更新日:2020/01/21
確定申告は必要?給与と年金がある場合の確定申告について解説!
今の世の中、年金をもらいながら働いて給与を得ている、という高齢者の方も少なくありません。しかしその場合、確定申告は必要なのでしょうか?この記事では、年金をもらいながら給与を得ている方を対象に、確定申告が必要となるケースについてわかりやすく解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 働いている年金受給者の確定申告について解説
- 年金受給者も確定申告が必要になるケースがある
- 年金や給与が一定金額を超えていたら確定申告が必要
- 医療費控除などを受ける場合は確定申告が必要
- 参考:確定申告不要制度の対象になる場合は不要
- 参考:公的年金とされるもの
- 注意:給与があるなら雇用形態は関係ない
- 退職金をもらった場合の確定申告
- 「退職所得の受給に関する申告書」を提出したかどうかがカギ
- 提出していても確定申告した方が得になることも
- 参考:給与と年金がある場合の確定申告書はAとBどっち?
- 確定申告書Aを使うケース
- 確定申告書Bを使うケース
- 申告書第三表(分離課税用)を使うケース
- 働いている年金受給者の確定申告についてのまとめ
目次
働いている年金受給者の確定申告について解説
年金をもらいながら働く人が増えていますよね。この場合、確定申告は必要なのでしょうか。
実は、年金を受け取りながら働いている方は、確定申告が必要なケースと不要なケースがあります。
確定申告の時期が近付くと、自分がどちらに当てはまるのか知りたい人も多いことでしょう。
そこで今回のこの記事では、「給与がある年金受給者の確定申告」について、
- 年金受給者で確定申告が必要なケース
- 退職金を受け取ったときの確定申告の有無
以上のことを中心に説明します。
この記事を読んでいただけたら、ご自分が確定申告すべきかどうか理解できます。ぜひ最後までご覧ください。
年金受給者も確定申告が必要になるケースがある
年金をもらうようになったら、もう税金とは関係ないというイメージがありませんか?
国からもらう収入なので、勝手に調整してくれた後に受け取っているように思いがちですが、実は、年金受給者も、確定申告が必要なケースがあります。
それは、
- 年金や給与が一定額を超えた場合
- 控除を受ける場合
です。
それぞれ、どのようなときに確定申告をするべきなのか、具体的に解説します。
年金や給与が一定金額を超えていたら確定申告が必要
確定申告が必要なケースのひとつめに、所得が一定額以上を超えるケースがあります。
その所得が、年金と給与でそれぞれに基準があります。自分で調べると、複雑で理解しづらいのではないでしょうか。
基準には、3つあります。
- 給与額の基準
- 年金額の基準
- 給与額と年金額の組み合わせによる基準
です。
それぞれ解説します。
給与が2,000万円超
まずは、給与額の基準です。給与が2,000万円を超えた人は、確定申告が必要となります。
年金が400万円超
次に、年金額の基準です。年金額は、400万円を超えると、確定申告しなくてはいけません。ここまでは、単純ですね。一言でいうと、たくさん収入がある人は、確定申告が必要です。
給与85万円以上かつ年金90万円以上(65歳以上は140万円以上)
上記2つのケース以下の所得でも、確定申告が必要なケースがあります。
「給与所得の金額」が20万円超の人で、「公的年金等に係る雑所得の金額」が20万円を超えるケースです。
これが少し分かりにくいのですが、先に、給与所得の金額と公的年金等に係る雑所得の金額について理解する必要があります。
「給与所得=給与ー給与所得控除」
給与所得の金額が20万円超とは、つまり、給与額は85万円です。
「公的年金等に係る雑所得の金額=公的年金等の収入金額-公的年金等控除額」
公的年金等に係る雑所得の金額が20万円を超えるとは、つまり、年金が90万円以上(65歳以上は140万円以上)です。
よって、給与85万円以上かつ年金90万円以上(65歳以上は140万円以上)の人は、確定申告が必要ということになります。
まとめると、
- 給与が2,000万円超(年金額は関係なし)
- 年金が400万円超(給与額は関係なし)
- 給与85万円以上かつ年金90万円以上(65歳以上は140万円以上)
この3つのケースに該当すると、確定申告が必要です。
医療費控除などを受ける場合は確定申告が必要
収入の基準以外で、確定申告が必要なケースがあります。それは、控除を受ける場合です。具体的には、以下のような控除があります。
扶養控除
扶養している子どもの年齢に応じて、控除されます。また、夫婦の死別や離婚など、戸籍に変更があった場合、「寡婦控除」「寡夫控除」などの対象になることがあります。
医療費控除
医療費が年間10万円(年間総所得金額等が200万円未満の人はその5%分の金額)を超える場合は、医療費控除が対象となります。
寄付金控除
ふるさと納税で広く知られるようになりましたが、2,000円を超えて寄付すると寄付金控除が受けられます。
社会保険料控除
通常、年金を受給しているときは、年金から特別徴収という名目で保険料が天引きされていますが、そのほかに、国民年金などの保険料を振り込みで支払っている場合は、控除が受けられます。
雑損控除
昨今多くなった台風や地震などの災害、火災、ひったくり、空き巣、横領など、何らかの損害を受けた場合も控除の対象になります。
参考:確定申告不要制度の対象になる場合は不要
公的年金等については、「雑所得」として課税の対象です。一定額以上を受けとるときは、源泉徴収されるので、確定申告で過不足の調整をおこなうことになります。
しかし、確定申告は手続きも煩雑で、年金受給者にとって、大きな負担になりかねません。
そこで、仕組みをシンプルにするために、確定申告不要制度が作られました。この制度によって、多くの方が確定申告の必要がなくなりました。
確定申告が不要なのは、
- 公的年金400万円以下
- 他の所得が20万円以下
このどちらも該当するときです。
(参考:政府広報オンライン)
参考:公的年金とされるもの
確定申告のことを調べていると、「公的年金等」という表現がちらほらと見受けられると思います。これはどのような意味でしょうか?
公的年金とされるものは、次の通りです。
- 「国民年金法」「厚生年金保険法」「公務員等の共済組合法」などに規定されている年金
- 過去に勤めていた会社などから支払われる年金
- 外国の法令に基づく保険又は共済に関する制度で、「国民年金法」「厚生年金保険法」「公務員等の共済組合法」で「社会保険又は共済制度」と認定されているもの
受け取っている年金の出どころはいくつかあり、人によって違います。
その年金の出どころが「国民年金法」「厚生年金保険法」「公務員等の共済組合法」に基づいている年金のことを公的年金というのです。
注意:給与があるなら雇用形態は関係ない
確定申告の有無を考える際の給与に関しては、雇用形態は関係ありません。
パートやアルバイト、契約社員、派遣、嘱託など、雇用形態はさまざまですが、給与をもらっているなら、正社員と同じ給与所得として扱われます。
確定申告が必要かどうかに関して、雇用形態を考慮する必要はありません。
退職金をもらった場合の確定申告
次に、退職金をもらった場合の確定申告について説明します。
年金を受給しながら働いていたけれど、退職したというケースです。確定申告が必要なケースと不要なケースがありますので、それぞれご紹介します。
「退職所得の受給に関する申告書」を提出したかどうかがカギ
まずは、確定申告が不要なケースです。
「退職所得の受給に関する申告書」を退職時に会社に提出していれば、確定申告はいりません。退職金を受け取る際に、正しい税率で課税されるからです。
この書類を提出していない場合は、一律20%で源泉徴収されているので、確定申告して正しい税率で再計算する必要があります。
提出していても確定申告した方が得になることも
「退職所得の受給に関する申告書」を提出した場合でも、次のケースでは、確定申告した方が得になることがあります。
- 退職年の所得が少ない場合
- 不動産経営や事業所得があり赤字の場合
退職した年の所得が少ない場合は、さまざまな控除項目をすべて控除できていないことがあります。
この場合は、退職金とあわせて確定申告すると、還付される可能性があるので、確定申告してください。
また、アパートなどの不動産経営をしていたり、事業をしたりして、赤字になった場合は、確定申告で退職所得と損益通算できるので、還付金がでることがあります。
参考:給与と年金がある場合の確定申告書はAとBどっち?
確定申告には、いくつか書類があります。
なかでも代表的な書類は、「確定申告書A」と「確定申告書B」でしょう。
自分はどちらを提出すればよいのか迷う人も少なくありません。ここでは、それぞれの書類をどのようなケースで使うのか解説します。
確定申告書Aを使うケース
確定申告書Aは、申告する所得が「給与所得」「雑所得」「配当所得」「一時所得」の場合です。
例えば、会社の給与所得があり、医療費控除などを受けたい場合は、確定申告書Aで申請します。
ただし、前年の所得税が15万円以上だった場合に納める前払いの税金「予定納税額」がある場合は、確定申告書Aではなく、次にご紹介する確定申告書Bで申告してください。
給与と年金の所得がある場合は、年金が雑所得の扱いとなるので、確定申告書Aを利用します。
確定申告書Bを使うケース
確定申告書Bは、所得の種類にかかわらず、すべてのケースで使える書類です。
実は、確定申告書Aは、確定申告書Bの簡易版。すべてBで提出しても問題はありません。ただし、項目が複雑なので、Aで申告してよい人は、Aを利用した方がいいでしょう。
確定申告書Bを利用するのは、事業所得や不動産所得がある方です。
個人事業主が主にBの書類を利用します。会社員でも副業がある方は、Bを使います。
申告書第三表(分離課税用)を使うケース
申告書第三表という書類は、「退職金」など分離課税の確定申告をするときの書類です。
株や土地、建物の譲渡所得があるときに利用します。
単体で提出するのではなく、「確定申告書B」+「申告書第三表(分離課税用)」とあわせて提出する補助書類です。
働いている年金受給者の確定申告についてのまとめ
働いている年金受給者の確定申告について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
この記事のポイントは、
- 給与・年金とも高所得の場合は確定申告が必要
- 公的年金400万円以下で他の所得が20万円以下なら申告はしなくて良い
- 退職金は「退職所得の受給に関する申告書」を提出すると申告不要
- 控除がある場合は確定申告をする
- 年金と給与の申告は、確定申告書A
でした。
税金を納め過ぎている場合は、確定申告することで還付されることがあるので、忘れずに申告したいです。
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