学資保険の契約者と受取人変更の方法とは?税金や手続き方法を解説

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学資保険には受取人・契約者・被契約者の三者の関係があります。ここでは、契約者と受取人の関係性や受取人変更が必要になるポイントをまとめてみました。家族にこのような問題が発生した場合は、忘れずに学資保険の受取人変更の手続きをするようにしましょう。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

学資保険は受取人変更すべき場合とは?税金や手続き方法を解説

「子どもがいるけど離婚をした」「夫が亡くなった」などの場合で、学資保険の受取人を変更するべきなのかと悩んでいませんか?


結論からいうと、離婚をした場合や、学資保険の契約者が亡くなった場合は保険金の受取人を変更するべきです。


適切な受取人変更の手続きしていないと受取人によるトラブルが起きる場合や、余計な税金を取られてしまう場合があることはご存じでしたか?


そこでこの記事では、

  • 受取人変更の手続き方法と必要書類
  • 契約者変更が必要になる事例
  • 受取人変更で解決できる「税金問題」

について中心に解説します。


この記事を最後まで読んでいただければ、受取人変更の手続きに関してすべて自分で理解できるはずです。ぜひ最後までご覧ください。

学資保険の受取人変更の手続き方法・必要書類を解説

学資保険の契約者は、収入が一番多いという理由で、夫になっていることが多いでしょう。


契約者である夫と離婚をしなければならない場合や、契約者である夫が亡くなった場合など、学資保険の受取人の変更が必要になる場合があります。


学資保険の受取人を夫のままにしておくと、満期金の受け取り時になって問題になり、学資保険を子どもの教育資金に使おうとしても、それを受け取れない状況になりかねません。


そのような状況を避けるには、夫との離婚時や契約者の死亡時に、保険金の受取人を妻名義に変更することが必要です


万が一の状況になっても慌てないように、受取人変更の手続きについて、以下のように見ていきましょう。

  • 学資保険の受取人変更の手続き方法
  • 学資保険の受取人変更の必要書類

受取人変更の手続き方法

では、受取人変更の手続きが必要になるのは、なぜでしょうか。離婚する場合で考えてみましょう。


契約者学資保険の保険料を支払う人なら、受取人はその保険料を受け取る人です。


契約者が夫の場合、受取人も夫と同じになっているケースが多いでしょう。そのような場合、学資保険の一時金や満期金は、契約者である夫に受け取る権利があります。


ですから、学資保険が満期になって受け取る時になると、満期金は契約者である夫の銀行口座に振り込まれることになります。


離婚時に親権者が妻に決定しても、学資保険の受取人は自動的に変わりません


保険会社に連絡をして、受取人変更の手続きをしなければならないのです。


また、契約者が死亡した場合以外は、保険の変更ができるのは契約者のみです。


離婚のときは何かと大変かと思いますが、夫が契約者になっている場合は、夫に受取人の変更手続きをしてもらいましょう。


では、受取人変更の手続きにはどのように行うのでしょうか。


●受取人変更の手続きの流れ

  1. 保険会社のカスタマーセンターに電話で連絡
  2. 保険会社から書類の郵送
  3. 書類の準備
  4. 保険会社へ書類の提出

電話以外にも、保険会社の担当者に直接話したり、保険会社の窓口で相談したりもできます。


都合のよい方法を探して、受取人の変更手続きを行いましょう。

受取人変更の必要書類

次に、必要書類についても確認ししておきましょう。


受取人変更のための、基本的な書類は以下のようになります。


●受取人変更のための必要書類

  • 学資保険任意継続申込書
  • 保険証書
  • 身分証明書
  • 戸籍謄本
  • 印鑑
  • 新しい名義人の口座情報

保険会社によって、必要な書類が異なる場合もありますので、加入している保険会社に必ず確認するようにしましょう。


受取人変更には、被保険者である子どもの同意も必要です。被保険者(子ども)の同意書も必要になる場合があるので覚えておきましょう。


また、契約者と受取人が違う場合には、満期金の受け取り時に贈与税が課税されます。


可能ならば、契約者変更も同時に手続きすることが望ましいでしょう。

離婚と契約者死亡の場合:学資保険の受取人変更が必要になる

受取人の変更が必要になる時は、離婚する時と契約者が死亡した場合です。


離婚時に契約者変更が必要になるケースは、上記で説明しましたが、契約者が亡くなった場合にも、受取人変更をしなければならないのは、なぜでしょうか。


契約者が死亡した場合、「保険料払込免除」特約を利用すれば、それ以降の払込が免除されます。


「保険料払込免除」の手続きは、後継保険契約者が行います。後継保険契約者とは、契約者が死亡した場合、保険の契約を引き継ぐ人です。


大抵の場合、契約者が夫であれば、後継保険契約者はその配偶者である妻となっていることが多いです。


しかし、後継保険契約者が指定されていない場合、受取人は子どもになってしまいます。


これを手続きしないで放置しておくと、後々以下のようなデメリットが出てきます。

  • 満期金と払込金額の差が50万円以上の場合、一時所得とみなされ子どもが所得税を払うことになる
  • 満期金と払込金額の差が38万円以上の場合、子どもが母親の扶養控除から外れる

特に、保険を契約して数年で夫が亡くなった場合など、満期金と払込金額の差が大きくなるので注意が必要です。


母親の扶養控除から子どもが外れた場合、母子家庭の優遇措置を受けられなくなったり、母親自身の税控除が少なくなったりで、負担が増えることになるでしょう。


こういったことを避けるためにも、契約者である夫に万が一のことがあった場合には、速やかに保険会社に連絡を入れて、受取人の変更を済ませておきましょう。

離婚時はトラブルを避けるために「親権者=受取人」にすべき

離婚時に夫が受取人のまま契約を変更せずにいると、親権者と受取人が違う状況になります。

満期金が入ったとき、夫と疎遠になって連絡が取れない場合も考えられます。

親権を得て妻が親権者になったなら、子どもをこれからサポートしていく親権者を受取人と変更するべきです。

離婚時は忙しくて学資保険のことまで考える余裕がないかもしれませんが、学資保険の受取人は必ず変更しておきましょう。

子どもの親権が取れると、学資保険の名義も自動的に変更されると思いがちですが、契約者が手続きをしないと受取人は変わらないので、注意しましょう。

また、受取人だけを変更しても、契約人である夫の気持ち次第で、学資保険を解約・減額されてしまう可能性があります。

妻が親権者になっても、学資保険の契約内容を変更したり解約したり、決定できる権利は契約者である夫、にあります。

できることなら、受取人を変更する際、契約者についても変更しておくのが無難です。


しかし、契約者を変更してしまうと、それ以降の保険料の支払いは妻が行わなければなりません。経済的に厳しい状況であれば、まずは、受取人の変更から始めましょう。


離婚時には、親権者が受取人になるように受取人の変更の手続きをしましょう。契約人の変更も、できれば手続きした方がよいでしょう。

契約者死亡の場合:税金対策のために「契約者=受取人」にすべき

学資保険の手続きの際、契約者と受取人は同じ人にした方がよい、と聞いたことはありませんか。

これは、国税庁「生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき」で発表しているように受け取り時の税金に差が出てくるからです。

契約者が死亡した場合、「保険料払込免除特約」を受けるために手続きをしなければなりません。

この手続きは、後継保険契約者が進めていくことになります。

学資保険の契約時に、後継保険契約者を指定したと思いますが、ほとんどの場合、契約者が父がなら母、契約者が母なら父となっています。

後継保険契約者として、契約者の変更も受取人の変更も手続きすることになりますが、ここで注意することは、契約者と受取人を同じ人にするべきだ、ということです。


契約者が満期金を受け取ると、一時所得とされ「所得税」に分類されます。契約者以外の人が受け取ると、「贈与税」に分類されます。


このように、満期金を受け取る時に税金の種類が変わってくるので、契約者と受取人は同じ人にすると覚えておきましょう。

学資保険の受取人変更で気になる「税金」について解説

では、学資保険の契約者と受取人を同じにしておくと、どのくらい節税できるのでしょうか。

所得税と贈与税それぞれで計算された場合、税金がどれだけ変わってくるか、例を出しながら見ていきましょう。

契約者と受取人が同じ場合、満期金は一時所得とされ「所得税」となります。

しかし、一時所得には50万円の特別控除枠があり、50万円以下であれば税金はかかりません
  • 満期保険金:300万円
  • 支払い保険金総額:約270万円
  • 返戻率:110.0%
  • 満期保険金と支払い保険金の差:約30万円
  • 所得税:0円
一方、契約者と受取人が別の場合、満期金は「贈与税」の対象となります。

親が子どもの教育資金や生活費を出すことは贈与の対象にはなりませんが、学資保険の受け取りには贈与の対象となってしまうので、注意が必要です。

ただし、贈与税には110万円の基礎控除枠があるので、贈与額がかかるのは110万円を超えた場合のみです。
  • 満期保険金:300万円
  • 贈与税の基礎控除:110万円
  • 贈与税の対象となる金額:190万円
  • 贈与税:190,000円(200万円以下10%)
学資保険の満期金を、所得として受け取った場合と、贈与として受け取った場合では、支払う税金に大きな違いが出てきます。

学資保険は、契約者と受取人を同じにして大きく節税しましょう。

契約者と受取人が同じ場合は所得税の課税対象になる

契約者と受取人を同じにしておくと、学資保険の満期金は「所得税」として受け取ることができる、とお話ししました。

学資保険の満期金を「所得」として受け取る場合、所得税がかかかるかどうかは、このように計算します。

満期金-払込保険料総額>50万円

満期金と払込保険料の総額の差が、50万円を超えない限り所得税を払う必要はありません。


満期金が300万円であっても、払込した金額が270万円程なら、差額は30万円程度になり、50万円を超えないので所得税を払う必要はありません。


現在の学資保険の返戻率で計算すると、満期まで払込していれば、所得税の課税対象となる50万円以上になることは珍しいでしょう。


しかし、所得税を支払う可能性があるのは、契約初期で契約者が死亡した場合です。


例えば、被保険者(子ども)5歳、契約から5年で契約者(夫)が亡くなった場合

  • 払込保険料総額:900,000円(月額15,000円×5年)
  • 満期金:2,000,000円
  • 満期返戻金や祝い金と払込保険料総額の差額:1,100,000円
  • 所得税:110,000円(所得税10%)

このように、満期金と払込保険料の総額の差が、50万円を超える場合は、所得税として10%の税金を収めなければなりません。


このように、契約初期で契約者である夫が亡くなった場合は、所得税の課税対象になる可能性が高い、と覚えておきましょう。

契約者と受取人が異なる場合は贈与税の対象になる

契約者と受取人が異なる場合、贈与税の対象になり税金が多くかかってくる、とお話ししましたが、具体的にどのように計算されるのでしょうか。

契約者と受取人が異なる場合、学資保険の満期金に対する贈与税の計算方法を見ていきましょう。

贈与税には110万円の基礎控除枠があるので、贈与額がかかるのは110万円を超えた場合のみです。

ですから、贈与税の対象となる金額は、贈与された金額(満期金)から基礎控除額110万円を差し引いた金額です。次に、その差額に当てはまる税率を掛けて、控除額を計算します。


贈与税の課税率は以下のようになります。


●贈与税の課税率

基礎控除後の
課税価格
課税率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1000万円以下40%125万円
1000万円超50%225万円


●契約者と受取人が異なる満期金300万円を受け取った場合

  • 300万円(満期返戻金)-110万円(基礎控除)=190万円
  • 190万円(贈与税の対象額)×10%(贈与税200万円以下)=190,000円
  • 贈与税:190,000円

上記でも説明しましが、同じように満期金300万円を受け取っても、契約者が受取人と同じだと税金は0円、契約者以外だと税金は19万円になり、大きな差ができてきます。

まとめ:離婚の際は学資保険の受取人変更をすべし

学資保険の受取人変更について見てきましたが、いかがでしたか。


離婚するときや契約者が亡くなったときは、学資保険の受取人変更手続きが必要です。


その際には、以下のことに気をつけて手続きしましょう。

  • 離婚するときには、親権者と受取人を同じにして、後々のトラブルを回避しましょう。
  • 契約者が亡くなったときには、契約者も受取人も同じ人に変更しましょう。
  • 契約者と受取人を同じにしておくと、節税になります

学資保険の受取人変更手続きの手続きはまず、保険会社へ連絡するところから始まります。


離婚の場合は契約者契約者が亡くなった場合は後継保険契約者が手続きをします。被保険者である子どもの同意も必要です。


必要書類については各保険会社によって違うので、保険会社に確認しましょう。


契約者と受取人が同じ場合、所得税の対象となり、契約者と受取人が別の場合、贈与税の対象となります。


契約から数年で契約者が死亡してしまった場合以外は、現在の返戻率では、所得税の対象となりにくいため、契約者と受取人を同じにしておくことがおすすめです。


学資保険は子どもの教育資金のための貯蓄です。将来子どもが安心して勉学に励めるよう、環境を整えておきたいものですね。

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