【完全ガイド】医療費控除に交通費が含まれる場合・申請書の書き方

医療費控除には交通費も含まれます。2018年から確定申告の際の領収書提出がなしになったので、申請書の書き方・集計方法を改めて確認しておきましょう。ここでは医療費控除の対象となる交通費はどんなものか、新しくなった医療費控除申請方法について丁寧に解説します。

医療費控除として交通費が対象となるのはどんな時?申請方法は?


公共機関であるバス・電車を通院時に利用した際、交通費は一定以上の金額を支払った場合に医療費控除の対象となります。


それでは通院や入院時に発生する、バス・電車以外の交通費は医療費控除の対象として申請してよいのでしょうか。

タクシーやその他の交通機関、自家用車でのガソリン代はどうなるのでしょう。また、移動中に付き添いで負担した交通費はどうなるのかなど、悩む方も多いのではないでしょうか。

そこで今からご紹介するのは
  • 医療費控除の対象となる交通費は?
  • 交通費の対象とならない場合はどのようなとき?
  • 確定申告書は医療費集計フォームで!その記入方法を紹介
  • 医療費の対象となる交通費は忘れずに申告しよう!
を中心に説明をしていきます。

医療費控除の対象となる交通費について、確定申告前に知っておくことでスムーズに申請が行えるよう、ぜひ最後までご覧ください。

交通費が医療費控除の対象となる場合

医療費控除の対象となるのは、医療費全額ではなく保険金などで補てんされる金額と10万円、または所得金額の5%を引いた額です。


そして高額の医療費を支払ったとき、確定申告を行うことで所得税が還付されます。


医療費の対象は

  • 診療や治療に支払った費用
  • 医薬品の購入に支払った費用
  • 診療を受けるため直接必要となった交通費

となっています。


医療費控除に関してありがちな誤解は1年間に支払った医療費が全額戻ってくるというものです。しかし、あくまで支払った医療費に応じて税金が再計算されるということなので、注意しましょう。  

対象となる場合|バス・電車など(定期圏内は対象外)

それでは、どのような場合、バス・電車などは対象となるのでしょうか。

公共交通機関のバス・電車を利用して病院で診察を受けるために支払った往復運賃医療費控除の対象です。

領収書がない公共交通機関の運賃については
  • 医療費の領収書の内容と整合性がとれるよう運賃を内訳しておく
  • 明細書を作成する際には個別ではなく1年間分をまとめた金額を転記できる
またSuicaやPASMOなどの交通系ICカードの場合は
  • 履歴を券売機で印字しておくと内訳を作成する際に参照できる
  • まとめて印字すると期限切れになっていることがある
  • Suicaは直近の利用分が最大100件まで行えて、利用から26週間を超えた履歴は印字ができない
このように印字できる履歴は期間に条件があるため注意が必要です。

また、通勤・通学の定期券圏内の交通費は対象外になります。            

例外|骨折時のタクシーは医療費控除の対象になる

歩行が困難である骨折時のタクシー利用は、その状況からみて通院のための交通費となりますので医療費控除の対象となります。


また、認定の基準となるのは、一般的に水準を著しく超えない支出の場合です。なので通常はバスや電車の交通費が対象となります。


領収書は申告の際の証明となりますので、必ず保管しておきましょう。

付き添いの方にかかる交通費は必要性がある場合は対象

必要性がある患者の付き添いにかかった交通費医療費控除の対象となります。


( 引用元:患者の世話のための家族の交通費 | 国税庁) 



例えば、患者の年齢や病状からみて患者一人で通院させることが危険な場合の交通費などです。ただし、通院のため通常必要なものに限ります。


しかし、患者自身が通院しておらず入院患者の世話をするために付添人が通院する場合の医療費控除の対象外です。

交通費が医療費控除の対象とならない場合


それでは、医療控除の対象とならない交通費とはどのような場合でしょうか。


所得税法は医療費控除について、医療費とは医療に関連する人的役務の提供の対価であり、うち通常必要であると認められるものとあります。


人的役務とは人間が行うサービスのことで代表例では電車賃やバス賃です。また自家用車を自分で運転する場合は他人のサービスを受けて電車やバスの運転手に手間賃を支払うわけではないので、医療費控除の対象外となるのです。


ここからは、対象外の例をいくつかをご紹介します。

対象にならない可能性がある交通費|タクシー・新幹線・飛行機など

交通費が対象にならない可能性は、どのような場合なのでしょうか。

タクシー・新幹線・飛行機など
  • タクシー料金は急を要する場合以外は原則対象外である
  • 新幹線や行機の運賃は、遠方の医療機関でなければ治療ができない、といったように理由が相応である場合を除いては医療費控除の対象外である
また、法の規定に沿っていれば事情によっては認められる場合もあります。

骨折時以外にも突然の陣痛のためタクシーを呼んで入院した、という場合には電車、バスの利用ができないため医療費控除の対象となります。

車のガソリン・高速料金・駐車料金は医療費控除の対象外

交通手段としての自家用車でのガソリン代や駐車場代、また高速料金は通院する場合でも医療費控除の対象外になります。


国税庁のサイトに質問した納税者の事例に対する回答では、自家用車で通院する場合のガソリン代等について答えた理由は、医師などの診療を受けるために直接必要なもので、か

つ、通常必要なものでなくてはならないからです。


この回答は所得税基本通達に基づいており課税関係は全て法律に根拠があります。


また、ガソリン代や駐車料金は購入や利用に対する対価ですので医療費控除の対象にはならないのです。

医療費控除に交通費を含める際の確定申告書書き方|医療費集計フォームを利用しよう

それでは、確定申告書に医療費控除が対象となる交通費を記入する場合はどうしたらよいのでしょうか。


国税庁のサイトにて、簡単に確定申告書は作成可能です。サイト内にて確定申告書等作成コーナーというページから医療費集計フォームをダウンロードでき、提出目を入力していけば申告書ができ上がります。


医療費集計フォームを使わない選択も可能ですが、別途、必要項目が記載された明細書を作成し確定申告書に添付する必要がでてきます。


転記する手間や計算ミスなどを考えると、国税庁サイト内の確定申告書コーナーの医療費集計フォームでの作成をする方が確実で便利です。 

2018年から医療費控除をする際、領収書の添付が不要になった

2018年度、平成29年分の確定申告から医療費控除の制度が大きく変わり、医療費の領収書の添付が不要となり、代わりに明細書が必要になりました。

また、家族全員が医療費控除の対象となります。共働き夫婦で健康保険が違う場合やひとり暮らしをしている子供であっても、同一家計で生活しているのであれば全員の医療費が10万円以上で医療費控除は受けられます。

このように、医療控除の適用を受けるためには明細書がすべて必要となってきます。

確定申告・医療費控除の申請に必要な書類・テンプレート

それでは、医療費控除の申請に必要な書類とはどのようなものなのでしょうか。

医療費控除の必要書類は
  • 医療費の明細書
  • セルフメディケーション税制の明細書
  • 確定申告書
  • 勤務先で配布される徴収票
  • 健康保険組合等が発行する医療費通知
以下の書式先をご活用ください。

以上の必要書類が全てそろったら、申請書の作成が行えます。

交通費は「その他の医療費」項目に記入する

医療費控除の明細書フォーマットで記入する際に交通費はこちらの記入方法となります。


  • 医療費の区分欄その他の医療費項目に記入する
  • かかった交通費をその都度記入してもよい
  • 家族が多い場合、通院回数が多い場合は医療機関ごとにまとめて記入してもよい

例:A病院に1年間で5回通院して、交通費が1回につき往復600円かかっていたとすると、A病院に3,000円と記入すればよいです。


入力件数が多い場合は、スマホよりパソコンで通常の確定申告作成コーナーでの医療費の集計フォームなどを利用するほうが早いかもしれません。 

交通費の領収書がない場合の書き方について

領収書がない、またはとれない交通費の内訳を別途作る場合の書き方はどのようになるのでしょうか。

管理ポイントは
  • 通院履歴となる明細書と交通費が相違なく対応していること
が重要となります。

書き方のポイントは
  • 医療を受けた人
  • 続柄
  • 病院・薬局などの所在地・名称
  • 診療日
  • 支払金額
  • 通院費
以上は医療費控除の申告するうえで必ず必要になり、交通費と通院履歴などと照合できて日時や支払金額などが記入がきちんとできるようにしておかなくてはなりません。

注意|医療費控除を申請した交通費の領収書は5年間保管すること

領収書の提出が不要となったのは、2018年3月期以降の確定申告からです。そして新たに医療費控除の明細書という書式に変更になりました。


また、医療費控除を申請した交通費の領収書5年間という長い期間保管をしなくてはなりません。領収書は自己だけでなく、同一生計となる配偶者や親族も医療費の対象に含まれます。


保管理由は、提出した記載内容と医療費控除の明細書の確認をする必要があるとき、税務署が医療費の領収書の提出や提示を求めてくることがあります。


ですので、医療費控除の明細書に記載した交通費の金額の根拠を提示できるように領収書は保管しておく必要があるのです。


自宅などで5年間は保管しなくてはならないので破棄をしないよう注意しましょう。

参考|医療費控除の虚偽申告をしたらばれるのか

医療費控除申告で不正をしたらどうなるかのでしょうか。


脱税について条文は、所得税法第238条・法人税法第159条より、偽りその他不正の行為にて税を免れる、もしくは税の還付を受ける行為です。


不正な手段で偽装行為や隠ぺい行為などの税負担の軽減行う行為ともいえます。


所得の悪質な偽造は帳簿の改ざんや虚偽の記載といった、ほ脱と呼ばれる犯罪行為です。


偽装・改ざんして領収証などの経費を水増しする行為などの例が挙げられます。

医療費控除の虚偽申告がばれたらどうなる?

脱税でもある医療費控除の偽装申告がばれてしまったときにはどのような罰則を受けるのでしょうか。


偽装申告である、ほ脱を行った場合の量刑

  • 無申告加算税・延滞税に加えて重加算税の支払いが課される
  • 加算税率は税額の35~40%と高額である
  • もし払えない場合、住まいの差し押さえ等の処分が行われる
  •  悪質な場合は上記の罰則に加えて最大で10年以上の懲役、また1,000万円以下の罰金の刑事罰に処される可能性がある

このようなことから、申告の偽造は行なってはいけない行為なのです。

まとめ:交通費は医療費控除の対象となる!忘れずに確定申告しよう

いかがでしたか。

医療費控除の対象となる交通費は、利用する手段によって確定申告の申請の仕方が違ってくるとが分かりました。


ここまでに

  • 医療費控除の対象となる交通費はバス・電車である
  • 病状からみて急を要する場合以外タクシー・新幹線・飛行機は対象外である
  • 医療費集計フォームで確定申告書は簡単にできる    
  • 忘れずに医療費の対象となる交通費を確定申告書する

を中心にご紹介をしました。


年間10万円を超える医療費が、家計から支出された場合大きな出費となります。また医療費控除で控除できる金額の上限は200万円となっています。


そして確定申告を忘れずに行うことで還付金が戻ってくるのです。



さまざまな条件によって医療費控除の対象になる・ならない場合がでてくることもあるかもしれませんが、不明点があれば一人で悩まず管轄の税務署に問い合わせて解決することをおすすします。 

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