更新日:2022/01/02
あとからでも申告可能?確定申告の期限に間に合わない場合の対処法
何かと面倒な確定申告、忙しくてギリギリまで手が付けられない方も多いのではないでしょうか。しかし余裕を持って取り掛からないと、突然のトラブルなどによって提出期限に間に合わない可能性もあります。この記事では、そんな確定申告の提出期限に間に合わない場合の対処法を紹介します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 確定申告の期限に間に合わない場合の対処法を解説
- 確定申告が間に合わない場合の対処法
- 当日中に出せるなら間に合う
- 方法①:郵便局の「ゆうゆう窓口」から郵送する
- 方法②:税務署の時間外収受箱に提出する
- 方法③:日付が変わる前にe-Taxで申告する
- 方法④:とりあえず仮の内容で提出する
- 確定申告が間に合わない場合は期限後申告をしよう
- 還付申告なら遅れてもデメリットはない
- 確定申告の期限が過ぎた場合のペナルティとは
- ペナルティ①:無申告加算税
- ペナルティ②:延滞税
- 注意:青色申告の個人事業主は特にデメリットが大きい
- 参考:還付申告なら遅れてもデメリットはない
- 参考:確定申告をしないとどうなるのか
- 参考:確定申告に必要な書類とは
- 確定申告の期限に間に合わない場合の対処法のまとめ
目次
確定申告の期限に間に合わない場合の対処法を解説
この記事をご覧のあなたは、確定申告の期限について悩んでおられることでしょう。
自営業で収入を得ている方にとっては毎年の恒例行事でもある『確定申告』ですが、中には確定申告の期限に関してそこまで危機感を持っていない、という方も多いでしょう。
実際のところ確定申告は『申告期限に間に合わない』ことによって、いくらかのペナルティを受けることをご存知でしたでしょうか。
そこで今回は、
- 確定申告の申告期限はいつからいつまで?
- 確定申告がどうしても間に合わない場合はどうすれば良い?
- 期限後も確定申告を行う方法がある?
- 青色申告を行っている個人事業主が期限に注意すべき理由とは?
最後までお読みいただければ、確定申告を期限内に行うための最も良い方法についてご理解いただけるでしょう。
ぜひ最後までご覧ください。
確定申告が間に合わない場合の対処法
確定申告は1カ月間という期限が設けられています。
しかし、様々な理由により間に合わない、期限内に税務署に対して申告を行うのは難しい、と思われる方もおられるでしょう。
特に、期限がギリギリになってから書類を作成しようと考えている方は、その見立てだと書類作成だけで期限を超過してしまうかもしれません。
では、確定申告が間に合わない場合には、どのような対処法があるでしょうか。いくつかの具体的かつ誰でも実践できる方法を紹介していきます。
当日中に出せるなら間に合う
結論から言えば、確定申告の書類を提出するのは、期限最終日でも間に合う場合があります。
ただし、確定申告の書類を当日に提出しようと考えている方は、間に合うかどうかは書類の「提出方法」により異なります。
確定申告の書類の提出方法には、
- 税務署へ持参する
- 書類を税務署へ郵送する
- その他市役所など指定されている場所へ持参する
- e-Taxで提出する
方法①:郵便局の「ゆうゆう窓口」から郵送する
もし確定申告期限のギリギリであっても「期限終了の3日以上前」であれば、郵送であっても期限に間に合うかもしれません。
期限最終日(今年であれば3月16日)の消印が押されていれば、基本的には期限内の受領となるからです。
また、普通郵便であれば基本的に平日のみの発送受付となりますが、「ゆうゆう窓口」を利用すれば、土日・夜間の発送にも対応しているのでとても便利です。
ただし、どの郵便局も発送を24時間受け付けているわけではないため、余裕を持って郵送手続きを行いましょう。
郵便局によって営業時間が異なる場合がありますので、最寄りの郵便局における営業時間を調べておきましょう。
方法②:税務署の時間外収受箱に提出する
書類の提出が当日になってしまった場合、すぐに郵送しても期限内にはおそらく間に合わないでしょう。
そこで確実な方法と言えるのが、税務署に設置されている「時間外収益箱」に投函するという方法です。
この方法であれば、3月16日提出として扱ってもらえるため、提出のリミットが「3月17日の税務署開庁」までとなります。
書類の作成が当日になってもどうしても終わらないという場合は、この方法が当日に間に合わせるために最も確実な方法と言えるでしょう。
方法③:日付が変わる前にe-Taxで申告する
確定申告を期限最終日に間に合わせる他の方法として、「e-Taxでの提出」という方法が挙げられます。
これは電子申告と言ってインターネット上で申告処理が完了する仕組みであり、紙面での書類を作成する必要もありません。
その分、パソコンやスマートフォンで集計を行いまとめるというスキルが必要となりますが、各種会計ソフトウェアを活用して集計作業や計算を自動化することにより、苦手な方でも負担はいくらか軽減することができます。
この方法であれば、期限最終日(3月16日の23時59分)までに手続きが完了した段階で、当日受領扱いとなります。
ただし注意点もあり、そもそもe-Taxで電子申告を行う際には事前登録と、「マイナンバーカード」および「カードリーダー」が必要となるため、それらの用意を事前に済ませておく必要があるでしょう。
すでに確定申告の書類をペーパーで作成済みである場合は、電子申告で改めて申告しなおすよりも、「時間外収益箱」に投函する方が確実です。
方法④:とりあえず仮の内容で提出する
時間外収益箱での提出や、e-Taxでの提出も間に合わないという場合は、最終手段として「仮の状態でもいいからとりあえず提出する」という方法があります。
書類がすべて完成していない、または計算が間違っているかもしれない(と思えるような状態)でも、とりあえず提出する方法です。
間に合わない場合の最終手段としてこの方法が挙げられる理由としては、確定申告の期限後であっても、「修正申告」が可能だからです。
修正申告とは、
- 税額を実際の金額よりも多く申告していた
- 税額を実際の金額よりも少なく申告していた
これが可能なのであれば「提出前にそこまで書類を精査しなくても大丈夫なのでは?」と思われる方もおられるかもしれませんが、ペナルティの対象となる可能性があります。
上の例における「2」のように税額を過少申告してしまった場合は、「過少申告加算税」の追徴対象となってしまう場合があり、その場合は以下の税率で税金を納めなければなりません。
修正申告をした時期 | 本来の納税額に対して 追徴される割合 |
---|---|
期限翌日から税務調査の通知前までに 申告した | 0%(非課税) |
税務調査の通知後から更生の予知前までに 申告した | 5% ※申告額が50万円以上の場合は10% |
更生の予知以降に 申告した | 10% ※申告額が50万円以上の場合は10% |
このように、修正申告が遅れれば遅れるほど多くの税金を納めなければならなくなってしまいます。
ですから、「修正申告できるからある程度適当でも良い」という考え方は危険です。
確定申告が間に合わない場合は期限後申告をしよう
今までは、たとえ確定申告が期限の最終日になり間に合わないと思える場合でも、当日までにはどうにか提出する方法を紹介してきました。
しかし中には、様々な事情でどうしても期限内には提出が間に合わない、という方もおられるでしょう。
もしどうしても間に合わない場合は、「期限後申告」を行うことになります。
期限後申告とはその名の通り確定申告の期限後に申告する方法ですが、どのような理由であっても税務署における期限内の受領に間に合わない確定申告はこの「期限後申告」に該当します。
本来であれば期限後申告では一定のペナルティが課されることになりますが、そのペナルティの対象外となるのが、「還付申告」です。
還付申告なら遅れてもデメリットはない
確定申告における還付申告とは、いわゆる「過払いした税金を返してもらうこと」です。
本来であれば確定申告の中に還付申告も含まれるのですが、本来確定申告が必要のない会社員などが還付申告をすぐに行えなくてもペナルティはありません。
還付申告は、還付申告を行う年の翌年から5年間行うことが可能となっており、その間に申告すれば税金の還付が受けられることになります。
還付申告の期限は確定申告の期限と混同しやすいので、覚えておきましょう。
確定申告の期限が過ぎた場合のペナルティとは
確定申告において期限後申告をした場合は、
- 無申告加算税
- 延滞税
主にこの2つの税金が本来の税金にプラスされるかたちで追徴されることとなります。
これがいわゆる「申告が遅れたことによるペナルティ」に相当します。
では、これら追徴される税金がそれぞれどのような割合で課されるのかを見ていきましょう。
ペナルティ①:無申告加算税
「無申告加算税」は、納税者の納税額によって加算される金額が異なります。
納税額に応じた無申告加算税の割合は、
- ~50万円:15%
- 50万円~:20%
この様になっています。
ただし、税務署による調査の前に自己申告をした場合は、無申告加算税が一定の割合で軽減されることもあります。
その軽減の基準と割合の例は、
- 申告が行えなかった正当な理由があると認められる場合:0%
- 税務調査の事前通知以前に自主的に提出した:5%
- 税務調査の事前通知以後に自主的に提出した:10%
ペナルティ②:延滞税
確定申告が遅れたことによるもう一つのペナルティが、「延滞税」です。
これもその名の通り申告が「延滞」したことにより追徴される税金ですが、遅れる日数が増えるほど加算される税金も増えていきます。
延滞税の計算は、
- (本来の納税額×延滞税率×延滞期間)÷365=延滞税額
- 期限の翌日~2カ月:7.3%
- 2カ月以降:14.6%
- 収める税金額が10,000円未満の場合
- 延滞税の計算結果が1,000円未満の場合
注意:青色申告の個人事業主は特にデメリットが大きい
今までは税金の申告をまとめて「確定申告」と表現していましたが、正確には確定申告には2つの方法があります。
その2つの方法とは
- 白色申告:簡易的に税金申告ができる方法
- 青色申告:様々な税制面での優遇が受けられる方法
- 所得税の特別控除(10万円または65万円)を受けられる
- 事業に家族の従事者がいる場合、家族の給与も経費として加算できる
- 30万円以下の備品を一括で経費に計上できる
参考:還付申告なら遅れてもデメリットはない
すでに取り上げたように、確定申告は期限が2月17日から3月16日と決められているものの、還付申告においてはその通りではありません。
申告を行う翌年から5年以内であれば、還付を受けることができるのです。
ただし例外もあり、住宅ローンの控除(「住宅借入金等特別控除」)を受けている方が確定申告に遅れた場合は、
- 住民税の減税を受けられなくなる
- すでに確定申告をしている場合は更正請求ができない
参考:確定申告をしないとどうなるのか
確定申告が期限内に間に合わないことによるデメリットはすでにたくさん取り上げた通りですが、ただ単に「税金が増える」だけでは済まない場合もあります。
世間ではいわゆる「脱税(ほ脱)事件」として取り上げられることも多い罪ですが、極めて悪質に所得隠しや隠蔽、改ざん等を行った場合においては、所得税法238条に基づき、罰金刑または懲役刑の対象になることがあります。
何千万、ときには億単位での企業による脱税が報道されることもありますが、特に金額が多い場合はたとえ「故意ではない(申告を忘れていた)」と言い訳をしても、確実に税務署調査により脱税が判明し、刑事罰が課される場合が少なくありません。
基本的にここまで重い罪になるのは脱税額が多額であり、さらに悪意があって隠蔽や仮装等を行っている場合ですが、たとえ個人であっても確定申告を行っていないと、税務署調査が入る場合があります。
参考:確定申告に必要な書類とは
ここまでで、確定申告はできる限り期限を守った方が良い理由について取り上げてきました。
では改めて、確定申告を期限内に行うために、税務署に提出が必要な書類について覚えておきましょう。
確定申告に必要な書類は、
- 確定申告の申告書AまたはB(紙または電子形式)
- 本人確認書類
- 各種控除の証明書類
- 源泉徴収票
これらが基本的に必須となる書類です。
さらに、医療費控除や住宅ローン控除など、申請する控除内容によってはさらに追加で明細書や登記事項証明書等が必要となる場合があります。
本来はこれらの書類を税務署に全て持参する必要がありますが、会計ソフトおよびマイナンバーカードとカードリーダーを利用した電子申告ではその必要がないので、申告遅れも防ぐことができます。
ぜひ確定申告は電子申告を積極的に活用していきましょう。
確定申告の期限に間に合わない場合の対処法のまとめ
今回は確定申告の期限が間に合わない場合の対処法等に関して様々な点を取り上げてきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回の記事のポイントは、
- どうしても間に合わない場合は当日の朝までに「時間外収受箱」へ投函する
- 期限超過後に行う確定申告はすべて「期限後申告」となる
- 期限後申告ではペナルティとして無申告加算税や延滞税が課される場合がある
- 青色申告者が申告遅れや不備があると青色申告の承認が取り消される場合がある
以上の点です。
確定申告は余裕を持って申告を行い、修正が必要な場合でも十分期限内に間に合うように準備しておくのが理想です。
たとえどうしても間に合わない場合でも、早急かつ確実に申告を行うことによって、無駄に多くの税金を支払わなければならないような事態とならないようにしましょう。
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