傷病手当金の医師の証明とは?申請書の医師記入欄を書いてくれない時は?

傷病手当金の申請の際に必要な医師の証明。傷病手当金を請求するにあたって、医師の証明の取得方法や、注意点を紹介します。また、医師が診断書を書いてくれない場合や間違った日付が記載されるなど対応に困ることもあります。このような場合の対応方法もあわせて解説します。

傷病手当金の申請には医師の証明のある診断書(意見書)が必要



休業中の生活を支えるのに役立つ傷病手当金を、ケガや病気で長期間会社を休むときに利用したいと考える人も多くいるのではないでしょうか。


傷病手当金の申請に必要な診断書を医師が書いてくれるのか、複数の病院の場合はどうすれば良いのか、まとめて診断書を書いてくれるのかなど不安もたくさんあると思います。


医師の証明は診断書のコピーでの申請ができないため、都度書いてもらわなくてはいけません。他にも、気を付けなくてはいけない注意点がたくさんあります。


この記事では、傷病手当金の申請の医師の証明のある診断書について、

  • 医師の証明をもらう手順と健康保険組合への郵送方法
  • 医師の証明をもらうのに掛かるお金
  • 医師の証明は保険適用されるのか
  • 診断書の書き方の注意点
  • 医師の証明をもらったときの困ったエピソードや対応方法
以上のことを解説します。

この記事を読んでいただければ、医師の証明のある診断書をもらうときの手順や注意点がわかると思います。ぜひ、最後までご覧ください。

医師の証明をもらう手順、健康保険組合への郵送方法といつまでか

傷病手当金の申請には、傷病手当金支給申請書に

  1. 医師の証明
  2. 事業主の証明

2つを記入してもらう必要があります。

傷病手当金支給申請書は会社からもらうか、サイト上からダウンロードをすれば手に入れることができます。傷病手当金の申請は医師事業主の証明をもらってから、郵送で健康保険組合に提出をします。

初めて申請をするときは、診断書の添付以外にも、
  • 給料明細書のコピー
  • タイムカードなどの出勤を証明できるもの
  • 本人確認書類
  • 振込先の記入
などが必要となるため、不備が無いように手続きを行いましょう。

申請期間は仕事を休んだ日の2年後となりますが、医師の証明をもらいましたら、間を空けずにすぐに申請をしましょう。よく、退院後や完治してから申請するものだと勘違いする人も多いのですが、傷病手当金は休業補償の意味もあるため治療中に申請しても全く問題ありません。

また、傷病手当金は業務外のケガや病気が理由で、自宅療養中であっても申請することができます。そのほか、資格喪失日の前日までに1年以上引き続き被保険者であることと、資格喪失の際に傷病手当金が受けられる状態であるなどの条件を満たせば、退職後でも申請することができます。

傷病手当金は、2年以内であれば過去にさかのぼっての請求もできますので、該当する人は確かめてみてください。

申請期間を過ぎてしまいますと、申請できませんので気を付けましょう。

医師の証明をもらうためにはいくら?保険適用される?

医師の診断書をもらうには費用が掛かります。診断書の証明料は自己負担で300円になりますが、病院によっては料金が変わることもあるようです。

傷病手当金の医師の証明は、医療費と同様に扱われるため保険が適用されます。70歳未満の人であれば、3割負担となるため必ず保険証を持参してください。

一般的には、医師の証明をもらう際に診察を受けますので、診断書の証明料診察費用が掛かるでしょう。

医師の証明をもらうためだけに病院に通院して、本当は継続した治療が必要なのにも関わらず治療を受けなかった場合は医師の証明がもらえない可能性もあります。

医師から定期的な通院が必要だと言われた場合は、必ず指示に従って診察を受けることが大切です。

診断書の書き方に関する注意点!傷病手当金申請書の医師記入欄はどこ?

傷病手当金申請書に必要な医師の証明のある診断書には、気を付けなくてはいけないポイントがいくつかあります。


万が一申請書に不備がありますと、診断書を訂正したり、もらい直しが必要となったりする可能性があるため注意が必要です。


ここでは、診断書の書き方に関する注意点を5つご紹介します。

傷病手当金の待期期間(待機期間)は支給されない

病気やケガのために連続して休んだ場合、当日を含む最初の3日間は待期期間となります。待期期間中は医師の証明があっても受給対象外となるため、お金が入ることはありません。


そのため、待機期間中でもお金が必要である場合は、有給休暇にすることは可能ですので勤務先に相談しましょう。


なお、2回目以降の傷病手当金の請求は待期期間が無いため、1日目からの請求が可能となります。

労務不能の認定期間と休んだ期間が一致しなければならない

医師の証明として記入してもらう内容は、

  • 患者氏名
  • 疾病名
  • 初診日
  • 総務不能期間日
  • 診療日
  • 病気やけがの内容(治療内容)
  • 医師の所見
などがあります。

申請をするうえで一番重要となるのが、4つ目の「労務不能期間日」です。医師が記入する日付と、被保険者が記入する「療養のため休んだ期間」は一致していないといけません。

ここが一致していないと、傷病手当金が支給されない恐れがありますので必ず申請前に確認してください。

また、仕事ができないかどうかは医師が判断しますので、医師には正しく仕事内容を伝えるようにしましょう。労務不能だとみなされない場合は、医師の証明自体もらえなくなることもあります。

毎月の傷病手当金の請求ごとに毎回医師の証明が必要

傷病手当金は、毎月申請しなくてはいけません。そのときに、以前もらった診断書をコピーして申請することはできませんので、診断書も毎回記入してもらう必要があります。


事業主からも、お給料の支払いがあるかどうかの証明が必要となりますので、長期間休む場合は申請する日をあらかじめ決めておくと良いでしょう。


お給料の締め日ごとに申請するという人が多いようですが、申請日は決まっておりませんので、ご自身の請求しやすいタイミングを見つけましょう。

未来の日付で証明をもらうことはできない

医師の証明のある診断書は、未来の日付ですと傷病手当金をもらうことはできません。未来の日付は見込み扱いになるため、申請をしても受理されず返却されてしまいます。


例えば、11/1~11/30の申請を行う場合ですと、12月に入ってから医師の証明をもらわなくてはいけません。


傷病手当金の申請をする際には、必ず日付を確認するようにしてください。


月途中に医師の証明をもらうと、治療継続中ですと未来の日付になる恐れもあります。ミスを防ぐためにも、診断書は必ず先月分のをもらうようにしましょう。

転院した場合の初診日の取り扱い

傷病手当金の申請の日付で最も間違えやすいのが、転院した場合です。


普通に考えても、転院先での初診日から傷病手当金が支給されるというのはおかしな話になります。そのため、転院前の病院からも、転院するまでの日付の医師の証明が必要になります。


また、医師の証明する日付に空白期間があった場合、その期間は傷病手当金の受給はありません。


医師から診断書をもらいましたら、必ず転院前転院後の2つの日付を確認してから申請しましょう。

医師の証明をもらうにあたって困ったエピソードと対応方法

傷病手当金に必要な医師の証明は、医師が診断書を書いてくれなかったり、記入ミスがあったりするなどのトラブルも少なからずあるようです。


その他にも、複数の病院に通っている場合や海外で治療をした場合、病院の受診回数が短い場合などはどのように対処すればよいのでしょうか。


ここでは、医師の証明をもらうときに起こってしまった困ったエピソードを5つご紹介します。

診断書を書いてくれない(拒否された)場合

傷病手当金を申請したくても、医師が診断書を書いてくれない場合もあります。以下の4つに当てはまりますと、拒否されることもあるようです。

  • 労務不能ではないと判断された
  • 労働災害であると判断された
  • 事実と反すると判断された
  • 疾病の事実を確認できない
いくら本人が病気やケガを理由に仕事を休んだとしても、医師が仕事ができると判断すれば医師の証明はもらえません。また、労働災害だと判断された場合は、労災保険の適用となりますので別の申請が必要となります。

また、病気やケガをした場合は、すぐに病院に行って診察を受けませんと医師が最初の状態を把握することができず医師の証明がもらえない可能性があります。

何日も経ってから病院に行くと、事実と反すると判断される恐れもありますので、すぐに診てもらうことが大切です。

傷病手当金は診断書がないと申請できないため、医師がどうしても記入してくれない場合は、一度産業医に相談してみて下さい。産業医が意見書を書いてくれれば、医師が傷病手当が必要なのか再検討してくれるでしょう。

日付の書き間違いがある場合

傷病手当金を申請するうえで、最も気を付けなくてはいけないのが日付です。


先ほども解説しましたが、労務不能の認定期間と休んだ期間は一緒でなくてはいけませんし、未来の日付では受理されません。申請期間前に医師の証明をもらったものも無効になる可能性があるなど、日付には細心の注意が必要となります。


日付の書き間違いがある場合は、

  • 訂正箇所を二重線で消す
  • 正しい内容を記入
  • 二重線の近くに担当医のフルネームの署名か押印を押す
このように、細かい訂正が必要となります。

申請する場合は、必ず日付の書き間違いが無いか確認しましょう。万が一訂正箇所を見つけましたら、速やかに医師に伝えて直してもらってください。自分が間違えた場合も、同様の訂正を行ってください。

気付かずに申請してしまった場合は、不備扱いとなり受理されませんので傷病手当金が受給されるタイミングもずれてしまうでしょう。

複数の病院を受診している場合

引越しのため転院したなど、複数の病院を受診した場合は転院前転院後のそれぞれの病院に医師の証明をお願いする必要があります。


それぞれに医師の証明がもらえれば、申請した期間の傷病手当金は受給されます。


しかし、1つの病院からしか診断書がもらえなかった場合は、診断書に記載されている期間のみの受給になります。また、申請前と申請後の期間に空白がある場合も、その期間は受給されません。


複数の病院を受診する場合は、必ず日付を確認するようにしてください。

病院の受診回数が少なく、傷病手当金をもらえない場合

病気やケガが理由で長期間休んでいたとしても、病院の受診回数が少なければ傷病手当金がもらえない可能性があります。


この場合、医師が診断したうえで診察の回数が少ないのであれば、問題なく申請をしても受理されるでしょう。


ただし、

  • 通院が必要であるにも関わらず病院に行っていない
  • 処方を受け取っていない
このように、本当は受診が必要なのにも関わらず診察を受けていないのであれば、事実と反すると判断されて医師の証明がもらえない可能性があります。

医師の証明がある診断書がない場合は、傷病手当金の申請はできません。自己判断で通院をやめたり、薬の服用をやめたりするようなことは絶対にしないことが大切です。

海外で病気治療した場合

病気やケガの治療のために、日本と海外の病院に通わなくてはいけないという人も中にはいると思います。


ここで気を付けなくてはいけないのが、傷病手当金は日本の健康保険で治療を受けて、掛かった治療費の3割が受給されるということです。


海外で治療を受けた場合は、いくら高い料金を支払ったとしても対象外となりますので医師の証明をもらったとしても受給されません。


少しややこしいかもしれませんが、日本で治療を受けた分のみ医師の診断書をもらうようにして申請を間違えないようにしましょう。

傷病手当金の申請に必要な医師の証明(診断書)のまとめ

傷病手当金の申請に必要となる医師の証明がある診断書のもらい方や注意点などを解説しましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは、

  • 医師の証明(診断書)は、保険適用される
  • 診断書の添付は原本でなくてはいけない(コピー不可)
  • 自宅療養中・退職後でも条件を満たせば傷病手当金がもらえる
  • 傷病手当金は退院後関係なく治療中でも申請可能
  • 傷病手当金は待期期間中は受給されない(2回目以降は待機期間はなし)
  • 傷病手当金の申請では日付が重要となる
  • 転院した場合は転院前と転院後の2つの診断書が必要となる
  • 医師が診断書を書いてくれない場合は、産業医に相談してみる
  • 日本の健康保険で治療を受けた場合のみ受給となるため、海外での治療は対象外となる
です。

病気やケガの治療のために休みが長期になる場合は、毎月申請が必要となるため医師の証明も毎月書いてもらわなくてはいけません。未来の日付診断書のコピーでは受理されませんので気を付けてください。

また、医師の判断により労務不能とみなされないこともありますので、医師に傷病手当金の話をするときは、きちんと仕事内容や状態を説明をすることも大切です。

ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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