傷病手当金の待機期間や支給期間は土日祝日の公休日を含む？日数の計算方法解説

傷病手当金の待機期間と支給期間は、暦で計算することになっているため、傷病手当金は土日や祝日でも出ます。

請求書を書くときに、このことを知らずに平日だけで申請してしまうと、傷病手当金が数万円変わることもあるので注意が必要です。

必ず請求書を記入する際には、土日や祝日も含めてそのまま申請をしましょう。

ここから、傷病手当金の待期期間の考え方や支給期間・支給日数の考え方について、もう少し細かく解説していきます。

傷病手当金の待期期間は、仕事を連続して休んだ日から3日間になります。そのあと、4日目以降の労務不能に対して支給されます。

待期期間は以下のように考えることが大切です。

• 有給休暇や土日・祝日などの公休日も含まれる
• 就労時間内に業務外の事由で傷病が発生し、労務不能となった場合はその日が待機期間の初日となる

傷病手当金の支給期間は、支給開始日から最長で1年6か月です。

気を付けなくてはいけないのが、期間中に会社に復帰した場合でも、その日数分が延長されるわけではないということです。

• 傷病手当金の支給期間は、途中で復帰をしてもしなくても支給開始日から最長1年6か月である

次に、傷病手当金の支給日数は会社を休んだ出勤日数ではなく、土日や祝日を含んだ暦日数で支給されます。1日につき標準報酬（日額）の3分の2に相当する額が支給されます。

標準報酬の日額は標準報酬の月額から30を割った額になり、会社に問い合わせをすれば教えてくれます。また、給与明細で控除されている厚生年金・健康保険料の額から計算することも可能です。

• 標準日額は標準月額を30で割った額であるため、傷病手当金は土日や祝日を含んだ暦日数で支給される

傷病手当金を受け取るには、自分で申請の手続きをする必要があります。 

「仕組みが難しくてよくわからない」という方もいるかもしれませんが、知らずに損をしていたということがないよう、傷病手当金についてしっかり理解しておきましょう。

ここでは、傷病手当金の

• 支給期間
• 支給額の計算方法
• 受け取れない場合などの注意点

の3点について、わかりやすく解説していきます。

怪我や病気になってから調べるのは大変なので、今のうちにある程度知識を持っておくと、万が一の時もスムーズに手続きをすることができます。

傷病手当金の支給期間は、最長で1年6ヶ月です。

ここで気を付けなければいけないのは、支給起算日です。

支給起算日とは、傷病手当金の支給が始まった日のことです。

支給起算日は「会社を休み始めた日」ではなく、「実際に傷病手当金を受け取り始めた日」になります。

また、傷病手当金の支給期間を過ぎた場合、まだ怪我や病気によって働くことができない状態でも、傷病手当金は受け取れなくなってしまいます。

さらに、同じ病気や怪我で再申請をすることもできませんので、注意しましょう。

傷病手当金の支給額は、給料の額などによって異なり、目安は給料の約3分の２です。

毎月の給料は残業などもあり、いつも一定しているわけではありません。

なので、傷病手当金の支給額を計算する際は、実際の給料の額ではなく標準報酬月額を使います。

標準報酬月額とは、毎月の保険料を計算しやすくするための基準となる金額で、毎年4月〜6月の給料の平均をもとに決定されます。

傷病手当金の１日あたりの支給額は以下のようになります。

支給起算日以前の1年間それぞれの標準報酬月額を平均した額÷30日×3分の２

これに支給される対象の日数をかけた額が、傷病手当金の支給額になります。

また、休業中に会社から給料を受けとると、傷病手当金は受け取れません。

しかし、例外として受け取った給料が傷病手当金より少なかった場合、「傷病手当金の支給額－給料」の金額を受け取ることができます。

傷病手当金に関する注意点をいくつか紹介します。

傷病手当金は、怪我や病気で仕事を休んでいる間の生活の保障を行う制度なので、給料を受け取っている場合は傷病手当金を受け取ることはできません。

それ以外にも、

• 障害厚生年金、障害手当金
• 老齢退職年金
• 労災保険出産手当金
  

の支給を受けている場合は、傷病手当金が受け取れなかったり、もらえる金額が減ってしまいます。

一度仕事に復帰し、再び同じ怪我や病気が原因で働けなくなった場合は、待期期間はなくすぐに支給が始まります。

しかし、支給期間は復帰していた期間分が延長されるということはなく、最初の支給起算日から1年6ヶ月までのままとなります。

ただし、

1.  退職日までに継続して被保険者であった期間が1年以上ある
2.  退職する時に傷病手当金を受け取っている、または受け取る条件をクリアしている
   

の条件を満たしている必要があります。

また、退職した日に出勤した場合や、退職した後に仕事ができるまで回復したが、再び働けなくなった場合は、傷病手当金は受け取れません。

傷病手当金の待機期間と支給期間に関する読者の疑問にお答えします。

傷病手当金の期間についてよくある質問は以下の2つです。

• 短期間の休みでも支給される？請求すべき？
• リハビリ勤務するとき、土日の傷病手当金は支給される？

傷病手当金の待期期間は、土日や祝日も含まれます。病気で会社を月曜日から1週間休んだ場合でも、初日が土曜日であれば待期期間が成立します。

ただし、この場合は土曜日に休む前に病院に行って診断してもらう必要があります。

わかりやすくまとめると、下記のような流れになります。

1. 金曜日に医師に診断してもらう
2. 土曜日から月曜日の3日間で待期期間が完了する
3. 火曜日から傷病手当金の支給開始となる

うつ病などの精神疾患で休職する場合、一度体調が回復して復職したとしてもまた不調となり休職になるパターンが多いと言われています。

リハビリ勤務は職場の復職率を高めるうえでメリットが多い一方、半日でも出勤することで労務不能とは認められなくなります。つまり、傷病手当金がストップしてしまうということです。

休職中に賃金を得た場合は傷病手当金の差額調整がされますが、出勤した場合は全額支給されません。これでは、復職しないほうが良いのではないかと思う人も多くいるようです。

ただし、これらの条件を満たせば傷病手当金が支給される可能性があります。

• 無給であること
• リハビリ勤務の業務内容が、休職前の業務内容と異なっていること
• リハビリ勤務が医師からの指示であること

傷病手当金の土日や祝日の考え方について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。

今回の記事のポイントは、

• 傷病手当金は有給休暇や土日・祝日などの公休日も含まれる
• 傷病手当金は就労時間内に業務外の事由で傷病が発生し、労務不能となった場合はその日が待機期間の初日となる
  
• 傷病手当金の支給期間は、支給開始日から最長で1年6か月
  
• 傷病手当金は1週間などの短期間の場合、損をする可能性もある
• リハビリ勤務をすると労務不能とは認められなくなり、傷病手当金がストップしてしまう
  
• 傷病手当金は土日や祝日には振込されず、その場合は前倒しされる