更新日:2023/07/20
エアコンの取り付け・購入費用は経費にならない場合がある!
エアコンの取り付けや購入費用をどのように経費処理するかご存知ですか?夏も冬も快適に仕事をするためにはエアコンの設置は欠かせません。仕事に使用するものですから、しっかり経費で購入したいですよね。この記事では、エアコンの経費処理について解説します。
内容をまとめると
- エアコンが経費になるかどうかは「10万円」が基準の数字になる
- エアコン代10万円以下の場合「消耗品」として全額経費になる
- エアコン代10万円以上の場合「備品」として減価償却の対象
- エアコン代10万以上20万円未満の場合、誰でも「一括償却」が活用できる
- エアコン代が30万円未満の場合「少額減価償却の特例」が活用できる
- 「少額減価償却の特例」を活用するには、一定の条件がある
- 仕事以外にもプライベートでも使用するエアコンは、全額経費にはできない
- 仕事部屋のエアコンは100%「経費」処理が可能
- その他 エアコンのクリーニング代は「経費」として処理できる
- クリーニング代は「修繕費」として計上する
目次を使って気になるところから読みましょう!
- エアコンが経費になるかは金額や状況によって変わる
- 取得価額が10万円未満の場合は消耗品費
- 取得価額が10万円以上の場合は原則資産で処理する
- 取得価額が30万円未満の場合は消耗品費(中小企業者のみ)
- 取得価額が10万円以上20万円の場合は一括償却資産で処理できる場合も
- エアコンの具体的な仕訳例を解説!勘定科目も確認しよう!
- ①10万円以下のエアコンの場合
- ②一括償却を行った場合
- ③30万円以上のエアコンの場合
- 個人事業主がエアコンを経費にする際の注意点2つ
- ①取り付け費用と購入費用の科目を分けたほうが良い場合もある
- ②自宅のエアコンでも応接間やリビングは費用を按分する必要がある
- エアコンクリーニングの勘定科目は修繕費!
- まとめ:エアコンの金額や状況から経費になるかは変わってくる!
目次
エアコンが経費になるかは金額や状況によって変わる
事務所や仕事場で快適に仕事をするには、エアコンの設置は欠かせません。
気になるのは、エアコンの購入費用をどのように経理処理するかという点ですよね。
エアコンは、金額や状況によって経費処理の仕方が異なります。
個人事業主や中小企業でエアコンの導入を検討している場合は、先に経理処理を把握しておくのもおすすめです。
ここからは、
- エアコンの経理処理の方法
- エアコン経費の「勘定項目」や「仕訳例」
取得価額が10万円未満の場合は消耗品費
エアコンを経費として計上する際、基準となる数字が「10万円」です。
取得価額が10万円未満の場合は、少額減価償却資産として、全額を必要経費として処理することが可能だからです。
その際、「消耗品費」として処理しましょう。
少額減価償却資産とは、使用可能期間が1年未満、または取得価額が10万円未満の資産のこと。
つまり、10万円未満であれば無条件で、少額減価償却資産として経理処理が可能です。
取得価額が10万円以上である場合は減価償却が必要です。
エアコンを購入する際は、
- 10万円以下の製品→その場で全額経費にできる
- 10万円以上の製品→減価償却
「10万円」を基準におくと、非常にシンプルに考えられます。
減価償却は、何年かに分けて経費処理が必要なため、経費処理としては非常に面倒です。
10万円以下の場合は、面倒な経理処理も必要なく、一度で経費にできることから税効果も期待できます。
取得価額が10万円以上の場合は原則資産で処理する
エアコンの取得価額が10万円以上の場合は、固定資産として「工具器具備品」または「建物附属設備」として経費処理しましょう。
10万円以上の固定資産は、一度に費用として計上せず、減価償却によって費用化するのが原則です。
減価償却とは、固定資産の購入代金を、購入した年に一度で経費にせず、分割し少しづつ経費として計上すること。
つまり、10万円以上のエアコンを購入した場合は、何年かに分けて少しづつ経費として処理する必要があります。
ただし、取得価額が10万円以上であっても例外が2つあります。
1つ目は、取得価額が10万円以上20万円未満の場合。
10万円以上でも20万円未満の場合は、「一括償却資産」として3年間で均等償却が可能です。
2つ目は、取得価額が30万円未満の場合。
青色申告をしている、個人事業主と中小企業を対象に、「少額減価償却資産の特例」として処理する方法があります。
それぞれの詳細については、この後詳しく解説します。
取得価額が30万円未満の場合は消耗品費(中小企業者のみ)
取得価額が30万円未満の場合、条件に当てはまる中小企業は「消耗品費」として経理処理が可能です。
この処理の方法は「少額減価償却資産の特例」といいます。
少額減価償却資産の特例とは、条件に当てはまる場合、取得金額が30万円未満の減価償却資産を「消耗品」として全額経費として処理できる制度です。
少額減価償却資産の特例の制度を活用すると、通常の減価償却に比べ初年度で全額経費として計上が可能なため、税効果が期待できます。
この特例を活用できる条件は、下記の3点。
- 青色申告を行っていること
- 資本金が1億未満であること
- 従業員数が1000人以下であること
上記であれば、中小企業に限らず、フリーランスでも少額減価償却資産の特例を活用できます。
つまり、全ての条件が揃えば、エアコンの購入費用を全額「消耗品費」として処理可能であり、減価償却する必要もありません。
少額減価償却を活用できるのは、年間300万円が上限です。
一方で、300万円に達しなければ何度でも利用できる制度でもあります。
取得価額が10万円以上20万円の場合は一括償却資産で処理できる場合も
取得金額が10万円以上20万円未満の場合、「一括償却資産」として処理することも可能です。
通常、10万円以上の固定資産は減価償却する必要がありますが、一括償却資産として処理すれば3年で減価償却が可能です。
一括償却とは、取得価額が20万円未満の固定資産を、使用した年から3年で減価償却できる制度のこと。
一括償却の適用対象者は制限がなく、青色申告していない場合でも問題ありません。
ただし、一括償却資産で処理した場合、売却・廃棄処分をしても、3年間は同じ処理で償却費を計上する必要があるので注意が必要です。
エアコンの具体的な仕訳例を解説!勘定科目も確認しよう!
ここからは、エアコンの具体的な仕訳例を解説します。
エアコンは、金額によって「勘定項目」や経理処理の仕方が異なります。
例えば、エアコン代が10万円未満の場合、勘定項目は「消耗品費」です。
エアコン代が10万円以上の場合は、「備品」として処理します。
また、エアコンの処理には例外も存在します。
例えば、 エアコン代が10万円以上~20万円未満は、一括償却資産で処理が可能です。
20万円を超えても、30万円未満であれば「少額減価償却資産の特例」が活用できる場合も。
このように、エアコンは値段・状況によって、仕訳から勘定項目も異なります。
ここからは、それぞれ金額に分けて
- 勘定項目
- 仕訳の例
①10万円以下のエアコンの場合
10万円以下のエアコンの勘定項目は「消耗品費」です。
消耗品のため、「購入日」に全額を費用として計上できます。
- 購入日:8月7日
- 支払い方法:現金支払い
- 購入費用:9万円
- 取り付け場所:自宅仕事場
上記の場合、仕訳は下記のようになります。
日付 | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
8月7日 (購入日) | 消耗品 90,000円 | 現金 90,000円 |
日付は、購入日の「8月7日」に全額計上します。
消耗品費とは、短期的に消費される物品のことです。
コピー費や文房具などに用いられますが、購入価格が10万円以下の物品は全て「消耗品費」として計上します。
つまり、エアコン購入でも金額が「10万円以下」の場合は、「消耗品費」として計上できます。
エアコン以外にも、10万円未満のものは全て消耗品費として経費にできるため、10万円をひとつの基準として頭に入れておきましょう。
②一括償却を行った場合
エアコン費用が10万円以上20万円未満の場合は、「一括償却」という処理の方法が選択できます。
一括償却とは、取得価額が20万円以下の固定資産を、使用した年数から3年で減価償却できる制度のこと。
一括償却を行なった場合、勘定項目は「一括償却資産」として処理します。
- 購入日:8月7日
- 支払い方法:現金支払い
- 購入費用:15万円
- 取り付け場所:会社事務所
上記の場合、仕訳は下記のようになります。
まず、購入日の経理処理が下記です。
日付 | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
8月7日 | 一括償却資産 150,000円 | 現金 150,000円 |
そして年度末には、下記の処理が必要です。
日付 | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
12月31日 | 減価償却 50,000円 | 一括償却資産 50,000円 |
一括償却は、3年かけて均等償却されるため、
150,000円÷3年=50,000円
上記の計算式のもと、毎年5万円づつ経費に計上される計算です。
計算や処理がシンプルなことから、20万円以下のエアコンを購入する場合は活用を検討するといいでしょう。
③30万円以上のエアコンの場合
30万円以上のエアコンを購入した場合は、勘定項目は「備品」として処理します。
また、30万円以上を超えるため
- 一括償却
- 少額減価償却の特例
などの制度は使用できません。
つまり、30万円以上のエアコンは通常の減価償却を行います。
例えば、エアコン購入費用を35万円クレジットカードで支払った場合。
仕訳は下記のようになります。
・クレジットカードを使用した日
日付 | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
8月7日 (購入日) | 備品 350,000円 | 未払金 350,000円 |
・クレジットカードの引き落とし日
日付 | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
9月25日 | 未払金 350,000円 | 普通預金 350,000円 |
・年度末「減価償却費」として処理
日付 | 借方科目 | 貸方 |
---|---|---|
12月31日 | 減価償却費 60,120円 | 減価償却累計額 60,120円 |
エアコンの耐用年数:6年
減価償却を「定額法」で計算した場合の処理です。
(参考:主な減価償却資産の耐用年数表)
定額法の減価償却費は「取得金額×償却率」で計算できるため、
360,000×0.167=60,120円
と計算されます。
この場合、6年かけて毎年60,120円を減価償却費として計上する仕組みです。
(参考:減価償却資産の償却率等表)
個人事業主がエアコンを経費にする際の注意点2つ
自宅での作業が多い、個人事業主。
エアコンの設置や取り付け費用も「経費」を使用したいですよね。
では、個人事業主がエアコンを経費にする際、どんなことに注意すればいいでしょうか。
ここでは注意点を2つご紹介します。
- 購入費用と取り付け費用の合計金額は30万円を超えないか
- 経費で購入するエアコンは100%仕事で使用するものか
注意すべきなのは、「金額」と「取り付け場所」です。
エアコンの購入を検討している、個人事業主の方はぜひチェックしてくださいね!
①取り付け費用と購入費用の科目を分けたほうが良い場合もある
まず、注意すべきことは、取り付け費用と購入費用の合計金額です。
通常、エアコンの取り付け費用と購入費用は合計し、経費計上します。
しかし、取り付け費用と購入費用の合計が30万円以上の場合。
30万円の越えると、通常の減価償却の対象になります。
減価償却の対象となると、経理処理も複雑で面倒ですよね。
そこで、解決策となるのが、取り付け費用と購入費用の「科目」と分けて計上すること。
例えば、エアコンの購入費用が27万円で、取り付け費用が4万円の場合
エアコンの購入費用は、「少額少額減価償却」の特例を使用して経費処理しましょう。
対象の個人事業主は、年間300万円まで全額経費計上が認められます。
残りの取り付け費用は、「修繕費」として計上します。
このように、取り付け費と購入費用を分けて計上することで、ぐっと経費処理が分かりやすくなります。
②自宅のエアコンでも応接間やリビングは費用を按分する必要がある
2つ目は、経費として購入するエアコンの取り付け場所です。
「仕事部屋」のエアコンとして購入する場合、問題なく経費として計上できます。
これは、自宅以外に事務所を借りている場合でも問題ありません。
しかし、応接間とリビングを兼用しているような場所の経費処理は注意が必要です。
リビングはプライベートでも使用する場所ですよね。
つまり、100%仕事で使用する場所ではないため、エアコン費用の全額を経費するのはNGです。
このような場合は、プライベート用と仕事用で「按分」し経費計算します。
基本的には、エアコン費用や取り付け費などの合計の「半分」を経費として処理します。
仕事で使うからといって、プライベートも兼用して使用する場所を全額経費として処理しないよう注意しましょう。
エアコンクリーニングの勘定科目は修繕費!
日付 | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
9月25日 | 修繕費 30,000円 | 現金 30,000円 |
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