更新日:2021/03/05
退職後に傷病手当から失業保険に切り替えるには?どちらが得?
ケガや病気で働けずに退職をする場合、退職のタイミングで傷病手当から失業保険に切り替える必要があります。この記事では、傷病手当から失業保険に切り替えに必要な手続きの手順を紹介すると共に、そもそも傷病手当と失業保険はどちらが得なのか、についても解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 傷病手当終了後に失業保険へ切り替える手順は?
- 傷病手当から失業保険に賢く切り替える手順
- 【同時受給はできない】傷病手当と失業保険の違いについて
- パターン①:退職後29日以内に働ける場合の切り替え手順
- パターン②:退職後30日以上は働けない場合の切り替え手順
- 給付期間の延長の条件と延長方法
- 失業保険の待機期間と給付制限期間について
- 傷病手当は受給期間終了後、給付が打ち切りに
- 病気やケガが理由の離職には給付制限期間が適用されない
- 失業保険の給付期間
- 傷病証明書は担当医に書いてもらう
- 失業保険の受給申請に必要な書類
- 傷病手当と失業保険はどちらが得?もらえる金額の比較
- 参考①:障害年金なら傷病手当や失業保険との併給が可能
- 参考②:うつ病で退職した場合の傷病手当金と失業保険について
- 傷病手当と失業保険のどっちが得かは人それぞれ
目次
傷病手当終了後に失業保険へ切り替える手順は?
けがや病気を理由に退職し、療養している方の中には失業保険をもらえるのか不安に思っている方もいるのではないでしょうか。
傷病手当を受給している間は、もちろん失業保険の給付は受けられません。ただ、きちんとした手順を踏めば病気等が治癒した後に、失業保険への切り替えが可能です。
今回は傷病手当金から失業保険に切り替える手順について、
- 具体的な切り替え手順
- 給付期間の延長方法
- 待期期間、給付制限期間の意味や過ごし方
- 失業保険の給付期間の比較
- 傷病手当と失業保険のどちらが得か
- 障害年金との同時受給は可能なのか
傷病手当から失業保険に賢く切り替える手順
現在、傷病手当をもらいながら療養している方もいると思います。病気等の改善後は、失業保険への切り替えが必要となりますが、切り替え方はケースにより異なります。
また失業保険は申請してもすぐに支給開始とはならず、ある一定の期間があります。その間には注意すべき点も多々あります。
ここからはケース別に、傷病手当から失業保険への切り替え手順や、失業保険の支給開始までに注意すべき点などをお話していきます。
【同時受給はできない】傷病手当と失業保険の違いについて
- 傷病手当:病気等ですぐ働ける状況にない方へ支給。
- 失業保険:今すぐ働ける状態なのに、就職が決まらない方へ支給。
パターン①:退職後29日以内に働ける場合の切り替え手順
- 失業保険の申請に必要な書類を用意。
- 申請手続きを行う。
- 待期期間(給付制限期間)の満了日を待つ。
- 失業保険の支給開始。
退職後29日以内に就労可能な場合、そのまま失業保険への切り替えが可能です。必要書類を用意してハローワークへ行き、失業保険の申請を行いましょう。
支給開始までは、必ず7日間の待期期間があります。更に、自己都合で退職した際は給付制限期間があるので注意が必要です。
パターン②:退職後30日以上は働けない場合の切り替え手順
退職後も30日以上就労不能な状態であれば、上記に加えて行うべきことがあります。
以下、切り替え手順です。
- 失業保険の給付期間延長を行う
- 傷病証明書を取得
- 必要な書類を準備
- 失業保険の申請を行う
- 待期期間が過ぎるのを待つ
- 失業保険の支給開始
まず初めに失業保険の給付期間延長を行います。 病気等の改善後、担当医に傷病証明書を書いてもらいましょう。
傷病証明書は病気等が改善し、働ける状態になったことを証明する非常に重要な書類です。 失業保険への切り替えに必須となってくるものなので、忘れずに書いてもらうようにしましょう。その後の手順は、29日以内に就労可能な場合と同じです。
給付期間の延長の条件と延長方法
失業保険は離職後も就職活動を安心して行えるように支給されるものです。ただ退職した方の中には、すぐに働ける状況にない方もいると思います。
その場合は以下の条件に当てはまる方で、かつ退職後30日以上就労不能な状態にあれば、失業保険の給付期間を延ばすことができます。
- 病気等で療養中の方
- 妊娠・出産・育児(3歳未満)をされている方
- 親族の介護をされている方
- 定年退職後の休養を希望される方
- 受給期間延長申請書
- 離職票-2
- 延長理由の証明となる書類h
- 印鑑
失業保険の待機期間と給付制限期間について
失業保険の申請後、支給開始までには待期期間や給付制限期間があります。
- 待期期間:申請者の全ての方が失業保険をもらえない期間。(申請後7日間)
- 給付制限期間:自己都合退職者のみ。失業保険がもらえない期間。(待期期間後の3カ月)
傷病手当は受給期間終了後、給付が打ち切りに
受給期間は、 組合によって違いはありますが、受給開始から1年6ヶ月を法律では下限としています。
また、病気やケガが完治しておらず働ける状態にない場合でも、受給期間が終わると給付を打ち切られてしまいます。
ただし、1年6ヶ月を過ぎると、失業保険を受け取る事ができるケースがあります。
また、受給期間の期限が過ぎても働ける状態まで改善しないと思われるときは、傷害年金の請求も考えておきましょう。
病気やケガが理由の離職には給付制限期間が適用されない
結婚や家族の介護などといった私的な理由での退職は、自己都合での退職と判断され失業保険の給付が3か月遅れてしまいます。
しかし、病気やケガなどが原因で退職した場合には、自己都合であったとしても給付制限期間がありません。
ハローワークに申請に行ってから、7日後には失業保険を受け取ることができるのです。
失業保険の給付期間
失業保険の給付期間は以下の基準で決められています。
- 自己都合退職:雇用保険の加入期間
- 会社都合退職:雇用保険の加入期間+離職時の年齢
傷病証明書は担当医に書いてもらう
離職後、ケガや病気等で働ける状態にない場合は傷病手当を貰いながら療養を行うことになると思いますが、状態改善後は失業保険への切り替えが必要です。
切り替えの際には「傷病証明書」が必要となってきます。傷病証明書とは傷病の状態にあったと認められる期間や、就労可能になったことを示す重要な書類です。
失業保険の申請をする際は、担当医に必ず「傷病証明書」を記載してもらいましょう。ただ、傷病証明書には未来日の記載ができない点にだけ注意してください。
仮に、翌日から就労可能な状態にある場合でも、当日になってから記入してもらうようにしましょう。
失業保険の受給申請に必要な書類
失業保険の申請は、ハローワーク(公共職業安定所)で行います。申請の際には以下の書類が必要となりますので、忘れずに準備しておきましょう。
- 離職票1、2
- 雇用保険被保険者証
- マイナンバーが確認できる書類
- 身分証明書
- 写真(2枚)
- 預金通帳又はキャッシュカード
- 印鑑
- 離職理由を証明できる書類
傷病手当と失業保険はどちらが得?もらえる金額の比較
傷病手当と失業保険の同時受給は不可であるため、どちらを受給した方が良いのか悩む方もいると思います。ここからは、どちらを受給する方が得なのかを解説していきます。
結論から言うと受給金額は人それぞれであるため、一概にどちらが得かは言えません。ただ、失業保険が最大約1年間しか支給されないのに対し傷病手当は最大1年6カ月支給されます。
そのため総額で考えると、傷病手当の方が多くもらえる可能性が高いです。従って状態改善までは傷病手当を貰い続け、その後失業保険へ切り替えるのがベストだといえます。
とはいえ、傷病の状況などは一人一人異なるので、「どちらを受給したほうがいいのか」、「切り替えのタイミングはどうすべきか」などを、一般の方が調べて自分にとって最適な方法を選択するのは難しいです。
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お金のプロの意見を参考にして、自分にとって最適な選択をしましょう。
参考①:障害年金なら傷病手当や失業保険との併給が可能
傷病手当と失業保険は同時にもらえないと話しましたが、障害年金であれば傷病手当や失業保険との同時受給が可能です。ただ、障害年金と失業保険を同時受給するには以下の条件を満たす必要があります。
- 障害年金の受給要件を満たしている
- 働く意思と能力がある
また障害年金と傷病手当を同時受給する際は、併給調整というものが行われます。併給調整とは以下の内容のことです。
- 障害年金が傷病手当より少ない→差額を傷病手当として支給
- 障害年金が傷病手当よりも多い→傷病手当は支給停止
参考②:うつ病で退職した場合の傷病手当金と失業保険について
うつ病が原因で退職し、その後就職を希望する場合は、就職できる能力があるのかどうかが問題となります。
うつ病が理由ですぐに就職できない場合は、失業保険の対象とはならず、ハローワーク等で休職を申し込んだ日から、うつ病が原因で15日以内に就職できない場合は傷病手当金の対象になります。
傷病手当と失業保険のどっちが得かは人それぞれ
傷病手当から失業保険への切り替えについてお話してきましたが、いかがだったでしょうか。
今回の記事のポイントは、
- 傷病手当と失業保険の同時受給は不可
- 失業保険の給付期間は延ばすことも可能
- 失業保険の給付日数は、退職理由により大きく異なる
- 傷病手当の方が総額は多くなる可能性が高い
- 障害年金は失業保険や傷病手当との同時受給が可能