外貨建て保険の税金の全知識!為替差益の課税や円建てとの違いとは?

外貨建て保険の受け取りで発生する税金は、基本的には円建て保険の税金と変わりません。ただし、外貨建て保険の保険金や返戻金、満期金を外貨で受取った場合の税金は、円建て保険には無い特有の課税ルールが適用されます。記事の最後では保険金の損しない受取り戦略も解説します。

外貨建て保険の税金について徹底解説

資産運用としてとして生命保険に加入していた場合、満期保険金などで得た利益には税金がかかります。


しかし外貨建て保険なら、運用益にプラスして為替による差益があるはずです。


外貨建て保険で資産が増加しても、税金がいくらかかるのか心配になってしまいますよね。


実は外貨建て保険には、円建て保険とは異なる税金のルールがあります


そこで、この記事では外貨建て保険にかかる税金について、

  • 外貨建て保険で受け取ったお金への課税方法
  • 外貨建て保険も生命保険料控除で税金が安くなる?
  • 外貨建て保険で得た外貨を円に替えるタイミングとは

以上のことについてお伝えしていきます。


この記事を読めば外貨建て保険の課税方式が理解でき、もっとも損をしない受け取り方を知ることができるはずです。


ぜひ最後までご覧ください。

外貨建て保険の解約返戻金、満期保険金の税金について

外貨建て保険の解約返戻金満期保険金にかかる税金には、どのようなルールが設けられているのでしょうか。


ここからは、外貨建て保険にかかる税金の基本を知るため、

  • 外貨建て保険の課税形式は円建てと異なるのか
  • 為替差益にかかる税金はどのように計算されるのか
  • 年金形式で受け取った場合の税金の計算方法

以上のことについてお伝えしていきます。

外貨建て保険の課税形式は円建ての場合と同じ

外貨建て保険の課税ルールは、基本的に円建て保険と同じです。


生命保険の課税には基本的な3種類があり、保険料負担者と保険金受取り人によって課税種類が異なります。

課税種類契約者被保険者受取人
相続税AAB
所得税ABA
贈与税ABC

解約返戻金には、支払い保険料と受取り金額の差分(利差益)に所得税か贈与税が課税されますが、早期解約で元本割れするなど課税にならないケースもあるようです。


また、死亡保険金にかかる相続税に関しては、「基礎控除+相続税控除」の金額を差し引いた課税部分で相続税が計算されます。


外貨建保険には、保険料の払込みや保険金の受け取りを円で行うための特約が付帯されています。


この特約により保険料や受取金が円でやり取りされているなら、その実際に払った円の額にもとづいて税金を納めることになります。


外貨のまま受け取った場合の税金には細かいルールがありますが、それについては後述します。

外貨建て保険の為替差益に対する課税はどうなる?

外貨預金などの為替差益は「雑所得」とされ、その金額によっては税金を納める必要があります。


しかし外貨建て保険の為替損益は、

  1. 支払済保険料を支払時のレートで計算
  2. 受取保険金を受取時のレートで計算
  3. その差額を、満期保険金や解約返戻金なら「一時所得」年金なら「雑所得」として計上する

という手順で、運用益と為替差益をまとめた金額に基づいて総合課税されます。


運用益と為替差益を分けて計算することはせず、一緒にして税金を課してしまうということですね。

年金形式での受取りの場合は?為替レートの適用について

ただし、外貨建の個人年金保険を年に何度も受け取るなら「受け取り時のレート」は使われなくなります。


この場合は、その年に支給される個人年金の全額が「その年最初の年金支払日の為替レート」を使って計算されます。


なぜ、受け取るたびに為替差益を計算しないのでしょうか?


実は、1年の間に受け取る個人年金に発生する利益が25万円以上なら、その利益に対して源泉徴収が必要となります。


しかし、もし「毎月○ドルを支給」というような年に複数回受け取る形式の年金なら、それぞれの受け取り時の為替差益を事前に知ることは不可能です。


よって、源泉徴収の可否の判断をする都合から、初回支払時のレートを使って1年分の為替差益をあらかじめ確定させているのです。 

外貨建て保険の生命保険料控除で所得税が減額?

外貨建て保険で払い込んだ保険料は、円建ての生命保険の場合と同じく生命保険料控除の対象となります。


控除対象となる生命保険料はケースに応じた為替レートで円に直され、その保険の種類によって

  • 一般生命保険料
  • 介護医療保険料
  • 個人年金保険料

これら3つに区分されます。


各区分ごとの所得税と住民税の控除額は、以下のように計算されます。


所得税の場合

年間払込保険料控除される額
2万円以下全額
2万円超4万円以下(年間払込保険料×1/2)+1万円
4万円超8万円以下(年間払込保険料×1/4)+2万円
8万円超一律4万円

住民税の場合

年間払込保険料 控除される額 
1万2,000円以下全額
1万2,000円超3万2,000円以下(年間払込保険料×1/2)+6,000円
3万2,000円超5万6,000円以下(年間払込保険料×1/4+1万4,000円
5万6,000円超一律2万8,000円

なお、すべての区分の控除額を合計して「所得税12万円/住民税7万円」が限度となっています。 


年末調整や確定申告によって所定の書類を提出すれば、生命保険料控除によって節税対策のメリットを享受することができます。


参考:国税庁ホームページ

外貨建て保険の出口戦略と税金

ここまでは、外貨建て保険にかかる税金の計算方法と生命保険料控除についてお伝えしてきました。


大きく為替が変動した場合、タイミングを間違えれば多額の税金を払うことにもなりまねません。


そこで、ここからは「どのタイミングで外貨建保険を円に戻せば良いのか」という、外貨建て保険の出口戦略について考えていきましょう。 

為替レート次第で受取り通貨を変更!据置機能を活用しよう

外貨建て保険の出口戦略の基本的な方法は「外貨のままで受け取り、為替レートを見つつタイミングを見計らって円転する」ということです。


外貨建て保険のほとんどは、外貨のままで受け取ることができます。


そのときに円高になっていても、外貨のままで持っている限り為替損益は確定しません。


もし海外旅行や子供の留学などでその通貨を使う予定があるなら、外貨のまま取っておくというのも一つの方法です。


外貨の形で保有していても使い道がない場合は、円安になるのを待って円に両替すると良いでしょう。


外貨建て保険には据置機能があり、いったん満期を迎えても外貨のまま保険会社に預けておくことができます。


これを利用すれば、引き出し時に銀行の外貨預金より安い為替手数料で円に両替できるという利点があります。


また、寝かせておくだけはもったいないという人は、その外貨で別の外貨建て保険に加入することも可能です。


保険料支払いの際に為替手数料が要らないというメリットがあります。


この場合は「保険料を支払った日の為替レート」と「金融商品を購入した日の為替レート」にもとづいて運用益を含めた利益を計算し、一時所得または雑所得とします。

外貨受取りした場合の課税評価はどうなる?

外貨建て保険の保険金などを外貨のまま受け取った場合は、保険料払込日と受け取った日の為替レートの差によって為替差益が決定します。


ただし「保険金の受け取り事由」や「対象となる税金」によって、換算基準日換算時為替レートは以下のように異なります

受取事由換算基準日換算時為替レート
保険金(相続税・贈与税対象)支払事由該当日最終のTTB 
保険金(所得税対象)支払事由該当日最終のTTM 
解約返戻金(源泉分離課税)効力発生日最終のTTB 
解約返戻金(源泉分離課税以外)効力発生日最終のTTM

源泉分離課税とは「受取時に利益から所得税15%/住民税5%が差し引かれる」という課税方式で、契約から5年以内に満期や解約となった一時払の保険などが対象になります。


また換算時為替レートは、為替手数料を含んだ通貨の変換レートのことを指します。

  • TTB:顧客側が外貨を円に替えるためのレート
  • TTS:顧客側が円を外貨に替えるためのレート
  • TTM:通貨変換の基準レート(基準値)

他の保険商品で資産形成!FPさんと出口戦略について相談しよう

外貨建て保険の満期保険金をどうするべきか分からない方は、保険のプロであるFPへの相談をおすすめします。


FP(ファイナンシャルプランナー)は、保険や税金などの人生に関わるお金についてのプロフェッショナルです。


外貨保険にかかる税金の構造は複雑ですから「他の保険商品に加入するべきか」「すぐに円に替えておくべきか」を選ぶのはなかなか難しいかと思います。


FPなら、あなたの持つ外貨を最大限活かす方法を教えてくれるはずです。


ほけんROOMの「マネーキャリア相談」では、外貨建保険について無料でFPさんに相談することができますので、活用してみてはいかがでしょうか。

外貨建て保険の税金についてまとめ

外貨建て保険にかかる税金についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは、

  • 外貨建て保険の課税形式は円建てと同じだが、受け取り方により使われる為替レートが異なる
  • 外貨建て保険の保険料も生命保険料控除の対象となる
  • 外貨のまま受け取った場合は、為替レートに関する細かいルールがある

以上のことでした。


外貨には為替リスクがつきものですが、保険金や解約返戻金の受け取り方を工夫することで、ある程度リスクを回避することも可能です。


相続税や老後資金・教育資金などへの対策として、外貨保険をうまく活用していきましょう。


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ぜひご覧になってください。

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