保険金を受け取ったら確定申告しないとダメ?確定申告が必要な保険金とは

多くのサラリーマンの方には、確定申告をする義務を持ちません。しかし、特別な収入があったときは例外です。たとえば、保険金を受け取った場合など。この記事では、確定申告が必要になる保険金は何なのか、具体的にどんな税金が課せられるのか、などについて詳しく解説します。

確定申告が必要な保険金について解説


生命保険や傷害保険、火災保険などの保険金を受け取った際、確定申告は必要なのでしょうか?


実は、保険金の種類によっては確定申告が必要となる場合があります。さらに確定申告にも種類があり、所得としての申告が必要なパターンと贈与税としての申告が必要な場合があります。


確定申告をせずに過ごしていると、思わぬペナルティーを受けることもあるようです。


そこでこの記事では、確定申告が必要な保険金について

  • 確定申告が必要な保険金の種類
  • 確定申告の必要がない保険金の種類
この二つを中心に解説していきます。

この記事を読むことで、保険金の種類ごとに確定申告が必要かそうでないかが理解できるでしょう。

ぜひ最後まで読んでください。

確定申告が必要になる保険金

確定申告が必要となる保険金には、以下のものがあてはまります。

  1. 満期保険金や解約返戻金
  2. 死亡保険金
  3. 年金保険金
この3つは基本的に課税対象となるため、確定申告をしなくてはいけません。さらに詳しく解説すると、保険を支払っていた人と保険金を受け取る人が違う場合などは贈与税としての申告を行う必要があります。

では、詳しく解説していきます。

満期保険金・解約返戻金

満期保険金、解約返戻金を受け取った場合、課税対象となるため確定申告を行う必要があります。


保険金をこれまで支払ってきた方(契約者)と受取人が同じ場合と、違う場合では税金の種類が違います。誰が支払って誰がもらうのかがとても重要です。


例えば、契約者が夫だった場合、受取人も夫であれば所得税になります。しかし、受取人が妻の場合、これは贈与税として申告しなくてはいけません。

(参考:国税庁

税金契約者受取人
所得税
贈与税

ただし、保険金を一時払いした場合や保険期間が5年以下、保険金額が満期返戻金の5倍未満である場合は確定申告の必要はありません。

死亡保険金

死亡保険を受け取った場合、確定申告が必要です。保険をかけられていた対象、被保険者が亡くなった場合にも、保険金を支払っていた人と受け取った人が重要です。


所得税、贈与税に加わり相続税という税金の種類も追加されます。


契約者が夫で、被保険者が妻、そして受取人が夫の場合は所得税になります。しかし、契約者が夫、被保険者も夫、そして受取人が妻の場合は相続税にかわります。


ただし、受取人が法定相続人の場合は受け取った保険金の非課税になる優遇があります。法定相続人とは、民法で定められた相続人のことをいいます。主に、子供や配偶者を指します。


相続した金額が基礎控除額以上であれば、必ず確定申告を行ってください。


また、契約者が夫、被保険者が妻、受取人が子供の場合は贈与税です。契約者、保険をかけられていた人、受取人のすべてが違う場合は贈与税に変わるので注意しておきましょう。

年金保険金

満期保険金を年金として受け取ることができるのですが、この場合でも確定申告は必要です。満期保険金の税金の場合、契約者と受取人が同じ場合は所得税になります。


この場合の所得税は、一時所得という分類になります。今回紹介する満期保険金を年金として受け取る場合、契約者と受取人が同じ場合はこちらも所得税になりますが、一時所得ではなく雑所得となります。


契約者と受取人が違っている場合は、贈与税になります。2年目以降に受け取る年金は雑所得の所得税という分類になります。

所得税(雑所得)相続税
契約者
被保険者
受取人
変わらない2年目以降は所得税になる

このように、一時金で受け取るか、年金として受け取るか迷ってしまいますよね。一括で支払いたいものがあるか、それとも今後の生活費として受け取りたいのかによって選択するといいでしょう。

参考:税金の種類によって税率が異なる

税金には、所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税、酒税、たばこ税、自動車重量税などの国税と住民税、事業税、固定資産税、地方消費税、自動車税などの地方税があります。

(参考:財務省


今回注目したいのは、贈与税、所得税、相続税です。この3つは、国税に当てはまります。税金は種類によって税率が違います。


まずは贈与税の税率から見ていきましょう。贈与税の場合、もらった金額から110万円引いた金額に当てはまります。税率は表のように上がっていきます。

課税対象額税率
200万円以下10%
400万円以下15%
600万円以下20%
1000万円以下30%

次に所得税の税率を表で解説します。

課税対象額税率
195万円以下5%
330万円以下10%
695万円以下20%
900万円以下23%

相続税の税率は以下の通りです。

課税対象額税率
1000万円以下10%
3000万円以下15%
5000万円以下20%
1億以下30%

このように、3つの税金だけでもこれだけ税率が違います。税率が違うので申告すれば損になる、というわけではなく税金の種類によっては税率が低いということがわかります。

参考:一時所得と雑所得の違い

確定申告を行う上で大切になってくるのが、所得税の種類です。所得税には一時所得と雑所得があります。


一時所得とは、

  1. 一時的にに得た所得
  2. 稼ぐこと前提で得た所得ではない
  3. 働いて得た所得ではない
  4. 物の売上ではない
この4つに当てはまれば、一時所得となります。具体的には、懸賞や競馬などのギャンブル、満期保険金などが当てはまります。

一方、雑所得とは年金や原稿料、印税、講演料などで得た収入のことを指します。インターネットオークションやFX、税金の還付金や金銭の貸付が当てはまります。

一時所得の場合の経費は、その収入を得るために支出した金額であることが基本です。しかし雑所得の場合の経費は収入を得るために直接的に支払った金額すべてが当てはまります。

例をあげて解説したいと思います。ギャンブルで例えてみましょう。1口100万円のものを6個購入し、その中の一つが500万円になったとします。

これを一時所得に当てはめると、500万円の収入を得るために使った100万円のみが経費として認められます。

しかし雑所得の場合、500万円を得るために使った金額すべてが当てはまるので、600万円すべて経費として認められます。

結果的に雑所得のほうが課税金額が0円となるので、税金の支払いはなくなります。

確定申告の必要がない保険金

ここでは、確定申告を行う必要のない保険金を解説します。非課税となる保険金は主に、入院や通院給付金、火災保険や自動車保険などが当てはまります。


具体的にどういったものが非課税となり、確定申告の必要がないのか解説していきたいと思います。

入院や通院給付金、就業不能給付金など

生命保険から支払われる保険金は、「満期保険金」「給付金」があります。給付金は、入院や通院時に受け取れるお金のことです。


病気や怪我によって生前に支払われた給付金については、非課税となります。保険に加入している間、何回ももらう可能性があるものですが何度もらっても確定申告の必要はありません。


受け取りが本人以外の場合でも非課税となります。病気や怪我で働けなくなった時の生活費として支給される就業不能給付金についても、非課税になります。


さらに、高度障害になった際に死亡保険の代わりとして受け取ることのできる高度障害保険金についても非課税です。


ただし、給付金やその他に受け取った非課税の保険金を使いきることなくなくなってしまった場合は、相続税の対象となるので注意が必要です。

火災保険や自動車保険などの損害保険金

自然災害などで受け取ることのできる損害保険金についても、すべて非課税となります。これは、あくまでも損失を保険金で補てんするという考え方なので税金を支払う必要はありません。


つまり、自然災害などが起こったとして保険金をもらっても得をすることは一切ないからです。むしろ、保険金では損失をカバーしきれないというパターンが多いです。


大きな損害があり保険金では補てんしきれなかった場合は税金が安くなります。日本は台風や地震の多い国なので、覚えておいて損はないでしょう。

事故などによる損害賠償金

事故などにより、被害者が受け取った慰謝料や治療費などの損害賠償金を受け取った場合も非課税となります。相手からもらったお金だけでなく、相手側の保険会社から支払われたお金もすべて非課税です。


事故によって資産がうけた被害に対する損害賠償金は非課税となりますが、資産であっても個人事業主の場合は非課税にならない場合もあります。


例えば、車に積んでいた商品が事故によってすべて売り物にならなくなってしまった場合、相手側に商品代金を請求すると思います。この場合、商品代金を受け取ることができるので事業所得の収入とみなされます。


事故により相手側から、どんな内容のお金を受け取るかによって非課税なのかそうでないのかが変わりますので注意しておきましょう。

注意:医療費控除を受ける場合は注意が必要

医療費控除とは、病気や怪我によって支払った医療費の一部が還付金として返還される制度です。長い入院などを行った際などは、高額になりやすいのでとても助かりますよね。


入院している最中、医療費控除を受け取ろうと考えているのであれば注意が必要です。医療費控除は、治療にかかった医療費から入院給付金などの保険金を差し引いた金額が当てはまります。


医療から給付金を差し引いて、さらにそこから10万円を引いた金額が対象です。


例えば、1年間で医療費100万円支払い、給付金として20万円受け取ったとします。すると計算式はこのようになります。

医療費100万円-給付金20万円-10万円=70万円

この場合の医療費控除の対象となる金額は70万円です。給付金を引かなくてはいけないということを忘れないようにしておきましょう。

注意:業務に関する損害保険金や賠償金は別

事故による損害賠償金でも解説しましたが、業務に関係する損害保険については非課税になりません。詳しく解説していきます。


所得税として課税されるケースは、「事業の損失の補てん」となった保険金です。


例えば、何かしらの事故により本来得られるはずだった収入が得られず、その分を損害保険金や賠償金で受け取った場合、非課税になるとおかしいですよね。


事故があったからその分の収入として補てんしたお金は非課税になる、というのはつじつまが合わなくなってしまいます。


事故があったけれど、なかったことにするための保険金に関しては事業所得として課税されます。覚えておきましょう。

確定申告が必要な保険金についてのまとめ

確定申告が必要な保険金、必要でない保険金について解説してきましたがいかがだったでしょうか?


今回の記事のポイントは、

  • 満期保険や死亡保険、年金保険は確定申告が必要
  • 入院や通院給付金、損害賠償金は確定申告が不要
  • 所得税、贈与税、相続税など税金の種類によって税率が変わる
  • 医療費控除を利用する際は給付金を医療費から差し引く必要がある
  • 損害賠償金の中でも、業務にかかわるものは課税対象となるので確定申告が必要になる
でした。

年齢を重ねていくにつれて、保険金をうけとるタイミングが増えていくことかと思います。その際、確定申告の必要な保険金なのかそうでないのかを知っておけば、ペナルティ-を受けることがないです。

確定申告自体はよくわからない、めんどくさいという方も多いですが税理士の方に代行してもらうことも可能なので保険金を受け取った際は忘れずに相談してください。

ほけんROOMでは、他にもお金にまつわる記事を多数掲載しておりますのでぜひご覧ください。

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