宝くじで高額当選しても確定申告は必要ない!当選金に税金はかかる?

宝くじで高額当選しても宝くじの当選金は非課税所得とされているため、確定申告は必要ありません。競馬の利益は確定申告が必要になります。宝くじの当選金を贈与する場合は贈与税がかかりますが、共同購入で税金対策が可能です。宝くじの当選金にかかる税金について解説します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

宝くじで高額当選!確定申告の必要は?税金はかかる?



宝くじで高額当選したいなと考えたことがある人は多いと思います。


では、もし高額当選したら、どのくらいの税金がかかるのか、いくらから税金がかかるのか、確定申告は必要なのかなどが気になりますよね。


実は、宝くじの当選金は法律で非課税所得として定められているので、当選金に税金はかかりません。なぜなら、当選する、しないにかかわらず、購入時点で源泉徴収されているようなものだからです。


この記事では、

  • 宝くじに当たった時の税金はどうなるのか
  • 宝くじが当たった時に確定申告が必要な場合があるのか
  • 高額当選した時に必要なものはあるのか

について解説していきます。


この記事を読んでいただけたら、宝くじで当選した場合に確定申告が必要なのかどうか、税金との関係はどうなるのかなどを理解することができるので、ぜひ最後までご覧下さい。

宝くじにあたっただけなら確定申告は不要

宝くじの当選金に関しては「当せん金付証票法」という法律で、次のように非課税と決められています。


“第十三条 当せん金付証票の当せん金品については、所得税を課さない。”


そのため、宝くじの当選金は競馬や競輪の払戻金などと違い、所得税を控除されることなく全額を受け取ることができます。


つまり、宝くじに当たっただけなら、当選金額が大きくても小さくても税金を払う必要がないので確定申告は必要ないということです。


ただ、宝くじと税金に全く関係がないというわけではないので、以下で詳しく解説します。

宝くじの当選金は非課税所得とされている

では、なぜ宝くじの当選金は非課税とされているのでしょうか。


宝くじの販売元は地方自治体です。宝くじ公式サイトによると、宝くじの当選金の支払いに使われるのは約47%です。宝くじの売上の約40%は「収益金」として、地方公共団体の公共事業などに使われます。


つまり、宝くじの当たり・はずれに関係なく、購入時点ですでに税金を納めているようなものです。そのため、当選者に所得税をかけると二重課税になるからです。


所得税として課税されないのはわかりましたが、住民税はどうなのでしょうか。


収入が増えれば翌年の住民税が上がるのは常識ですが、宝くじの当選金の場合は住民税の心配もありません。なぜなら、宝くじの当選金は所得として扱われず、住民税の計算の対象にならないからです。

宝くじの当選金なら高額当選でも非課税

懸賞やクイズの賞金、競馬などの払戻金は「一時所得」として課税対象となります。一時所得には特別控除が最高50万円あるので、年間50万円以上の利益を上げた人は税金がかかることになります。


しかし、宝くじの当選金は、金額の大小にかかわらず税金がかかることはありません。つまり、当選金額が1000円でも、10万円でも、5億円でも所得税や住民税がかかることはないのです。


仮に5憶円の高額当選金を受け取っても、確定申告の必要はないということです。


ただし、あくまでも受け取った時点が非課税であって、もらった後は普通の資産と同じように課税対象になるので、使うときには充分注意して使いましょう。

宝くじの当選金いくら使っても所得税は課税されない

宝くじの当選金には所得税がかからないため、いくら使っても問題はありません。もちろん、前述のように住民税が課税されることもありません。


つまり、相続税などであれば後から税金が請求されるので全部使ってしまったら払えなくなるという心配がありますが、宝くじの当選金は全部使ってしまってもその心配がないということです。


ただ、当然ですが、物を買った時の消費税や、住宅購入時の固定資産税・不動産取得税、自動車購入時の自動車税などは、従来どおり課税されます。


また、後述しますが、当選金のうち、まとまった金額を誰かにあげたりすると、受け取った側に贈与税が発生するので注意してください。

宝くじに当選しても翌年の住民税に影響はない

宝くじ当選時に支払われる当選金には税金がかかりません。つまり、所得として加算されないということです。結果、翌年の住民税金額にも影響しません。


例えばプロスポーツ選手のように年俸制で報酬を得ている人が、収入の大幅増額を果たした次の年に税金の支払いに苦しんでしまうということがあります。


これに対して、宝くじで高額当選したとしても、その金額自体が課税の対象にはなりませんから、いきなり住民税が上がる心配はありません。


当然ながら、宝くじ以外のことで単純に収入が増えた場合には必要な税金がかかりますので、ご注意ください。

競馬の馬券の利益は確定申告が必要

くじを当てるという意味では似たものとなる競馬や競輪。これらギャンブルでの利益は通常の場合、一時所得として扱われます。

一時所得は「全ての収入金額-収入金額を得るために要した費用」が通年で50万円を超えている場合、確定申告が必要となります。
一方で「全ての収入金額-収入金額を得るために要した費用」が通年で50万円を超えなければ、確定申告は不要です


表にまとめると以下、

  • 総収入金額-収入を得るために要した費用>年間50万円:確定申告が必要 
  • 総収入金額-収入を得るために要した費用<年間50万円:確定申告が不要

となります。


競馬で考えると、競馬に頻繁に通っていて多くの利益を上げているときには確定申告が必要となります。ときどき楽しむ程度で利益も大きくない場合には確定申告は不要です。


その目安が50万円ということです。忘れずに確認してください。

宝くじは購入した時に税金がかかっている

さて、宝くじは当選金が非課税となり、似た性質の競馬や競輪などのギャンブルでの利益は課税対象になり得るということがご理解いただけたと思います。この違いはどうして生まれているのでしょうか。


実のところ、宝くじは購入時に税金を支払う仕組みになっています。購入した金額のうち40%が、購入した自治体に住民税として納められるのです。つまり、宝くじは購入時点で必要な税金を支払ったものとして扱われているということになります。


このため、宝くじによって得られた利益=当選金には税金が課されない仕組みとなっているわけですね。


購入時点で住民税を支払う、宝くじ。地元での購入を検討しても良いかもしれませんね。

宝くじの当選で確定申告が必要になるケース

非課税の宝くじの当選金ですが、課税対象となり確定申告が必要になる場合もあります。


それは、

  1. 海外で買った宝くじに当たった場合
  2. 当選者が法人の場合
  3. 誰かに贈与する場合
  4. 相続する場合
の4つのケースです。

あとから税金を請求されたときに、手元にお金がなくて払えないなんてことになるので注意しましょう。

以下に、確定申告が必要なそれぞれのケースについて詳しく説明します。

アメリカなどの海外で買った宝くじにあたった場合

アメリカなどへの海外出張や海外旅行中に現地で買った宝くじは、日本の税法上課税の対象となります。その理由は、「当せん金付証票法」に基づいて発行されたものではないからです。


課税区分は、営利性や対価性、継続性が認められないことから一時所得に分類されます。確定申告の際の一時所得の課税所得の金額は、(当選金 - 購入金額 - 特別控除額(最高50万円)) × 1/2 です。


また、日本の税金だけでなく、外国の税法上で課税される二重課税にも注意しなければいけません。そのためには、その国と日本の間に租税条約が締結されているかを確認する必要があります。


租税条約が適用され、外国での課税は免除となり日本だけで課税される場合は二重課税の問題は発生しません。


しかし、租税条約で両国での課税が認められていたり、そもそも租税条約が結ばれていない場合は、確定申告で外国税額控除を行わなければなりません。


租税条約や外国税額控除などの適用については、税務署などの専門の部署へ相談して確定申告することをオススメします。


なお、海外の宝くじを日本で購入することは、刑法187条に違反しますので注意してください。

当選者が法人だった場合

法人が宝くじの当選金を受け取った場合は、個人の場合と違って、法人税の課税所得の計算上、益金の額に算入されます。つまり、全額法人税の課税対象となります。

また、経費として損金に算入できるのは当選した宝くじの購入代金のみです。すなわち、1枚300円の宝くじを1万枚購入して1枚だけ当たった場合、経費にできるのは300万円ではなく、300円ということです。

すべてハズレた場合は、確定申告で経費にできるのは0円です。当選目的での購入は、法人が事業で利益を上げるために直接使った販売費に該当しないからです。

取引先へ配布するなど販売促進を目的として購入した場合は広告宣伝費や接待交際費などの経費に算入することができますが、それ以外の目的で法人が宝くじを購入するのは得策とはいえません。

誰かに当選金を(110万円以上)分けた場合

宝くじの当選金を、友人や家族に分けた場合には贈与税がかかります。贈与税は年間110万円までは非課税ですが、それ以上の金額については課税されるので注意してください。


仮に1億円当たったので、弟と妹に3000万円ずつあげることにしたとします。その場合、一人当たりいくらずつの贈与税がかかるかを、贈与税の速算表を使って計算してみます。

  • 課税所得:3000万円 - 110万円(基礎控除) = 2890万円
  • 贈与税額:2890万円 × 50%(税率) - 250万円(控除額) = 1195万円
  • 受取額:3000万円 - 1195万円 = 1805万円

以上のように、半分近くが税金で徴収されるので、受取時に窓口で共同購入の申請をするなど、贈与税対策をおこなう必要もあります。


当選金を非課税で贈与する方法はほかにもいくつか方法があります。たとえば、令和3年の3月31日までは子どもや孫への教育資金であれば、1人あたり1500万円が非課税になります。


また、令和2年3月までなら住宅購入資金の援助として、条件を満たせば1人あたり最大3,000万円まで非課税で贈与できます。


誰かに当選金を分与するときには、贈与税を軽減する対策もしっかり立てるようにしましょう。


なお、贈与税はもらったほうが翌年に確定申告して納税する必要があるので、使いすぎて贈与税が払えないという事態にならないように注意を促しておいてください。

当選金を相続する場合

宝くじの当選金を使わずにそのまま亡くなってしまうと相続税がかかってしまいます。相続税は(3000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)が基礎控除額として非課税です。


しかし、高額当選した場合には基礎控除額の金額を上回ることもあり、相続税の課税対象となることがあるのです。


当選金を使わずにそのまま預金していた場合は、現金として全額が相続税の評価対象となります。けれども、アパートなどを購入して保有していれば、相続税の課税対象となる金額を安くすることができます。


それは、土地や建物が路線価や固定資産税評価額で評価されるために市場取引相場よりも3割程度低くなるからです。さらに、アパートなどの賃貸物件であれば、相続税の評価額をさらに下げることができます。


相続税は、生前にきちんと節税対策を施すことで税金の負担を軽くすることもできます。なかなか話題にすることが難しい問題ですが、しっかりとご家族で話し合われておくことも大切です。

参考:宝くじの共同購入で贈与税対策が可能

宝くじに当選して、その一部を誰かにあげたい場合には、「共同購入」という手段があります。


お金を出し合って共同購入した宝くじの当選金は法的には共有財産とみなされ、その出資金に応じて全員が当選金を受け取る権利があるので贈与税の対象にはなりません。


しかし、当選金の受け取りには注意が必要です。決して、誰かが代表して受け取りに行ってはいけません。


いったん誰かが受け取ってしまうと、その人の財産とみなされてしまうからです。その後ほかの人に分配すると、贈与税の対象となり最大55%の税金がかかってしまいます。


つまり、全員で受け取りに行き、それぞれの口座に振り込んでもらえば、税金がかかることなく当選金を受け取ることができます。


また、税務署から問い合わせを受けたときには、どのようにしてその資産を取得したかを証明しなければいけません。そのため、銀行に「当せん証明書」を発行してもらい保管しておくことも重要です。


当選金の詳しい受け取り方法などは、当選した時に各窓口に問い合わせておくのが間違いないでしょう。

注意:宝くじの当選金額を贈与する際のポイント

贈与税は、1年間にもらった金額から基礎控除額の110万円を引いた額に課税されます。すなわち、年間110万円以下の贈与なら贈与税はかからないので確定申告の必要はありません。


ただし、贈与されたお金の管理は、受け取った人が行うようにしてください。贈与した人が管理していると、「名義預金」として扱われ、非課税の対象とならない場合があります。


また、毎年同じ時期に同じ額を贈与することも控えてください。あらかじめ贈与する額が決まっていたとみなされ、一括贈与と判断されることがあります。贈与時期や金額には工夫が必要です。


当選金を親族に親族に渡したいと思ったら、この基礎控除額を賢く使って贈与していくのもひとつの手段です。

注意:宝くじで高額当選した場合には「当選証明書」が必要

高額な当選金を手にしたら、マイホームを建てたいとか、高級外車に乗りたいなど、急に高価な買い物をしたり、会社を起業するための資金にしたり、これまでと違った生活をすることがあるかもしれません。


そういった場合、税務署からお金の出所がどこなのかを聞かれるのではないかといった心配もあります。そんな時は、「当せん証明書」を見せることで宝くじの当選金だということを証明できます。


当せん証明書は、当選者自身が住所・氏名・宝くじの種別・当せん金額を記入して提出します。すると、銀行側で一番下のみずほ銀行の支店名のところに支店印を押してくれます。


宝くじで高額当選した場合や共同購入で当選金を分けてもらった場合は、必ず「当せん証明書」を発行してもらいましょう。

まとめ:宝くじの当選金に確定申告は必要ない

宝くじと確定申告・税金について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか? 


この記事のポイントは、

  • 個人で購入した宝くじが当たった場合が所得税、住民税ともにかからない
  • 宝くじが当たっただけなら確定申告は不要
  • 宝くじの当選金を相続や贈与するときには税金がかかるので節税対策が必要
  • 高額当選した時には「当せん証明書」を忘れずにもらう
でした。

なかなか当たらない宝くじなので当選金についての税金などは考えませんが、いざ高額当選した時に知っているのと知らないのとでは大きく違ってきます。

当選直後は興奮状態になり、軽はずみな行動を取りかねません。冷静な判断ができるように事前にある程度の知識は身につけておきましょう。

宝くじの当選金には所得税がかからないので確定申告は必要ありませんが、当選金を誰かに分けるときには多額の税金がかかります。しかし、分配方法に注意すれば税金がかからない方法もあります。

贈与税の年間110万円の基礎控除額などの非課税枠を上手に使って、しっかりと節税対策を立てましょう。


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