更新日:2019/12/02
傷病手当金が不支給となる事例を紹介。不服申し立てについても解説
病気やケガで長期間仕事ができない場合に申請する健康保険の傷病手当金制度。この記事では傷病手当金が不支給となった事例の原因や理由を解説します。また、傷病手当金不支給となった場合に不服を申し立てる方法や不支給に関するQ&Aもあわせて紹介します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 傷病手当金が不支給になる原因・理由とは?
- 傷病手当金の不支給期間とは
- 傷病手当金が不支給となった事例
- 2回目の再申請時など、同一疾病で1年6か月経過していた場合
- 処方箋通りに薬を飲まないなど、医師の指示に従わなかった場合
- 退職後の継続給付中、転院による空白期間がある場合
- 退職後不支給となった後に労務不能で再申請した場合
- 妊娠悪阻・切迫流産・切迫早産・うつ病など傷病は関係なし
- 傷病手当金不支給に対する審査請求(不服申し立て)方法
- 健康保険の傷病手当金の不支給にまつわるQ&A集
- 障害年金や老齢年金が受けられる場合、傷病手当金は支給される?
- ボーナスが支払われると、傷病手当金は支給されない?
- 傷病手当金不支給の事例まとめ
目次
傷病手当金が不支給になる原因・理由とは?
傷病手当金がもらえない原因や理由が何なのか、気になるという人は多いと思います。傷病手当金が不支給となったときに、どうやって不服を申し立てれば良いのか方法がわからない人も多いのではないでしょうか。
傷病手当金の不支給の理由には、医師の指示に従わなかったり、同じ病気で1年6か月が経過していたりなどさまざまなものがあります。
そこで、この記事では、
- 傷病手当金が不支給になる原因・理由
- 傷病手当金が不支給となった事例
- 傷病手当金不支給に対する審査請求(不服申し立て)方法
- その他、不支給にまつわるQ&A
傷病手当金の不支給期間とは
傷病手当金には、以下の不支給期間があります。
- 3日間の待期期間
- 有給休暇(消化)を取得している期間
傷病手当金が不支給となった事例
傷病手当金の申請をしても、不支給の通知がくる場合もあります。
原因や理由にはさまざまなものがあり、もし不服だと思った場合には申し立てをすることも可能です。
ここでは、実際に傷病手当金が不支給となった事例を5つご紹介します。
実際に病気やケガで長期間休んだときに、事例にあったようなことをしてしまいますと、ご自身が申請をしたときに不支給となる可能性もありますので気を付けましょう。
2回目の再申請時など、同一疾病で1年6か月経過していた場合
傷病手当金の支給は、同一疾病につき支給開始から1年6か月までと定められています。
- 同じ病気・ケガの場合は、支給開始から1年6か月まで
- 別の病気・ケガの場合は、それぞれの病気・ケガごとに1年6か月まで
処方箋通りに薬を飲まないなど、医師の指示に従わなかった場合
傷病手当金は、医師の指示に従わなかった場合に不支給となる場合があります。
- 通院が必要なのに病院へ行かない
- 処方箋通りに薬を飲まない
- 自己判断で通院をやめる
退職後の継続給付中、転院による空白期間がある場合
退職後の継続給付中、引っ越しなどで転院しなくてはいけない場合、病院が変わることで空白期間ができてしまいますと傷病手当金が不支給となります。
ここでのポイントは、退職後ということです。
休職中であれば、転院により空白期間ができたとしても、空白期間中の給付はありませんが転院前・転院後で医師の診断書をもらえれば傷病手当金は給付されます。
退職後に引っ越しの予定があるという人は、
- 転院前の病院で就労不能期間を証明してもらう
- 引越し前に転院先の病院で診察を受ける
退職後不支給となった後に労務不能で再申請した場合
退職をすると、被保険者の資格を失います。しかし、傷病手当金は退職をするまでに1年以上被保険者だった場合、労務不能で再申請をすれば引き続き給付を受けられる場合があります。
給付を受けるのに必要な要件は以下になります。
- 退職前に1年以上被保険者であること
- 退職日に傷病手当金の給付を受けていること(受ける条件を満たしている)
- 退職後も同じ病気で療養しており、労務不能の状態であること
- 退職日に労務についた場合
- 失業給付金(雇用保険)を受ける場合
- 退職後働ける状態になり傷病手当金が不支給になったが、そのあとに労務不能となった場合
妊娠悪阻・切迫流産・切迫早産・うつ病など傷病は関係なし
妊娠は病気ではないため、基本的には傷病手当金の対象外となります。ですが、以下の場合は傷病手当金の対象となります。
- 妊娠悪阻
- 切迫流産
- 切迫早産
- 妊娠高血圧症候群
- 子宮頸管縫縮術
傷病手当金不支給に対する審査請求(不服申し立て)方法
傷病手当金の申請をして不支給だった場合、その処分に対して不服があれば審査請求(不服申し立て)を社会保険審査官に対してすることができます。
審査請求をするときに、気を付けなくてはいけない点は以下になります。
- 処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に行うこと
- 処分を行った保険者を経由して行うことも可能
健康保険の傷病手当金の不支給にまつわるQ&A集
傷病手当金の不支給には様々な理由があり、このようなケースはどうなるのかなど疑問を持っている人がたくさんいます。
ここでは、傷病手当金の不支給にまつわるQ&Aにはどのようなものがあるのかをご紹介します。
障害年金や老齢年金が受けられる場合、傷病手当金は支給される?
傷病手当金以外にも障害年金や老齢年金などが受けられる場合は、どのように支給されるのか疑問に持っている人が多くいるようです。
まず、障害年金は同一の傷病で受けられる場合、傷病手当金の支給はありません。ただし、障害年金を360で割った額が、傷病手当金の日額に満たない場合は差額が支給されます。
- 【傷病手当金日額】≦【障害年金÷360】⇒ 支給されない
- 【傷病手当金日額】>【障害年金÷360】⇒ 差額分が支給される
- 【傷病手当金日額】≦【老齢年金÷360】⇒ 支給されない
- 【傷病手当金日額】>【老齢年金÷360】⇒ 差額分が支給される
ボーナスが支払われると、傷病手当金は支給されない?
傷病手当金は健康保険から支給される、病気やケガなどで休職している間に生活を保障するための制度です。そして、一般的な年3回以下のボーナスであれば、傷病手当金の減額はされません。
これは、健康保険法3条5項6項で定められており、報酬とは3月を超える期間ごとに受け取るものはこの限りではないとされているからです。
つまり、年3回以内のボーナスは、1年で割ると4ヶ月に1度で報酬にならないため、減額の対象にはなりません。尚、賞与とは3ヶ月を超える期間ごとに受けるものという定義があります。
ただし、ボーナスがもらえるかどうかは会社の規定によるものとされていますので、支給条件をよく確認することが大切です。支給されたとしても、休職期間中は対象外となることが多く満額支給というケースは少ないようです。
傷病手当金不支給の事例まとめ
傷病手当金が不支給になる原因や理由、事例などをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
今回の記事のポイントは、
- 傷病手当金の不支給期間とは、3日間の待期期間と有給の期間がある
- 傷病手当金は、同一疾病につき支給開始から1年6か月までと定められている
- 傷病手当金は、医師の指示に従わなかった場合に不支給となる場合がある
- 傷病手当金は、退職後の継続給付中に転院による空白期間があると不支給となる
- 傷病手当金は、退職後働ける状態になり傷病手当金が不支給になったが、そのあとに労務不能となった場合は不支給となる
- 傷病手当金は、妊娠悪阻や切迫流産、うつ病などは支給される
- 審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に行うこと
- 障害年金と老齢年金は同一の傷病で受けられる場合、傷病手当金は不支給となる
- 傷病手当金は、一般的な年3回以下のボーナスであれば減額はされない