個人年金にかかる贈与税の回避方法を保険のプロが徹底解説!

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個人年金保険で受取る年金には、多額の贈与税が課される可能性があります。贈与税が所得税よりもかなりの高負担となることを理解すれば、確実に贈与税課税は回避したいと思われるでしょう。そこで今回は個人年金保険における贈与税の回避方法について、詳しく説明していきます。



▼この記事を読んで欲しい人

  • これから個人年金保険に加入を考えている方
  • 個人年金保険で受取る年金への贈与税を回避したい方

▼この記事を読んでわかること

  • 個人年金保険の年金にかかる贈与税の回避方法
  • 所得税と贈与税を比較した場合にどれだけ課税額が違うか

内容をまとめると

  • 個人年金保険の贈与税を回避するには、契約者と受取人を同一人物にする
  • 個人年金保険の年金にかかる贈与税額は所得税よりも大幅に重くなる
  • 個人年金保険の受取人は途中から変えられる
  • 贈与税の無申告はほぼ確実に発覚する
  • 贈与税を回避するために契約者を子どもにするという方法がある
  • 個人年金保険の年金にかかる贈与税に関してさらに詳しく知りたい方は「マネーキャリア」の利用がおすすめ!最適な生命保険を無料オンライン相談で提案してくれます!

個人年金の贈与税の回避方法:契約者と受取人を同じ人にする


老後の生活を「国民年金」だけで賄うことに不安を感じている方にとっては、誰もが個別で加入できる「個人年金保険」が強い味方となります。


しかし、実は個人年金保険は年金の「受取り方」ひとつで「贈与税」の対象となり、大きな課税がなされる、ということを知らない方も多いでしょう。


結論から言えば、個人年金保険で受取る年金に多額の贈与税がかからないように回避するためには、契約者と受取人を同じ人にすれば良いのです。


なぜなら、個人年金保険における保険金への課税は、保険料を支払っている契約者と異なる人が受取人である場合に、贈与税の対象となるからです。


では、それが具体的にどのようなしくみなのか、次から詳しく説明していきます。

個人年金は保険料支払いと年金受取人の設定によって税金の種類が変わる


個人年金保険は、「保険料を支払う人(契約者)」と、「年金を受取る人(受取人)」をどう設定するかで、かかる税金の種類が変わります。


具体的にどのようなケースで変化するか、

  1. 個人年金の受取に贈与税がかかるケース
  2. 個人年金の受取に所得税がかかるケース
これら2つのケースを考えてみましょう。

個人年金の受取に贈与税がかかるケース

個人年金における年金受取に贈与税がかかるのは、

  • 被保険者:夫 契約者:妻 年金受取人:夫
  • 被保険者:妻 契約者:夫 年金受取人:妻
このように、「契約者と年金受取人が別」である場合は贈与税が課税されます。

年金受取の場合は毎年贈与税がかかるわけではなく、2年目以降は所得税の対象となります。

しかし一括で受取ると、年金から贈与税の基礎控除額である「110万円」を差し引いた、残りのすべてが贈与税の課税対象額となります。

個人年金の受取に所得税がかかるケース

個人年金の受取に所得税がかかるケースは、

  • 被保険者:夫 契約者:妻 年金受取人:妻
  • 被保険者:妻 契約者:夫 年金受取人:夫
このように、「契約者と年金受取人が別」である場合は所得税が課税されます。

さらに所得税は、年金の受取形式によって、
  • 年金受取:「雑所得
  • 一括受取:「一時所得
このように勘定科目が変わり、所得とみなされる金額の計算式も
  • 雑所得 = 総収入額 ー 必要経費
  • 一時所得 = 総収入額 ー 必要経費 ー 特別控除(50万円)
このように変わります。

所得税の対象となる場合は年金の「受取り形式」が重要である点を覚えておきましょう。

収入のない専業主婦を契約者・受取人にする場合も贈与税の対象!【注意】


ここまで取り上げた内容を総括すると、「契約者と受取人が違う場合に注意が必要」という点に集約されます。


ただし、この「契約者」は夫または妻の名義であれば良い、というわけではなく、実際に保険料を支払っている人が「契約者」となる点には注意が必要です。


たとえば、妻が被保険者として個人年金保険に加入する場合、名義上は妻が契約者および受取人となっていても、収入がないため実際に保険料を支払っているのは夫であるケースが考えられます。


この場合、実際の契約者は妻ではなく夫ということになるため、「契約者と受取人が違う」ことになり、受取る年金は贈与税の対象となります。

贈与税でいくら年金を奪われる?


贈与税は所得税よりも重いという点最初に説明しましたが、そもそもなぜ贈与税が高負担になるか、そしてどれだけ課税対象額が違ってくるのか気になる方も多いでしょう。 


そこで次からは、

  • 年金受給額の「評価額」の決定方法
  • 贈与税の税率早見表
  • 個人年金にかかる贈与税の計算方法
これらの点を取り上げていきます。

年金受給権の評価額の決定方法

個人年金保険で受取る年金には、相続税法第24条に基づき、「評価額」が適用されます。


年金受給額の評価額は、

  1. 解約返戻金の金額
  2. 一時金で年金給付を受ける場合の一時金の金額
  3. 1年あたりの給付平均額×予定利率に基づく複利年金現価率
これら3つのうちもっとも多い金額が適用され、その金額に贈与税がかかります。

贈与税の税率早見表

年金にかかる贈与税の計算には、課税価額に応じて変わる贈与税の税率を使用します。


贈与税の税率早見表は次のとおりです。

課税価額税率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

以上の税率(一般税率)は夫婦間や親子(子が未成年)での贈与に適用されますが、祖父から孫など、直系尊属からの贈与には次の税率(特例税率)を使用します。

課税価額税率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%30万円
600万円以下30%90万円
1,000万円以下 40%190万円
1,500万円以下45%265万円
3,000万円以下50%415万円
3,000万円超55%640万円

計算の際に参考にしてください。

個人年金にかかる贈与税の計算方法

個人年金保険の年金にかかる贈与税の計算方法は、

(課税対象額 ー 基礎控除110万円) × 一般・特例税率 ー 控除額

このとおりです。


たとえば夫から妻へ贈与となる年金の課税対象額が「500万円」(評価額と仮定)の場合、

(5,000,000 ー 1,100,000) × 0.2 ー 250,000 = 530,000

贈与税額は「53万円」となりました。

所得税と贈与税で個人年金の受取額はどれくらい変わるかシミュレーション!


では、実際に贈与税と所得税ではどれだけ受取額に差ができるのか、シミュレーションしてみましょう。


贈与税の部分で用いた条件と同条件で、今度は所得税が適用となるケースを考えてみます。


【条件】

  • 契約者:父
  • 年金受取人:父
  • 年金支給期間:10年
  • 支給開始年齢:65歳
  • 年金額:50万円
  • 保険料総額:48万円
  • 所得税率:10%
この場合は年金で受取るため「雑所得」となり、

(500,000 ー 480,000) × 0.1 = 2,000

所得税額は「2,000円」となりました。

同条件で贈与税額は「53万円」であるのに対し所得税額は「2,000円」なので、比較するまでもなく、たとえ1年目だけだとしても、贈与税がどれだけ大きな負担となるかが分かるでしょう。

個人年金保険の税金をできるだけ少なくしたいならマネーキャリアで無料相談!


ここまで取り上げた内容を見て、個人年金保険の年金にかかる贈与税はできるだけ回避したい、と思われた方は多いでしょう。


ここで取り上げている内容はあくまでマニュアルのようなものであり、結局はそれぞれ個人・家庭で異なる状況に合わせて、可能な限り税負担を減らせるような個人年金保険の契約を行う必要があります。


保険選びに慣れていない方にとっては「税負担のことまで考えるのは難しい」と思われるかもしれませんが、そのような方にぜひ利用していただきたいのが、個人年金保険に関して無料相談できる「マネーキャリア」です。


マネーキャリアではFP(ファイナンシャルプランナー)などの保険やお金に関するプロに、相談者それぞれに合った保険の選び方や年金の上手な受取り方などを相談することができます。


感染症予防のために完全オンライン形式で相談が可能であり自宅から好きなときに相談できるので、個人年金保険の加入に関して悩みを持っている方は、ぜひ「マネーキャリア」を利用してみてはいかがでしょうか。

贈与税回避のための契約者変更・受取人変更は可能!


すでに個人年金保険に加入しており契約者と受取人を違う人に設定している方は、贈与税回避のために契約者を変更したいと思われるかもしれません。


実際のところ、加入中であっても受取人を変更することは可能であり、変更することで贈与税を回避することができます。


ただし、贈与税の対象外となるのはあくまで受取人の変更後であり、変更前まで支払っていた保険料分の年金は、贈与税の対象となります。


それでも税金を軽減できることには変わりありませんし、もし途中解約などしてしまうと元本割れとなってしまうため、個人年金保険の加入者はこの機会に契約内容の見直しをしてみると良いでしょう。

個人年金にかかる贈与税の無申告は税務署にバレる!


ここまで取り上げた点を考えて、ある方は贈与税の対象となっても「申告しなければ問題ないのでは?」と思った方もおられるかもしれません。


しかし、保険会社は

  • 100万円超の保険金や解約返戻金を支払う
  • 20万円以上の年金を支払う
上記のようなケースにおいて、税務署に「支払調書」を提出することになっています。

この支払調書には、
  • 保険金等受取人の氏名・住所
  • 保険契約者等の氏名・住所
  • 被保険者等の氏名・住所
  • 保険金額等
以上の基本的な契約情報だけでなく、
  • 保険金支払い時点での契約者情報
  • 保険金支払い時点の前の契約者情報
  • 契約者を変更した回数
このような契約者変更に伴う情報も記載されることになったため、税務署は受取る年金に贈与税がかかることを確実に把握できることになります。

そのため贈与税の無申告は絶対に避けるべきですが、実際に無申告・虚偽申告を行うと、どのようなペナルティがあるのでしょうか。

税務署にばれた場合のペナルティ

贈与税の申告に関して不正があった場合、

  • 過少申告加算税(10~15%):本来の金額よりも少なく申告した場合に課される税金
  • 無申告加算税(15~20%):申告を忘れていた場合に課される税金
  • 重加算税(35~40%):故意に無申告であった場合に課される税金
以上3ついずれかのペナルティが課されることになります。

とりわけ「重加算税」など、明確な「払いたくない」などの意図を持って申告しなかった場合は最高で40%の課税など、重いペナルティを受けることになります。

贈与税の時効は6年だが成立しにくい

贈与税の無申告等の不正には、6年(悪質な場合は7年)の時効が定められています。


これは、贈与の発生した年の確定申告期限(3月15日)の翌日から計算して6年が経過した税金については課税処分が課されないというものです。


しかし、実際に無申告のまま7年が経過するのを期待できない確かな理由があり、それは税務署の実地調査から発覚する申告漏れ等の不正の割合が非常に高いという点です。


国税庁による「平成30事務年度における相続税の調査の状況について」によると、

  • 実地調査件数:12,463件
  • 申告漏れ:10,684件
相続税における不正件数に対し、実際に申告漏れが見つかった割合が「85.7%」という非常に高い確率となっています。

これは無申告のまま、数年が経過してから指摘されるケースもあります。

調査が行われればほぼ確実に不正が発覚し課税されることを考えると、時効に頼って無申告を貫くべきではないといえます。

契約者を子供にして保険料分を子供に贈与する方法もあり!【裏ワザ】


贈与税の回避方法の一つとして、

  • 契約者:子ども
  • 被保険者:親
  • 年金受取人:子ども

このように、親が子どもに贈与したお金で、親が被保険者である個人年金保険の保険料を支払うという方法があります。


いわゆる「保険料贈与プラン」のやり方であり、この方法を取ることで実質的には「子どもが支払った」とみなされ、贈与税が抑えられ、子どもが受取人として受取る年金も贈与税ではなく所得税の対象となるというメリットがあります。


ただし、実際に贈与したと認められる証拠が必要であったり、定期贈与とみなされれば結局一括で贈与税がかかってしまうことになるため、リスクもあります。

個人年金にかかる贈与税についてのまとめ


今回は個人年金保険にかかる贈与税の回避方法に関して取り上げてきましたが、いかがでしたでしょうか。


老後をより良いものにする個人年金保険で受取る年金に、気をつけなければ多額の贈与税がかかってしまうというのは、受取れる金額ばかりに注目していると盲点となり、いざ受取るときに大損となってしまうでしょう。


これから個人年金保険に加入する方、また現在個人年金保険にすでに加入している方で贈与税がかかってしまうかどうか不安な方がいれば一人で悩まずに、ぜひ一度専門家に相談してみることをおすすめします。


ほけんROOMではこの記事以外にも役立つ記事を多数掲載していますので、ぜひご覧ください。

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