更新日:2021/02/23
生命保険の配当金には税金がかかる?確定申告は必要?徹底解説!
生命保険の配当金は原則として課税されませんが、生命保険金と共に配当金を受ける場合は、配当金を加えた生命保険金に対して税金が課せられます。また、納付しなければならない税金も、契約者、被保険者、受取人が誰かによって変わります。
目次を使って気になるところから読みましょう!
生命保険の配当金に税金はかかる?確定申告は必要?
- 生命保険の配当金の受け取り方
- どの受け取り方だと税金がかかるのか
- 配当金を受け取ったら年末調整や確定申告は必要なのか
生命保険の配当金をいつ受け取るかで税金の有無が決まる
- 生命保険契約期間中に受け取る配当金
- 生命保険金の支払開始日から受け取る配当金
- 保険金と同じ時に受け取る配当金
生命保険の契約期間中に配当金を受け取った場合
生命保険金の支払開始日から配当金を受け取った場合
生命保険金の支払開始日か配当金を受け取った場合、
- 年金受取では「雑所得」
- 一括受取では「一時所得」
として所得税が課税されます。
一時所得の課税についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
満期保険金と一緒に配当金を受け取った場合は課税対象
一方、満期保険金と配当金(積立配当)を一緒に受け取った場合は、満期保険金に配当金を含め、一時所得として所得税・住民税の対象となります。
また、個人年金保険で配当が保険金買増方式の場合は、毎年受け取る年金は雑所得として所得税・住民税の対象となります。
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配当金の受け取り方には4種類ある
配当金の受け取り方は以下の通りです。
方法1:積立配当
配当金を生命保険会社に積み立てておくやり方で利息が付きます。
途中での引き出しも可能です。生命保険が満期となった場合や、被保険者の死亡の場合に、生命保険金と一緒に受け取ります。
方法2:保険金買増
配当金を一時払い(保険契約時に保険期間の保険料全部を1回払いで払い込む方法)の保険料として保険を買い増ししていくやり方です。
方法3:相殺配当
配当金と支払保険料を相殺するやり方です。配当金分の保険料負担が軽減されます。
方法4:現金支払い
配当金を現金で受け取るやり方です。
生命保険の配当金にかかる税金の種類について
生命保険金と一緒に受け取る配当金は、生命保険金の額に含めて税金の対象になります。
税金の種類は保険契約者(保険の加入申し込みをした人で保険料を支払う人)、被保険者(補償を受ける人)、受取人(保険料を受け取る人)が誰になるかによって異なり、所得税、贈与税、相続税のいずれかが課税されます。
なおここでは触れませんが、法人が生命保険の配当金を受け取ったときは益金算入となり、法人税が課税されます。
所得税の場合
{(満期保険金+配当金)ー支払った保険料ー特別控除(最大50万円)}×1/2
以下では具体例を挙げて説明します。
- 保険契約者:夫
- 被保険者:妻
- 受取人:夫
保険契約者・養老保険(満期保険金)の受取人が夫で、被保険者が妻とします。
満期保険金が650万円で、配当金が50万円、保険期間20年、支払保険料2.5万円(月額)で、本人が支払う所得税は、
((650万円+50万)-2.5万円×12月×20年-50万円(特別控除))×1/2=25万円(所得税額)
となります。
贈与税の場合
以下では具体例を挙げて説明します。
- 保険契約者:夫
- 被保険者:夫
- 受取人:妻
妻が満期保険金の受取人場合には、一般贈与が適用されます。
一般贈与の計算方法は、受け取った保険金が110万円(基礎控除額)を超えた部分に一般贈与の税率をかけ、一般贈与の速算控除額を差し引くという仕組みです。
例えば満期保険金が650万円、配当金が50万円の場合、
(650万円+50万)-110万円(基礎控除額)=590万円(基礎控除後の課税価格)
590万円(基礎控除後の課税価格)×30%(税率)-65(速算控除額)=112万円(贈与税額)
となります。
相続税の場合
以下では具体例を挙げて説明します。
- 保険契約者:夫
- 被保険者:夫
- 受取人:妻
相続税の計算方法は、受け取った保険金について500万円×法定相続人の数が非課税限度枠となります。
例えば、夫の死後、法定相続人となる方が妻と子で満期保険金が650万円、配当金が50万円の場合、
500万円×2=1,000万円
(650万円+50万)-1,000万円=0
結果、非課税となります。
なお、死亡保険金の支払いが遅れた際に支払われる遅延利息は、相続税の計算対象ではなく、所得税(雑所得)の計算対象となります。
生命保険の配当金についての注意点
年末調整を行う際に記載する「生命保険料控除」、1月1日から12月31日まで支払った保険料が対象ですが、この期間内に受け取った配当金がある場合は、配当金額が差し引かれた生命保険料が対象となります。
配当金を受け取ったら年末調整・確定申告は必要?
契約期間中に受け取った配当金は、支払い保険料から控除され税金がかかりません。ただし、保険金と共に配当金を受け取った場合は、申告が必要な場合があります。
年末調整とは
年末調整とは、会社員や公務員等の給与所得者に対して事業者が支払った1月~12月分の給料、賞与や賃金及び源泉徴収した所得税等の税金を、原則として12月の最終支払日に再計算し、所得税の過不足を調整することを言います。
この年末調整では生命保険料控除の手続きも行われます。
年末調整の記載方法
「給与所得者の保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」に記載します。
生命保険に関しては、生命保険会社より保険料控除証明書が郵送されてきます。
この保険料控除証明書を参考に申告書へ記載していきます。
保険料控除証明書に記されている「年間一般年金保険料」から配当金を控除された額である「一般申告額」を申告書に記載します。
満期保険金と共に配当金を受け取った場合
もともと自営業者のように所得税を確定申告をしている方や、保険契約者と受取人が違い110万円を超える満期保険金を受け取り、贈与税の申告が必要な方は、満期保険金に配当金の額を含めて課税対象となります。
一方、会社員のように確定申告が不要な給与所得者は、配当金を加えた満期保険金による一時所得が20万円を超える場合、または給与以外にその他の所得があり、満期保険金+配当金の一時所得との合計額が20万円を超える場合は確定申告をする必要があります。
なお、個人年金保険の受け取りを開始した場合も、年金年額に配当金を加えた額が所得税(雑所得)の対象になります。
源泉徴収税がかかる場合がある?
まとめ:生命保険の配当金にかかる税金について
- 生命保険の配当金の受け取り方には4種類ある
- 受け取り方によって、税金がかかる場合とかからない場合がある
- 保険金とともに配当金を受け取った場合は、年末調整もしくは確定申告が必要となる
ただし、一緒に保険金と受け取る場合には課税対象となってします。
そのため、税金の計算をする際に、保険商品が有配当の場合には保険金に必ず配当金を含めて計算しましょう。
税金には、非課税枠を設けている場合が多いので、配当金を加えるのを忘れて計算すると、課税される生命保険金も非課税と勘違いしてしまう場合もあります。
ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。