更新日:2024/04/02
コンタクトレンズにかかる費用は医療費控除の対象になるのか?
運動の際にも便利で手軽に使用できるコンタクトレンズですが、毎日使用している人にとって、コンタクトレンズにかかる費用は高額となります。そんなコンタクトレンズ費用が医療費控除となれば、嬉しいですよね。そこで、コンタクトレンズは医療費控除対象となるのかを解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- コンタクトレンズにかかる費用は医療費控除を受けられるのか
- 治療目的でのコンタクトレンズは医療費控除対象となる
- 一般的な遠視・近視・乱視・老眼などの視力補正は対象外
- 付属品購入費は治療上必要であれば控除の対象となる
- コンタクトレンズが医療費控除の対象となる疾患とは
- 眼科医の処方箋により眼鏡店で直接作成・購入したものに限る
- コンタクトレンズ作成のための検査料は医療費控除対象となるのか
- 視力補正のための検査料は対象外
- 治療目的で使用するコンタクトレンズのための検査料は控除対象
- 医療費控除の対象条件に注意
- 眼科診療で医療費控除を確定申告する際に必要なもの
- 治療費や購入品の費用などの領収書やレシートは5年間保管する
- 「医療費控除の明細書」に医療費の合計金額を記載していく
- 病院への通院に必要となった交通費の領収書をとっておく
- まとめ:コンタクトレンズ費用が医療費控除を受けられるか
目次
コンタクトレンズにかかる費用は医療費控除を受けられるのか
普段何気なく使っているコンタクトレンズ、こちらを購入した費用は医療費控除を受けられるのでしょうか。
コンタクトレンズは毎日使うものですので、もしもコンタクトレンズの検査料や購入費用で医療費控除が受けられたなら、非常にお得ですよね。
では、実はコンタクトレンズが医療費控除の対象になるかどうかは、コンタクトレンズをつけている目的・理由によるのです。
そこで、この記事では「コンタクトレンズの検査料や購入費は医療費控除できるか」について、
- コンタクトレンズの医療費控除対象になる場合とならない場合
- コンタクトレンズ作成のための検査料は医療費控除対象になるのか
- 眼科診療で医療費控除を申告する方法
以上のことを中心に解説していきます。
この記事を読んでいただければ、コンタクトレンズの検査料や購入費が医療費控除の対象になるのか、申告の際の注意点について知ることに役立つかと思います。
治療目的でのコンタクトレンズは医療費控除対象となる
医療費控除とは、1年間にかかった医療費に税制上の優遇措置が受けられる仕組みです。
コンタクトレンズについては医療費控除の対象となる場合と、対象とならない場合があります。
コンタクトレンズの購入が治療目的であるなら、医療費に関係する費用なので医療費控除の対象となります。
こちらでは医療費控除の対象か否か、それぞれのケースについて説明していきます。
一般的な遠視・近視・乱視・老眼などの視力補正は対象外
度数が強いコンタクトレンズや、乱視の強いコンタクトレンズの場合であっても、通常の近視・乱視を矯正するコンタクトレンズを購入した費用は、医療費控除の対象になりません。
なぜなら、目の治療ではなく単に視力を矯正する目的にとどまるからです。医療費控除はあくまで医療費に関係するものでなくてはなりません。
付属品購入費は治療上必要であれば控除の対象となる
コンタクト洗浄液のような付属品購入費は、通常ならば近視・乱視を矯正するコンタクトレンズの購入費用と同様に、医療費控除の対象外となります。
しかし、付属品購入費は治療上必要ならばこちらも医療費控除の対象です。
コンタクトレンズが医療費控除の対象となる疾患とは
治療目的のコンタクトレンズとは、目の病気の治療にコンタクトレンズを使用することです。
例えば、角膜炎の治療後、目を保護するために装着する場合が該当します。
炎症の悪化を防ぐという目的が、治療に関連しているからです。
その他、次のような治療のためにコンタクトレンズを使用します。
オルソケラトロジー治療
夜間睡眠中にハードコンタクトレンズを装用し、角膜の形を平坦化して近視・乱視を矯正する方法です。
つまり、睡眠中に矯正治療を行うことになります。
朝起きてレンズを外した後も一定時間角膜の形が保持されます。
日中はコンタクトレンズやメガネを使用せず裸眼で生活することができます。
近視の治療はしたいけど手術のリスクまで負いたくない、という人にはおすすめの治療です。
治療目的なので医療費控除の対象
国税庁のタックスアンサーでは、この治療も、眼の機能それ自体を医学的な方法で正常な状態に回復させるものなので、それに係る費用は、医師の診療または治療の対価と認められると判断しています。
こちらの治療も医療費控除の対象となります。
眼科医の処方箋により眼鏡店で直接作成・購入したものに限る
治療目的のコンタクトレンズといっても無条件に控除対象になるわけではなく、眼科医から処方箋を作成してもらい、眼鏡店で直接作成・購入したものに限定されます。
なお、処方箋の作成料も治療目的の作業であるため医療費控除の対象となります。
コンタクトレンズ作成のための検査料は医療費控除対象となるのか
コンタクトレンズを作成するためには、眼科で必ず眼を検査する必要があります。
さらに、視力検査や眼圧の検査だけでなく、必ず医師に眼の状態を見てもらいます。
そのため、一見すると医療費控除の対象となるでは、と思えます。
コンタクトレンズは長期間継続して使用する人が多く、定期的に眼科を受診する必要があります。
せめて検査料だけでも医療費控除の対象であれば利用したいと考える人も多いでしょう。
しかし、検査料も医療費控除の対象となる場合と、対象とならない場合があるのです。
対象になるかならないかは、コンタクトレンズの購入費と同様に治療目的か否かがポイントになってきます。
こちらではそれぞれのケースを具体的に解説していきます。
視力補正のための検査料は対象外
治療ではなく視力補正のための検査料は医療費控除の対象となりません。
ただし、視力補正のための検査の際も眼科医から眼の調子をみてもらい、処方箋のような書類を受け取っています。
実はこの処方箋のような書類は「装着指示書」と呼ばれており、処方箋とは異なる書類です。
治療目的ではなければ、眼科で検査を受けても控除の対象外です。
治療目的で使用するコンタクトレンズのための検査料は控除対象
一方、治療目的で使用するコンタクトレンズのための検査料は控除対象となります。
この場合は、視力補正を目的としたコンタクトレンズを作成する時の「装着指示書」とは異なる「医師が作成した処方箋」が必要になります。
そして処方箋を受け取り、眼鏡店やコンタクトレンズ販売店で直接作成・購入することになります。
治療に係わるこれら処方箋料、診察料は全て医療費控除の範囲内となります。
条件を満たしている場合は忘れずに確定申告を行いましょう。
医療費控除の対象条件に注意
コンタクト代や検査料等が医療費控除の対象になっても、無条件でかかった費用分が控除されるわけではありません。
この医療費控除の対象となる条件の一つに、原則として1年間の医療費が年間10万円を超えていることが必要です。
医療控除の計算方法は次の通りです。
(実際に医療機関へ支払った医療費の合計額-保険金などで補填される金額)-10万円
ただし、その年の総所得金額等が200万円未満の人は、10万円ではなく、総所得金額等の5%の金額を差し引きます。
こちらでは事例をあげて計算してみます。
ケース1:その年の総所得金額等が200万円以上
- 年間所得:550万円
- 医療費:160万円
- 他の治療で高額療養費を利用:50万円戻る
医療費160万円-高額療養費50万円-10万円=医療費控除100万円
ケース2:その年の総所得金額等が200万円未満
- 年間所得:150万円
- 医療費:30万円
医療費30万円-7万5,000円(150万円×5%)=医療費控除22万5,000円
眼科診療で医療費控除を確定申告する際に必要なもの
眼科診療で医療費控除を希望する場合、診療を受けたご自分または家族の医療費を、住民票のある地域を管轄する税務署へ申告することになります。
なお、申告する人がサラリーマン等の給与所得者でも、年末調整で医療費控除を申告することはできず、自営業・自由業の方々と同様に確定申告で行う必要があります。
その際、年末調整を行っている給与取得者の方々は、確定申告に慣れておらず手間取ることもあるかと思います。
また、確定申告期間は2月16日から3月15日に限定されていますが、申告が医療費控除だけなら還付申告を行っても構いません。
還付申告はいつでも申告可能で、申告猶予期間は5年です。この期間内であれば受け付けてもらえますが、「そのうち申告するから後回しでよい。」と考えて放置してしまい、申告期限が過ぎてしまうことも考えられます。
そうなると非常にもったいないので、忘れずに期限内に申告しましょう。申告に必要な書類は次の通りです。
○準備する書類
- 確定申告書A:国税庁のホームページや各税務署で取得します。
- 医療費等の領収書・レシート:使用・保管する方法については後述します。
- 医療費控除の明細書:こちらも後述します。
- 医療費通知:健康保険または国民健康保険の保険者から送付された「医療費のおしらせ」です。こちらの書類があれば簡単に明細書を作成できます。ただし、必ずしも準備しなければならない書類ではありません。
- 源泉徴収票:給与所得者の場合は必要です。
- 本人確認書類:マイナンバー(個人番号カード)の両面の写しを添付した添付台紙が必要です。マイナンバー(個人番号カード)が無い方は、(a)番号確認書類の写し(通知カード、住民票の写し、住民票記載事項証明書のいずれか)+(b)身元確認書類(運転免許証、パスポート、在留カード等のいずれか)の写しを用意します。
- 印鑑
治療費や購入品の費用などの領収書やレシートは5年間保管する
治療費や購入品の費用などの領収書やレシートは、申告の際に必ずしも提示する必要はないですが、医療費控除の明細書へ転記する場合に必要となります。
領収書・レシートもご家庭で5年間大切に保管しましょう。なぜなら、その5年の間に国税庁が申告に疑義を感じたら、領収書・レシートの提出を求められることがあるからです。
「医療費控除の明細書」に医療費の合計金額を記載していく
医療費控除の明細書は、1年間にかかった医療費の明細をまとめる書類です。
こちらは国税庁のホームページや各税務署で取得します。
こちらは平成29年度分から提出が必要となった書類です。
こちらに記載することで領収書・レシートを申告の際に提示する必要がなくなりました。
この用紙には次の内容を記載していきます。
「1 医療費通知に関する事項」欄
前述した医療費通知がある場合には、通知に記載された内容を参考に
- (1)医療費通知に記載された医療費の額
- (2)⑴のうちその年中に実際に支払った医療費の額
- (3)⑵のうち生命保険や社会保険などで補塡される金額
を記載します。
「2 医療費(上記1以外)の明細」欄
「医療費通知に関する事項」欄で記載した金額以外の医療費を記載します。
眼科診療や治療目的のコンタクト代等の領収書やレシートを参考に、
- (1)医療を受けた方の氏名
- (2)病院・薬局などの支払先の名称
- (3)医療費の区分
- (4)支払った医療費の額
- (5)⑷のうち生命保険や社会保険などで補塡される金額
を記載します。
「3 控除額の計算」欄
こちらでは、支払った医療費、保険金などで補塡される金額、所得金額の合計額、医療費控除額等を記載します。
これらの金額を申告書にも記載しますので、計算が間違っていないか慎重に確認するようにしましょう。
病院への通院に必要となった交通費の領収書をとっておく
病院(眼科等)へ治療のため来院する目的で、移動に利用したバスや電車等の領収書があれば必ず取っておきましょう。
こちらも、治療に関係した移動なので医療費控除の対象となります。
ただし、通常は領収書がない場合がほとんどですので、医療機関が発行した領収書に出費や経路をメモしておくとよいでしょう。
タクシー代については、やむをえない必要な場合にのみ医療費に含めることができます。
例えば、ケガをしていたり妊婦の方であったりして歩行が困難である場合、タクシー代を医療費控除へ含めることができます。
そのため、電車・バスで通うことができる健康状態なら、タクシー代は医療費に含めるのは難しいことになります。
まとめ:コンタクトレンズ費用が医療費控除を受けられるか
コンタクトレンズの検査料や購入費は医療費控除できるかについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回の記事のポイントは
- 治療目的でのコンタクトレンズ代、検査料等は医療費控除対象となる
- 医療費控除の対象条件は原則として年間10万円を超えた場合
- 眼科診療で医療費控除を確定申告する場合には確定申告書のほか、医療費控除の明細書等が必要
でした。
医療費控除を申告する場合、確定申告の方法に慣れていないと、記載はスムーズにいかないものですが、領収書等を確認しながら慎重に手続きを進め、余裕をもって税務署へ申告しましょう。
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