個人年金保険は確定申告が必要?かかる税金や注意点を徹底解説!

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個人年金保険で受け取る年金は確定申告が必要であることをご存知でしたか?課税対象にもかかわらず申告を怠るとペナルティが課され、無駄な損失となる可能性があります。そこで今回は、確定申告が必要・不必要なケースや申告時に重要なポイントなどについて説明していきます。





▼この記事を読んでほしい人

  • 個人年金保険で受け取る年金は確定申告が必要なのかどうかわからない人
  • 確定申告が必要な個人事業主で個人年金保険に加入している人

▼この記事を読んでわかること

  • 個人年金保険の年金受取においては条件次第で確定申告が必要になる
  • 確定申告が必要なのに申告をしないことにはいくつものリスクがある

内容をまとめると

  • 個人年金保険の年金受取は所得になり経費や控除額を差し引いた額に課税される
  • 個人年金保険は受け取る人と契約者の関係性によって課税対象額が大きく変わる
  • 個人年金保険で確定申告をする際には控除証明書が必要である
  • 個人年金保険の年金受取で確定申告を怠ると無申告加算税や延滞税のリスクがある
  • 個人年金保険の確定申告に関してもっと詳しく知りたい方は、「マネーキャリア」の利用がおすすめ!最適な生命保険を無料オンライン相談で提案してくれます!

個人年金保険の受取時に確定申告が必要な場合とは?


民間の保険会社が販売する「個人年金保険」に加入して、老後に年金を受け取る場合、そのお金は「収入」になるため確定申告が必要だと考えている方も多いでしょう。


実際のところ、個人年金保険の年金受取時に確定申告が必要なケースは、

  1. 年間の受取年金額が必要経費を上回る
  2. 一括受取金額が払込保険料の合計額と特別控除額(50万円)の合計を上回る
  3. 年金受給権の評価額が贈与税の基礎控除額(110万円)を上回る
以上3つの条件に当てはまるかどうかがポイントになります。

個人年金保険の確定申告が必要なケースや不要なケースの判断が難しい点ではありますが、まずは確定申告が必要なケースについて詳しく解説していくので、参考にしていただければ幸いです。

①年間の受取年金額が必要経費を上回るとき

個人年金保険で受け取る年金は「雑所得」として計上し収入扱いとなるため、基本的には確定申告が必要です。

雑所得の計算式は

雑所得 = 総収入金額 - 経費

以上のとおりです。

雑所得の総額からは必要経費(保険料)が差し引かれます。

その必要経費額が年間の受取年金額を上回る場合は、確定申告が不要となります。

②一括受取金額が払込保険料の合計額と特別控除額(50万円)の合計を上回るとき

保険金にかかる税金は受取方法によって変わりますが、一括で受け取る場合は50万円の特別控除の対象となるため、受取額がこの50万円を超える場合は所得税が発生します。


ただし一括で受け取った年金がその50万円を超えるとしても、実際に課税対象となるのはその「2分の1」の金額となります。


まとめると、計算式は

課税対象額 = {(一括受取金額 ー 経費) ー 50万円} × 0.5

このようになります。

③年金受給権の評価額が贈与税の基礎控除額(110万円)を上回るとき

個人年金保険に伴う年金の受け取る権利が、契約者以外となっている場合には「贈与税」の対象となります。


贈与税にも110万円の基礎控除があるため、その金額を超えた分に課税されます。


基準となるのが「年金受給権の評価」を適用した場合の金額であり、

  1. 解約返戻金の金額
  2. 年金ではなく一時金で給付を受ける場合の一時金の金額
  3. 予定利率から算出された金額
上記3つのうち、もっとも多い金額が年金受給権の「評価額」となります。

公的年金等に係る確定申告不要制度とは?


ここまで取り上げたのは「個人年金保険」にかかる税金ですが、場合によっては公的年金として受け取るお金にも税金が発生するケースがあります。


大前提として年金受給者は「確定申告不要制度」の対象となり、

  • 公的年金等の収入:400万円以下
  • 公的年金以外の収入:20万円以下
以上2つの条件をクリアしている場合は、確定申告が免除されます。

ただし、所得税の還付やその他の控除を受ける場合は、確定申告または住民税だけでも申告が必要となります。

満期保険金の課税対象が所得税となる2つのケース


今までは個人年金保険における課税のされ方について取り上げてきましたが、個人年金保険以外の保険であっても同様の課税ルールが適用となります。


次からは生命保険という枠組みにおいて所得税がかかるケースについて、

  1. 満期保険金を一時金で受け取る
  2. 満期保険金を年金で受け取る
これらのケースを説明していきます。

①満期保険金等を一時金で受領した場合

満期保険金を「一時金」で受給した場合は「一時所得」となり所得税の対象となります。


一時所得は非営利での所得(収入)が対象となるので、

  • 宝くじで50万円当たった
  • 遺失物の報労金として50万円受け取った
  • 生命保険の保険金を一括で50万円受け取った

上記のいずれの場合も一時所得となりますが、少しでも営利行為がかかわっている結果生まれた利益等に関しては対象外となります。


これは個人年金保険の保険金を「一括で受け取る」のと同義であり、

  1. 所得額から50万円の一時所得特別控除が差し引かれる
  2. 特別控除を差し引いた額からさらに「2分の1」をする

以上のように計算されます。

②満期保険金を年金で受領した場合

満期保険金を「年金」で受給した場合は「雑所得」となり所得税の対象となります。


雑所得は①で挙げた「一時所得」には該当しない所得が対象となりますが、

  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
そのほかにこれらの所得のいずれにも該当していない必要があります。

ですから、一時所得および上のいずれにも当てはまらない「公的年金」が雑所得となるわけです。

これは個人年金保険を保険金を「分割(年金形式)で受け取る」のと同義であり、所得額から必要経費を差し引いた金額が課税対象です。

満期保険金の課税対象が贈与税となるケース


所得税の次は、贈与税が適用されるケースについても考えてみましょう。


それは、保険料負担者(契約者)と保険金の受取人が異なる場合です。

保険料の負担者と保険金の受取人が異なる場合

満期保険金を「一括」または「年金」いずれの方法で受給した場合でも、保険料を支払っている契約者と受取人が異なる場合は、贈与税の対象となります。


贈与税は主に遺産分配時にかかる税金ですが、保険金を受け取る権限が契約者以外に渡った場合も「財産が贈与された」とみなされ、受け取る保険金には贈与税がかかります。


注意したいのは、保険金を受け取る場合はこの「保険料負担者と受取人が異なる」ケースがもっとも税負担が高くなることが多い、という点です。


一例として、

  • 契約者:夫
  • 保険金:3,000万円
  • 保険料:300万円

以上のケースで、保険金を誰が受け取るかによって、どの程度課税対象額が変わるかを考えてみましょう。


まず「被保険者が妻であり、契約者の夫がそのまま保険金を受け取る」場合は、税金の種類が「所得税」、控除額が50万円、課税対象はその2分の1となるので、

(3,000万円 ー 300万円 ー 50万円)× 1/2 = 1,325万円


課税対象額は「1,325万円」となりました。


次に「契約者も被保険者も夫であり、妻と子どもが保険金を受け取る」場合は、税金の種類が「相続税」、控除額が法定相続人一人あたり500万円となるので、

3,000万円 ー (500万円×3) = 1,500万

「1,500万円」が課税対象額となりますが、相続税はさらに「3,000万円+一人あたり600万円」の基礎控除が適用になるため、最終的に税金はかからないことになります。


最後に「被保険者が妻であり受取人が子どもである」場合は、税金の種類が「贈与税」、控除額が「110万円」となるので、

3,000万円 ー 110万円 = 2,890万円

課税対象額は「2,890万円」となり、比較した中でもっとも重い課税がなされる受取方となってしまいました。


このように、保険金を受け取る人の設定次第によって大きく税額が変わるため、注意が必要です。

個人年金保険では受取方法や契約者との関係によって課税対象が異なる

個人年金保険で受け取る年金は、

  • 年金の受取方
  • 年金を受取る人と契約者(被保険者)との関係性
この2つの要素がどうなっているかで課税の種類が異なります。

どのように変わるかを受取方ごとにまとめる0と、
  1. 【一括】年金受取人 = 契約者(本人)である:所得税(一時所得)
  2. 【一括】年金受取人 = 契約者以外である:贈与税
  3. 【年金】年金受取人 = 契約者(本人)である:所得税(雑所得)
  4. 【年金】年金受取人 = 契約者以外である:贈与税
基本的には以上の4パターンとなります。

受取方で変わるのは「一時所得」になるか「雑所得」になるかどうかであり、そもそも受け取る人と契約者が異なる場合はいずれの場合も「贈与税」の対象となります。

注意:個人年金保険料控除を受けるには、確定申告の際に控除証明書が必要


個人年金保険は、支払った保険料が所得控除となる「生命保険料控除(個人年金保険料控除)」の対象です。


ただしこの所得控除を受けるためには、確定申告時に「生命保険料控除」欄への保険の種類や保険料等の記入が必要となりますが、その記載事項が正しいことを証明するための「控除証明書」も別途必要となります。


個人年金保険の場合は、保険会社から「個人年金保険料控除証明書」が発行されている場合こちらの書類を証明書として利用できます。


また、マイナンバーカードを発行済みの方は「電子的控除証明書(電磁的記録印刷書面)」をオンラインで取得し、e-Taxでの確定申告時に添付することも可能です。

個人年金保険の確定申告に関する4つの疑問


個人年金保険の確定申告に伴っては、控除証明書以外にも注意しておきたい点がいくつかあります。


そこで次からは、

  1. 個人年金保険の確定申告時の書き方は?
  2. 専業主婦が個人年金保険を受け取る場合、保険料控除の対象になる?
  3. 個人年金保険の確定申告が必要な場合、もししないとどうなる?
  4. 満期保険金が源泉分離課税になる場合は確定申告する?
これら個人年金保険の確定申告に関してよく抱かれる疑問を一つずつ解消していきます。

疑問①:個人年金保険を確定申告する際の書き方は?

個人年金保険を確定申告する際には、控除証明書等に記載されてある支払い年金額を「所得金額等」欄の「雑(所得)」部分に転記します。

e-Taxで申告をする際は、「雑所得」欄の「その他」に金額を入力します。

個人年金保険の年金はは公的年金等とは分けて記載する必要があるので注意しましょう。

疑問②:専業主婦が個人年金保険を受け取る場合、保険料控除の対象になる?

年収が48万円以下(給与は103万円以下)の専業主婦は夫の「配偶者控除」の対象になりますが、個人年金保険の年金を受け取ることで48万円を超える可能性があります。


48万円を超えると配偶者控除の対象外となり、「配偶者特別控除」の対象となるので注意が必要です。


これは「専業主夫」の場合も同様です。

疑問③:個人年金保険の確定申告が必要な場合、もししないとどうなる?

個人年金保険の確定申告が必要であるのにもかかわらず期限内に申告しないと、

  • 後で申告しても期限後申告となり無申告加算税が課される
  • 最高14.6%の延滞税が発生する
このようなペナルティを受けることになります。

会社員である場合は会社での年末調整時にまとめて申告ができますが、個人事業主等は自ら確定申告を行う必要があるため、忘れやすいです。

現在は「e-Tax」を用いて自宅にいながらオンラインでも申告が可能なので、まだマイナンバーカードを取得していない方はぜひ取得し、申告が遅れないように注意しましょう。

疑問④:満期保険金が源泉分離課税になる場合は確定申告する?

保険商品において満期が5年以内に訪れる金融類似商品」に関しては、所得となる金銭の支払い者が支払い時に所得税を源泉徴収する、「源泉分離課税」となる場合があります。


この場合、支払われた時点で所得額から「20.315%」がすでに差し引かれているため、確定申告を行う必要はありません


5年以内に満期を迎える保険として挙げられるのは、

  • 一時払変額保険
  • 一時払養老保険
  • 一時払個人年金保険(5年以内に解約)
このような保険です。

個人年金保険の仕組みは複雑!確定申告が不安な方はプロに相談してみよう



個人年金保険で「受け取る年金は課税対象となる」というのは当然なように思えて、保険の契約時には軽視しがちなポイントでもあります。


とりわけ個人事業主など確定申告の対象となっている方は、専門的な知識を持っている人に相談したい、と思われるかもしれません。


そこで利用できるのが、オンラインでFP(ファイナンシャルプランナー)などに相談ができる「マネーキャリア」という無料相談サービスです。


この相談サービスでは、個人年金保険の選び方から税金の扱いなどに関する様々な悩みをお金の「プロ」に相談し、解決することができます。


公式ページの申し込みフォームから相談予約を完了させれば、あとはLINE上でヒアリングや日程調整が完了するので便利です。


仕組みが複雑な個人年金保険について相談したいと思われる方は、ぜひ「マネーキャリア」を利用してみてはいかがでしょうか。

まとめ:個人年金保険に加入している場合は確定申告の有無を早めに確認


今回は個人年金保険の確定申告について取り上げてきましたが、いかがでしたでしょうか。


個人年金保険は国民年金の不足を補い老後をより豊かにするために有用な保険ですが、受取人によって変わる課税のされ方や確定申告に関して理解していないと、思わぬところで大きな損失となる可能性があります。


ぜひ今回取り上げた内容を把握しておき、これから個人年金保険への加入を考えられている方も「損の少ない受取方」ができる選択をしましょう。


ほけんROOMではこの記事以外にも役立つ記事を多数掲載していますので、ぜひご覧ください。

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