確定申告が必要な学生とは?確定申告の還付金についても解説!

学生でもアルバイトなどで一定以上の収入がある場合、確定申告が必要になることをご存知ですか?確定申告は面倒なイメージがありますが、実はお金が返ってくるかもしれない、お得なイベントでもあります。この記事では、確定申告が必要になる学生や還付金について説明します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

学生の確定申告について解説


生活費の足しにしたり小遣いを増やしたりと、アルバイトに精を出す高校生や大学生も多いことでしょう。

そんな学生アルバイトでの稼ぎにも当然所得税がかかるのですが、税金と聞くと確定申告をしなければならないと身構える人も多いのではないでしょうか。

そこで、この記事では「学生アルバイトの収入と確定申告」について、
  • 学生アルバイトの中で確定申告が必要なのはどんな人か
  • 学生アルバイトにはどのような種類の収入があるのか
  • 学生アルバイトが受けることのできる返還金とは何か
以上のことを中心に解説していきます。

この記事を読んでいただければ、学生アルバイトをしている人の確定申告について知識を得ることができ、公平で正しい納税に役立てていただけます。

ぜひ最後までご覧ください。

参考:確定申告とは

給与や事業での利益、投資で得た配当金やキャピタルゲイン、ウーバーイーツの収入、クラウドソーシング、不動産の家賃など、何かしらの収入を得たときには所得税という税金の納税義務が生じます。


確定申告とは、こういった収入と経費、納税する金額などを特定の書類に記入し、所得税をいくら納めますという内容を国に申告するための手続きを指します。


確定申告は基本的に収入を得た人はすべて行う義務が生じますが、特定の条件の人は申告をしなくても良い、もしくは会社などが代わって税金の申告を行うといった特例や手続きも存在します。


確定申告で報告する所得税は、基本的に一年間の収入の総額から、それを得るために必要な支出(経費)を差し引いた利益である「所得」に対して税率をかけた金額を計算するという方法で算出します。

確定申告が必要な学生を紹介

学生だからといって、確定申告をしなくていいわけではありません。何らかの収入を得ていれば、学生であっても確定申告が必要です。所得税は、年齢には関係なく収入の金額に応じて課税される税金だからです。


確定申告が必要な基準は収入金額であったり、複数のアルバイトを掛け持ちしている場合などさまざまですが、詳しくは以下で解説します。

103万(130万)を超えるアルバイト収入がある場合

確定申告が必要な学生は、アルバイトの場合は一年間の収入額が103万円を超える人です。


アルバイトの場合、収入の区分は「給与所得」となります。


所得税は収入から経費を差し引いた所得に対してかかることは前述のとおりですが、給与所得者はその経費の代わりに「基礎控除」と「給与所得控除」というものがあります。


基礎控除は48万円、給与所得控除は最低55万円あり、これを合計すると103万円となるため、給与収入が103万円までであれば、所得の金額は0円となります。




所得税は所得の金額に税率を掛けて計算するため、所得が0円であれば所得税も0円となるのです。




逆に、給与収入額が103万円を超える場合は所得の金額が生じるため、確定申告が必要になるのです。

複数のアルバイトを掛け持ちしている場合

また1か所のアルバイトだけではなく、複数のアルバイトを掛け持ちしている場合も、確定申告は必要です。


通常、1か所のみのアルバイトであれば所得税の源泉徴収は甲欄で行われ、年末調整で済むのですが、2か所以上の場合は乙欄の源泉徴収となります。


乙欄は年末調整を行うことができないため、複数のアルバイトをしている場合は確定申告が必要となります。

年末調整しないままアルバイトを辞めた場合

年度の途中でアルバイトを辞めたとき、その会社では年末調整を行ってくれません。


これは、もし次に別のアルバイトや就職などで収入があると、正確な所得税額が計算されないまま所得税の精算を行うことになってしまうからです。


しかし、もし毎月の給与で源泉徴収税額がある場合、確定申告を行うことによってその税額が返ってくる場合があります。


当然、戻ってくる金額よりも年税額のほうが多ければ追徴収となってしまうこともあるのですが、多くの場合返還を受けることになります。


いずれにせよ年末調整が行われないままでは正しい納税とはなっていませんので、確定申告が必要となります。

源泉徴収されている場合

学生アルバイトによる収入については、給与収入だけとは限りません。翻訳や執筆業、イラストの原稿報酬など、報酬として支払われるお金もあります。


こういった報酬からは、あらかじめ特定の税率によって所得税が源泉徴収されていることがあります。


しかし、ここで源泉徴収される所得税額はあくまでも概算であり、最終的には一年間の収入が確定した段階ではじめて正しい税額が算出できるのです。


一年間の収入により算出した税額と源泉徴収された税額との精算のために、確定申告は必ず必要となります。


また、掛け持ちでアルバイトをしている場合、どこか1か所でも源泉徴収されている場合でも確定申告が必要です。

ネットビジネスなどで48万円を超える利益を得ている場合

近年の学生の収入源といえばアルバイトだけではなく、ネットを使った広告収入やブログ収入、ユーチューバー、クラウドソーシングなどのネットビジネスがあります。


こういった新手の収入についても、48万円を超える収入については所得税が生じるため、確定申告が必要になります。


これは、基礎控除が48万円となっているためです。


また、アルバイトと並行してこよのうな収入を得ている場合でも、所得の金額が48万円を超えていれば確定申告が必要になります。

注意:103万(130万)の壁を超えると税金が発生する

学生アルバイトや主婦などのパートでは、よく親や配偶者から103万円までと言われると思います。


これは、所得の金額が48万円以下の場合は扶養親族の範囲内となり、親や配偶者など扶養者に「扶養控除」という控除が適用され、所得税が安くなるからです。


この所得の金額を判定するためには、給与収入の103万円から給与所得控除55万円を差し引いた48万円が基準となるため、103万円の壁というものが存在するのです。


また所得税とは全く別の話で、130万円の壁というものもあります。


こちらは社会保険における扶養の話で、年間給与収入か130万円以下であれば給与所得者本人が社会保険に加入しなくても良いため、親の社会保険の扶養に入っていられるということです。


親の扶養に入っていれば社会保険料を余分に支払わずとも、健康保険に加入することができるのです。


130万円を超えると給与所得者本人が社会保険に加入しなくてはならず、本人も社会保険料を負担しなければなりません。このため、130万円の壁という言葉が存在するのです。

確定申告が不要な学生を紹介

学生アルバイトでも、基本的に収入があれば確定申告が必要なのはここまでに述べた通りです。


しかし、特定の条件を満たす人は確定申告は不要になります。


特に1か所だけでアルバイトをしている人は、確定申告が不要なのにわざわざ行って二度手間になることはできればしたくないでしょう。


ここからは、確定申告が不要な学生について詳しく解説していきます。

アルバイト以外の収入が20万円以下の場合

まず、主な収入がアルバイトによる給与収入の人で、年末調整によって所得税を精算しており、かつ給与収入以外の収入が20万円以下の人です。


たとえばオークションやメルカリなどでの利益など、給与ではない収入がある場合、雑所得という区分で扱われます。


給与所得者で雑所得が20万円以下の人は確定申告をしなくても良いという決まりがあり、この場合は確定申告が不要となります。


ただし、住民税についてはこのような決まりがありませんので、住民税については収入を申告する必要がありますのでご注意ください。

年末調整されている場合

そもそも、学生アルバイトの場合は大抵、勤務先で年末調整という所得税の精算行われています。


年末調整とは、給与所得者に代わって会社が確定申告を行うようなもので、基本的に給与所得しか収入源がない人は、所得税の精算を会社が行ってくれます。


年末調整を行うには、「扶養控除申告書」を会社に提出するだけです。この場合、一年間の最後の給与(12月)で所得税が精算されますので、その後の確定申告は不要になるのです。

参考:勤労学生控除とは

ちなみに、生活費を稼ぐためにアルバイトをしている学生が特定の条件を満たしたときには、勤労学生控除を使うことができます。


勤労学生控除は、以下の条件を満たすことで、所得の金額から27万円を控除することができる制度です。

  • 給与所得などの勤労による所得があること
  • 合計所得金額が75万円以下かつ上記の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること
  • 特定の学校の学生もしくは生徒であること

特定の学校とは、小学校から大学を含む教育機関や専門学校なども含まれます。

学生アルバイトが確定申告をした場合の還付金

確定申告をして税金が返ってきたというのはよく聞く話ですが、そもそも何故確定申告で還付金が発生するのでしょう。


それは、毎月の給与から源泉徴収されている所得税額はあくまでも概算の金額だからです。


給与月額から大体いくらぐらいの所得税を徴収すれば、年間の所得税額と近い金額になるという前提で月額所得税が決められているため、どうしても年税額とは差額が生じます。


この月額所得税の12か月分の累計と、一年間の収入に対する正しい所得税額との差額を確定申告によって精算しているのです。

戻ってくる金額はどのくらい?

では実際に確定申告をしていくら所得税が戻ってくるかですが、これは年収とそもそも給与から所得税が源泉徴収されているかによって異なります。


一月あたり8万円程度の給与収入では、そもそも月額の所得税も発生しないため、確定申告をしても還付金はありません。


学生のアルバイトによる収入はさほど多くないと推測されますので、還付金があったとしても数百円ということも有り得ます。

源泉徴収されている場合

給与から所得税額が源泉徴収されている場合は、還付金が発生する可能性があります。


これは、月額の所得税額は年税額を12で割った金額よりも多めになるように計算されているためであり、大抵の場合は還付となるからです。


ある月に多めに働いて源泉徴収されたが、年間で見ると所得税額が0円というようなケースでは、源泉徴収された所得税は全額還付されます。

源泉徴収されていない場合

その逆に、給与から所得税が源泉徴収されていないようなケースでは、還付は発生しません。


むしろ、年収によっては所得税額が発生することもあり、その場合は不足税額として納税しなければなりません。


しかし給与から所得税を源泉徴収することは給与支払者の義務ですので、このようなケースはあまりないでしょう。


例外としては、常時2人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与を支払っている個人の場合は源泉徴収義務者ではありませんので、そのような働き方をしている場合は源泉徴収されていないことになります。

確定申告のやり方は?期間や必要書類を紹介

確定申告は、1月1日から12月31日までに得た利益に対して、翌年2月16日から3月15日までの間に行い、納税がある場合は同期間の間に納付もします。


確定申告のやり方としては、申告書および添付書類を自分の住所を管轄している税務署に、直接提出または郵送することで行います。


また近年では、e-Taxというウェブ上で完結する電子申告をする方も増えてきました。主な必要書類としては、「確定申告書」「付表」「源泉徴収票」などです。


確定申告書や付表はどの税務署にも置いてありますし、国税庁のホームページからダウンロード、印刷して使用することもできます。

国税庁:確定申告特集

参考:確定申告をしなくてもバレない?

手続きも面倒だし、なんとなく確定申告はしたくない…とお思いの方もいらっしゃると思いますが、確定申告は収入があった方の義務として行わなければなりません。


自己申告のため確定申告をしなくてもバレないと思うかもしれませんが、勤務先からは給与支払報告書という、一年間に支払った全社員分の給与を市区町村に報告しています。


そのため、給与収入はすでに役所のほうで把握しているため、バレないということはありません。


また意図的に確定申告を行わなかった場合、脱税などの疑いをかけられ、最悪のケースでは逮捕ということも有り得ます。


給与から源泉徴収されているケースでは、確定申告によって還付税額となるケースのほうが多いですし、そもそも国民の義務であるため確定申告は必ず行いましょう。

学生の確定申告についてのまとめ

学生アルバイトの所得税と確定申告について見てきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは、

  • 所得税額が発生する学生は確定申告をしなければならない
  • 会社で年末調整をしてくれている場合は確定申告は不要
  • 2か所以上で働いている場合で所得税額が発生したときは年末調整の有無に関わらず確定申告が必要
  • 収入は把握されているため確定申告しなかったときはばれるので、必ず確定申告をする

です。


特に大学生などは就職活動や講義が一段落した後は時間があるため、アルバイトでたくさん稼ごうとする人も多いでしょう。


しかし、収入の増加に伴って納税義務のある人も出てきますので、自分が確定申告が必要なのかしっかりと知識を付け、正しい納税をしていきましょう。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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