医療費控除と高額療養費の違いとは?併用時の流れ・注意点も解説!

医療費が高額になった場合、税金が安くなったり(医療費控除)払い過ぎたお金が還付されたり(高額療養費制度)する制度があります。よく似た二つですが、これらは併用が可能です。混同しがちな医療費控除と高額療養費の制度の違いや注意点、併用する際のポイントを解説します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

目次を使って気になるところから読みましょう!

医療費控除と高額療養費の違いとは?併用はできるの?



医療機関にかかった際に、しばしば「医療費控除」や「高額療養費」といった言葉を耳にすることが多いと思います。


どちらも治療費や税金などのお金が戻ってくる制度だということは知っているけれど、利用したことがない、詳しくはよくわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。


また、これらの制度は併用できるということもご存じない方も多いかもしれませんね。


そこでこの記事では、医療費控除と高額療養費について

  • 医療費控除の仕組み
  • 高額療養費の仕組み
  • 医療費控除と高額療養費の併用
  • 医療費控除の注意点
  • 高額療養費の注意点
以上のことを中心に解説させていただきます。


この記事を読んでいただければ、それぞれの制度の内容、およびそれらを併用できることをご理解いただけると思います。


ぜひ最後までご覧ください。

医療費控除の仕組みについてわかりやすく解説

医療費控除は、所得税の確定申告を行う際に申請するもので、特に、通院回数が多い人にとっては節税効果のある制度です。


ただ、確定申告をしたことのない方などにとっては、具体的な申請方法や仕組みはあまり馴染みのないかもしれませんね。


しかし、医療費控除の申請をすることで、会社員の方などは既に払っている税金が還付されるますので、一定以上の治療費を払った方は是非利用をおすすめします。


医療費控除のポイントは

  • 1年間に支払った医療費をもとに計算する
  • 保険金などで補填された金額は差し引く
  • 保険適用外の医療費や交通費も対象
以上三点です。


以下では、ポイントごとに解説させていただきます。

1年間に支払った医療費をもとに計算する

第一に、医療費控除は1年間に支払った医療費をもとに計算します。

一般的には、年間10万円を超える医療費を支払った場合に控除が受けられるのです。


病院への通院だけで10万円を超えることは滅多にありませんが、入院をすると10万円を超えることが多々あります。

自己負担分だけでも、かなりの金額になり家計に打撃を与えてしまいますね。


医療費控除の計算式は以下の通りです。

  • 医療費控除=[1年間の医療費の合計額]-[保険金などの補填金額]-10万円

たとえば、1年間の医療費の合計額が20万円で、5万円が補填されるとすると、5万円の医療費控除が受けられることになります。

また、医療費控除の上限は200万円までと定められており、総所得金額200万円以下の人はその5%が上限です。


医療費控除は節税対策にも役に立つので、税金を減らすために制度を利用する人が多いです。

1年間の医療費が高額になった際には、ぜひとも利用したいですね。

保険金などで補填された金額は差し引かないといけない

第二に、保険金などで補填された金額は差し引かれることが特徴です。


これは、通院・入院した際に、医療保険や健康保険から支給されたお金の金額のことを指します。

保険金で補填される金額は、

  • 生命保険や損害保険の医療保険金
  • 社会保険や共済の給付金
  • 医療費のための損害賠償金
  • 互助組織から受ける医療費のための給付金
以上のものが当てはまります。


具体的にはどのようなケースがあるのでしょうか。


生命保険や損害保険の医療給付金


病気や怪我で手術を受けることになった際に、民間の生命保険や損害保険から医療費を補うために受け取る入院給付金や手術給付金のことです。

社会保険や共済の給付金


療養費や出産育児一時金、家族出産育児一時金、家族療養費、高額療養費などです。
出産や療養のためにかかる費用が給付されます。

医療費のための損害賠償金


万が一事故にあった場合に、相手側から医療費を補うための損害賠償を支払ってもらう場合の賠償金です。

互助組織から受ける医療費のための給付金


怪我をした際に会社の互助組織からでる見舞金など、職場の制度によって決められている給付金です。

これらはいずれも、保険金で補填されているため医療費控除からは差し引かなければなりません。
なぜなら、補填分は自己負担ではないため、医療費控除の対象にはならないからです。
医療費控除には、自己負担分が使えるので、補ってもらった分は対象にはならないのです。

保険適用外の医療費や交通費なども対象となる

第三に、保険適用外の医療費や交通費なども対象になります。


通常の公的医療保険ですと、保険適用外の医療費や交通費は全額自己負担しなければなりません。

そのため、これらの費用が負担になってしまいます。


しかし、医療費控除は保険適用外の医療費や交通費なども対象になるのです。

これは利用して損はありませんね。


ですが、一つ注意が必要です。

交通費を例にとると、対象になるものとならないものがあります。

以下では、その違いを解説させていただきます。


医療費控除の対象になる交通費


医療費控除の対象になる交通費には、医師による診察のために直接必要とされるものです。

具体的には、
  • 公共交通機関(電車、バスなど)
  • 公共交通機関が通っていない遠方の医療機関へのタクシー代
  • 子どもや老人の診察に付き添う者の交通費
です。

総じて、人的役務の提供の対価として支払われるものが対象になります。

医療費控除の対象にならない交通費


医療費控除の対象外になる交通費には、
  • 自家用車で通院するためのガソリン代
  • 駐車場代
があります。

これらが控除の対象外になる理由は、診察目的で利用されたかどうかが掴みにくいことが挙げられます。

自家用車は、公共交通機関のように領収書がないので証拠として判断することが難しいのです。

そのため、本当に病院に訪れるために利用されたことが不透明です。
以上のことから、医療費控除の対象にはなりません。

高額療養費の仕組みについてわかりやすく解説

ここまでは、医療費控除の仕組みについて解説させていただきました。

ここからは高額療養費の仕組みをご紹介させていただきます。


高額療養費には、

  • 1か月間で支払った自己負担金額をもとに計算する
  • 保険適用外の医療行為、差額ベッド代などは対象外
  • 限度額適用認定証制度を利用すれば立て替え不要
  • 家族で合算可能だが後期高齢者がいる場合は注意が必要
の四つの特徴があります。
以下で、これらの特徴について、具体的にご説明していきます。


また、高額療養費については他にも関連した記事がありますので、こちらもご覧ください。

1か月間で支払った自己負担金額をもとに計算する

高額療養費は、1か月間で支払った自己負担金をもとに計算します。

自己負担金は年齢や所得によっても異なります。

この制度を利用すれば、自己負担金額を超えた分は支払いをせずに済むので、1か月の医療費が高額になっても心配はいりません。


以下では、年齢ごとの自己負担金額をご紹介させていただきます。

ここでは平成29年8月から30年7月までのものを記載しますが、30年8月以降は改定されるのでご注意ください。


70歳以上の方


70歳以上の方の高額療養費は以下の通りです。

  1. 現役並み所得者
    (標準報酬月額28万円以上で高齢受給者証の負担割合が3割の方)
    外来: 57,600円
    世帯ごと:
    80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
    [多数該当:44,400円]
  2. 一般所得者
    (1および3以外の方)
    外来: 14,000円
    (年間上限14.4万円)
    世帯ごと: 57,600円
    [多数該当:44,400円]
  3. 低所得者Ⅱ(被保険者が市区町村民税の非課税者等である場合)
    外来:8,000円
    世帯ごと: 24,600円
  4. 低所得者Ⅰ(被保険者とその扶養家族全ての方の収入から必要経費・控除額を除いた後の所得がない場合)
    外来:8,000円
    世帯ごと: 15,000円


70歳未満の方


70歳未満の方は区分ごとに高額療養費が定められています。

  1. 区分ア
    (標準報酬月額83万円以上の方)
    (報酬月額81万円以上の方)
    自己負担限度額:252,600円+(総医療費※1-842,000円)×1%
    多数該当:140,100円
  2. 区分イ
    (標準報酬月額53万~79万円の方)
    (報酬月額51万5千円以上~81万円未満の方)
    自己負担限度額:167,400円+(総医療費※1-558,000円)×1%
    多数該当: 93,000円
  3. 区分ウ
    (標準報酬月額28万~50万円の方)
    (報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方)
    自己負担限度額:80,100円+(総医療費※1-267,000円)×1%
    多数該当:44,400円
  4. 区分エ
    (標準報酬月額26万円以下の方)
    (報酬月額27万円未満の方)
    自己負担限度額:57,600円
    多数該当:44,400円
  5. 区分オ(低所得者)
    (被保険者が市区町村民税の非課税者等)
    自己負担限度額: 35,400円
    多数該当:24,600円
上記のように、年齢や収入によって自己負担金額が異なります。

上限を超えた分は支払いをせずに済むので、医療費が高額になった時には大変助かる制度です。

保険適用外の医療行為、差額ベッド代などは対象外

第二に、保険適用外の医療行為や差額ベッドなどは高額療養費の対象にはなりません。


高額療養費の対象になるのは、あくまでも保険適用される医療行為です。


つまり、医師の診断によって治療されるものに限定されるので、自分の意志で治療を行うものは高額療養費の対象にはならないのです。


対象外になる医療行為には、美容目的のレーザー治療などがあります。


これらの治療も場合によっては高額な医療費がかかりますが、すべて自己負担になるのでご注意ください。


また、入院時に個室を利用した場合にかかる差額ベッド代も高額療養費の対象外です。


差額ベッド代の最低額は50~100円ですが、最高では36万7,500円などとなっています。


高額な代金がかかりますが、差額ベッド代は健康保険の適用範囲外のため、かかった分を自己負担しなければなりません。

限度額適用認定証制度を利用すれば立替え不要

第三に、限度額適用認定証制度があります。


通常、高額療養費はあとから申請するため、一旦はかかった分の費用を支払わなくてはなりません。

立て替えることになるので、ある程度は負担になってしまいますね。


しかし、限度額適用認定証制度を利用すれば1か月の窓口での支払いが自己負担限度額までになります。

保険証と併せて提出することが必要ですが、限度額適用認定証を持っていることで家計への打撃が少なくなるメリットがあります。


ただし、高額療養費の対象外となるもの(差額ベッド代、入院時の食事代など)は、限度額適用認定証が適用されないのでご注意ください。


また、限度額適用認定証は提示をすることで効力が発生します。

提示をしなければ、通常の会計と同様になるので、医療機関にかかる際は常に持ち歩くことをおすすめします。

家族で合算することができるが後期高齢者がいる場合注意

第四に、家族で高額療養費を合算することができるが後期高齢者がいる場合は注意が必要です。


後期高齢者は、後期高齢者医療制度の対象になります。

そのため、世帯内の若年層とは体系が異なり、高額療養費が合算できません。

世帯合算で負担を減らそうと考えていた人にとっては、打撃を与えてしまうかもしれません。


後期高齢者は、若年層とは別に考えなくてはならないので、高額療養費の計算をする際にはご注意ください。

ただし、世帯内の75歳同士であれば合算ができます。


後期高齢者になると、医療費の負担はやむを得ません。

まずは若年層の医療費合算を工夫しましょう。

医療費控除と高額療養費の違いとは

この二つの主な違いは、「税金が安くなるか、お金が還付されるか」です。 

前述していますように、両者のそもそもの違いは戻ってくるお金の種類が違います。

端的にいうと、税金が戻ってくるか、払った医療費が戻ってくるか、ということです。
 


  • 医療費控除:一定以上の医療費用を支払った場合、それを基準として税金が還付される形で還元される制度 
  • 高額療養費:病院での治療費や薬代が1ヶ月の上限を超えて高額になった場合に、家計に対する負担を抑えるために、その超えた分が支給される制度
     


従って、申請先や申請方法など細かい点も以下のように異なっています。

医療費控除高額療養費
申請先税務署健康保険組合、国民健康保険、共済組合など
申請方法確定申告  健康保険:高額療養費支給申請書を提出
国民保険:自治体から該当の世帯に送られる申請書を提出
還付の方法確定申告の確定後、所定の税金が還付自己負担額の上限を超えた分が還付

医療費控除と高額療養費制度は併用することができる

医療費控除と高額療養費制度は、まったく別の制度のため併用することが可能です。

「併用できれば割とお得になる」と思う人も多いでしょう。


実際に、それぞれの制度の恩恵を受けることができるので得にはなります。

しかしデメリットもあることは事実です。


以下では、

  • 併用の流れ
  • 併用する場合の注意点、記入例
  • 修正申告が必要になる場合がある
について解説させていただきます。

併用時の流れ|高額療養費の還付分を差し引く必要があるので注意

医療費控除と高額療養費は併用できますが、それぞれの申請のタイミングをおさらいしておきたいと思います。 


医療費控除が申請できるのは年1回、確定申告の時ですよね。 

一方の、高額療養費は、該当した場合その都度手続きすることができます。 


つまり、これらを併用するということは、医療費控除を申告する確定申告の際に、それまでに高額療養費で戻ったお金がある場合が該当します。    


次に医療費控除の計算式ですが、

[1年間の医療費の合計額]-[保険金などの補填金額]-10万円 

の中の[保険金などの補填金額]には、高額療養費で戻ってきたお金も該当します。


そのため、高額療養費の制度を使った後に確定申告で医療費控除を申告する時には、上の計算式で高額療養費で戻ってきたお金も差し引いて計算しなければなりません

併用する場合の書き方と記入例

次に、併用する場合の書き方と記入例です。


併用する場合は、高額療養費支給申請書の「医療機関などで支払った金額欄」に還付された金額を差し引いたものを記入します。


これを行うことで、医療費控除できない分は高額療養費に含まれません。


また、毎月のように高額療養費の還付分がある人は、2枚あるうちの2枚目のみを余分に作成しておくと便利です。

高額療養費の還付が年またぎで翌年となる場合は修正申告が必要

最後に、修正申告が必要な場合があることです。


これは、高額療養費の還付が年をまたいで翌年になり、前年度分扱いとなる場合に修正申告が必要になります


高額療養費の給付には通常2~3か月かかるので、その年の12月の高額療養費の確定が確定申告の時期に間に合わないため、修正申告が必要になります。


手続きが二度手間になり面倒ですが、正しく還付されるためには必要になります。


確定申告の修正申告の方法に関しては、こちらに詳しい記事がありますので、ご確認ください。

具体例|高額療養費と医療費控除を併用した時、いくら戻ってくる?

次に、高額療養費と医療費控除を併用した場合に、実際にいくらくらい戻ってくるのか、例をあげてご説明していきます。
 


まず高額療養費について計算していきます。 

40歳、月収40万円(年収600万円)、かかった医療費が50万円、自己負担額が3割で15万円と設定します。


この場合の自己負担額は  

80,100円+(500,000円-267,000円) × 1% = 82,430円
となります。 

既に、15万円を負担しているので、その差額の 

150,000円 - 82,430円 = 67,570円 

が、還付されることになります。


次に、医療費控除の金額を計算します。 

この方が世帯全体で、合計20万円の医療費や薬代を払っていると設定します。 

200,000円 - 67,570円 - 100,000円 = 32,430円 

となり、この金額が課税所得から控除されます。


最後に、実際に軽減される所得税の金額を計算します。 

年収が600万円、給与所得控除150万円、上記の医療費控除を含めた所得控除額が100万円と設定します。 

まず、この方の課税所得は、 

600万円 - 150万円 - 100万円 = 350万円 

となります。
 


課税所得が350万円の所得税率は20%ですので、先ほどの医療費控除の金額の20%の

67,570円 × 20%= 13,514円  

が還付される所得税の目安となります。
 


以上から、高額療養費で戻った金額が67,570円、医療費控除で所得税が還付される金額が13,514円、合計81,084円となります。 


ただし、実際には復興特別所得税なども加算されるため、あくまでも目安としてお考えください。

医療費控除の注意点

ここからは、医療費控除の注意点を解説させていただきます。


所得税の節税が目的の医療費控除ですが、注意点には、

  • 年末調整が不可のため、確定申告が必要
  • 申請期限は5年
  • 領収書は5年間保存する必要がある
  • 医療費控除を受ける場合は、セルフメディケーション税制の利用はできない
の四点があります。


以下では一つずつご紹介させていただきます。

年末調整不可!必ず確定申告が必要

第一に、年末調整ができないので確定申告をする必要があります。


年末調整で控除されるのは、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、住宅購入時のローン控除および人的控除です。

医療費控除は含まれないのでご注意ください。


医療費控除を受けるには、国税庁のホームページか税務署から「確定申告A」の書類を用意しましょう。

申告をすることで医療費控除を受けることができます。

申請期限は5年

第二に、医療費控除の申請期限は5年です。


この「5年」の意味は、医療費発生の翌年1月1日から起算して5年間という意味です。

たとえば2018年5月に医療費が発生した場合、2019年1月1日から2023年12月31日までが期限になります。


「申告期限が5年もあれば焦らなくて良いや!」と思いがちですが、日常的に申告するための証拠物を取っておかなければならないので、意外と面倒です。


普段から医療費に関わったものはなくさないように心がけましょう。

領収書は5年間保存する必要がある

第三に、領収書は5年間保存する必要があります。


上記の申請期限にも関連しますが、医療費控除を受けるためには領収書などの証拠物が必要です。

いくら多額な医療費がかかったとしても、領収書がなければ医療費控除を受けることはできません。


また、医療費控除を受ける必要があるときに備えて常日頃から領収書を取っておく必要があります。

申請期限に合わせて5年間は保存しておきましょう。


医療費控除を受けるとセルフメディケーション税制が受けられない

第四に、医療費控除を受けるとセルフメディケーション税制が受けられないデメリットがあります。


セルフメディケーション税制とは、健康促進や疾病予防に取り組んだ人が12,000円以上の対象医薬品を購入した場合に受けることが可能です。


医療費控除とセルフメディケーション税制は選択適用制です。

医薬品を多く購入する人には、医療費控除よりもセルフメディケーション税制を利用したほうが得かもしれません。

高額療養費制度の注意点

最後に、高額療養費制度の注意点を解説させていただきます。


高額療養費制度の注意点には

  • 申請は自分で行う
  • 月をまたぐと自己負担額が増える
  • 申請期限は2年
  • 1年間で3回以上該当すると限度額が下がる
以上四点です。


一点ずつ解説させていただきます。

自分で健康保険組合などに申請が必要

第一に、自分で健康保険組合などに申請が必要になります。

健康保険や年金のように、会社で手続きをしてくれるものではないのでご注意ください。


申請をする際には、

  • 領収書
  • 保険証
  • 印鑑
  • 振込口座のわかるもの
が必要です。

月をまたぐと自己負担額が増える

第二に、月をまたぐと自己負担額が増えてしまいます。


高額療養費の自己負担限度額は、同一月ごとに計算されます。

そのため、月末31日に入院をして翌月10日に退院をした場合、31日の分と翌月10日までの分は別で計算されるため、負担が多くなってしまうのです。

そうなると、少し損をした気分になってしまいますね。


このように、月をまたぐと自己負担額が増えることが高額療養費のデメリットです。

申請期限は2年

第三に、高額療養費の申請期限は2年間です。

具体的には、診療月の翌月1日から2年間になります。


医療費控除の申請期限が5年であることを考えると、短いような気がしますね。


そのため、高額療養費の還付が毎年行われるようでしたら、まとめてではなくその都度申請を行ったほうが良いでしょう。

1年間で3回以上高額療養費に該当すると限度額が下がる

第四に、1年間で3回以上高額療養費に該当すると限度額が下がることです。


高額療養費制度で医療費負担が軽減されていますが、さらに上記の条件に当てはまる場合は4回目以降は上限額が下がります。


高額療養費には「多数回該当」という仕組みがあるので、医療費が高額になってしまった場合も負担を軽減する制度が整っています。

まとめ|医療費控除と高額療養費制度は併用することができる

この記事では、「医療費控除と高額療養費の違い・併用」についてご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。


記事の要点は、

  • 医療費控除は税金が安くなり、高額療養費は払った分の医療費が還付される点が異なる。
  • 医療費控除と高額療養費は併用できる。
  • 医療費控除を受けるとセルフメディケーション税制が受けることができない。また、高額療養費制度の申請は2年以内に自分で行う必要があるなどの注意点がある。
以上三点です。


医療費控除と高額療養費制度はまったく別のものなので、上手に使いこなせば節税と医療費還付でお得になります。


高額な医療費がかかった際には、ぜひ利用してみてください。

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