インフルエンザで傷病手当金は申請可能?支給条件や金額・手続きを解説

インフルエンザで出勤停止となった場合、診断書がおりて、条件を満たせば傷病手当金が申請可能です。今回は、インフルエンザで傷病手当金を申請できる条件から、金額はいくらもらえるか、申請の手続きの方法を解説します。アルバイトやパートの方でもらえない場合も解説します。

インフルエンザで出勤停止、傷病手当金は申請可能?

インフルエンザが流行する季節が近づいてきました。

インフルエンザの症状は重いことに加えて、出勤停止で一定期間は休まなければならないため、収入面に不安を抱える方も多いのではないでしょうか。

怪我や病気の際の手当として「傷病手当金」がありますが、この制度をインフルエンザでも適用できるのか、気になる方も多くいらっしゃることと思います。


この記事では、傷病手当金の支給条件や申請方法について詳しく紹介します。

インフルエンザに感染してしまった方や、感染した際の知識として知っておきたい方、傷病手当金の制度を知りたい方にとって、参考になる情報をご提供しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。


インフルエンザで傷病手当金を申請できる3つの条件

そもそも傷病手当金とは、

「病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給される手当金」のことです。


インフルエンザで傷病手当金を申請できる基本的な条件としては、

条件①:3日間連続の休みを含む4日間以上休み

条件②:社会保険に加入し、インフルエンザの診断書を受けている

条件③:4日目のお休みから原則給料をもらっていない

となります。


これらを含め、傷病手当金の支給条件は以下の5つです。

  1. 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業
  2. 仕事に就くことができないこと
  3. 連続する3日を含む4日以上働けないこと
  4. 社会保険に加入していること
  5. 休業した期間(4日目から)給料の支給がないこと(例外あり)

1.については、業務上(通勤含む)の災害によるもの(労災保険の給付対象)や病気と見なされないもの(美容整形等)は支給対象外です。

2.については、就業不可状態の判定は、療養担当者の意見等を基に、被保険者の仕事の内容を考慮して判断されます。

3.以降については以下で詳細を解説していきますので、確認していきましょう。


参考:全国健康保険協会 健康保険ガイド

条件1:連続する3日(土日有)を含む4日以上働けない場合

連続する3日を含む4日以上働けない場合について、例をあげながら、分かりやすくご説明します。


1.ポイント

傷病手当金が支給されるのは4日目からとなります。

勤務ができなかった1日目〜3日目の分は支給されません。


2.基本事項(例)

①インフルエンザで休んだ日を1日目=「(仮に)月曜日」とします。

②その日から連続する3日間=「月曜日、火曜日、水曜日」まで、出勤停止で仕事に就けない状態が続いているとします。=待機3日間。

③その翌日の4日目=「木曜日」も仕事に就けなかった場合、この木曜日が支給対象となります。


3.応用事項(例)

2.①において、就労時間中に体調が悪くなり、病院での診察の結果インフルエンザだった場合には、その日を待期3日間の初日として起算します。

2.②の3日間には、有給休暇、土日・祝日等の公休日も含まれます。


また、インフルエンザの場合は想定しづらいのですが、

月曜日、火曜日、水曜日と3日間連続で勤務不可の状態が続いて、翌日の木曜日は勤務したが、やはり体調が万全でなく、さらにその翌日の金曜日に勤務ができなかった場合、この金曜日が支給の対象となります。

条件2:社会保険(会社の健康保険)に加入し診断書を受けた場合

社会保険(会社の健康保険)に加入し、診断書を受けた場合について、例をあげながら詳しくご説明してきます。


1.ポイント

会社の健康保険に加入していることが支給の条件となります。
 ※主に、会社に雇われていない人が加入している国民健康保険は適用外です。
・診断書はインフルエンザになった際に医師に依頼すれば書いてもらえます。

2.基本事項

・基本的に会社などに雇用されている場合は、会社の健康保険に加入しています。
・アルバイトやパート、派遣社員についても原則的には雇用元の健康保険に加入しています。
  ※ただし、2ヶ月以内の短期勤務や扶養家族の場合などは社会保険の加入が必須ではなく、
   会社の健康保険に入っていなければ、インフルエンザになっても傷病手当金は支給
   されませんので注意が必要です。

3.応用事項

・アルバイト、パート、派遣社員であっても、2ヶ月を超える雇用関係にあり、かつ通常労
 働者の3/4以上働いている場合については、基本的に雇用者(会社)が従業員を社会保険に
 加入させる義務を負っています。
・加入者の国籍は申請の可否に関係ありません。
日々雇われる労働者(日雇い労働者)については、1ヶ月を超える勤務がないのであれば日雇
 特例被保険者が適用され、インフルエンザとなっても傷病手当は支給されません。

条件3:給料をもらっていない場合(有給ではない)

最後に、給料をもらっていない場合について、例をあげながら、分かりやすくご説明します。


1.ポイント

休業した4日目から、給料をもらっていないことが原則の条件となります。


2.基本事項

待機3日間については、給料をもらっているか否かは、傷病手当の支給要件に関係ありま
 せん。よって、「条件1」でも触れましたが、この待機3日間は有給休暇であっても問題に
 なりません。


3.応用事項

冒頭でご紹介した傷病手当の条件で、「給料の支給がない」とする条件に例外があること

をお伝えしました。これは他の情報サイトではあまり説明されていない点になりますの

で、以下をよく確認してください。


・休んだ期間についての給与の支払いがあってもその給与の日額が、傷病手当金の日額より 

 少ない場合、傷病手当金と給与の差額が支給されます。


少しでも給与の支払いがあった場合、傷病手当金を断念する方が多くいらっしゃるかと思いますが、ぜひ傷病手当金の日額とご自身の給与の日額を比較して、申請できるか否かを確認しましょう。


傷病手当金の給付金額(日額)については、以下でご紹介いたします。

インフルエンザで傷病手当金の給付金額はいくらもらえる?

さて、インフルエンザで傷病手当金を申請した場合、いくら給付されるのでしょうか。
おおまかには、普段の収入の2/3とお考えください。
それでは詳しい支給日額の計算方法を確認していきましょう。

▪️傷病手当金の支給日額の計算方法▪️
支給開始日以前の継続した12ヶ月間(※1)の各月の標準報酬月額(※2)を平均した額を、
30日で除し(=割り)、2/3を乗じた(=かけた)額

※1 支給開始日以前の期間が12ヶ月に満たない場合
①支給開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均額
②標準報酬月額の平均額である30万円(支給開始日が平成31年3月31日までの場合は28万円)
をそれぞれ算出し、①②のいずれか低い額を用います。

※2 標準報酬月額とは
毎月あたりの報酬(=給料)を区切りのよい幅で区分したものです。
東京都の例を挙げますので、こちらをご確認ください。

傷病手当金がもらえる期間はどのくらい?

インフルエンザは通常1週間〜10日間くらいで完治しますので、基本的に待機3日間の後は傷病手当金が支給されると考えて問題ありません。 

一方で、傷病手当金は最大でどれほどの期間支給されるのでしょうか。 


傷病手当金の支給上限は1年6ヶ月です。 


1年6ヵ月の間に就業(仕事復帰)した期間があり、その後再び同じ理由により仕事に就けなくなった場合でも、復帰期間も1年6ヵ月に算入されます。

支給開始後1年6ヵ月を超えた場合は、仕事に就くことが出来ない場合でも、傷病手当金は支給されません。 


また、これも他の情報サイトにはあまり書かれていませんが、一度1年6ヶ月の傷病手当を受け取った場合でも、その後異なる理由(病気、怪我)で就業不可になった場合は、再度上限1年6ヶ月の同手当金の受給が可能になります。


例えば、右足を骨折して1年6ヶ月の傷病手当金を受け取った後に、今度は左足を骨折した場合、また最大で1年6ヶ月の傷病手当金の受給が可能になるということです。


会社によってはもらえない?申請方法や手続きは?記入例は?

結論を申し上げると、会社によってもらえないケースはありません。

なぜならば、傷病手当金の支給申請者も、支給可否を判断するのも会社ではないためです。


よく「仕事を休んだ上にお金をもらうなど認められない」「申請書の会社署名欄にサインはしない」などという上司がいるようですが、これは申請の妨害行為なので毅然とした態度で応じることが重要です。


それでは次に、インフルエンザの際の傷病手当の申請方法や記入例を確認していきましょう。 


①申請に必要なもの

傷病手当金支給申請書

※障害厚生年金や老齢退職年金を受給している場合 

・年金証書のコピー 

・年金の給付額や支給開始年月日を証明する書類 

・年金額改定通知書のコピー


②申請の手順

・保険者から傷病手当金支給申請書を取り寄せ、必要事項を記入する 

・同申請書を記入し、保険者に提出

提出後は保険者で審査が行われ、支給・不支給についての通知書が送られてきます。

支給が決定した場合は、指定した口座へ傷病手当金が振り込まれます。


③申請書の記入例

記入例は以下をご覧ください。


参考:協会けんぽ 傷病手当金支給申請書 記入例

子供がインフルエンザになった場合でも申請できる?

子供がインフルエンザにかかった場合に、傷病手当支給の申請を行っても傷病手当金をもらえることはありません。

傷病手当金はケガや病気で働けなくなった健康保険の被保険者を対象として支給されます。


子供は健康保険の被保険者の被扶養者という位置付けであり、傷病手当金支給の対象外となります。子供を病院に連れて行く、看病をするなどといった理由で欠勤する場合が想定されますが、これでは健康保険の被保険者が働けなくなったという事由には該当しません。


このようなケースでは有給休暇を申請するようにしましょう。


まとめ:インフルエンザの場合は会社に傷病手当金を申請しよう

いかがでしたでしょうか。

インフルエンザで就業不可となった際に、傷病手当金を申請することでお金が支給されることをご紹介しました。

この記事のポイントは以下の2つです。


1.複雑な傷病手当金申請条件に注意する

  • 連続する3日間(有給、土日、祝日可)を含む4日以上、インフルエンザにより出勤停止か就業不可状態であること。
  • 4日目以降の欠勤については原則無給であること。
  • 会社の健康保険に加入していること。


2.申請すれば、普段の給料の2/3が支給される

  • 申請手続きは記入例に沿って記入でよいが、医師や会社の記入欄もあるので注意すること。


この他にも、アルバイト・パート・派遣であっても会社の健康保険(健保)に加入していれば受給可能ですが、未加入の場合はもらえない点に注意が必要でした。

また、子供のインフルエンザの際は受給できないこともご説明しました。


インフルエンザになった場合、有給休暇が余っていればそちらを使用した方がお得ですが、

いくらか有給を残しておきたい方などは、是非この傷病手当金の申請を検討してください。


協会けんぽ(健保)のHPリンクのご紹介も含めて、この記事ではインフルエンザに感染し傷病手当を検討している方、感染した際の知識として知っておきたい方、傷病手当金の制度を知りたい方にとって、参考になる情報をコンパクトにまとめておりますので、是非何度でもご覧ください。

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