更新日:2019/12/10
病院から請求された差額ベッド代は拒否できるのか?について解説
病気などで病院に入院することになったとき、差額ベッド代を請求されたら拒否できる条件と拒否できない条件について詳しく解説します。また、生活保護を受けていて差額ベッド代を払えない方や、すでに請求をされている方には、拒否する方法や適切な相談先もご紹介します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 差額ベッド代を病院から請求されたら拒否できるのか?
- 差額ベッド代を病院から請求されても拒否できる3つの条件
- 差額ベッド代支払いの同意書にサインをしていなければ拒否できる
- 病院都合で差額ベッド代が必要な部屋への入院なら拒否できる
- 治療で必要なため差額ベッド代の部屋へ入院なら拒否できる
- 差額ベッド代を拒否できない条件
- 患者自身が希望して差額ベッド代が必要な部屋へ入院した場合
- 病院から十分な説明を受けて同意書にサインをした場合
- すでに病院から請求を受けていても拒否する方法
- 厚生労働省の通知内容をもとに拒否する
- それでも困ったら厚生労働省の地方厚生局に相談する
- 差額ベッド代についてのよくある質問例
- 差額ベッド代は医療費控除の対象となるか
- 生活保護を受けていて差額ベッド代を払えない場合も拒否できるか
- 拒否したために転院しなければいけなくなることはあるか
- 差額ベッド代は拒否できるのかのまとめ
目次
差額ベッド代を病院から請求されたら拒否できるのか?
差額ベッド代を病院から請求されても拒否できる3つの条件
ただでさえ経済的な負担が大きい入院。その上差額ベッド代を請求されると負担はさらに大きくなり、大変な思いをした経験を持つ人も多いと思います。
実は、差額ベッド代は必ずかかるものではありません。
差額ベッド代を拒否できる条件に当てはまれば差額ベッド代を支払う必要はありません。
それを知らずに本来ならば払わなくても良い差額ベッド代を支払っているケースがとても多くあります。
必要のない差額ベッド代を支払わずに済むよう、差額ベッド代を拒否できる3つの条件を詳しく解説します。
差額ベッド代支払いの同意書にサインをしていなければ拒否できる
1つ目の差額ベッド代を拒否できる条件は差額ベッド代支払いの同意書にサインをしていない場合です。
入院の際にはさまざまな書類に目を通し、サインをすることになります。その中に差額ベッド代支払いに関する同意書があるかもしれません。
入院で気が動転しているかもしれませんが、中身を確認せずに次々にサインをしていくことはやめましょう。
差額ベッド代支払いの同意書にサインをすると自分の希望で個室を選び、支払いにも同意したということになります。
また、差額ベッド代の料金の記載がないなど、説明に不十分なところがある場合も支払いの義務はなくなります。
入院の際は書類の中身を確認し、分からないところがあれば必ず説明を求め納得してからサインするようにしましょう。
病院都合で差額ベッド代が必要な部屋への入院なら拒否できる
- 感染症にかかっている患者を感染予防のため個室へ入院させる。
- 大部屋が満室で差額ベッド代がかかる部屋しか空いていない。
治療で必要なため差額ベッド代の部屋へ入院なら拒否できる
- 救急、術後患者等で病状が重く安静が必要な者
- 常に適切な看護や介助を必要とする者
- 免疫力が低下し、感染症にかかるおそれのある者
- ひどい身体的・精神的な苦痛を和らげるケアが必要な者 など
差額ベッド代を拒否できない条件
ここまで差額ベッド代を拒否できるケースを紹介してきました。
しかし、支払いを拒否できないケースもあります。
一定の条件や手続きを踏めば差額ベッド代の請求は病院の正当な権利です。
よりよい入院環境を求めて差額ベッド代のかかる部屋を選択するのも良いですし、経済面を考えて出費の少ない部屋を選ぶことも良いでしょう。
避けたいのは自分の意に反した請求をされてしまうことです。
そのようなことがないように、ここからは差額ベッド代を拒否できない条件を詳しく解説します。
患者自身が希望して差額ベッド代が必要な部屋へ入院した場合
まず、患者自身が希望して差額ベッド代が必要な部屋へ入院した場合、差額ベッド代は拒否できません。
ちなみに差額ベッド代がかかる部屋は「特別療養環境室」と呼ばれ、厚生労働省の通知により特別療養環境室として認められるための条件が定められています。
条件は次の通りです。
- 病室一室のベッド数は4床以下であること。
- 病室の面積は1人当たり6.4㎡以上であること。
- 病床ごとにプライバシーが守られる設備があること。
- 特別療養環境室にふさわしい設備があること。
上記の1~4の条件の全てを満たす必要があります。
ただでさえ辛い入院生活を少しでも快適に過ごすために上記のような特別療養環境室を希望することができますが、差額ベッド代がかかるということも覚えておくといいでしょう。
病院から十分な説明を受けて同意書にサインをした場合
病院から十分な説明を受けて同意書にサインをした場合も差額ベッド代を拒否することはできません。
入院する際には多くの書類を確認しサインをすることになりますが、その中に差額ベッド代支払い同意書も含まれていることもあります。
慌ただしい中多くの書類に目を通すことは大変ですが、後からトラブルになることを避けるためには必ずしっかり目を通しましょう。
説明を聞いて、料金なども確認した上で同意書にサインをした場合、差額ベッド代を拒否することはできません。
また、一度は差額ベッド代のかかる部屋に入ったものの、後から差額ベッド代のかからない部屋に移動することもできます。
差額ベッド代は1日単位でかかってくるので、なるべく早めに相談しましょう。
すでに病院から請求を受けていても拒否する方法
ここまで差額ベッド代が拒否できる条件・拒否できない条件や差額ベッド代がかかる部屋の条件などを紹介してきました。
これらの内容を知った上で病院の説明を聞いたり、書類に目を通したりすると不本意な差額ベッド代の支払いを避けることができるでしょう。
ただし、自分では差額ベッド代がかからないと思っていたのに病院から請求を受ける場合もあります。
そのようなケースではどうすれば良いでしょうか?
まずはしっかりと自分の意思を伝えることが大切ですが、それでも解決しない場合はいくつか方法がありますので詳しく解説します。
厚生労働省の通知内容をもとに拒否する
病院からの差額ベッド代の請求を拒否するためにはまずは厚生労働省の通知を根拠に自分が支払い対象でないことを説明することが効果的です。
厚生労働省の通知では差額ベッド代を求めてはいけない条件を以下のように定めています。
- 同意書による同意の確認をしていない。
- 治療上の必要による差額ベッド代が必要な部屋への入院。
- 病院の管理上の理由による差額ベッド代が必要な部屋への入院。(患者の希望ではない場合)
厚生労働省は病院に通知を行っているので、病院もこのようなルールがあることは知っているはずです。
上記の条件のどの項目に該当するのか説明をすれば、病院も差額ベッド代を請求できないはずです。通知がされていることですので冷静に交渉しましょう。
それでも困ったら厚生労働省の地方厚生局に相談する
本来であれば、厚生労働省の通知を根拠に支払いを拒否すれば病院側は受け入れてくれるはずです。
しかし、それでも重ねて請求してくる場合は厚生労働省の地方厚生局に相談するのも一つの方法です。
差額ベッド代に関する指導や処分を行うのが地方厚生局の仕事なので病院も対応してくれるでしょう。
以下に地方厚生局の連絡先を紹介します。
- 北海道厚生局医療課:011-796-5105
- 東北厚生局医療課:022-206-5216
- 関東信越厚生局:048-740-0815
- 東海北陸厚生局:052-979-7382
- 近畿厚生局:06-6942-2414
- 中国四国厚生局:082-223-8225
- 四国厚生局:087-851-9502
- 九州厚生局:092-707-1123
差額ベッド代についてのよくある質問例
自分や家族が病院に入院するとなったら経済的な負担は大きな問題です。
特に差額ベッド代については毎日料金が発生するものなので長期の入院となると思った以上に費用がかかることもあります。
快適な入院生活を送るためには必要経費と割り切ることもできますが、詳しく知らなかったために思った以上の負担になったという話もよく聞きます。
ここでは多くの方が持っている差額ベッド代についての質問を詳しく解説します。
差額ベッド代についての疑問を解決して上手に利用しましょう。
差額ベッド代は医療費控除の対象となるか
生活保護を受けていて差額ベッド代を払えない場合も拒否できるか
生活保護を受けている場合は、基本的に医療費は無料です。
外来はもちろんのこと食事代も含めて入院費も実質無料になります。(衣類やタオルのレンタル代など一部例外もあり)
それでは、差額ベッド代はどうでしょうか?
実は生活保護を受けていても差額ベッド代はかかります。
生活保護費から出ると思い込んで気軽に同意書にサインすることがないよう気を付けましょう。
ただし、生活保護を受けている場合でも詳しい説明がなかった時や治療上に必要がある時、病院の管理の都合である場合は差額ベッド代の支払いは拒否できます。
また、経済的な理由から差額ベッド代が支払えない場合は病院に相談しましょう。場合によっては減免や分割での支払い、福祉制度の紹介をしてくれます。
拒否したために転院しなければいけなくなることはあるか
ここまで差額ベッド代を拒否できる場合、拒否できない場合を詳しく解説してきました。
拒否できる場合はなるべく早い段階で差額ベッド代を払う意思がないことをしっかりと病院側に伝えましょう。
特に、差額ベッド代の同意書にサインをしてしまうとその後の交渉が難しくなるので、支払いをしたくない場合はサインをしないように気を付けましょう。
差額ベッド代を拒否することは厚生労働省の通知でも認められていることです。しかし、病院によっては拒否した結果居心地が悪くなることもあるかもしれません。
そのようなケースでは他の病院への転院も視野に入れて考えた方がいいかもしれません。
手続きなど少し面倒ですが、差額ベッド代を支払わないことに理解のある病院の方が結果的に気持ち良く入院生活が送れることもあります。
差額ベッド代は拒否できるのかのまとめ
この記事では差額ベッド代は拒否できるのか、どのように拒否すればよいのかについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか?
今回の記事のポイントは
- 差額ベッド代を拒否する条件は、同意書にサインをしていない、治療上の都合、病院管理の都合の3つ。
- 差額ベッド代が拒否できないケースは自分で希望した場合と同意書にサインした場合。
- 差額ベッド代を拒否するためには厚生労働省の通知と厚生局を活用。
でした。
上記以外にも差額ベッド代に関する質問例も紹介しましたので参考にしてください。
差額ベッド代は入院中毎日発生する費用です。その金額は1日数百円~数万円と幅があるのも特徴です。
1日3000円として10日入院すると3万円もかかってしまい、医療費控除もできないので場合によってはかなりの負担になってしまいます。
もし、必要がないならば正しい知識を持って差額ベッド代がかからないように手続きをしましょう。
ほけんROOMでは、他にも読んでおきたいお金に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。
病気やけがで入院することになったら、気になるのが入院費です。
特に差額ベッド代は1日ごとに加算されるので「思った以上に高額になって困った」という話を聞いたことはありませんか?
実は差額ベッド代には拒否できるケースが多々あります。それを知らずに支払ってしまったということがないようにこの記事で詳しく解説していきます。
この記事では
以上のことに関して詳しく解説してきます。
この記事を読んでいただければ、どのような時に差額ベッド代を拒否することができるのか、どのように拒否をすればよいのかを知ることに役立つと思います。
ぜひ最後までご覧ください。