更新日:2020/06/30
傷病手当金はパートでももらえる?受給条件、金額の計算方法、日数を解説
休職時パートでも傷病手当金がもらえるのか気になりますよね。実は扶養内でパートをしている、又は国保に加入していないと傷病手当金は受け取れきません。今回、パートの方に向けに支給金額の計算方法や限度日数、また妊娠時のつわりなど症状の条件、申請書の書き方を解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 傷病手当金はパートでももらえる?受給条件や受給額の計算方法も解説
- 傷病手当金が支払われるのは健康保険のおかげ!健康保険をおさらい
- パートの傷病手当金の支給条件は、扶養内または国保加入かどうか
- 傷病手当金の支給条件
- 妊娠時のつわりやインフルエンザなど傷病手当金が支給される病気例
- パート退職後に傷病手当金が支給される条件
- パートの傷病手当金の日数と支給額の計算方法
- パートの傷病手当金の申請書の書き方と申請の流れ
- 参考:雇用保険に加入しているパートの傷病手当
- 参考:国民健康保険の場合病気で働けない場合でも傷病手当金はもらえない
- 自営業の方には、所得補償保険や収入保障保険もおすすめ
- パートタイマーの傷病手当金、支給条件や金額の計算方法まとめ
目次
傷病手当金はパートでももらえる?受給条件や受給額の計算方法も解説
病気やケガの際にもらえる傷病手当金ですが、パートでももらえるのでしょうか。
正社員とパートは年収や労働条件が異なっているため、傷病手当金についてももらえるのか否か不安がありますよね。
特に長期にわたって仕事を休まなければならなくなった時などは、収入も下がって生活に響いてくるおそれがあり、切実です。
実は条件付きですが、傷病手当金はパートでももらうことができます。鍵となるのは社会保険への加入の有無。さらには、仕事以外でのケガや病気による休業であるか否かも重要です。
そこで、この記事ではパートタイマーと傷病手当金の関係について
- 傷病手当金が支給される条件
- 傷病手当金が支給される日数と支給額の計算方法
- パートタイマーが支給を申請する場合の仕組み
傷病手当金が支払われるのは健康保険のおかげ!健康保険をおさらい
病院で治療を受けた時、健康保険証があれば「公的医療保険に加入している」ということになるので、医療費の自己負担額は3割ですみます。
「公的医療保険」とは主に
- 健康保険
- 国民健康保険
- 後期高齢者医療保険
- 1週間の所定労働時間、1ヶ月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上ある
- 1週間の所定労働時間が20時間以上ある
- 賃金が月8.8万円以上ある
- 1年以上雇用されている
この条件を満たしていれば、パート、アルバイトでも健康保険に加入する事ができます。
そして健康保険に加入することで得られるメリットは、
- 医療費の自己負担額が3割
- 一定金額以上の医療費を支払った場合、限度額を超えた支払い金額の医療費が返還される
- 病気や怪我で欠勤した場合や産休に入った時に傷病手当が支給される
また、健康保険の保険料は毎月支払う保険料の半分を被保険者が負担、残りは事業者が負担しています。
パートの傷病手当金の支給条件は、扶養内または国保加入かどうか
パートの傷病手当金は、本人が扶養内となっている場合、もしくは国民健康保険に加入している場合には基本的に支給されません。
傷病手当金は、業務外でのケガや病気で仕事を休むことによって、会社から十分な給与を受けられない場合に支給されるものです。この傷病手当金の支給は健康保険から行われます。
ここでいう健康保険とは、組合健保や船員保険に代表される協会けんぽ、さらには公務員が加入する各種共済組合のことをいい、国民健康保険は入っていないのです。
国民健康保険の場合、傷病手当金の運用は制度を運営する自治体や各種国民健康保険組合の判断に委ねられています。
この点につき、多くの自治体では、傷病手当金の支給を行っていません。そのため、国保の加入者の多くは傷病手当金の支給を受けることができないのです。
ただし、自治体や各種国民健康保険組合によっては、傷病手当金を支給するとしているところもあります。そのため、自分の加入している国民健康保険に傷病手当金支給の有無について確認するのがよいでしょう。
また、傷病手当金は健康保険の加入者を対象に支給されるものなので、パートで働いていても、健康保険に未加入で扶養内となっている場合には支給されません。
ただし、扶養内であっても国保加入者の場合には、先述した通り、傷病手当金の支給が認められる可能性があります。加入している国民健康保険に確認してみましょう。
傷病手当金の支給条件
パートでの傷病手当金が支給される条件は次の通リです。
- 仕事以外の原因による病気やケガによって休業すること
- 仕事をすることができない状態にあること
- 連続して3日以上、仕事ができないこと
- 休業期間に給与が支払われないこと
妊娠時のつわりやインフルエンザなど傷病手当金が支給される病気例
- インフルエンザ
- つわり
- 切迫流産
- 妊娠高血圧症候群
- 子宮頸管縫縮術
パート退職後に傷病手当金が支給される条件
パートを退職した後でも傷病手当金の支給を受けることができます。
しかし、その場合には次の条件を満たしている必要があります。
- 退職日までに1年以上健康保険に加入していること
- 退職日の前日までに傷病手当金の支給を受けていること
- 退職日の前日までに傷病手当金の支給の条件を満たしていること
パートの傷病手当金の日数と支給額の計算方法
パートの傷病手当金が支給される日数は先述した通り、1年6ヵ月が限度です。
注意しなければならないのは、1年6ヵ月の中には、途中で復職した期間が含まれる、という点です。
たとえば、傷病手当金の支給が開始してから2ヵ月後に復職。その後、2ヵ月経って再び休業した場合には、復職していた期間2ヵ月は1年6ヵ月の中に含まれることとなります。そのため、同一の傷病によって再び休業した時点で傷病手当金の支給日数の残りは1年2ヵ月です。
もしも、休業する期間が残り1年2ヵ月を超えた場合には、超えた期間については傷病手当金の支給を受けることができないのです。
次に傷病手当金の支給額はいくらになるのかという点について解説します。
支給額の計算方法は次の通りとなります。
1日当たりの支給額
支給が開始された日以前の12ヵ月の標準報酬月額の平均額を30で除した数に2/3を乗じた金額
たとえば、1ヵ月の給与が5カ月間は10万円、7カ月間は15万円だった場合の1日当たりの支給額は、
(10万円×5+15万円×7)÷12ヵ月÷30日×2/3=2873円
となります。
(30日で除した時点で1位の位を、2/3を乗じた時点で小数点第1位をそれぞれ四捨五入)
この金額に休業した日数を乗じて得られる金額が傷病手当金の支給額となります。
なお、この例では、傷病手当金の支給が始まる時点での健康保険への加入期間が12ヵ月以上あることを前提にして説明していますが、それ以下の場合には次の通りになります。
健康保険への加入が12ヵ月以下の場合の1日当たりの支給額は、次の金額のうち、いずれか低いほうが支給される金額となります。
- 支給が開始される日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額を平均した額
- 30万円
パートの傷病手当金の申請書の書き方と申請の流れ
パートの傷病手当金の申請書は、会社の担当部署からもらいます。
また、加入している健康保険が協会けんぽの場合には、ホームページから取得することもできます。
申請書は4ページで、ページごとの内容は次の通りです。
- 健康保険の被保険者情報(申請する人の健康保険証記載の記号・番号、住所、氏名、手当金の振込先など)
- 申請内容(傷病名、休業した期間、申請する人の仕事内容など)
- 事業主が記載する申請者情報(賃金計算期間、給与の種類、賃金支給状況など)
- 療養担当者(医師)が記載する申請者情報(傷病名、初診日、就労できなかったとみられる期間など)
- 健康保険証記載の記号・番号を申請書の記入欄に書き入れます。
- 住所、氏名を記入します。申請書には押印欄がありますが、申請者自身が記入する場合には省略することができます。ただし、記載を間違えて訂正する場合には、訂正した部分に押印欄に使用した印鑑を押します。(この場合には、押印欄に印鑑を押す必要があるのです)
- 傷病手当金の振込口座を申請書に記入します。
- マイナンバーの記入欄は、健康保険証記載の記号・番号が記入してあれば、書く必要はありません。退職後などで、手元に健康保険証がなく、記号・番号がわからない場合にはマイナンバーを記載し、申請者のマイナンバーカードの表面及び裏面コピーを添付します。
- 傷病名、初診日などの記入欄に該当事項を記入します。その際には、正確を期すために事業主と医師が記載した3、4ページを参照するのがよいでしょう。
- 仕事の内容は会社員ではなく、経理担当事務など具体的な職種を記入します。
- 傷病の原因がケガによるものである場合、申請書とは別に「負傷原因届」を添付する必要があります。また、交通事故など、他人の行為によってケガをした場合には負傷原因届に加えて「第三者行為による傷病届」も添付します。
- 労災保険による休業補償の有無を確認する欄があります。もしも、労災保険の休業補償を受けている場合には傷病手当金は支給されません。
- 傷病手当金支給の申請をしたい旨を会社の担当部署に伝達
- 申請書類の入手
- 会社及び医師に申請書類記入を依頼(作成に時間がかかることがあるので、早めに依頼することが大切)
- 申請書類へ必要事項を記入
- 会社の担当部署に申請書類を提出
参考:雇用保険に加入しているパートの傷病手当
雇用保険に加入しているパートの傷病手当とは、失業中に病気やケガによって仕事をすることができない時に支給される手当です。
これまで解説してきた健康保険から支給される傷病手当と同じ名前ですが、制度が違うので注意しましょう。
健康保険の傷病手当はパートとして在職中に病気やケガによって休業しなければならなくなった場合に支給されます。一方、雇用保険の傷病手当は、失業中でありながら、病気やケガによって求職活動ができない時に支給されるものです。
雇用保険に一定期間加入していた人は、退職後、失業給付を受けることができます。失業給付を受けながら、次の仕事を探すこととなるのです。
しかし、退職後にハローワークで求職の手続きを行ってから15日以上、病気やケガによって仕事をすることができなくなった場合には、失業給付を受けることができません。そのため、失業給付に代わるものとして支給されるのが傷病手当となるのです。
給付を受けることができる期間は失業給付と同じです。しかし、すでに失業給付を受けていた期間がある時には、その期間を差し引いた残りが給付期間となります。
なお、雇用保険の傷病手当と健康保険の傷病手当は同時にもらうことはできません。ご注意ください。
参考:国民健康保険の場合病気で働けない場合でも傷病手当金はもらえない
国民健康保険は、健康保険加入者のように傷病手当や出産手当はありません。
国民健康保険に加入している人は主に
- 自営業
- 農業
- 漁業従事者
- フリーター
などの方です。
特に個人事業主の方は長期間の入院などで働けなくなった場合、誰かに頼ることも休んでいる間の保障もありません。
そのため「万が一病気や怪我で長期間働けなくなったらどうやって生活をしていこう…」と不安に感じている方も多いでしょう。
「これから一生、病気も怪我もしない!」なんてことはありません。
そういった緊急時にも焦らないためにも、国民健康保険に加入している方はさらに就業不能保険などにも加入し備えておく必要があります。
自営業の方には、所得補償保険や収入保障保険もおすすめ
所得補償保険(就業不能保険)とは
主に損害保証会社が販売している病気や怪我で働けなくなった(収入が減った)時に一定の金額をを受け取る事が出来る保険です。
受け取れる金額は年収(税込み)の最大60%で、通常1年~5年間、最長で60歳まで受け取る事ができます。
収入保障保険とは
とはいえ、どの保険が自分に一番あっているかわからないという方も多いと思います。
そのような場合は、保険のプロであるFPに無料相談することをおすすめします。
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パートタイマーの傷病手当金、支給条件や金額の計算方法まとめ
パートタイマーの傷病手当金について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回のこの記事のポイントは
- パートタイマーでも傷病手当金はもらえる
- 国民健康保険に加入していたり、扶養家族で、会社の健康保険に未加入の場合には傷病手当金をもらうことができない
- 退職した後でも、一定の要件を満たせば傷病手当金がもらえる
- ケガが原因の休業の場合には、申請書の他に「負傷原因届」が必要
- 交通事故など他人の過失が原因で休業した場合には、申請書及び「負傷原因届」の他に「第三者行為による傷病届」が必要