個人年金保険が販売停止!?売り止め理由や見直しの必要性を解説!

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個人年金保険の加入者が増加する中、個人年金保険が相次いで販売終了しており、住友生命やあんしん生命など大手保険会社でも販売停止です。今回は個人年金保険の販売停止の理由や背景を、金利状況や10年国債利回りを元に解説します。また、加入中で販売停止となった場合の見直しも解説します。





▼この記事を読んでほしい人

  • 個人年金保険へ加入しようか迷っている方
  • 個人年金保険について不安のある方


▼この記事を読んでわかること

  • 販売停止となった個人年金保険の例
  • 個人年金保険の販売停止や保険料の値上げが行われた理由
  • おすすめ個人年金積立方法2選
  • 現在加入中の個人年金保険が販売停止になった場合の対処

内容をまとめると

  • 明治安田生命をはじめとして、個人年金保険の販売停止が相次いでいる状況
  • マイナス金利政策が、間接的に個人年金保険の販売停止や保険料の値上げの理由となっている
  • 外貨建て個人年金保険やiDeCoもおすすめ
  • 加入済みの個人年金保険が販売停止になっても継続できる
  • 予定利率の高いお宝保険は中途解約しないように注意
  • 個人年金保険の相次ぐ販売停止に困ったら、まずはマネーキャリアで保険のプロに相談するのがおすすめ
監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

販売停止となった個人年金保険の具体例

老後の貯蓄のために個人年金保険に加入したり、子どもの教育費のために学資保険に加入したりと、貯蓄型保険への加入を検討している人は、2010年ごろから2016年ごろまで増加傾向にありました。(参照:生命保険協会資料


しかし、そんな貯蓄型保険を取り扱う生命保険会社では、個人年金保険を含む貯蓄型の販売を停止したり、保険料の値上げをしている保険会社が増えてきています。


自助努力が必要とされる老後資金を積み立てるための手段として、個人年金保険が一般的ですが、販売停止や保険料の値上げとなると、現在加入している方もこれから加入しようと考えていた方もとても不安に感じる人も多いと思います。


2016年4月より、貯蓄型保険の販売が停止されるようになりました。個人年金保険は、すでに各保険会社で急速に販売停止が広がっています。

また、2017年に入り、明治安田生命をはじめとして、国内大手生保も、個人年金保険の販売停止が相次いでいる状況となっています。

個人年金保険の販売停止や保険料の値上げが行われた理由


2016年2月16日より、マイナス金利政策が導入されました。このマイナス金利が間接的に個人年金保険の販売停止や保険料の値上げの理由となっています。

そもそもマイナス金利政策とは、簡単に言えば、貸金や預金に対して付く「利子(利息)」の割合がマイナスになるよ、と言うことです。

ということは、企業は銀行からお金を借りやすくなり、日本銀行に預金をしている大手銀行や地方銀行は預金するよりも貸し出すメリットが大きくなり、市場(世の中)にお金が流通するようになります。しかし、結果として銀行の収益が悪化し、貸し出しの増加には繋がりませんでした。2017年金融庁のレポート

次にマイナス金利が具体的にどのように個人年金保険の販売停止、ないしは保険の積立の利回りに影響を与えているかについて、


  • マイナス金利が国債利回りの低下に影響を及ぼした
  • 国債利回りの低下によって保険の予定利率が引き下げされた
という2つに分けて詳しく見ていきます。

理由①:マイナス金利が国債利回りの低下に影響を及ぼした

マイナス金利の導入により、20年国債や30年国債の金利(利回り)は大幅に下落しました。


20年国債の利回りの推移

20年国債の利回りの推移

財務省:国債金利情報、2020/1最新)


実は、保険会社の個人年金保険や学資保険などは、円建てであれば日本国債20年債や30年債を中心に運用してきました。そのため、マイナス金利の影響によって、日本国債の利回りが悪くなり、各生命保険会社はの個人年金保険の保険料積立の運用実績が下がることになってしまいました。その結果、個人年金保険、学資保険をはじめとする、貯蓄型保険の販売における運用が厳しくなりました。


実は、日本銀行(当時黒田総裁)は、マイナス金利の導入により、国債の金利(利回り)は低下しないと推測していました。詳しい理由は他の記事に譲りますが、海外の情勢であったり、銀行の貸し出しが進まなかったことなどから、国債の買いが進みました。


結果は上記の表の通りですが、個人年金保険や学資保険の貯蓄性のある保険商品は、引き続き厳しいと考えられます。


理由②:国債利回りの低下によって保険の予定利率が引き下げされた

マイナス金利政策の影響で、2017年4月に保険の標準予定利率が大幅に下げられました。


標準予定利率(読み方:ひょうじゅんよていりりつ)とは、保険料の価格を決める上で重要な指標の一つで、保険料で集めたお金の運用利回りの計画値を指します。


1996年4月に標準予定利率が定められてから予定利率は下がり続けてはいましたが、2017年4月の改定では、ついに1.0%から0.25%へと引き下げられ、過去最低の予定利率となりました。この結果、各保険会社でも各保険会社が設定する予定利率の引き下げが必要となり、保険料を高く設定する、または保険商品の販売停止、ないしは売り止めをする必要が出たのです。


個人年金保険の販売停止後に検討すべき!おすすめ個人年金積立方法2選

今回販売停止となっている個人年金保険は、日本国債で運用している「円建て」の個人年金保険が中心です。


外国の国債や株式で運用を中心とする外貨建て保険では、元本を保証しつつ(※外貨ベースでの元本保証であり、円ベースではありません)、利回りも2~3%と、かなり高い利回りを実現しているものも多いです。


また、国が運営する確定拠出年金iDeCoにも注目が集まっています。円建てでは利回りが期待できないので、期待できるのは節税・控除のメリットを中心に考えられます。


そこでここからは

  • 外貨建て個人年金保険
  • iDeCo
について簡単にみていきたいと思います。

①外貨建て個人年金保険

今回販売停止となっている個人年金保険は、日本国債で運用している「円建て」の個人年金保険が中心です。


日本社4社(日本生命・住友生命・明治安田生命・第一生命)やアフラック・あんしん生命など、本来円建ての個人年金保険を販売していた保険会社は、もっぱら外貨建ての個人年金保険に切り替えています。


外国の国債や株式で運用を中心とする外貨建て保険では、元本を保証しつつ(※外貨ベースでの元本保証であり、円ベースではありません)、利回りも2~3%と、かなり高い利回りを実現しているものも多いです。


また、国が運営する確定拠出年金iDeCoにも注目が集まっています。円建てでは利回りが期待できないので、期待できるのは節税・控除のメリットを中心に考えられます。


外貨建て個人年金保険とiDeCoについて簡単にみていきたいと思います。

②個人型拠出年金iDeCo(イデコ)

個人年金保険の販売停止が相次ぐ中、まだ個人年金保険に未加入で老後が心配だという方は、個人型確定拠出年金(iDeCo)を検討してみてください。

個人年金保険のように、いつでも解約することはできず、60歳を迎えるまでは解約できないようになっていますが、今では主婦を始め、自営業、サラリーマン、公務員など、誰でも加入することができる個人年金です。


月額5,000円から、1,000円単位で加入することができ、自分自身で運用先を決めて運用を行い、将来の年金に充てることができます。


また、個人型確定拠出年金(iDeCo)は、公的年金と同様の扱いのため、掛け金や運用利益は、非課税となります。

一見難しいと思われがちな個人年金のタイプですが、現在では、各保険会社や証券会社など、様々な金融関係会社で販売されているので、気軽に利用できるようになっている制度です。

現在加入中の個人年金保険が販売停止になった場合の対処とは?

個人年金保険が販売停止になり、今後も販売停止が続くのではと考えると、現在加入している個人年金保険が販売停止になった場合、どうなるのか、心配になってしまう方もいらっしゃるでしょう。


貯蓄性の高い個人年金保険の相次ぐ販売停止に伴い、新たに個人年金保険に加入することができなくなりました。


販売停止は、大手国内生命保険会社をはじめとして、多くの保険会社で行われているため、自助努力が必要とされている今、老後の心配が出てきてしまいます。


そこで以下では、

  • 加入済みの個人年金保険が販売停止になっても継続OK
  • 予定利率の高いお宝保険は中途解約しないように注意
について詳しく見ていきましょう。

加入済みの個人年金保険が販売停止になっても継続OK

既に個人年金保険に加入されている方は、安心してください。

販売停止になっている個人年金保険や、今後、販売停止が予定されている個人年金保険に加入済みの場合は、そのまま継続をすることが可能です。


しかし、新たに個人年金に加入する際には、販売停止の個人年金保険には加入することができません。


そのため、現在加入している個人年金保険を、何らかの事情で解約した場合、今後の保険会社の情勢にもよりますが、現在の状況では、新たに加入することは困難と言えるでしょう。

予定利率の高いお宝保険は中途解約しないように注意

国債利回り

国債利回り

財務省:国債金利情報、2020/1最新)


国債の利回りは1990年代のピークから低下しつづけていて、低下すればするほど、個人年金保険をはじめとする商品は不利である、と言うことは理解されているかと思います。

ということは、逆に1990年代に加入している商品は利回りの高い「お宝保険」と言うことができます。

実際、2013年4月以降に加入した場合と、1996年以前に加入した場合とでは、標準予定利率が大きく違っています。


1996年4月
(標準予定利率開始)
2.75%
1999年4月2.0%
2001年4月1.5%
2013年4月1.0%
2017年4月0.25%

標準利率が高ければ、同じ年金額であっても、保険料はとても安くなっています。つまり、支払った保険料より、年金で受け取る金額の方が、とても多くなるということになるのです。


このような、予定利率の良かった時代の生命保険は、お宝保険と呼ばれ、もう二度と同じような保険には加入できないと言われています。

どの保険が安全なのか選ぶのに困ったらプロに相談するのがおすすめ



個人年金保険が相次いで販売停止を決めているなか、どの保険会社の個人年金保険を選べばよいのか悩む方も多いと思います。


そんなときにはひとりで考えるのではなく、保険のプロに相談することをおすすめします。


マネーキャリアの保険相談はオンラインで完結するため、お気軽にご利用いただけます。


無料で保険のプロに相談できますので、一度試してみてはいかがでしょうか。

個人年金保険の販売停止の具体例や売り止めの理由に関するまとめ

個人年金保険の販売停止の理由や売り止めの理由は理解できましたでしょうか?

将来年金がいくらもらえるのかわからない不安な時代なだけに、将来の個人年金は自分で考えて積み立てておく必要があります。

マイナス金利政策によって、個人年金保険を含む貯蓄型の保険商品は、販売停止が相次ぎ、いつまで国内情勢が続くのかは誰にもわかりません。

今後も保険会社の動向を追っていくことで、経済の動きや年金積立の方法が変わっていくので、継続的にチェックしていきましょう。

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