遺族年金の確定申告は不要!所得に含まれず税金もかからない

配偶者が亡くなった際に受け取れる遺族年金ですがこれは収入と見なされません。そのため非課税で、確定申告は不要です。ここでは例外として相続税のかかる遺族年金の種類や課税対象となる他の年金の種類を説明し、遺族年金と確定申告に関する疑問を解決していきたいと思います。

遺族年金の確定申告は不要?

遺族年金を受給している場合、確定申告は必要なのでしょうか。


結論から言うと、遺族年金は非課税のため、基本的には確定申告が不要です。


ただし、遺族年金にプラスして給料や他の年金を受け取っている場合は年末調整や確定申告が必要になるケースがあるので注意しましょう。


この記事では、

  • 非課税である遺族年金の概要
  • 所得税はかからないが相続税はかかる遺族年金の種類
  • 年金受給者の確定申告不要制度の概要
  • 年金受給者で確定申告が必要となるケース
  • 雑所得として課税対象になる公的老齢年金
  • 遺族年金に関するQ&A集
について、解説していきます。

この記事を読んでいただければ、遺族年金と確定申告の全体像が分かり、確定申告する際のポイントも掴めると思います。

ぜひ、最後までご覧ください。


遺族年金は基本的に非課税、確定申告の必要はない

遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった人が亡くなった時に遺族が受給できる年金です。

遺族年金には、遺族基礎年金遺族厚生年金があり、亡くなった人の年金納付状況等により、いずれかまたは両方の年金が支給されます。

遺族年金は非課税であるため、基本的に年末調整や確定申告の必要はありません。

ここでは、以下について説明していきます。
  • 非課税である遺族年金の概要
  • 所得税はかからないが相続税のかかる遺族年金

遺族基礎年金・遺族厚生年金・寡婦年金は非課税であり、給与に含まない

公的年金である国民年金・厚生年金・私学共済等から支給される遺族年金は非課税であり、所得税相続税もかかりません。

非課税に該当する公的年金等は以下になります。

  • 遺族基礎年金
  • 遺族厚生年金
  • 寡婦年金
  • 死亡一時金

遺族年金を受給しながら、給料または他の公的年金を受け取っている場合の課税については、以下のようになります。


夫を亡くした妻が遺族年金を受給しながら働いて給料を貰っている場合

給料は給与所得として課税対象になりますが、遺族年金は非課税です。


年末調整や確定申告では、遺族年金の金額を申告する必要はありません。


夫を亡くした妻が遺族厚生年金+老齢年金を併給している場合

老齢年金は雑所得として課税対象になりますが、遺族厚生年金は非課税です。


確定申告をする場合、遺族年金の金額を申告する必要はありません。


参考:国税庁「No.1605 遺族の方に支給される公的年金等

例外として相続税のかかる遺族年金

国民年金・厚生年金・私学共済等の遺族年金以外で、以下の年金等を遺族が受給する場合、所得税はかかりませんが、相続税はかかります。

相続税のかかる遺族年金
  • 確定給付企業年金から遺族に支給される年金
  • 特定退職金共済団体の退職金共済から遺族に支給される年金
確定給付企業年金とは、会社が拠出から給付までの責任を負う企業年金制度です。

従業員が受け取る給付額はあらかじめ約束されていて、会社が運用の責任を負い、運用結果が悪ければ、その不足分を穴埋めします。

特定退職金制度とは、個人事業主または法人が、特定退職金共済団体(商工会議所・商工会・商工会連合会等)と退職金共済契約を締結することで、特定退職金共済団体から被共済者(従業員)に直接退職金等の給付を行う制度です。

平成24年開始、年金受給者の確定申告不要制度とは?

年金受給者の申告手続の負担を減らすため、公的年金等に係る「確定申告不要制度」が設けられています。

この制度の対象となった場合、所得税の確定申告をする必要はありません。

ただし、確定申告で各種控除が適用される場合、所得税が還付されるので、確定申告をするのがおすすめです。

また、年金支給額から特別徴収(天引き)される住民税についても、注意点を見ていきましょう。

ここでは、以下の内容について説明していきます。
  • 確定申告不要制度の概要と対象者
  • 確定申告不要制度の対象者でも申告が必要なケース
  • 住民税の申告が必要になるケース

確定申告不要制度の対象者

確定申告不要制度の対象者は、以下の1と2に該当する人です。

  1. 公的年金等の収入金額合計が400万円以下であり、かつ、それらの公的年金等の全てが源泉徴収の対象である
  2. 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である

1の「公的年金等」とは、以下のようなものを指します。

  • 老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金・老齢共済年金)
  • 恩給
  • 確定給付企業年金

2の「公的年金等に係る雑所得以外の所得」とは、以下のようなものを指します。

  • アルバイト給料:給与所得
  • 株式投資収入:譲渡所得
  • 不動産収入・家賃収入:不動産所得
  • 生命保険の満期保険金:一時所得
  • 個人年金保険の年金:雑所得
  • 原稿料・講演料等:雑所得

これらの収入金額を所得の種類別に分け、各種控除や必要経費などを引き、種類ごとの所得金額を計算します。


種類ごとの所得金額を合計して20万円を超える場合は、確定申告不要制度の条件を満たせないため、確定申告が必要になります。


参考:政府広報オンライン「ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度

確定申告不要制度の対象者でも申告が必要な場合は?

確定申告不要制度の対象者でも、以下の1~3に該当する場合は確定申告を行う必要があります。


1.所得税の還付を受ける場合

公的年金等から所得税が源泉徴収されている人で、以下のような所得控除を受ける場合は、確定申告をすることにより所得税の還付が受けられます。


所得控除が受けられる例

  • 医療費控除:医療費の支払い
  • 生命保険料控除:生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の支払い
  • 地震保険料控除:地震保険料の支払い
  • 住宅ローン控除:住宅の購入やリフォームのための住宅ローン借入
  • 寄附金控除:特定寄附金(「ふるさと納税」含む)の支払い

2.人的控除に追加や変更がある場合

公的年金等の源泉徴収票」に記入されている人的控除(障害者控除、寡婦・寡夫控除、配偶者控除、扶養者控除等)に追加や変更がある場合は、確定申告で修正します。


源泉徴収票の「本人」「控除対象配偶者の有無等」「控除対象扶養親族の数」「本人以外の障害者の数」欄を確認しましょう。


3.外国の公的年金を受給している場合

外国において支払われる公的年金等(米国年金等)は源泉徴収の対象とならないため、確定申告を行う必要があります。

注意:住民税の申告は別で必要

所得税の確定申告が不要または行わない場合であっても、以下に該当する人は住民税の申告が必要になる場合があります。


公的年金等に係る雑所得のみがある人で各種控除を受ける場合

「公的年金等の源泉徴収票」に記入されている控除(社会保険料控除・配偶者控除・扶養控除・基礎控除等)以外の各種控除の適用を受ける場合は、住民税の申告が必要です。

各種控除とは、前述の通り、医療費控除・生命保険料控除・地震保険料控除・住宅ローン控除等が挙げられます。


公的年金等に係る雑所得以外の所得がある場合

「公的年金等に係る雑所得以外の所得」とは、前述の通り、アルバイト給料(給与所得)・株式投資収入(譲渡所得)・不動産収入・家賃収入(不動産所得)・生命保険の満期保険金(一時所得)等が挙げられます。


なお、所得税の確定申告をした場合は、税務署から地方公共団体に確定申告書等がデータで送信されるため、改めて住民税の申告書を提出する必要はありません。

所得税が源泉徴収される年金の種類は?

所得税が源泉徴収される年金は、以下のようなものが挙げられます。


公的年金等に係る雑所得

  • 国民年金・厚生年金・共済年金等
  • 一時恩給以外の恩給
  • 適格退職年金契約による年金

上記以外の雑所得

  • 生命保険会社が扱う個人年金保険の個人年金等

一方で、遺族年金・障害年金は非課税であり、税金はかかりません。


ここでは、以下の内容について説明していきます。

  • 雑所得として課税対象となる公的老齢年金について
  • 非課税である障害年金・遺族年金について

公的老齢年金は「雑所得」と見なされ、課税対象

公的年金等の収入金額は、「公的年金等に係る雑所得」と見なされて課税対象となり、他の所得と合算した上で所得税が計算されます(総合課税)。


公的年金等に係る雑所得は、以下のように計算されます。

公的年金等に係る雑所得=公的年金等の収入合計額×割合-控除額

65歳未満の速算表(2019年)

公的年金等の収入合計額割合控除額
700,001円から1,299,999円まで 100%700,000円
1,300,000円から4,099,999円まで75%375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで85%785,000円
7,700,000円以上95%1,555,000円

公的年金等の収入合計額が700,000円までの場合、所得金額は0円です。


65歳以上の速算表(2019年)

公的年金等の収入合計額割合控除額
1,200,001円から3,299,999円まで100%1,200,000円
3,300,000円から4,099,999円まで75%375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで85%785,000円
7,700,000円以上95%1,555,000円

公的年金等の収入合計額が1,200,000円までの場合、所得金額は0円です。


参考:国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係

障害年金は遺族年金と同じで非課税

障害年金とは、病気やケガによって生活や仕事等が制限されるようになった場合、現役世代の人も含めて受給できる年金です。

障害年金には、障害基礎年金・障害厚生年金があり、初診日に国民年金に加入していた場合は障害基礎年金が受給でき、厚生年金に加入していた場合は障害厚生年金が受給できます。

障害年金は遺族年金と同じく、所得税法において非課税とされています。

そのため、障害年金や遺族年金の受給者には源泉徴収票は送付されず、所得税住民税がかからない上に、相続税贈与税もかかりません。

この理由は、遺族年金は生活を支えていた家族を亡くした遺族の生活保障、障害年金は障害によりこれまで通りに働けなくなったことによる生活保障の意味合いがあるためです。

遺族年金と確定申告に関するQ&A

遺族年金と確定申告に関して、多く見られる疑問・質問を3つご紹介します。

  1. 遺族年金の受給者が医療費控除を受けたい場合の対応
  2. 遺族年金の受給者が所得税法上の扶養親族になる要件
  3. 遺族年金の受給者が健康保険上の被扶養者になる要件

1点目では、遺族年金の受給中に医療費が高くなった場合、確定申告で医療費控除を受ける方法について説明します。


2・3点目では、遺族年金の受給者を扶養親族にしたい場合の対応について説明します。


扶養親族は所得税法上健康保険上の2種類があり、それぞれ定義要件が異なるので、その内容を見ていきましょう。


また、扶養親族になるメリット・デメリットもご紹介します。

Q1:遺族年金の受給者は医療費控除を受けられる?

遺族年金は非課税であり、確定申告が不要なため、遺族年金のみを受給している場合は医療費控除を受けることはできません。


その理由は、医療費控除は課税所得の控除であり、課税所得ではない遺族年金から控除することができないためです。


ただし、遺族年金に加えて、パート収入や他の公的年金等の収入がある場合は、確定申告により医療費控除を受けることができます。


この場合、収入の合算に遺族年金の金額は含めず、パート収入と公的年金等の収入のみを合算して医療費控除を受けることになります。


また、医療費控除は生計を一にする配偶者やその他の親族の医療費をまとめることができるため、収入のある人の確定申告により医療費控除を受けることも可能です。

Q2:遺族年金を受け取っている人を扶養家族にすることは可能?

遺族年金を受給している人を所得税法上の扶養親族にするには、以下の定義と要件を満たす必要があります。


所得税法上の扶養親族の定義

  • 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)
  • 都道府県知事から養育を委託された児童(里子)
  • 市町村長から養護を委託された老人

所得税法上の扶養親族になるための要件

  • 納税者と生計を一にしている
  • 年間の合計所得金額が38万円以下(給与のみの場合は給与収入103万円以下)
  • その年に事業専従者としての適用を受けていない

年間の合計所得金額は、1月1日~12月31日の分で、遺族年金の金額は含まれないため、扶養親族になれる可能性は高いと言えます。


税法上の扶養親族になると、扶養控除が適用されるため、所得税・住民税が節税できるメリットがありますが、介護保険料が高くなるというデメリットもあります。

Q3:遺族年金を受け取っている人を健康保険上の扶養家族にすることは可能?

遺族年金を受給している人を健康保険法上の被扶養者にするには、以下の定義と要件を満たす必要があります。


健康保険法上の被扶養者の定義

  • 別居でも可:配偶者・子・孫・父母・祖父母・曾祖父母・兄弟姉妹
  • 同居が条件:上記以外の3親等内の親族、事実婚の相手の父母および子

健康保険法上の被扶養者になるための要件

  • 主に被保険者の収入で生計を維持されている
  • 年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)
  • 同居の場合:被保険者の年間収入の半分未満
  • 別居の場合:被保険者からの仕送り額未満

年間収入は被扶養者になる日から1年間の分で、遺族年金の金額も含まれるため、所得税法上の場合に比べて、要件が多くなっています。


健康保険法上の被扶養者となった人は、健康保険料の納付がなくなるいうメリットがありますが、介護保険料が高くなるというデメリットもあります。


別居中の遺族年金についてはこちらで詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。

まとめ:遺族年金は税金がかからないので確定申告の必要なし

遺族年金は非課税のため、基本的には確定申告が不要であることを説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは、

  • 遺族年金は非課税のため確定申告は不要
  • 確定給付企業年金と特定退職金共済の年金は例外として相続税がかかる
  • 年金受給者が確定申告不要制度に該当する場合、確定申告は不要
  • 各種控除を受けて所得税の還付を受ける場合は確定申告が必要
  • 確定申告をしない場合、住民税の申告が別で必要になるケースがある
  • 公的老齢年金は雑所得として課税される
  • 遺族年金受給者を扶養親族にするには税法上・健康保険上で要件が異なる

でした。


遺族年金は非課税であり、所得税はかかりませんが、例外として相続税がかかるものがあるので注意しましょう。


また、遺族年金受給者は基本的に確定申告は不要ですが、他の所得がある場合は確定申告が必要になるケースがあります。


ただし、その際は他の所得のみ課税対象となり、遺族年金は課税されないので、遺族年金の申告は必要ありません。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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