傷病手当金を不正受給した時の罰則とは?受給中にアルバイトはバレる?

傷病手当金を受給中、思わぬ理由で不正受給を指摘されることがあります。たとえ意図していなかったとしても、不正と判断されれば罰則が科せられてしまうため、避けたいところです。この記事では傷病手当金の不正受給について、指摘される原因や罰則の内容について解説します。

傷病手当金の不正受給と判断されると罰則が科せられる



会社員は、怪我や病気で働けなくなった際に生活費として傷病手当金が支給され、安心して治療に専念できます。


仕事ができなくなると同時に給与がなくなってしまうため、傷病手当金は大切な収入源として非常に助かりますよね。


しかし、傷病手当金の制度が作られて以降、不正受給をしてしまったり、意図しない不正受給になってしまうトラブルが後を絶ちません。


不正受給と判断されると、傷病手当金の支給が止められるだけでなく刑事事件として処分されることもあるんです。


この記事では、傷病手当金の不正受給について

  • 不正受給と判断された場合の罰則
  • 傷病手当金不正受給に時効はある?
  • 不正受給とみなされる原因
  • 傷病手当金受給中のアルバイトについて
以上のことを中心に解説していきます。

傷病手当金の不正受給とみなされる原因や不正受給に対する罰則について紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。 

また、「傷病手当金の正しい受給条件」について詳しく解説している関連記事もありますので、一緒にチェックしてみてください。

傷病手当金を不正受給した場合の罰則

傷病手当金を不正受給してしまった場合、以下のような罰則があります。

  • 傷病手当金の支給停止
  • 傷病手当金の返納
  • 悪質な場合は刑事裁判

傷病手当金の不正受給には、様々なパターンがあります。

本人に不正受給を行っている意思がなくても、調査の結果不正受給と判断されることもあります。

中には、意図的に傷病手当金を受け取っている悪質なケースもあります。

では傷病手当金を不正受給した場合、どのような罰則があるのか見ていきましょう。

傷病手当金の支給停止

傷病手当金を不正受給していたと判断された場合、傷病手当金の支給は停止されます。


傷病手当金の支給停止については、支給開始時には条件を満たしていたけれど生活をしていくうちに条件を満たしていない環境になった場合に起こります。


例えば、傷病手当金の申請を行った際は仕事をしていなかったけれど、受給後に少しアルバイトなどを行った場合などです。


基本的に、傷病手当金を受給している間は、アルバイトやパートなどを行ってはいけません。


内職であっても、あらかじめ内職を行っても問題ないか確認をとっておく必要があります。


特に内職は自宅で作業でき、金額も少ないため問題ないだろうと軽く考えてしまう方がいるので要注意です。

罰則②受給した傷病手当金の返納

傷病手当金の不正受給が発覚した際、返納をしなくてはいけないこともあります。


これは、傷病手当金の申請時に条件を満たしていないにもかかわらず受給した際に起こります。


今までに受け取っている傷病手当金、すべて返納しなくてはいけないので経済的ダメージは大きなものとなるでしょう。


しかし、もともと受給できないものを受給していたので仕方のないことですね。


傷病手当金の返納は、一括で行えない場合は健康保険組合と話し合って分割支払いにしてもらうことも可能です。

罰則③刑事事件として処分

傷病手当金の不正受給において、調査の結果悪質なものと判断された場合は刑事事件として処分されます。


明らかに悪意を持って傷病手当金の受給を行っていた場合、こちらは詐欺罪として処理されます。


刑事事件として処分されるのは最悪なケースの一つですが、逮捕されてしまうとなると今まで働いていた会社からも、何か処分を受けてしまう可能性は捨てきれません。


刑事事件として処分されるのは、あくまでも悪質なものと判断された場合です。


例えば、医師にうそをついて診断書を書いてもらい、高額な傷病手当金を受給していたとなると刑事事件として処分されます。

傷病手当金の不正受給と見なされてしまう代表的な原因


傷病手当金を意図せずに不正受給になってしまうケースもあります。


しかし、傷病手当金を受け取る条件についての知識をしっかり持っていないとそのまま不正受給してしまう場合もあります。


この場合、調査や第三者からの密告によって返納義務が生じてしまうことも考えられます。


不正受給になってしまう原因を知ることで、不正受給にならないように気を付けることができます。


では、傷病手当金の不正受給とみなされてしまう原因にはどんなものがあるのでしょうか。

原因1:待機期間中に引継ぎのため出勤した

傷病手当金は、仕事を3日間続けて休んだ次の日から支給されます。


このまだ傷病手当金を受給できない3日間のことを待機期間といいます。


この待期期間に、会社へ出勤して引き継ぎや挨拶、残っている仕事の処理などを行った場合は傷病手当金の支給はされません。


待機期間中の就労は、不正とみなされてしまうため注意しておきましょう。


待機期間中の就労については、本人が注意しておけば問題ないのですが、どうしても荷物整理や引継ぎなどで出勤してしまうケースが後を絶ちません。

原因2:傷病手当金と一緒に労災保険などの給付を受けた

傷病手当金と労災保険を一緒に受給した場合、不正受給となります。


労災保険からの給付額が傷病手当金の額より低い場合はその差額を傷病手当金として受け取ることが可能です。


この場合は不正になりませんが、傷病手当金と労災保険の両方を全額で受けてしまうと、その間にもらった傷病手当金を全額返納しなくてはいけません。


また、労災保険が支給されるのが遅くなった場合は、支給されるまでに受け取っていた傷病手当金の返納を行う必要があります。


同じような意味合いの制度については、二重で受け取ることはできないので注意しておきましょう。

原因3:仮病を使って受給した

仮病を使い、医師に診断書を書いてもらって傷病手当金を受給した場合、もちろんですが不正受給となります。


しかし仮病の場合、発覚が難しいといわれていて、ほとんどの場合が第三者からの密告により不正受給が発覚しています。


特にうつ病と診断された場合、現代社会において5人に1人はうつ病といわれており、医師も患者がうつ病だといえば、うつ病だと判断せざるおえません。


最近は保険者が何件もの病院での診断書の提出を要求することもあるようですが、それでもなくならないのが現状です。


仮病を使って傷病手当金を受給した場合は、悪質とみなされて刑事事件になることもあるので絶対にしないようにしましょう。

傷病手当金の審査基準は厳しい!不正受給はバレる確率が高い

傷病手当金の審査の基準はかなり厳しく、不正時給はバレる確率がとても高いです。


例えば、

  • 病院が途中で変わり、その際に書類の傷病名が変わると受給ができなくなる。
  • 病院の初診日より前の証明はしてもらえないので、引越しする際は引越し日より前に、新しい病院に行っておかないと、受給できない日が発生してしまう。
  • 医師の指示通り薬を服用していなかったり、指示通りに過ごしていなかった場合受給できなくなる。

など、細かいところもしっかり審査されています。


「この程度ならバレないかな」と思っている方もいるかもしれませんが、不正時給は必ずバレると思っておいた方がいいでしょう。

傷病手当金受給中のアルバイトはバレるのか?

傷病手当金を受け取っている人がアルバイトをした場合、バレる確率はとても高いです。


雇用側は、労働者を雇い給料を払っている場合は各市町村に報告をしなければ違法になってしまいます。そのため、保険者に相談せずにアルバイトをしていても、雇用側が報告をするのでバレてしまいます。


会社員の場合も、給料を計算する際に特別徴収額を区役所に問合せしますので、その際にバレるでしょう。


アルバイトがバレた場合は、違法行為なので休職中であれば会社を解雇されてしまいますし、傷病手当金の返還要求をされてしまいます。

傷病手当金を受給しながらアルバイトしても良い場合もある

傷病手当金を受け取っている場合、基本的にアルバイトはしてはいけませんが、例外もあります。


傷病手当は働くことのできない人のための制度なので、普通のアルバイトができる人は会社に戻って働くことを進められます。

しかし、うつ病などで「日常生活は普通にできるようになっても社会復帰はまだ厳しい」という状況でも、傷病手当金だけでは生活が苦しいので在宅ワークなどアルバイトをしたいと考える方も多いです。


その場合は、必ず最初に保険者に相談しましょう。相談せずにアルバイトをしてしまうと、後日返還請求されてしまうこともありますので注意してください。


内職であれば、認めてもらえる可能性は高いでしょう。

その理由は、稼ぐことができる金額がある程度限られていることと、外に働きに出られなくても就ける仕事だということです。

傷病手当金の不正受給は何年で時効になる?

傷病手当金の不正受給には、時効はありません。


保険給付を受ける際は2年間と定められていますが、不正受給によって返納を行う必要がある場合は時効という考え方は基本的にありません。


傷病手当金の不正受給が発覚した場合、何年の月日が過ぎていたとしても返納を要求されれば返納する必要があります。

(参考:電子政府の総合窓口e-Gov|健康保険法 第百九十三条


傷病手当金を不正受給した場合、どれだけ前の話であっても返納は必ずしなくてはいけないことを覚えておきましょう。

傷病手当金の不正受給についてのまとめ


傷病手当金の不正受給について解説してきましたが、いかがだったでしょうか?


この記事のポイントは、

  • 調査により不正受給がわかると罰則が与えられ、悪質なものと判断された場合は刑事事件として処分される
  • 傷病手当金の不正受給には時効がない
  • 不正受給としてみなされる原因はアルバイトなけではなく、労災保険の給付などもあてはまるので注意が必要
  • 仮病などにより不正受給した場合、悪質なものと判断されることがある
でした。

本来、病気や怪我で働けなくなった方が安心して治療できる環境作りのための制度ですので、不正受給は本当にしてはいけません。

意図せずに不正受給となってしまうケースもありますので、不正受給になってしまう原因を知っておくと安心できるでしょう。

また、身近に不正受給しているのではないかと疑わしい方がいれば、保険者に調査依頼を出してください。

ほけんROOMでは、他にもお金にまつわる記事を多数掲載しておりますのでぜひ、一緒にご覧ください。

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