パソコンの減価償却の仕方をわかりやすく解説

ほとんどの企業でパソコンを利用していると思います。このパソコンを新しく購入する場合、購入金額は減価償却が必要になるのですが、必要ない場合もあるのです。ここではパソコン購入時の減価償却について、パソコンの価格帯ごとにご紹介していきます。




▼この記事を読んで欲しい人
  • パソコン購入を考えている企業
  • 購入時の経理処理が知りたい人
  • 一括経費になるのか知りたい人

▼この記事を読んでわかること
  • パソコンの価格帯ごとの経費処理方法
  • 減価償却を短くする方法
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内容をまとめると

  1. パソコンは会社の資産になるため減価償却を行う
  2. 取得原価にはパソコン本体以外に付随品も含まれる
  3. 中小企業や法人の場合30万円未満は一括経費計上が可能になる
  4. 特例などを利用することで償却期間を短くしたり一括処理が可能
  5. パソコン購入は条件次第で税金対策に利用できる
  6. 税金対策なら法人保険のご利用はいかがでしょうか?
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減価償却とは?【前提知識】



減価償却は決められた耐用年数に応じて経費として処理する金額を決める制度です。会社の資産となるような高額なものに適用されます。


高額な資産は一度で経費にしてしまうと、その年の損金が大幅に増えてしまうため、赤字に転じてしまう可能性もありますよね。このような事を防ぐために行われるものです。


購入した資産は使うことで徐々に劣化していくことになります。年々資産としての価値が下がっていくのです。


この下がった分の価値を毎年減価償却し、資産を徐々に減らしていくのです。


赤字を防ぐためにはありがたい制度ですが、利益の多い年には不必要な制度でもあります。条件などによっては一括経費処理ができる場合もあり、このような状況を利用して課税金額を減額することもできるのです。

パソコンの耐用年数の求め方

パソコンも高額な資産のひとつのため、購入時には減価償却を行わなくてはいけません。


減価償却を行う際にはもとになる価格と償却する期間が重要になってきます。


もとになる価格には何が含まれるのか、付属品を同時購入する際にはパソコン代に含めるのか気になりますよね。


また、償却期間は短いほど一度に償却できる金額が増えますが、これは耐用年数によって決まっているのです。


以下では

  • 取得原価
  • 法耐用年数

について解説していきます。

パソコンの取得原価

計算する際のもとになる金額は取得原価です。


取得原価は固定資産を購入した際の費用を指しています。


本体のみでそのまま使用できるのであれば、特に計算などは必要ありません。しかし、別のものを購入し、そのものと一体でないと使用できないような場合にはパソコンの一部とみなされ、取得原価に含めなくてはいけません。


パソコンでは、

  • 付属品
  • 購入手数料
  • モニター
  • 増設メモリ
  • 配送料

などです。


本体と同時にこれらの付随品を購入している場合には、本体の価格とプラスしなくてはいけません。減価償却を行う金額はこれらの購入代金を合計したものになるのです。


ただし、別日に購入したような場合にはプラスする必要はありません。

パソコンの法耐用年数

資産にはそれぞれ耐用年数が設定されています。どの種類がどの程度の期間持つのかを設定されており、自分で決めるわけではありません。


パソコンは以下のように設定されています。

種類耐用年数
サーバー用5年
それ以外4年
このように、種類によって多少違いがありますが、一般的なパソコンであれば4年となっています。(参考:国税庁・耐用年数

耐用年数は償却期間と同じため、一般的なパソコンの償却期間は4年になります。4年かけて徐々に資産を減らしていくのです。


普通に考えると一括償却が無理なようですが、それぞれ価格によって減価償却の方法が変わってくるため、以下で解説していきます。

価格別パソコンの減価償却方法


パソコンは使用目的などによって性能に大きな差が出る資産のひとつです。そのため、種類によって価格に大きな差が出るのです。


価格の範囲は広いけれど、資産となるから価格は関係なく減価償却になるのでは、と考えるかもしれません。しかし、価格によって扱いに違いがあるため注意が必要です。


ここでは、

  1. 10万円未満
  2. 10~20万円未満
  3. 20~30万円未満
  4. 30万円以上

の4段階に分け、それぞれどのような処理が必要となるのか、減価償却は必要なのかを解説していきます。

①10万円未満

パソコンの価格は様々ですが、なかには10万円未満と比較的安い価格帯のパソコンもあります。書類の作成程度であれば、十分な性能と言えますよね。


この場合減価償却は行いません。資産として認識されないためです。資産ではなく消耗品という扱いになるのです。


消耗品として扱われるため、「消耗品費」などとして一括処理が可能になります。


パソコンは資産となりますがそれは10万円以上と限られているのです。


ただし、同時に付随品を購入している場合には注意が必要です。先ほどご紹介した取得原価との関係です。


付随品を含めた金額で計算しなくてはいけないため、同時購入している場合には取得原価に含める必要があるのです。


付随品がある場合には本体の金額にプラスし、それでも10万円未満であれば減価償却の必要はありません。

②10万円以上20万円未満

10万円以上のパソコンは資産になるため、減価償却の対象となります。通常ならば耐用年数に応じて償却していく必要がありますが、20万円未満は扱いが違ってきます。


一括償却資産」として扱うことができるのです。


一括償却資産とした場合には、耐用年数に関わらず「3年」で「均等償却」を行うことができるのです。


通常ならば4年または5年で処理を行わなくてはいけませんが、3年と短い期間で処理を行うことができるようになります。


ただし、条件を満たしている法人や個人事業主の場合、一括経費処理を行うこともできる金額です。「特例」を使用する方法です。この特例を使用する方法は以下で解説していきます。

③20万円以上30万円未満

20万円未満のパソコンでは一括償却資産となることはご紹介しましたが、これ以上の金額ではどうなるのでしょうか?


基本的には減価償却が必要になりますが、特例が利用できる場合もあります。特例が利用できる場合には、30万円未満は一括処理が可能となります。


特例利用の条件は以下のようになっています。

  • 資本金1億円以下
  • 従業員数500人以下
  • 青色申告

少額減価償却資産の特例」が適用されます。2022年3月31日までの限定特例です。


中小企業が対象となっているため、これに当てはまらない大企業は通常の減価償却処理を行います。


一括償却資産の部分でも少しご紹介した「特例」のことです。条件が当てはまる企業ならば、30万円未満のパソコンであれば全て一括処理が可能ということになります。


ただし、年間で300万円までと上限が決められていることに気をつけましょう。

④30万円以上

30万円以上のパソコンはどの特例なども当てはまらないため、どの企業でも減価償却を行わなくてはいけません。


定額法定率法のどちらかで処理を行うことになります。法人の場合には定率法を用いるのが一般的です。


償却率をもとに経費にできる割合が決まっているのですが、耐用年数ごとに設定されています。

耐用年数償却率
2年1
3年0.667
4年0.5
5年0.4
一般的なパソコンのの償却率は「0.5」になるため、購入年度に経費にできる割合は50%ということになります。


定額法を利用する際には、そのまま耐用年数で割るため、経費になる割合は25%となります。


このように、30万円を超えるものは特例などが利用できないため、節効果はあまり期待できないということが分かります。

減価償却を早くするための方法


高額な資産を分散処理ができるため、利益のあまり出ていない年度では赤字になることがなくなりありがたい制度です。しかし、税金対策を目的としている場合には一括経費処理が理想ですよね。


減価償却を早くするための方法などはあるのでしょうか?

  • 少額減価償却資産の特例
  • 一括償却資産

を活用することで、償却期間を短くして経費になる割合を上げることが可能です。

①少額減価償却資産の特例

少額減価償却資産の特例が適用されると償却期間が短くなります。一括にできるのです。


資産の条件として挙げられるものは以下になります。

  • 使用可能期間が1年未満
  • 取得価格が10万円未満

どちらかが当てはまれば適用されます。耐用年数に左右されることなく一括で処理ができます。


使用可能期間は耐用年数ではありません。中古の利用などとは違います。


パソコンの使用が激しく、消耗品となる業種ならば適用されることがあるかもしれません。あまり無いことなので、こちらの条件はそれほど気にする必要はありません。


適用される場合は取得価格の条件がほとんどです。資産にはならない金額となるため一括処理が可能になります。


企業の規模にかかわらず適用される特例になります。

②中小企業者等の少額減価償却資産の特例

10万円未満のものは一括経費処理ができることはお分かりいただけたと思います。これらは特に会社や個人事業主などの制限がなく利用できる特例のため、幅広い方が利用できるものです。


一方、企業規模の限定されている少額減価償却資産の特例もあるのです。こちらの場合、上限金額が30万円未満までひきあげられています。


しかし、細かい条件があり、

  • 資本金1億円以下
  • 従業員数500人以下
  • 青色申告

とされています。これ以外の企業では利用ができないため、大企業は対象外となってしまいます。


この条件を満たした中小企業・個人事業主と範囲は限定されていますが、30万円未満のパソコンであれば一括経費処理することが可能になります。

③一括償却資産の損金算入

一括償却資産は20万円未満の資産に適用されます。


こちらの制度は中小企業などに限定されているわけではなく、大企業でも利用ができる制度です。


一括償却資産とした場合には、3年で均等償却を行います。通常では4年に分ける必要があるため、1年短くなることになります。定額法を利用する場合には、こちらの方が初年度の経費にできる金額は上がりますが、定率法では下がってしまう事になります。


大きな特徴は「月割りではない」ということです。


一般的な固定資産は月割りでの計算をしなくてはいけませんが、一括償却資産ではかかった費用を3で割ればよいだけなので、たとえ決算期末に購入したとしても1/3が損金算入できるということになります。


また、上限金額は設定されていません。台数が多くなっても金額を気にすることなく利用できるメリットがあります。償却資産税も非課税となります。

パソコンの減価償却の例


価格帯によって適用される特例などが違ってくるため、経理処理が複雑になってしまいそうですよね。それぞれどのように処理を行うのか、いくつか例を挙げるので参考にしてください。


少額減価償却資産の特例適用時です。

借方貸方
消耗品費:8万円現金:8万円
消耗品になるため一括で問題なく処理ができます。その他に必要な処理などもありません。

一括償却資産適用時です。
借方貸方
一括償却資産:18万円現金:18万円
購入時には資産として経理処理を行います。

その後決算処理として1/3を処理します。
借方貸方
減価償却費:6万円一括償却資産:6万円
「月割り」を気にするかもしれませんが、この金額は1/3が固定です。購入時期にかかわらず1/3が損金算入できるというメリットがあるのです。

中小企業者等の少額減価償却資産の特例適用時です。
借方貸方
備品:25万円現金:25万円
減価償却費:25万円備品:25万円
同じタイミングで償却処理もできます。決算期末に忘れる心配がありませんね。

減価償却時です。
借方貸方
備品:40万円現金:40万円

まずは備品として資産計上します。

決算期末には償却処理を行います。定率法の償却率は「0.5」です。1/2の金額を処理できることになります。
借方貸方
減価償却費:20万円備品:20万円
と決算時に処理します。

減価償却は「月割り」で計算が必要な事に注意が必要です。一括償却資産とは違い、「月割り」なのです。

そのため、1/2がまるまる処理できるのは年度初月に購入した場合に限ります。それ以外の年度途中で購入した場合には月割りの金額を計算する必要があるのです。

いくつか注意点はありますが、それほど難し処理ではないため、気楽に考えるようにしましょう。

パソコンを減価償却する際のよくある質問

パソコンが一定金額を超えると減価償却が必要になります。


このときに注意しておきたいポイントがいくつかあるため、事前にチェックをしておくことがおすすめです。


購入時の消費税や未使用のものの取り扱いなど、知っておくべきことがいくつかあるのです。


以下では

  • 取得原価の消費税
  • 未使用のパソコン
  • 取得原価に含まれる付随品
  • 修理した場合

などの注意点について解説していきます。

①取得原価に消費税は入る?

取得原価によっては一括処理が可能になります。しかし、この価格が税込税抜きかで一括処理の可不可が決まる場合もありますよね。


この場合、消費税の経理処理をどのような方法で行っているかがポイントになってきます。


消費税の課税事業者となった時に、

  • 税込
  • 税抜き

どちら他の方法で帳簿に記帳するのかを決めることになります。


このときに決めた方法によって、取得原価の処理も決まってくるのです。


例えば、95,000円のパソコンを購入した場合、税抜経理方式を使用している会社ならば取得原価は95,000円のままなので、一括経費処理が可能になります。


しかし、税込経理方式を採用している会社であれば、消費税込みの104,500円が取得原価となってしまうため、一括処理ができなくなってしまう事もあるのです。

②未使用のパソコンも減価償却して良い?

パソコンを購入しても、使用せずにそのまま保管されていることもあります。このような場合の処理はどうなるのでしょうか?


償却処理を行うのは使用開始後と決まっているのです。未使用の場合は対象外なのです。


通常、使用中のパソコンの勘定科目は「備品」などで処理を行いますが、未使用のものに関しては「貯蔵品」という扱いになってしまいます。資産計上されている状態が続くのです。


パソコンに限らず、固定資産の減価償却開始は使用開始後です。未使用のものは対象にならず、資産のまま固定されることを覚えておきましょう。


減価償却を行う条件として「使用中」があることを覚えておきましょう。

③キーボードやマウスなどは取得原価に入る?

パソコン購入と同時にマウスやキーボードなどの付属品を購入することもあるかと思います。


このような費用も取得原価に含める必要があります。例としては、

  • 購入手数料
  • 送料
  • 増設メモリ
  • モニター
  • ソフトウェア

などが挙げられます。


付随品として手数料送料などが含まれていることに注意しましょう。


基本的にはパソコンと一体でなければ機能しないものが全て付随品として認識されます。ソフトウェアもすでにインストールされているものは付随品となります。


しかし、別購入した場合、どのパソコンに対しても利用できることから、取得原価には含まれないことがほとんどです。


ソフトウェアの耐用年数は5年とパソコンと違うため、高価な場合には別資産として減価償却が必要になります。


また、同時購入では付随品となっても、壊れてしまって別日に買い替えた場合などは含まれません。

④修理して耐用年数以上使った場合の仕訳方法は?

パソコンの耐用年数は4年となっていますが、修理することで使い続けることも可能ですよね。修理が必要になる場合、修理費がかかることになります。資産となるのか経費となるのか仕訳方法が気になりますよね。


修理に使った金額は「修繕費」として経費処理を行います。基本的には一括経費処理です。


しかし、修理費用があまりに高額になってしまうと、減価償却の対象となってしまうため注意が必要です。

  • 20万円未満
  • 修繕周期が短い

に気をつけることで、問題なく経費にすることができます。


耐用年数が経過したものは経費として損金算入できる費用はなさそうですが、このように損金算入できる費用はあるのです。

【参考】おすすめのパソコンと買い替え時期

業種によってパソコンの利用方法が変わってきますよね。どの様な業種でどのようなパソコンがおすすめなのでしょうか?いくつか例を挙げてみましょう。


営業職におすすめのパソコンは以下のようなものです。

  • 軽い
  • 電池が長持ち
  • 無線LAN対応

営業職では外にパソコンを持ち出すことも多くなります。そのため、持ち運ぶ際に邪魔になりにくく、軽いものがおすすめです。無線LAN対応のものを選ぶことで外出先でもインターネットにつなぐことができます。


事務職におすすめなのは以下のようなものです。

  • コスパの良いデスクトップ
  • ディスプレイの大きなもの

営業と違い持ち出すことは無いため、コスパが良く性能も良いデスクトップ型がおすすめです。ディスプレイも大きくすることで事務処理をしやすくしましょう。


開発職におすすめなものは以下のようなものです。

  • 高性能
  • 発熱しにくい

開発に利用する場合には複雑な処理が可能な高性能のパソコンが必須です。また、処理に負担がかかると発熱してしまう可能性が高くなるため、発熱しにくい設計がされているものがおすすめです。


会社のパソコンは3年が買い替えのタイミングと言われています。3年以上経過したものは維持費や修理費などのコストがかかり始める時期になります。そのため、3年で買い替えるのがベストと言われています。


しかし、平均すると4~5年で買い替えることが多くなるようです。

まとめ


いかがでしたか?ここではパソコンの減価償却についてご紹介しました。


パソコンも高額なものは資産として認められるため、購入後には減価償却を行う必要が出てきます。


しかし、税金対策を行いたい場合などは一括経費計上を希望しますよね。このような場合はパソコンの価格を調節することで購入年度の経費にできることを覚えておきましょう。


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