理大学徳島県2,116,640円
35東邦音楽大学埼玉県2,149,205円
36武蔵野音楽大学東京都2,204,286円
37神戸女学院大学兵庫県2,214,000円
38国立音楽大学東京都2,217,000円
39洗足学園音楽大学神奈川県2,262,650円
40昭和音楽大学神奈川県2,295,500円
41東京音楽大学東京都2,342,000円
42聖徳大学千葉県2,425,760円
43桐朋学園大学東京都2,706,600円

大学によって学費は大きく異なり、年間180万円以上も開きがあります。コースによっても学費はことなるので、目指す大学があるのであれば、HPにも記載があるので、ぜひチェックしてみてください。

学費の安い音楽大学の学費|東京藝術大学

東京藝術大学は、東京都上野にある日本で唯一の国立総合芸術大学です。芸術大学の最高峰として有名な大学で、日本だけでなく世界中で活躍する講師陣や卒業生が多く存在するため、全国から優秀な学生が集まります。


音楽学部と美術学部がありますが、音楽学部は声楽、器楽(ピアノやバイオリン)、指揮、作曲など多種多様な学科が存在しており、どの学科もトップレベルです。


東京藝術大学の学費は、以下の通りです。

金額
入学費338,400円
災害傷害保険、音楽教育振興会費、同声会会費など
224,660円
授業料(年額)642,960円

国立大学のため学費はかなり安く、一般の4年生大学と大差はありません。4年間でかかる費用は、入学費(338,400円)+災害傷害保険、音楽教育振興会費、同声会会費など(224,660円)+授業料(642,960円×4年間)で3,134,900円です。


2019年度入学の入学者から教育体制の拡充や設備投資のため、授業料が例年より約20%値上げされていますが、私立大学に4年間通った場合に約800万円かかるのに比べると、約4割程度の学費で済みます。

学費の高い音楽大学の学費|桐朋学園大学

桐朋学園大学は、東京調布市にある音楽大学です。東京藝術大学に並び日本トップクラスの学生を排出する音楽大学として有名です。指揮者として世界的に著名な小澤征爾さんも桐朋学園大学出身として知られています。


桐朋学園大学の学費は、以下の通りです。

金額
入学金600,000円
運営維持費300,000円
授業料1,360,000円
施設設備費340,000円
学生会費6,600円

私立大学であり、全国の音大の中で最も学費が高い大学です。4年間通う場合、入学金(600,000円)+運営維持費(300,000円×4年=1,200,000円)+授業料(1,360,000円×4年=5,440,000円)+施設設備費(340,000円×4年=1,360,000円)+学生会費(6,600×4年間=26,400)=8,626,400円です。


学費が高い分、設備は充実しており、校舎は近年大規模な建て替え工事を行ったばかりなのでとても綺麗です。また、講師陣も著名な音楽家ばかりなので良い環境の中で大学生活を送ることができることが魅力です。

3つの音大の学費が高い理由

東京藝術大学と桐朋学園大学の学費について紹介しましたが、音大の学費が高い理由をさらに掘り下げて紹介します。


この記事では、以下3つの理由について解説します。

  • 有名な教授のマンツーマンのレッスン料
  • 施設費用や楽器費用
  • 海外からの有名な先生たちの授業

ぜひ最後までご覧ください。

有名な教授のマンツーマンのレッスン料

音大の授業以外に、実技スキル向上のために個人レッスンを受けることになります。学費に含まれる大学もありますが、月15,000~20,000円が一般的です。


もちろん、どの先生にレッスンを受けるかによって値段の幅があります。数々のコンクール受賞歴があったり、国内外で活躍される有名な教授のレッスンを受講することになると、月謝はさらに高くなるようです。


また、レッスンに通うための交通費や、お中元・お歳暮の手配、さらにコンクールや演奏会に出場する場合は謝礼なども必要になります。

施設費用や楽器費用が高い

レッスンを受講したり、練習をするための専用施設を準備するの費用もかかります。例えば防音設備の整ったレンタルスペースを借りる場合、1時間あたり1,000~2,000円がかかります。


楽器専攻の場合は楽器の購入費やメンテナンス費がかかります。楽器によって音も違うので、良い楽器が欲しくなるのは当然のことで、かなりの費用負担が想定されます。特にバイオリンは高額で、音大生であっても1千万円を超える楽器を使うことも珍しくないようです。


ピアノ専攻の場合は、国内メーカーのグランドピアノは100~200万円ですが、スタインウェイやベーゼンドルファーなど一流メーカーのピアノを購入する場合は、さらに高額になります。


また、管楽器や打楽器専攻の場合は、どの楽器を専攻するかによって異なりますが、数十万円~100万円程度が一般的です。


さらに楽器は購入したきりではなく、メンテナンスも必要です。例えば、バイオリンの場合は、弦交換や弓の毛替えで数カ月に1回、各5,000円程度のメンテナンス費用が必要となります。

海外からの有名な先生たちの授業

音大に通うのが高いといわれる理由は、海外から招致する有名な演奏家の特別授業やレッスンの参加費用も挙げられます。金額は先生や授業内容によって大きく異なりますが、通常の授業に比べると高い費用がかかると想定されます。


他には、長期休暇時のセミナーや講習会に参加する場合の追加費用や、音大卒業後に音楽の教職員になるための教職専門科目を履修する場合は受講料がかかる場合もあります。


また、より良い環境で演奏技術を磨くため海外への留学を目指す人も珍しくありません。留学先として人気の高いアメリカ・ニューヨークへ留学する場合、年間300~500万円以上の費用がかかるので、有名な先生に指導を受けたい場合は、国内で一般的な授業を受けるのに比べて多くの費用がかかります。

学費を払えない方に:音大の奨学金や学費免除制度を紹介

音大に通う場合多くの費用がかかりますが、各種免除制度を利用することで経済的な負担を軽くすることができます。

この記事では、
  • 奨学金
  • 各大学の学費免除制度
  • 学費支援(ローン)制度
  • 2020年4月から始まる授業料等減免制度
について紹介します。

まずは、奨学金について説明します。奨学金は、日本学生支援機構奨学金などの一般大学向けの奨学金はもちろん、明治安田クオリティオブライフ文化財団音楽学生奨学金や、財団法人福島育英会奨学金などの音大生に向けの奨学金制度も利用することができます。

また、多くの大学で各音楽大学で独自の奨学金制度があり、成績優秀者、および基準を満たす学生に対して奨学金が給付されます。大学ごとに奨学金内容や申請方法は異なるので、目指す大学があるのであれば、ぜひチェックしてみてください。

奨学金は、学費の一部もしくは全額を卒業後の返済なしに受け取れる「給付型」と、卒業後に返済義務のある「貸与型」の2種類に分類されますが、音大生の場合は卒業後安定した収入が得られることが確約しづらいので、「給付型」の奨学金を目指すのが安心です。

次に、各大学の学費免除制度について説明します。大学ごとに学費の一部、または全額を免除する特待生制度があります。例えば、桐朋学園大学の場合、入学試験や学内試験において成績が極めて優秀であると認められた学生に対して、入学金や学費を30~60万円程度免除しています。

国の教育ローンや、クレジット会社の教育ローンを利用することも可能です。利子はかかりますが、比較的低金利で借りることができるので、入学金などまとまったお金が必要な際は検討してみてください。

最後に、2020年4月から始まる授業料等減免制度について説明します。「大学等における修学の支援に関する法律(大学無償化法)」によって規定される減免制度で、条件を満たす場合に授業の減免が受けられる制度です。

ただし、支給条件は「住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の学生」とされているので、音大を目指す世帯でこの条件に該当する世帯はかなり少数だと考えられます。

参考:ヨーロッパなどの海外の音楽大学の学費と日本との比較

音大の学費が高いのは日本だけなのでしょうか?音楽の都とよばれるオーストリアのウィーンや、フランス・ドイツなど海外の音楽大学の学費を調べましたので、ぜひ参考にしてみて下さい。


オーストリアの場合、2017年の世界音楽大学ランキングで2位を受賞し、世界中から学生が集まるウィーン国立大学は年間20万円程度といわれています。音楽を学ぶ環境の良さはもちろん、オーストリアは物価も安く留学先として人気があります。


フランスの場合は基本的には国公立の大学が多く、学費は高くて年間1500€(約18万円)といわれています。世界三大音楽院であり、のだめカンタービレで主人公の留学先となったパリ国立高等音楽院も国立大学のため学費は、年間約700€(約85万円)であり、日本の音大に比べるとはるかに安いです。


最後にドイツの音大に入学する場合も年間20万円程度といわれおり、州によっては外国人でも学費が無料となる大学もあるようです。


ヨーロッパの音楽大学は、日本やアメリカなどの音大に比べると学費は安い傾向があります。また、超一流の講師陣からレッスンを受けられたり、世界中の優秀な学生と切磋琢磨しながら音楽スキルを高めることができたりと、メリットは数多くあります。


高校卒業と同時に海外の音大に入学する場合も、日本の音大在学中や社会人になってから短大に入学する場合も、音大を目指すのであれば、ぜひ選択肢の一つとして参考にしてみて下さい。

音大の学費のランキングまとめ

いかがでしたでしょうか。


今回の記事では、

  • 公立音楽大学の学費は873,577円/年
  • 私立音楽大学の学費は1,923,381円/年
  • 私立音楽大学に通う場合、4年間の学費が800~1,000万円程度になる
  • 学費以外にも、レッスン料、楽器の購入費・メンテナンス費などの支出も多い
  • 奨学金や学費免除制度を利用すると経済的な負担が軽くなる

などのポイントを解説しました。やはりイメージ通り日本の音大に通う場合、多くの費用がかかることが分かります。また紹介した、東京藝術大学や桐朋学園大学など有名な音大合格を目指すとなると、その大学の先生のレッスン受講費など、入学前から大きな費用がかかることも考慮に入れておく必要があります。


また、美大や音大などの芸術大学は入学したからといって、必ずプロとして芸術を仕事にするわけではありません。東京藝術大学音楽学部における平成29年3月卒業生の進路調査によると、大学卒業後就職する割合は全体の約7%程度で、約半数が未定となっています。

(参考:東京藝術大学 最近5年間の進路状況


奨学金や免除制度など学費の支払いを支援する制度は充実していますが、音大入学を目指すのであれば、将来を見据えて慎重に検討が必要です。

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