不妊治療費は医療費控除の対象?対象費用から確定申告のやり方まで!

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高額となることが多い不妊治療は、費用の内容によって医療費控除の対象となります。この記事では、控除の対象となる費用や戻ってくる金額、医療費控除の申請方法、併用可能な不妊治療に使うことの出来る助成金制度のついてまとめています。

不妊治療費は確定申告の医療費控除の対象になるのか

不妊治療 確定申告不妊治療は、赤ちゃんを授かるために行う治療です。赤ちゃんを授かるために、不妊治療を行なっている夫婦もいると思います。


しかし、不妊治療は高額になることもあり、1番多いのが、子宮内膜症子宮がんなどの女性特有の疾病にかかり、不妊治療費+手術費・入院費を負担しなければいけないことです。


ですので、不妊治療費だけでも医療費控除の対象になるのであればぜひ確定申告で申告したいところです。


不妊治療で医療費控除の対象となるもの、対象外となってしまうものも知りたいですね。


国税庁のページには、不妊症の治療に対して医師に支払ったものは医療費控除の対象となるとかかれていますが、実際どのくらいの範囲までが対象となるのか気になっていることかと思います。


そこでこの記事では、不妊治療のどこまでが医療費控除の対象なのか気になっている方にむけて、

  • 医療費控除を受けられる不妊治療の条件
  • 医療費控除の対象となる9つの不妊治療
  • 医療費控除の対象外となる4つの費用

以上についてまとめています。


この記事を読んでいただけたら、医療費控除の対象となる不妊治療の内容や条件が分かります。不妊治療に専念するため、金銭的な負担の不安を解消しましょう。


また、最低でも子宮内膜症や子宮がんなどの手術費入院費を避けたいと言う方は、下記の「不妊治療中でも入れる医療保険の詳細」で確認してください!

不妊治療で医療費控除を受けられる条件

不妊治療には医療費控除の対象となるものもありますが、確定申告時に必ずしも医療費控除を受けられるわけではありません。


不妊治療で医療費控除を受けるには条件があります。その条件を解説していきますので、確定申告前に条件に該当しているかをよく確認してください。


条件には注意点もあります。医療費控除を受けられたのに条件に該当していないと勘違いし、申告をしなかった、というような状況にならないように、気を付けて申告したいですね。

助成金を差し引いた医療費合計10万円以上から

不妊治療で医療費控除を受けられる条件は

  • 1月1日から12月31日の1年間に世帯内でかかった医療費である
  • その合計額が10万円以上である
  • 申告する人が納税者である

以上の3つです。


合計金額10万円以上というのは、不妊治療費だけでなく世帯内でかかった医療費の合計になります。


また、自己負担額になるので、助成金や給付金などを差し引いた額で計算してください。


計算式は以下の通りです。

1年間でかかった医療費-助成金や給付金等-10万円


納税者のその年の総所得額が200万円未満であれば、かかった医療費が10万円以上ではなく、総所得額の5%超の金額が条件となります。


計算式は以下の通りです。

1年間でかかった医療費-助成金や給付金等-総所得額の5%

例えば、総所得額が100万円の場合だと、

100万円×5%=5万円

となるので、医療費が5万円以上かかれば医療費控除を受けられることになります。


総所得額によって条件も変わりますし、申告する人が納税者でなければならないので注意が必要です。


不妊治療で10万円以上かかっていなくても、世帯内の医療費が10万円以上あれば医療費控除を受けられるので、家族の診療明細書なども捨てずにとっておくといいでしょう。


医療費控除を受けるメリットは、所得税と住民税が軽減され、還付金としてお金が戻ってくることです。全額が戻ってくるわけではないので注意してください。

医療費控除の対象となる不妊治療内容

医療費控除の対象になる不妊治療の内容を、

  • 人工授精・体外受精
  • 卵子凍結・凍結保存料
  • 医薬品等の薬代
  • 通院にかかる交通費
  • 治療にかかる薬代
  • 採卵消耗品等
  • 紹介状等
  • マッサージなどの施術費
  • 成功報酬、海外治療

9つに分けて解説していきます。


人工授精、体外受精などよく聞く言葉から、採卵消耗品のような普段聞きなれない言葉もあるので、それぞれ内容を確認していきましょう。

人工授精・体外受精にかかる費用

人口授精体外受精は、聞いたことのある人が多いと思います。


人工授精は、人工的に精子を子宮内に入れてあげることです。体外受精は体の外で卵と精子を受精させ、子宮内に戻すことをいいます。


費用は約20万円以上かかり、多いと約60万円以上かかります。保険適用外なので、支払いはすべて自己負担ですが、上記の条件を満たしていれば、治療費全般(排卵誘発剤や採卵も含む)を控除することができます。


ですが、注意してほしい点は人工授精・体外受精にかかる費用ではなく、不妊治療中に発症してしまうことの多い子宮がん子宮内膜症などの手術費・入院費においては、療費控除の対象外と言うことです。


人工授精や体外受精は、排卵を活性化させるため、排卵誘発剤の注射が多くなり、腹痛や嘔吐、子宮内膜症が原因の不妊症の方は、子宮以外にも症状が広がり子宮がんになる恐れがあります。


これにより、手術や入院費+不妊治療費を余儀なくされ、不妊治療期間だけで1,000万円掛かったと言う事例も多いです。


自己負担額を少しでも減らしたい方は、まず医療保険に加入するこが先決です。


不妊治療中でも入れる保険はございますので、今すぐ検討してみてください。

卵子凍結および凍結保存料

卵子凍結、凍結保存料とは、若い卵子を-196℃の液体窒素の中に入れ、1年間凍結して保存しておくことです。流産を防止するために行われる不妊治療となります。


保存期間は1年間というクリニックが多いですが、その期間内に延長手続きをすれば保存期間を延長できることもあります。


卵子凍結保存の費用は保存容器1本あたり約5万円となり、医療費控除の対象です。治療時にもらった診療明細は確定申告で使うため、捨てずにとっておきましょう。

治療に必要な医薬品等の薬代

治療必要な医薬品等の薬代も、医療費控除の対象となります。


例えば、不妊治療のための漢方薬などです。注意しなければならないのが、医薬品に定義されるものでなければならないことです。


医療費として認められるのは、治療に関わるものでなければなりません。


漢方薬代も医療費控除の対象となるので、治療のために必要なものを購入することができますね。

通院のための交通費

通院のための交通費も医療費控除の対象となります。


不妊治療を受けるためにバスや電車、新幹線など公共交通機関を使って病院まで行く場合などです。


交通費も医療費控除の対象となるのは嬉しいですが、気を付けたいのがタクシーや自家用車を使用した場合です。


自家用車を使用した場合のガソリン代や駐車場代は控除対象外となりますので、できれば公共交通機関を使用したほうがいいかもしれません。


また、陣痛発生時のタクシーや公共交通機関の利用も、医療費控除の対象となります。

治療のための薬代

不妊治療のために病院で処方された薬代は、医療費控除の対象です。


医療費は治療に関わるものが認められるので、不妊治療のために処方された薬は認められます。


赤ちゃんを授かるために、必要な薬は使いたいものですね。もし医師から薬の処方をされた場合は、医療費控除の対象となりますので心配せず受け取ってください。


処方されたときの明細書は、きちんととっておきましょう。

採卵消耗品などの消耗品

採卵消耗品は、卵子を採取するときに使用するものです。採精する消耗品もありますが、これらの消耗品も医療費控除の対象となります。


不妊治療に関するものなので、医療費控除の対象となるのはありがたいですね。



紹介状などの文書料

病院で、医師から紹介状を受け取ったことはありますか?他の病院を勧められた場合などに受け取るものですが、その文書料も医療費控除の対象です。


紹介状の手数料が控除対象となり、不妊治療の一環として考えられています。

マッサージや整体、お灸など医療費に含まれるものの施術費

マッサージや整体と聞くと、不妊治療費として考えづらいですが、これらも不妊治療のためなら医療費控除の対象となります。


あん摩マッサージ指圧師やはり師、柔道整復師、灸師の施術は、医療費の範囲であると所得税法で規定されています。


マッサージや整体、お灸なども、不妊治療のためなら医療費控除の対象となるのです。


ただし、マタニティヨガのように、不妊治療の資格を持っていない人が行なうものを受けても対象外となるので注意してください。

成功報酬や海外での治療

成功報酬、海外での治療の場合も医療費控除の対象です。


成功報酬の不妊治療を受けた場合も、医師の治療を受けたことにより医療費と認められると所得税法で規定されています。


また、海外での治療も医師による不妊治療を受けることに変わりないため、医療費控除の対象となります。


治療のための渡航費も控除対象となりますが、ツアー利用時の飛行機代は旅費扱いとなり、交通費は控除対象外となるので注意が必要です。

医療費控除の対象外となる不妊治療内容

不妊治療の医療費控除には、医療費控除の対象外となるものもあるので注意が必要です。こちらもよく確認した上で決めましょう。


その対象外となるものは

  • 差額ベッド費用
  • 検査費用
  • 医薬品以外の購入費用
  • 注射代

以上4つになります。


医療費控除の対象となると思って購入したものや選択したものも、対象外だった場合、後悔するかもしれません。


そうならないために、事前に対象外となるものを把握しておくことは大切です。それぞれ詳しく解説していきますので、ぜひご覧ください。

宿泊費・入院した場合の差額ベッド費用

差額ベット費用とは、入院時に大部屋ではなく1人から4人部屋にした場合にかかる費用です。


入院する際には、人の目を気にしないで済む1人部屋などを望みますが、その分ベッド代は高くなります。


参考までに、差額ベッド費用は以下の通りです。

  • 1人部屋は約7800円
  • 2人部屋は約3100円
  • 3人部屋は約2900円
  • 4人部屋は約2500円

部屋の人数が少なくなるにつれて、ベッド代がかかることが分かります。また、1人部屋は他の部屋より金額の差が大きいですね。


不妊治療に直接関わらないことなので、差額ベッド費用は医療費控除の対象外です。

血液検査や超音波検査、精液検査などの検査費用

医療費控除の対象となるのは治療に関わる費用だけです。


血液検査、超音波検査、精液検査などは検査に関わる費用のため、治療に関わる費用とはいえません。


ですので、検査費用は医療費控除の対象外となります。


また、上記に挙げた検査費用だけでなく、妊娠検査薬排卵検査薬などの検査費用も対象外となるため注意が必要です。

漢方薬やサプリメントなど医薬品ではないものの購入費用

赤ちゃんを授かるために、漢方薬やサプリメントを購入する人もいるでしょう。しかし、医薬品ではない漢方薬やサプリメントは、医療費控除の対象外となります。


妻だけでなく男性の旦那さんも、妊娠しやすいように漢方薬やサプリメントを服用し、栄養の摂取や健康に気を付ける人もいますが、これらは不妊治療のための費用とは認められません。


医療費として認められるのは、医薬品であることを覚えておきましょう。

予防接種などの注射代

予防接種などの注射代も、医療費控除の対象外です。


医療費として認められるのは直接的な治療なので、予防を目的とした予防接種などは、医療費として認められません。


インフルエンザに備えて、風疹にならないために、など、これらのような予防接種は対象外になることを覚えておきたいですね。

不妊治療費の確定申告のやり方を教えて!医療費控除の申告方法

医療費控除の条件を満たし、自分は医療費控除の対象だと言うことを確認したうえで「さぁ!確定申告に行こう!」となりたいところですが、まだどのような手続きで行けばいいかわかりませんよね。


医療費控除を申告するときは、確定申告書を税務署長に提出しなければなりません。


その確定申告を受ける際に必要なものがあります。

  • 確定申告書
  • 源泉徴収票
  • 医療費通知書
こちらは元本が必要となりますので、くれぐれも忘れないようにしてください。

こちらが問題なく終われば晴れて、確定申告が申告できたと言えます。

確定申告は、申告すると還付金が発生しますので、不妊治療により高額になった費用を医療費控除の申告をして、少しでも金銭的負担を減らしたいですね。


還付申告は、いつでも申告することが可能です。また、5年前までさかのぼって申告することもできるので、還付金が発生した場合には忘れずに申告しましょう。

参考:年をまたぐ際の不妊治療の助成金と医療費控除の取り扱い

不妊治療は長期に亘って行われることもあるため、年またぎになることもあるでしょう。その場合の不妊治療の助成金と医療費控除の取り扱いについて解説します。


不妊治療を行なっており、年をまたいで妊娠した場合、医療費控除助成金の両方を申請することになるでしょう。


医療費控除を受けるための条件にあるように、1年間にかかった医療費から助成金や給付金の額は差し引かなければなりません。


ですので、かかった医療費から助成金の額を差し引いて医療費控除の申告をしましょう。

まとめ:不妊治療費は医療費控除の対象になる!

いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは

  • 不妊治療に直接関係するものは控除対象になる
  • 医薬品や検査費用は控除対象外になる
  • 年間10万円以上の医療費で医療費控除を受けられる

でした。


不妊治療はなかなか人に相談できず、夫婦で抱えてしまう問題です。高額になることもある不妊治療は金銭的にも負担がかかるので、医療費控除を受けられる条件に該当したら医療費控除を受けることをおすすめします。


不妊治療の助成金制度や医療費控除を利用すれば、少しでも金銭的負担を減らすことができますよ。


不妊治療の何が控除対象で、何が対象外なのか、治療を受け始めたら確認してみるといいですね。


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