レーシック手術は医療費控除の対象!確定申告やり方は?還付金はいくら?

レーシック手術はその費用が高額に上る場合も多いですが、医療費控除の対象になります。ただし、医療費控除を申告する場合、レーシック手術に関する領収書をはじめ、いろいろな書類が必要になります。今回は、レーシック手術に関する医療費控除の条件や手続き方法を説明します。

レーシック手術は医療費控除の対象になるの?



レーザー光線を用いて近視などを矯正するレーシック手術は、保険適用外の自由診療のため、高額な医療費がかかります。


また、民間の医療保険に加入していても、2007年4月以降に新規で契約したものはレーシックを保険金給付の対象外としています。


高額なうえに保険金も支払われないとなると、家計にはかなり大きな痛手ですよね。


そんなときに助かるのが、医療費控除です。


レーシックは医療費控除の対象となっていて、確定申告をすることで所得税・住民税が軽減できるのです。


この記事では

  • レーシック手術の費用と医療費控除の対象範囲
  • 医療費控除と、減税になる金額の計算方法
  • 医療費控除の確定申告の際の手続きと、申告書の記入方法
  • 確定申告をする際の注意点

以上のことを中心に解説していきます。


この記事を読んでいただければ、レーシックを受けた際の確定申告に役立つかと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

レーシック手術やそのための検査料・交通費も医療費控除の対象

レーザー照射によって目の角膜を薄く削り、視力回復を図るレーシック手術は、「医師の診療または対価」として認められるため、医療費控除の対象になります。



またレーシック手術では、その手術に適用できるかどうかの事前検診や、事後の感染症や経過検診なども必要になってきますが、それらもすべて医療費控除の対象になります。


医療費控除の対象になるのは、病院に支払う費用だけではありません。


病院へ行く際に、バスや電車などの公共交通機関を使った場合は、その交通費も対象となります。


なお、電車やバスが利用できない場合のタクシー利用は対象となりますが、通常は対象外です。


自家用車で行く場合のガソリン代や駐車場代も対象外ですので、申告の際は注意しましょう。

レーシック手術の費用はいくら?

レーシック手術にかかわる費用は、負担のかからない病院で両目7万円~というところから、高額で40~50万円というところもありますが、相場は20~30万円ほどのようです。


レーシック手術は健康保険対象外であるため、手術や手術前後の検査費用などすべて自費となり、高額手術となってしまいます。


そして7~50万円と費用の差が出てしまう理由は

  • レーシック手術が自由診療のため、病院ごとに費用を自由に設定できる
  • 手術プランによって、検査費用や再手術費、保証期間や相談料などが変わる
  • 照射スピードや品質など、手術に使用するレーシック機器によって料金が変わる
  • 近視の強度によって、使用する機器が異なり、再強度だと料金が高額になる

です。


安全性や術前術後のフォローを考えると、大半の方は相場金額で行われる場合が多いのですね。

レーシック手術における医療費控除の計算方法


医療費控除額の計算は以下のとおりです。

医療費控除額(最高200万円)=1年間に支払った医療費総額-保険金などで補填される金額-10万円(所得合計額が200万円までの人は所得の5%の金額)

年末調整を受けている人は、確定申告をおこなうと所得税が還付され、翌年分の住民税が減税されます。

所得税の還付額=医療費控除額×所得税率

住民税の減税額=医療費控除額×10%

所得税率を知るためには、国税庁の「所得税の速算表」を利用します。


所得税率は7段階に分けられており、所得が多い人ほど税率が大きい仕組みになっています。


速算表から所得税率を調べるのに必要な「課税される所得金額」は、給与収入のみの人の場合、会社から受け取る源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を差し引いた金額です


国税庁のホームページでは減税額の試算ができますので、収入と扶養家族状況、医療費を入力して、概算を確認してみてください。


では、具体的な例をもちいて、税金がどれだけ安くなるか計算してみましょう。

レーシックの医療費控除で還付金はいくら戻るかシミュレーション

  • 年収500万円(課税所得は240万円とする)
  • 1年間に支払った医療費:レーシック手術に25万円、検査・通院・交通費に8万円、その他医療費2万円
  • 保険金:なし

医療費控除額は以下の計算で25万円となります。

年間医療費(25万円+8万円+2万円)-保険金などで補填される金額(0円)-10万円=25万円

所得税の速算表から、課税所得240万円の人の所得税率は10%だとわかるので、

所得税の還付額=医療費控除額(25万円)×所得税率(10%)=2万5千円

住民税の減税額=医療費控除額(25万円)×10%=2万5千円

よって、この人の場合は、確定申告をすることで所得税が2万5千円還付され、翌年度の住民税が2万5千円減税になります。

レーシック手術費の医療費控除を確定申告する際の手続きの流れ

平成29年度の税制改正によって、医療費控除の申告には領収書の添付が不要になり、代わりに医療費控除の明細書」の提出が必要になりました。


この医療費控除の明細書は、健康保険組合などから交付される「医療費のお知らせ」などの医療費通知を利用して簡単に作成できるようになっています。


経過措置として、平成31年分までは従来の領収書を添付する方法でも申告できますが、ここでは新しい方法での手続きの流れを説明します。


医療費控除については下記の記事に詳しい内容を記載していますので、参考にしてください。

確定申告には「医療費控除の明細書」が必要

医療費控除の確定申告では、必ず「医療費控除の明細書」を添付しなければならなくなりました。


「医療費控除の明細書」は医療通知書に記載のあるものは一括で簡単に記入ができますが、レーシックに関する医療費は保険適用外なので、医療通知書には記載がありません


そのため、明細欄に

  1. 医療を受けた人の氏名
  2. 病院・薬局など支払先の名称
  3. 医療費の区分(「診療・治療」「医薬品購入」など4つから選択)
  4. 支払った医療費の金額
  5. 4.のうち保険金などで補填される金額

を記入し、「控除額の計算」の欄を埋めて提出します。

記入例|控除額の計算の仕方を解説

「控除額の計算」欄の書き方を、先ほどシミュレーションした人の例で解説します。


【A】支払った医療費

25万円+8万円+2万円=35万円

【B】保険金などで補填される金額

保険金の給付はなかったので、0円となります。

【C】差引金額(A-B)

35万円-0円=35万円

【D】所得金額の合計額

確定申告書第一表の「所得金額」の合計欄の金額を転記します。


この金額は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」と同額で、年収500万円の「給与所得控除後の金額」は346万円です。

【E】D×0.05

346万円×0.05=17万3千円

【F】Eと10万円のいずれか少ないほう

17万3千円>10万円となるため、10万円を記入します。

【G】医療費控除額(C-F)

35万円-10万円=25万円

医療費控除を申告するための必要書類の準備

医療費控除を手際よく申告するためには、事前に必要書類を準備しておくことが必要です。


必要書類をみていきましょう。

  • 確定申告書AもしくはB
  • 「医療費控除の明細書」
  • 給与所得者は給与所得の源泉徴収票
  • マイナンバーがわかるもの(確定申告書に記入します)
  • 免許証などの本人確認書類のコピー
  • 医療費の領収書や交通費のメモなど(こちらは提出不要ですが、領収書は税務署からの提示依頼の可能性があるため、5年間は取っておきましょう)

確定申告書「医療費控除の明細書」は税務署で入手できますが、国税庁のホームページからもダウンロードできます。


また国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、より簡単に申告書類が作成できますので、利用してみてください。

医療費控除の申告は提出期間や、申告の制約がある

医療費控除にかかわらず、確定申告の時期は毎年前年分を2月16日から3月15日までに行うこととなっています。


しかし、還付のみの申告であれば2月15日以前にも申告できますし、過去5年分については遡って申告もできますので、申告し忘れていた人は領収書等があれば還付請求できますね。


では、会社で年末調整をしている人について、なぜ同じタイミングで申告をしてもらえないのでしょうか。


それは、医療費控除の対象になるかならないかなど、その範囲は広く、会社の人事が判断するのは大変だからです。


また通常、会社の年末調整は12月の給与計算に合わせて行われることが多いため、年末に発生した医療費など、会社の計算に間に合いません。


医療費控除については、年末調整とは別に、直接税務署へ確定申告することが効率もよいのです。

【注意】レーシック手術の費用に高額療養費制度は適用されない

入院・手術をしたことのある方は利用した経験があるかと思いますが、高額療養費制度はひと月にかかった医療費のうち、一定の金額以上の部分は支給を受けられる制度です。


例えば一般的な年収400~500万円の人であれば、ひと月(1日~月末)の医療費がどんなに高額になっても、この制度によって自己負担額は8万円~9万円ほどに抑えられるのです。


ただし、高額療養費制度が利用できるのは保険適用の医療費のみです。


レーシックの費用は保険適用外なので、残念ながらこの制度の対象ではありません。

参考:眼科医に支払う治療費等で医療費控除になるもの

国税庁のホームページで確認できる、眼科治療で医療費控除の対象になるものを2つ紹介します。


  1. オルソケラトロジー治療(角膜矯正療法)の費用
    「オルソケラトロジー治療(角膜矯正療法)とは、近視などの角膜の屈折異常を特殊なコンタクトレンズを装用することにより、屈折率を正常化させて視力の回復をさせるものです。  この治療も、眼の機能それ自体を医学的な方法で正常な状態に回復させるものであり、それに係る費用は、医師の診療又は治療の対価と認められます。」

  2. 治療に必要な眼鏡の購入費用
    「斜視、白内障、緑内障などで手術後の機能回復のため短期間装用するものや、幼児の未発達視力を向上させるために装着を要するための眼鏡などで、治療のために必要な眼鏡として医師の指示で装用するものは、医師による治療の一環として直接必要な費用ですので、医療費控除の対象となります。」

引用元:国税庁「眼科医に支払う治療費等」


日用使いでのコンタクトレンズや眼鏡は、治療が目的ではないため、医療費控除の対象にはならないということですね。

まとめ:レーシック手術は医療費控除は可能、必ず確定申告を

ここまで、レーシック手術と医療費控除について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは、

  • レーシック手術やそれに伴う検査、交通費などは医療費控除の対象になる
  • 確定申告を行うことで、所得税・住民税が減税になる
  • 減税になる金額は、医療費控除額に所得税率・住民税率をかけて計算する
  • 医療費控除の確定申告には領収書の添付は不要、代わりに「医療費控除の明細書」を添付する
  • 確定申告書は国税庁のホームページから簡単に作成できる
  • オルソケラトロジー治療や治療目的で買う眼鏡の費用も医療費控除の対象になる

でした。


レーシックはお金がかかりますが、確定申告をすることで税金の負担が軽減されます。


手続きが面倒そうだと感じる方も多いかと思いますが、「医療費控除の明細書」の導入で、領収書をすべて提出していた頃に比べて格段に簡単になりました。


交通費は、病院に行った日を手帳にメモしておくなどすれば後から集計しやすくなるので、しっかり記録しておいてもれなく申告するようにしましょう。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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