出張手当で会社も個人も税金対策!相場や基礎知識を徹底解説!

出張手当が経費計上可能という話を聞いたことがあるかもしれません。出張手当は会社側だけでなく従業員側の税金対策に利用することができるのです。しかし、導入時に注意しなくてはいけない点などもあります。ここでは相場や基礎知識をご紹介します。




▼この記事を読んで欲しい人

  • 出張手当導入を悩んでいる経営者の方
  • メリットについて知りたい方
  • 相場を調べたい方

▼この記事を読んでわかること

  • 導入率は9割
  • 会社側、従業員側両方にメリットがある
  • 出張システムなどを導入することで効率よく節約可能


税金対策について知りたいことがある方はマネーキャリアで相談がおすすめです。

内容をまとめると

  1. 出張手当は出張経費と違い非課税
  2. 宿泊出張では9割の会社で導入
  3. 会社側は消費税・法人税の節約、従業員側は所得税非課税などがメリット
  4. 出張手当の相場は一般社員で2,000円程度
  5. 導入する際には金額などを細かく設定する必要がある
  6. 出張費用節約には、かかった費用の徹底的な管理、オンライン会議の利用、ビジネストラベルマネジメントの利用、出張手配システムの導入
  7. 税金対策には法人保険も効果的!
  8. 法人保険で知りたいことがある場合、マネーキャリアで相談がおすすめ!
  9. 今ならスマホひとつで無料相談が可能!この機会に相談して悩みを解消しましょう
監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

出張手当とは? 出張経費との違い


出張手当
事前に一定の金額を支払っておくシステムです。


出張の際には交通費宿泊費など、確実に必要な費用以外に、その時の食事代や時間調節のために利用したカフェ代など、一見経費として落ちなさそうな費用もかかることになります。


このような費用をまとめて支給するのが出張手当です。普通ならば経費にならないことも、出張手当を利用することで個人負担が無くなるのです。


一方出張経費は、出張の際にかかる費用を経費としておとすことになります。経費として落とすにはそれぞれ領収書などが必要になるため、出張した方はいちいちレシートなどを保管しておかなければならないうえ、処理も大変です。


出張手当は手間なく処理することが可能になるのです。


また、出張手当は給料とは別に支払われるため課税対象にはならないという特徴もあります。

出張手当の導入率

出張手当を利用するかどうかは、会社に決定権があります。法律などで強制されているわけではありません


導入については個々で判断しなくてはいけないのですが、他の会社は利用しているのか、導入率が参考になりそうですよね?


出張の頻度によっても必要性が変わってくるかもしれませんが、

  • 日帰り
  • 宿泊

それぞれの出張の導入率を見ていきたいと思います。

日帰り出張の場合に出張手当がある企業の割合

まずは日帰り出張で導入している企業の割合を見てみましょう。

会社の規模導入率
全体84.2%
1,000人以上91.9%
300~999人75.5%
299人以下85.9%
全体で見ると、日帰り出張で導入している会社は84.2%でした。(参考:産労総合研究所・2019年度出張旅費に関する調査

見ていただくと分かるように、会社の規模によって導入率が違っています。特徴的なのは大企業の方が高いということです。92%近くが導入しており、一番低い中規模企業と比較すると15%以上高くなっていることが分かります。


導入している企業が多いということは、それだけメリットも大きいということを表しています。導入を悩んでいるレベルならば、この加入率を見る限り導入して損はないのではないでしょうか?

宿泊での出張の場合に出張手当がある企業の割合

日帰り出張での導入率はかなり高いものでしたが、宿泊をともなう出張ではどうでしょうか?

会社の規模導入率
全体91.2%
1,000人以上100%
300~999人87.8%
299人以下89.4%
日帰りよりも高い91.2%の会社で導入しています。(参考:産労総合研究所・2019年度出張旅費に関する調査

驚くことに1,000人以上の大企業では100%が導入しているという結果になっています。また、先ほど低かった中規模の企業でも9割近い企業が導入しています。

それだけメリットが大きいということが分かります。また、日帰りでは導入していなかった企業も導入していることが分かるため、宿泊を伴う出張で導入する方がより大きなメリットが得られるという予想もできます。


これほどまでに高い導入率を誇る出張手当、一体どのようなメリットがあるのでしょうか?以下でメリットについてご紹介していきます。

出張手当の制度にあるメリット

強制ではないのにこれほど高い導入率となっている出張手当。これは大きなメリットがあるに違いありません。


導入することによってまず大きく変化があるのは経理処理方法と言えます。


先ほどもご紹介したように、経費として処理する場合には全ての領収書などが必要になり、出張した側にとっても経理しょるする側にとっても大変な作業になってしまいます。


回数が少なければ処理するのも追いつくかもしれませんが、出張の多い会社の場合、経理処理が滞ってしまう可能性も出てきます。


処理の簡略化も大きなメリットと言えますが、これ以外にもメリットがあるのです。


導入するかどうかを悩んでいる経営者の方にとってはメリットを知っておくことはかなり重要なポイントと言えますよね。

  • 会社側
  • 従業員側

それぞれのメリットについて解説していきます。

会社側の2つのメリット

会社側にとっては

  • 消費税
  • 法人税

のそれぞれを抑えることができることが大きなメリットとして挙げられます。


メリット①消費税を抑える



会社で消費税を支払う際には、

課税売上-課税仕入れ

で計算した総額をまとめて支払うことになります。


出張手当で支給した金額は「課税仕入れ」になるため、支給した金額にかかる分の消費税が課税売上から引かれることになるのです。そのため、消費税を抑えることに繋がります。


これを給与として従業員に支払ってしまうと課税仕入れとはみなされないため、その分の消費税を引くことができないのです。


メリット②法人税を抑える


出張の際には様々な費用がかかることになります。経費として落とせる交通費や宿泊費だけならば法人税の税効果に違いは出ません。


しかし、出張の際にはこのような費用以外にも、待機時間で利用した喫茶店代など様々な費用がかかるものです。


これらは通常では経費として処理することが難しい出費です。しかし、出張手当としてまとめて支払うことで、これらすべてを損金算入することができるようになるのです。


損金算入されるということは法人税のかかる金額が減るということになります。このように税効果が期待できるのです。

従業員の2つのメリット

会社にメリットがあることはわかりましたが、従業員側のメリットにはどのような事が挙げられるのでしょうか?

  • 所得税非課税
  • 社会保険料がかからない

などです。税金などが引かれないため、支給された分全てを受け取ることができるのです。給与として支払われる場合と比べると可処分所得が増加するのです。


メリット①所得税が非課税



給与にかかる税金が非課税になります。所得税がかからないのです。非課税となった場合、支給された金額をそのまま受け取れるため、手取り額が増えることになります。


メリット②社会保険料がかからない



給与での支払いでは所得税とダブルで引かれます。手取り額がかなり減ってしまう状態です。これら2つが引かれない分受け取る金額が減ることはありません。


このように、給与では引かれるものが2つも対象外となっているため、可処分所得が増えることになります。

出張手当の相場はいくら?


ある程度の出張は税金対策としても効果的と言えます。しかし、あまりに高額な支給額は税務調査時に指摘されてしまう可能性もあります。超過している分は損金として扱うことが認められなくなってしまうのです。


そのため、いくらが相場なのかを知っておく必要があるのです。


出張と言っても出かける場所によっては費用に大きな差が生まれてしまいます。そのため、国内の場合と海外の場合でそれぞれ設定する必要があるのです。


同様に、日帰りか宿泊が伴うのかでもかなり違ってきますよね。


このような事態に対応するためにもそれぞれの出張手当を設定しておく必要があります。


ここでは

  • 国内出張
  • 海外出張

それぞれの相場をご紹介していきます。

国内出張の場合

国内出張での相場はどれくらいでしょうか?相場と言っても距離によって変えている会社もあります。このような会社の多いのですが、相場を紹介するのが難しいため、ここでご紹介する相場は全国一律としている会社のものになります。


日帰りの相場

役職日当平均支給額
社長4,458円
専務3,781円
常務3,716円
取締役3,613円
部長2,666円
課長2,479円
係長2,224円
一般社員2,094円
役職ごとに少しづつ違いがあります。全体的に見ても2,000~4,500円の範囲が相場のようです。

宿泊時の相場

役職日当平均支給額宿泊料
社長4,598円14,095円
専務3,934円12,568円
常務3,968円12,722円
取締役3,802円11,838円
部長2,900円9,835円
課長2,711円9,345円
係長2,548円8,836円
一般社員2,355円8,605円
こちらも役職ごとに違います。2,300~4,600円程度が相場と言えます。

どちらの場合も2,000円から5,000円程度の範囲に収め、さらに一般社員と社長では2倍程の差を付けるのが一般的なようです。

金額が少なすぎる!と考える方もいるかもしれません。しかし、あまりに相場を上回った金額を設定することはおすすめできません。

税務署が調査をした結果、適当でないと判断された場合、超過分は損金として処理されないためです。そのため、相場を理解しておくことは重要なポイントと言えるのです。

海外出張の場合

国内での出張手当の相場はわかりましたが、会社によっては海外に出張に行くことになる場合もあります。この場合は国内とは別に金額を設定しておく必要があるのです。


また、出張先となる地域によっても相場が多少違っていますが、ここでは中国へ出張する際の手当相場をご紹介します。

役職日当平均支給額宿泊料
役員6,411円15,541円
部長5,185円13,570円
課長4,888円12,822円
係長4,534円12,230円
一般社員4,514円12,085円
国内と比べると役職での費用の違いはそこまで大きく感じませんが、こちらも役職ごとに相場があります。(参考:産労総合研究所・2019年度出張旅費に関する調査

出張手当の制度を導入する前に知っておくべきこと


ここまでお読みいただいて、出張手当を利用したいと考える会社も多いと思います。


しかし、「導入します」と簡単にできるわけではなく、出張旅費規程の作成などやっておかなければならないこともあるのです。規定を作成しておかないと出張手当として処理しても課税対象になってしまいます。


導入する前に知っておくべきポイントとしては、

  • 日帰り・宿泊それぞれ設定する
  • 役職ごとに金額を決める
  • 交通費・宿泊費の設定
  • 出張の記録を残す

が挙げられます。

日帰りと宿泊の出張を別々に設定する

出張には日帰りで終わるパターンと宿泊しなくてはいけないパターンの2つがあります。


それぞれ必要となる費用が違うため、金額を設定する際にはそれぞれ別で設定しなくてはならないのです。


同じ出張なのだから同じ金額でも良いのでは?と思われるかもしれませんが、宿泊を伴う出張の方が現地での滞在時間が長くなる傾向にあります。そのため、食事代などの費用が多くかかることが考えられるのです。


このように、日帰りと宿泊それぞれで出張手当を設定するのですが、実際にはこれにプラスして交通費や宿泊費が支払われることになります。


この交通費や宿泊費も設定しておく必要があるのですが、これらは以下の見出しでご紹介しています。

従業員の役職ごとに出張手当の金額を決める

日帰りと宿泊を別で設定することをご紹介しましたが、役職ごとにも差を付けるのが一般的です。一般社員が一番低く、役職が上がるごとに金額を上げていきます。


ただし、社長や役職が付いているからと言ってものすごい高額の設定をしてしまうと税務署の審査にひっかかってしまいます。常識的な金額設定が重要なのです。


常識的な金額と言われても、役職ごとに差を付けなくてはいけないため、設定することが難しく感じてしまうかもしれません。


そこで役立つのが相場です。


先ほどご紹介した相場を参考にしながら、常識的な金額を設定することで簡単に金額を決めることが可能です。

交通費と宿泊費も設定する

出張手当の金額を設定できてもまだまだ安心はできません。交通費や宿泊費は別で設定しなくてはいけないのです。


交通費はアプリなどで調べた結果を参考に、申告してもらうケースが一般的です。それぞれの目的地によって金額が変わってくるため、その都度調べて申告するのです。


交通費は誰もが同じなため、役職などは関係なく設定できる、と考えるかもしれませんん。しかし、電車であればグリーン車の利用や、飛行機であればビジネスクラスの利用など、社長や役員であった場合にはこれらを利用することも多くあります。


どの役職からこれらの利用が可能なのかなどを設定しておく必要があるのです。


宿泊費は出張手当同様常識の範囲内で設定しておくもののひとつです。ただし、役職によって差を付けることができることになっています。


先ほどご紹介した表を参考に、役職ごとに常識的な金額の設定を行いましょう。

出張の記録は必ず残す

出張手当を支給するために領収書の提出などはありません。手間が省ける一方記録が残らないという欠点があります。


記録が残らないと税務署の調査が入った際には証拠となるものが無く不利な状況になってしまう事も考えられます。


そのため、記録を残しておくことが重要になるのです。


残しておくものとしては、

  • 出張先
  • 目的
  • 日程
  • 交通手段・交通費
  • 宿泊費
  • 出張手当の金額

などの項目です。


これらの項目を出張した方に申告してもらい、上長の決裁を受けたものを保管しておくことで、税務署の調査時に提出することが可能になります。

経理処理の際の出張手当に関する勘定科目

経理処理の際に利用する勘定科目は何を使えばいいのでしょうか?


出張手当に該当するのは「旅費交通費」です。


この勘定科目を使って処理を行いますが、同時に交通費や宿泊費などの処理も必要になります。


これらの勘定科目も知っておかないと、処理をする際に困ってしまいますよね?


これらの勘定科目としては、

  • 交通費:旅費交通費
  • 宿泊費:旅費交通費
  • 接待:交際費
  • 会議時の飲食費:会議費

です。


では、

  • 出張手当:3,000円
  • 交通費:5,000円
  • 宿泊費:8,000円
  • 支給方法:現金

という場合の経理処理はどの様になるのでしょうか?

借方
貸方
旅費交通費
(日当)
3,000円現金16,000円
旅費交通費
(交通費)
5,000円
旅費交通費
(宿泊費)
8,000円
旅費交通費でいっぱいになっています。これでは何の金額かよくわからなくなってしまいますよね。

金額入力のミスなども起きてしまうかもしれません。このような事態を防ぐためにカッコ内に書いてあるような補助科目を利用することがおすすめです。

【参考①】出張費用を節約する方法


出張手当として処理することで、税金対策ができることをご紹介しました。しかし、あまりに回数が多くなってしまうと経営を圧迫してしまう事にもつながります。


この記事をお読みの方のなかにも、出張費を節約したい、と考えているかもしれません。

  • かかった費用を管理する
  • オンライン会議を利用する
  • ビジネストラベルマネジメントを利用する
  • 出張手配システムを導入する

などで節約することが可能です。


それぞれどのような事なのか、解説していきます。

①徹底してかかった費用を管理して無駄をなくす

出張手当の導入とは逆になってしまうかもしれませんが、徹底してかかった費用を管理する方法も節約方法のひとつとなります。


出張手当は出張にかかる費用として余分に資金を渡していることの方が多くなります。余分に渡している資金を減らすことで節約を行うのです。


そのためには食事代や宿泊費など、しっかりと領収書などを提出してもらい管理する必要があります。余分な資金を支給しなくなる分、節約効果はある程度期待できるでしょう。


しかし、この方法ではレシートなどの領収書の管理や経理処理が大変になってしまうため、あまりおすすめできる方法とは言えません。

②できるだけオンライン会議で対応する

オンライン会議での対応を増やすことも、出張費の節約に繋がります。


出張先会議などに出席することもあるかと思いますが、最近ではわざわざ他の会社に出向かなくても会議をすることができます。オンライン会議です。


出張費が高額になってしまうのは出張に行くためです。


そもそも出張の回数を減らすことが重要で、会議などの場合はできる限りオンラインで対応することによって、費用を節約することが可能です。


また、移動時間や社員の負担も軽減することができるので、経費節約以上の効果が期待できる方法です。

③ビジネストラベルマネジメントを利用する

ビジネストラベルマネジメント(BTM)を利用することも節約に繋がると言えます。


BTMは出張に関する業務を外部委託する方法です。


出張に行くことになると、交通手段の確保から宿泊先の予約まで個人で行うことになります。BTMは外部委託のため、このような手間のかかる作業も行ってもらえるようになるのです。


また、出張費用を一度立て替えて支払う必要がある場合もあるかと思いますが、これらの費用をまとめて会社に請求することができるのです。建て替えの必要もなくなるということです。


このように、費用がどれくらいかかったのかを把握できる、外部委託システムを利用することも節約に繋がっていきます。

④出張手配システムの導入

出張手配システムの導入も、費用削減につながります。


先ほどご紹介したBTMは外部委託でしたが、こちらは会社にシステムを導入し、出張に行く方自らが簡単に手配を行えるようにする方法です。


出張旅費規定に沿った宿泊先などを細かく設定することができるため、規定内の費用に収めることが可能になります。


出張申請などもペーパーレスで行えるため、出張する方の負担はかなり減ると言えます。


また、BTMと同様に、交通費や宿泊費を一括で会社に請求することができます。さらに月一での請求などが行えるため、経理処理にかかる時間も大幅に削減することができるのです。

【参考】給料と一緒に出張手当が支払われたら課税支給額の欄で非課税になってるか確認!

出張手当の支給方法によっては確認が必要な場合があります。確認が必要なのは給与と一緒に振り込まれる場合です。


出張手当は非課税ということはご紹介しました。特に現金支給の場合にはそのまま受け取ることができるため特に問題は無いと言えます。


しかし、給与と一緒に振り込まれる場合、課税対象となってしまっている可能性もあるため、チェックが必要なのです。


確認方法は簡単です。出張手当が課税対象額から除外されているのかを確認することで、非課税となっているかの確認が行えます。給与明細はすぐに捨てずにしっかりとチェックすることをおすすめします。


非課税になっていない場合、出張旅費規程などが無い会社かミスをしているのかを会社に確認するようにしましょう。

まとめ


出張手当を導入することは税金対策につながるため、多くの会社で導入されています。


しかし、どのような金額でも良いわけではなく、ある程度の範囲が決まっているため、設定する際にはどれくらいの金額か目安を見て決めることをおすすめします。


会社の税金対策には法人保険もおすすめです。様々な種類があり、会社によって必要な種類がありますが、分からない場合にはマネーキャリアで相談してみましょう。


ほけんROOMでは他にも法人保険に関する記事を多数掲載しています。興味のある方はぜひ参考にしてください。

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