更新日:2020/02/16
シングルマザー必見!離婚後の生活保護と養育費を両方受け取るには?
母子家庭となったものの、体調がよくないなどの理由で働けず、また養育費だけでは生活していくことができない場合は、生活保護を申請することができます。養育費をもらいながら生活保護を受ける条件、不正受給となったケース、元夫が生活保護を受けている場合など解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 母子家庭で養育費と生活保護を両方受け取るには?
- 養育費をもらいながら生活保護の申請は可能
- 生活保護を受けるための条件4つ
- 生活保護申請時は養育費について申請必須!
- 児童手当や児童扶養手当(母子手当)は収入認定、減額の対象
- 養育費を隠す、嘘の申告は生活保護の不正受給になる
- 不正受給①:養育費を手渡しで受け取り申告しない
- 不正受給②:養育費を元配偶者の口座以外で受け取り申告しない
- 不正受給がばれると、受給額の返還(支払い)が必要
- 養育費を支払う側が生活保護を受けていると養育費が不払いに?
- 養育費が払えない場合、公正証書や裁判で差し押さえができる
- 参考:養育費の算定での生活保護基準方式とは
- 養育費と生活保護受給についてのまとめ
目次
母子家庭で養育費と生活保護を両方受け取るには?
母子家庭になり、生活費の問題に直面する人は少なくありません。持病があって働けない場合、養育費だけで生活できなくなるケースもあるでしょう。
生活保護を受けられないか検討するときに、養育費を受け取っていることに不安が生じるかもしれません。
実は、養育費をもらいながらでも生活保護は受けられます。
しかし、受け取り方を間違えると不正受給になりかねません。知らなかったでは済まない事態に陥ってしまわないよう、制度について理解しておきたいです。
そこで今回のこの記事では、「母子家庭の生活保護と養育費」について、
- 生活保護を受けられる条件
- 養育費の扱い
- 他の制度と生活保護の関係
- 不正受給になるケース
- 養育費の支払者が生活保護になった場合
以上のことを中心に説明します。
この記事を読んでいただけたら、母子家庭で生活に困ったときの生活保護の扱いが分かり安心できるでしょう。ぜひ最後までご覧ください。
養育費をもらいながら生活保護の申請は可能
養育費をもらっているけれど、それだけでは生活ができないときは「養育費をもらいながら生活保護の申請ができるのか?」が一番気になりますよね。
生活費が養育費だけで不足する場合は、生活保護の申請ができます。
生活できないほど困窮するまで追いつめられることはありませんので、ひとまず安心してください。
ただし生活保護を受けるためには条件があり、簡単に受けられるわけではありません。また、生活保護を受けた場合に、養育費と合わせてプラスアルファの収入になるわけではありません。
ここでは、
- 生活保護を申請できる条件
- 生活保護を受けるとき養育費はどう扱われるのか?
- 他の制度との併給できるのか?
について、詳しくお伝えします。
生活保護を受けるための条件4つ
母子家庭に限らず、生活保護を受けるためには、条件があります。
- 資産がない
- 働けない
- 他の制度を受けても生活が難しい
- 扶養者からの援助が受けられない
この4つです。
生活保護を受けたいと考える場合は、「資産がない」「働けない」の条件はクリアしていることと思います。
資産があれば、その資産を現金化するのが先です。子供を育てながらでも少しは働けるなら、給与だけでは不足するお金を生活保護から補えます。
生活保護は、優先順位として最後の砦。他に利用できる制度がある場合は、そちらが優先されます。
母子家庭の場合は、児童手当や児童扶養手当が関係してきます。これらの手当を受けても最低限の生活ができない場合に、生活保護が受けられます。
また、親族など扶養者からの援助が受けられる場合は、生活保護を受けられません。この援助に養育費は該当します。しかし、養育費だけでは足りない分は、生活保護で補うことができます。
生活保護は、最低限の生活ができるよう収入だけでは不足する部分を補う役割もあるので、他の収入が多少あっても生活に困窮している場合は頼ってください。
生活保護申請時は養育費について申請必須!
生活保護申請をするときは、養育費をもらっていることも申請しなければいけません。生活保護は、養育費だけで不足するお金を補うためのものだからです。
生活保護費から養育費分が差し引かれることになります。生活保護費満額+養育費の収入が得られるわけではありません。
ただし養育費の用途が子供の学習に使われる場合は、その内訳を申告することで収入として除外される可能性があります。
居住地域の子供の学習に使っている一般的な額まで収入にはならず、その分多めに生活保護費が貰うことができます。
きちんと申告することでこのような取り扱いをしてもらえますので、必ず申請してください。養育費を申請しないと不正受給になってしまいます。
児童手当や児童扶養手当(母子手当)は収入認定、減額の対象
母子家庭は、児童手当や児童扶養手当がもらえるケースがあるでしょう。こうした手当をもらっていると生活保護は受給できないのでしょうか?これらの手当と生活保護の併給はできます。
ただし生活保護の規定上、これらの手当は収入です。生活保護費から差し引かれることになります。
生活保護だけ受給する場合と、児童手当・児童扶養手当などを併用する場合では、実際にもらえる金額は同じです。
それでも生活のすべてを生活保護に頼りきるより、条件さえあてはまれば誰もが受けられる児童手当や児童扶養手当として受け取れるお金がある方が、精神面での負担がいくらかでも軽減されるのではないでしょうか。
養育費を隠す、嘘の申告は生活保護の不正受給になる
生活保護の申請をするときは、養育費を貰っていることも申告しなければいけませんが、中には、養育費を隠して生活保護を受けたいと考えてしまう人もいるかもしれません。
しかし養育費を隠すのは嘘の申告となり、生活保護の不正受給になってしまいます。
目の前の生活に追われていると、少しでも多くお金を受け取りたいと考えてしまう気持ちも分かりますが、不正受給になってしまってはかえってお金に困窮してしまうことになります。
苦しい時ほど、落ち着いて対応したいです。
ここでは、不正受給になるケースと不正受給が発覚したときにどうなるのかについてお伝えします。うっかり不正受給にならないように気を付けましょう。
不正受給①:養育費を手渡しで受け取り申告しない
しかし、元夫が不信に思い通報されるとすぐにバレてしまいます。また、途中から手渡しに変更すると怪しまれるでしょう。現金を受け取っても、申告しなければ不正受給になります。
不正受給②:養育費を元配偶者の口座以外で受け取り申告しない
養育費を口座で受け取っているが、その口座が本人の口座ではないケースもあります。
例えば、養育費は元配偶者(自分)の父親の口座を振込先として指定することが可能です。苗字を元に戻しているのに、結婚していた当時の元夫の苗字の口座に振込先を指定する場合も同様の可能性があります。
自分とは別名義で養育費を受け取っていればバレないと思いがちですが、すぐに発覚してしまいます。
不正受給がばれると、受給額の返還(支払い)が必要
では、上記のような方法で不正受給をした場合、バレるとどのような事態になるのでしょうか。
不正受給をすると、不正受給していた分の返還を請求されます。場合によっては、罰金も上乗せで請求されることもあるでしょう。
詐欺として逮捕されることもあります。(参照:大阪府報道発表資料 生活保護費の不正受給者の逮捕について)
そして、生活保護が廃止される可能性が高いです。今後、一切生活保護に頼らずに生活するしかなくなりますから、非常に困ることでしょう。
不正受給は、上手くやっているつもりでも、バレる可能性が高く、バレた時の代償が大きすぎます。得られるメリットに比べて、リスクの方がはるかに大きいので、養育費の申告は正直にしてください。
養育費を支払う側が生活保護を受けていると養育費が不払いに?
ここまでは、養育費を受取る側が生活保護を受けるケースについてご紹介してきましたが、養育費を支払う側が生活保護を受ける場合はどうなるのでしょうか?
養育費を支払う側、つまり元夫が生活保護を受ける場合、養育費をもらえるのかが気になりますよね。
法律上は、生活保護を受けている元夫に対して、養育費の請求をすることは可能です。しかし、現実的に養育費をもらえるかは大きな疑問となります。生活保護は生活ができるギリギリの支給額であるので、払うべき養育費分は上乗せされません。
自分の生活だけでギリギリのお金の中から、養育費を捻出できないことは容易に想像できます。このように、生活に困窮している元夫からは養育費がもらえない結果になることも少なくありません。
養育費が払えない場合、公正証書や裁判で差し押さえができる
では、元夫が養育費を払う余裕がない場合には、何も対処方法はないのでしょうか?
養育費は子供を育てるために何より優先されるお金なので、法律上は請求が可能です。もし払ってもらえない場合は、差し押さえる権利があります。
養育費について強制執行を認めると記載された公正証書があれば、すぐに差し押さえができます。また、口約束だった場合でも、公正証書や裁判の手続を踏むことで差し押さえが可能です。強制的にお金を取ることはできます。
しかし、生活保護を受けている相手を差し押さえすると、その相手は生活が立ち行かなくなるでしょう。今後の養育費どころではなくなります。場合によっては、人権侵害として逆に訴えられる可能性もあります。
元夫が生活保護を受けることになった場合は、生活の再建を待つのがベストな選択かもしれません。そのことで生活が困窮する場合は、ご自身も生活保護を受けて時期を待つ必要があるでしょう。
参考:養育費の算定での生活保護基準方式とは
養育費の算定には、4つの方式がありますが、その中の一つに生活保護基準方式という方法があります。
文字通り、生活保護の額を基準として養育費を決定する方法です。
計算方法は、
父の基礎収入×子供の生活費割合×父の負担割合
で求めます。
子供の生活費割合は、
子供の生活保護基準額÷父と子の生活保護基準額
から求めます。
少し分かりにくいので、簡単に説明すると、
- 収入に対する「子供の生活費の割合」を生活保護を基準に求める
- 父の収入を基準に「子供の生活費」を計算する
- 父と母でどのように分担するか決める
という順番で計算するということ。母の収入の方が高い場合は、母の収入を基準に計算することになります。
父と母の割合は、収入から決める方法と生活余力から決める方法があります。
生活保護基準方式を採用すると、最低限の生活費になってしまい養育費が低く計算されてしまいます。そのため、父側の同意を得やすい反面、母の収入が少ない場合に生活が苦しくなりやすいデメリットがあります。
養育費と生活保護受給についてのまとめ
母子家庭の生活保護と養育費について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
この記事のポイントは、
- 養育費をもらいながら生活保護も受けられる
- 養育費は収入になり生活保護費から引かれる
- 生活保護を受けるなら、養育費の申告は必須
- 不正受給をすると、生活保護費の返還を求められ保護廃止される
- 養育費を支払う側が生活保護を受ける場合、養育費の支払いは期待できない
でした。
病気などの事情がある人にとって、生活保護はセーフティーネットです。生活保護より養育費が優先されるので、取り決め通り養育費は受け取って、正しく申請した上で不足しているお金は生活保護を頼ってください。
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