入院時の差額ベッド代は医療費控除の対象?賢い入院費の節約方法!

差額ベッド代は必ず医療費控除の対象となると勘違いしている方がいますが、実は差額ベッド代は健康保険や高額療養費制度の対象とならないように、医療費控除の対象とならない場合もあるのです。一方、対象となるケースもあります。差額ベッド代と医療費控除の関係を説明します。

入院時の差額ベッド代は医療費控除の対象となるのか?

みなさま「差額ベッド代は入院費用の一部なんだからもちろん医療費だよね。当然医療費控除受けられるでしょ?」とお考えのことと思います。


ところが、その考えはとても甘いということが、国の機関の文書にはっきり載っています。ちょっと驚きですがその文書を見てみましょう。


国税庁のホームページには下記のように記載されています。


「…したがって、自己の都合によりその個室を使用するなどの場合に支払う差額ベッド料については、医療費控除の対象となりません」


これだけを読むと取り付く島もないようですが、ここに「差額ベッド代の節約技」がありますので順を追って見ていきましょう。


  • 差額ベッド代とは?
  • 医療費控除対象となる条件とは?
  • え?こんな節約のやり方が?  

この記事を読んでいただければ、差額ベッド代と医療費控除についてご理解が深まることと思います。


是非とも最後までお付き合いください。  


条件によっては差額ベッド代が医療費控除対象となる

先程の国税庁のページをさらに詳しく見ると…


「入院の対価として支払う部屋代等の費用で医療費控除の対象となるものは、医師等の診療等を受けるため直接必要なもので、かつ、通常必要なものであることが必要です。したがって、自己の都合によりその個室を使用するなどの場合に支払う差額ベッド料については、医療費控除の対象となりません」  


となっていて何をしても医療費控除対象にはならないと思える文章となっていますが、ある条件を満たすと医療費控除対象とすることができます。


さらに細かく見てみましょう。

差額ベッド代が医療費控除対象となる条件とは?対象外の場合とは?

ポイントは、下記の部分になります。


「自己の都合によりその個室を使用するなどの場合に支払う差額ベッド料については、医療費控除の対象となりません」 


これを解釈すると…

「自分が大部屋を希望していた状態なのに個室を使用することになって支払いが発生したときは、医療費控除に対象になる」となります。


国税庁のページには間違いなく「控除対象外」となっているのに、地域の税務署に実際に相談すると「治療の都合や大部屋が空いていないなど病院の都合で、やむを得ず個室などを利用した場合の差額ベッド料は医療費控除の対象になります」との情報が数々あがっています。

個室しかない産院での部屋代は医療費控除対象となる

医療費控除対象の場合とは下記です。


大部屋を選びたくても個室しか無い病院では、入院と同時に「大部屋は選択しない」に同意していると解釈されてもおかしくありません。


この場合は、病院の求められるまま差額ベッド代は支払わらないといけないでしょう。


税務署はこのような状況を勘案し医療費控除の対象を明言してくれているものと思われます。


税務署も鬼じゃない、ってところのようです。

そもそも差額ベッド代が請求されないケースもある

一方の国の機関は何と言っているか…

厚生労働省では、医療機関が患者から差額ベッド料をとってはいけない具体事例として以下の3つを通達しています(平成20年3月28日 保医発第0328001号


  • 治療上の必要があった場合
  • 病棟管理の必要性があった場合
  • 同意書による患者の同意を得ていない場合

ということは…


「同意書に署名をしていない」状態で、病院運営上や治療のための都合で個室(4人以下部屋)を利用することになった場合は差額ベッド代の支払いは本来ありません。

治療目的の個室滞在では差額ベッド代を払う必要はない

払う必要のない1つめは…


該当の患者に対して、その治療・医療行為を行うときに大部屋だと何らかの支障があり個室でないといけないと医者が判断して、個室利用を指示した場合には患者側は差額ベッド代の支払い義務は発生しません。

なぜかというとこれは前項の厚労省通達に「とってはならない」事例にはっきりかかれているからです。

病院側の都合の場合は差額ベッド代を払う必要はない

払う必要のない2つめは… 


患者が大部屋を希望していても、入院当日には病床が埋まってしまい空いているベッドは個室だけというときもあるかと思います。


しかし、この理由だけで病院は患者を個室に入れて差額ベッド代を請求することは出来ません。


これも先の厚労省通達に明言されています。


差額ベッド利用時に同意書にサインをしてしまうと返金請求が難しくなる

払う必要のない3つめとしてあげれば…

差額ベッド代同意書への署名をしなかった場合、です。


前2項目(治療のため、病院都合)の状態だったとしても同意書が優先され差額ベッド代は支払わないといけなくなります。


署名さえしていなければ、望まない個室に入ることになったとしても支払う義務はやはり発生しません。


しかし、ひとたび署名をしてしまった場合は退院時やましてや退院後数日経過してしまったときの払い戻しには病院側は応じてくれない可能性は高い、と思ってください。 

確定申告時の差額ベッド代の医療費控除について

確定申告では、医療費控除の一部として差額ベッド代を加算して算出することが出来、結果として支払う税金が安くなることになります。


では、差額ベッド代の支払いが実際に発生したときの確定申告はどうしたら良いか、また注意点は何かのポイントを説明して行きます。

差額ベッド代について病院からの証明書等は必要ない

税務署では、差額ベッド代についての関連書類は下記のように運用しているとのことですので、確定申告に対して難しく考える必要はありません。

 

  • 病院から必要性などを証明する書類や、診断書などをもらう必要はない
  • 自分が希望したものでなく、病院から言われたものと税務署に説明するのみでよい



差額ベッド代を含む医療費領収書は5年間は保管しておく

確定申告時の必要書類

2017年分の確定申告からは、医療費控除を受けるには、領収書は不要となり下記の書類のみ用意すれば良いことになりました。
  • 医療費控除の明細書

医療費領収書の保管

領収書の提出しなくてよくなりましたが、その代替え策として「法定申告期限から5年間保存」が必要となりました。


2017年の確定申告の例でまとめてみると、下記となります。


法定申告期限2018年3月15日
医療費領収証
保管期限
2023年3月15日法定申告期限から
5年間

領収書の廃棄

5年は結構長いですのでそれなりの負担を私たちは強いられます。これを少しでも軽減するには封筒に保管期限を記入して、領収書を入れて保管しておき、その期間を過ぎれば機械的に捨てるなどの工夫が必要と言えます。 

差額ベッド代は高額療養費制度の対象外

高額療養費制度とは、保険適用の医療行為に対しての費用を患者が自己負担した額を対象として所得に応じて一定額を超える場合に自身が支払った医療費を払い戻してもらえる制度のことです。

そのため、入院中の「食費」「居住費」「差額ベッド代」「先進医療にかかる費用」などは、高額療養費の支給対象とはなりません。 


なぜなら保険適用となる医療行為による費用では無いためです。


よって、医療機関の窓口で支払いした全額が対象ではないことをご理解ください。  

まとめ:差額ベッド代が医療費控除対象となるかについて

以上により、差額ベッド代かかわる説明を色々な角度からみてきましたがいかがでしたしょうか。


差額ベッド代が医療費控除対象となる条件のおさらいです。


国税庁は対象外としてますが、実際の税務署の運用では対象として扱っているのがわかりました。


では対象として扱える条件は何だったかというと…


入院時

  • 自分から希望して個室に入らなかった
  • 病院側の都合や医療上の理由で個室に入った
  • 同意書への署名の有無は問わない

確定申告時

  • 証明書類を病院からもらう費用は無い
  • 病院側から言われて支払したことを税務署に説明する

上記をよく覚えておいて頂き、差額ベッド代を支払ったその年は必ず確定申告を行い所得税を少しでも取り戻して頂ければと思います。


これが差額ベッド代へに対しての節約技となります。


最後に、差額ベッド代の支払いをした場合は上記にならい対応を頂ければ支払った額のある程度は戻りますが、病院の言うがまま支払うしかないのでしょうか?


支払わないで済むならそれに越したことはありません。

まずは、病院に「大部屋を希望します」「同意書への署名は辞退はできませんか?」と初めに話しをしてみて病院側に了解頂けるのが最大の節約と言えそうです。


ほけんROOMでは保険に関するたくさんの記事を載せています。他の記事にもぜひ目をお通しください。

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