もしも夫が亡くなったら妻と子供は遺族年金をいくらもらえる?

もしも夫が亡くなった場合、配偶者や子供は遺族年金をいくらもらえるのか。各種類の遺族年金をもらえる条件や金額の計算方法などを紹介します。また、様々なケースがあると思うので代表して3つ、いくらもらえるのかをシュミレーションしていきます。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

夫が死亡、遺族年金はいくらくらいもらえるか

この記事をご覧のあなたは、遺族年金について調べられておられることでしょう。


大黒柱が亡くなり残された家族の生活を支えるための制度である「遺族年金制度」を、多くの方が「万が一のときのための」制度と考えています。


しかし、具体的にどれくらいの金額を受給できるのかは知らないため、将来に漠然とした不安を抱いている方も少なくないでしょう。


そこで今回は、

  • 遺族基礎年金・遺族厚生年金がもらえる対象者は誰?
  • 遺族基礎年金・遺族厚生年金の計算方法とは?
  • 遺族年金の対象外となった場合は何も受け取れない?
  • 実際にどのような場合に、どれくらいの金額がもらえるか?
上記の点について取り上げていきます。

この記事を最後までご覧いただければ、遺族年金のしくみについてさらに詳しくご理解いただけることでしょう。

ぜひ最後までご覧ください。

遺族基礎年金は誰がいくらもらえる?支給条件や支給金額の計算方法

遺族年金について取り上げる前に、まずは遺族年金の種類について知っておきましょう。


いわゆる「遺族年金」には、

  • 遺族基礎年金
  • 遺族厚生年金
これら2つの種類があり、それぞれ年金を受け取れる対象者、また金額が異なっています。

「遺族基礎年金」は国民年金の加入者を対象としているのに対して、「遺族厚生年金」はその名の通り厚生年金の加入者を対象としています。

混同されがちなこれら2つの「遺族年金制度」は、それぞれどのような受給条件があるのでしょうか。

まずは「遺族基礎年金」について取り上げていきます。


遺族基礎年金の受給対象者は子または子のある配偶者

まず、遺族基礎年金の受給対象者は誰なのでしょうか。


夫婦のうち生計を支えている国民年金の加入者が亡くなった場合、配偶者またはその子供が遺族基礎年金の受給対象となります。


また、遺族基礎年金の対象となるためには被保険者が25年以上の受給資格期間を満たしており、子供がいる夫婦の場合のみが受給できます。


さらに夫婦の子供にも受給条件があり、

  • 年齢が18歳になる末日(3月31日)を経過していないこと
  • 年齢が20歳未満であり、障害年金受給者、障害等級1級または2級であること
以上の条件を満たしている場合に、子供は遺族基礎年金を受け取ることができます。

ただし、配偶者がその後再婚した場合や、夫婦どちらかが亡くなっても年収が850万円以上の見込みがある場合、受給できない場合があります。

このように、遺族基礎年金は残された家族の生活を支えるだけでなく、より「子供の養育」という意味合いが強いことが分かります。

遺族基礎年金はいくらもらえる?いつまで?計算方法とは

では、遺族基礎年金の対象となる配偶者とその子供は、具体的にいくら受け取ることができるのでしょうか。


まず遺族基礎年金は「780,100円」が支給の固定額となっており、子供がいればその金額に応じて人数分加算されます。


子供一人あたりの加算額は、

  • 第1子・第2子:224,500円
  • 第3子以降:74,800円
となっており、子供が多ければそれだけ多くの遺族基礎年金が受け取れますが、3人目以降は金額が大幅に下がり、固定となります。

この遺族基礎年金における「基礎年金額+子供人数分の加算額」を受給できるのは、子供が18歳になるまでです。

ですから子供が一人の場合、子供の年齢が18歳に到達する3月31日を過ぎた時点で、遺族基礎年金の受給資格は喪失します。

遺族厚生年金は誰がいくらもらえる?支給条件や支給金額の計算方法

いわゆる「遺族年金」制度には2つの種類がありますが、自営業以外の有職者を対象としているのが、「遺族厚生年金」です。


厚生年金制度は企業に勤めると同時に自動的に加入することが多いですが、ただ加入しているだけで実際に将来いくら受け取れるのかを知らない、という方も多いでしょう。


ではこの機会に、遺族厚生年金の受給対象者と受給金額について覚えておきましょう。

遺族厚生年金の受給対象者は子なしでも受け取れる

遺族厚生年金の受給対象者は誰なのでしょうか。 


遺族基礎年金の場合と同様に、夫婦のうち生計を支えている厚生年金の加入者が亡くなった場合、配偶者またはその子供が遺族厚生年金の受給対象となります。 


故人に求められる受給資格期間も老齢基礎年金と同様に、25年です。 


それに加えて、遺族厚生年金では 

  1. 被保険者の父母(55歳以上、60歳から支給) 
  2. 被保険者の孫 
  3. 被保険者の祖父母(55歳以上、60歳から支給) 

この1~3に当たる親族も年金を受給することができますが、優先順位は配偶者またはその子供よりも番号順に低くなっています。 


もう一つ遺族基礎年金と異なる点として、遺族厚生年金は夫婦に子供がいない場合でも受給することが可能ですが、それが30歳未満の妻である場合は、給付期間が「5年間」に限定されます。 


子供の受給条件は遺族基礎年金と同様に、 

  • 年齢が18歳になる末日(3月31日)を経過していないこと 
  • 年齢が20歳未満であり、障害年金受給者、障害等級1級または2級であること 

以上となっています。

遺族厚生年金はいくらもらえる?いつまで?計算方法とは

では、遺族厚生年金の対象となる配偶者とその子供は、具体的にいくら受け取ることができるのでしょうか。 


遺族厚生年金をいくら受給できるか計算するためには、
 

  1. 平成15年3月までの被保険者の標準報酬月額(月収) 
  2. 平成15年4月以降の被保険者の標準報酬月額(月収)+賞与 
  3. 平成15年3月までの被保険者月数 
  4. 平成15年4月以降の被保険者月数 

これらの情報が必要となります。 


これらの情報を用いて、まずは「平均標準報酬月額(平成15年3月まで)」と「平均標準報酬額(平成15年4月以降)」がいくらなのかを算出します。 


算出方法は上の番号表から、 

  • 平均標準報酬月額=(1)÷(3) 
  • 平均標準報酬額=(2)÷(4) 

このように算出します。 


次はその算出した平均標準報酬月額および平均標準報酬額を用いて、 

  • 平均標準報酬月額×0.007125×加入期間(平成15年3月まで) 
  • 平均標準報酬額×0.005.481×加入期間(平成15年4月以降) 

このように計算します。 


ちなみに、被保険者の年金加入期間が25年(300カ月未満)の場合でも、加入期間は300カ月であると想定して計算します。

遺族年金の条件に当てはまらない場合は何ももらえない?

今まで取り上げたように、遺族基礎年金および遺族厚生年金を受給するためには、少なからずいくつかの条件を満たしている必要があります。

中には、自分は遺族年金を受給する資格に満たないので配偶者が亡くなったとき何も保障されないと思って、落胆している方もおられるかもしれません。

しかし、もし遺族年金の受給条件を満たしていなくても、他の公的な制度で保障を受けられる可能性は十分にあります。

次からは、遺族年金の条件に当てはまらない方がどのような制度を利用できるか、という点について紹介します。

死亡一時金について(支給対象者や金額など)

遺族年金の条件に当てはまらない方でも受け取れるお金に、「死亡一時金」があります。


死亡一時金とは、国民年金の加入者が亡くなった際に遺族に対して支払われるお金ですが、これは遺族基礎年金の対象にならない方が受け取れるお金です。


ですから、たとえ子供がいない夫婦のどちらかが亡くなった場合でも、配偶者は最優先で死亡一時金を受け取ることができます。


また、配偶者が受け取れない場合は、

  1. 子供
  2. 夫婦の父母
  3. 祖父母
  4. 兄弟・姉妹
こちらの優先順位で死亡一時金を受け取る人が決まります。

死亡一時金は、国民年金の被保険者として36カ月以上保険料を納付した人が対象となりますが、保険料の一部免除期間がある場合は、その期間の加入期間における「1カ月」が次のような扱いになります。

保険料免除の度合い1カ月のうち
4分の1免除期間4分の3
半額免除期間2分の1
4分の3免除期間4分の1

これらの「免除期間」を含めた加入月数を合計すると、実際に死亡一時金で受給できる金額が分かります。

納付期間における死亡一時金の受給金額は、以下の通りです。

保険料納付月数死亡一時金受給額(円)
36~179カ月120,000
180~239カ月145,000
240~299カ月170,000
300~359カ月220,000
360~419カ月270,000
420カ月~320,000

ちなみに、通常支払う保険料の他に「付加保険料」を36カ月以上支払っている場合は、上記の金額に8,500円がプラスされます。

寡婦年金について(支給対象者や金額など)

遺族年金を受け取れない方は、「寡婦年金」を受給できるかもしれません。


これは、夫婦のうち妻のみが受給できる制度であり、妻が亡くなった場合も夫は受給の対象とはならない制度です。


年金が受給できる年齢までに夫が亡くなった場合は、仕事をしていない場合収入が全くなくなることになりますので、その収入を補うために寡婦年金が支給されるのです。


寡婦年金にも受給条件があり、

  • 保険料納付期間が10年以上
  • 結婚期間が10年以上
  • 老齢基礎年金・障害基礎年金を受け取っていない
  • 主な収入源が夫であった
  • 妻の年齢が65歳未満
これらの条件を満たすことによって、夫を亡くした妻は寡婦年金を受け取ることができます。

ここでは「妻の年齢が65歳未満」という条件がありますが、実際に寡婦年金が受け取れるのは60歳からであり、それ以前には受け取ることができません。

また、60歳を過ぎてから寡婦年金を受け取るようになった場合でも、受給期間はあくまで65歳までであることに注意が必要です。

寡婦年金の受給金額は、夫が受け取るはずだった老齢基礎年金の4分の3と決まっています。

ですから、夫の老齢基礎年金受給額に4分の3を掛けることで、妻が受給できる寡婦年金の金額が簡単に計算できます。

パターン別、遺族年金受給額のシュミレーション5つ

ここまでは遺族年金の基礎知識について取り上げてきましたが、皆さんがおそらく最も知りたいのが、「具体的に自分(または家族)はいくら受け取れるのか」という点でしょう。


ではこれから、実際の具体例を取り上げて、どのような場合にいくらぐらい受給することができるのか、シミュレーションしてみましょう。


あくまでシミュレーションであるため個人の状況によって金額は変わってきますが、皆さんがご自分の受給金額を計算する際にも参考となるはずです。

サラリーマンの夫が亡くなった場合に専業主婦の妻と5歳の子がもらえる金額

最初の例は、夫がサラリーマンであり、妻と子供が一人いる場合に夫が亡くなったときに遺族年金がいくら受給できるかという点です。


この場合は「遺族基礎年金」・「遺族厚生年金」両方が受給対象となります。


まず遺族基礎年金ですが、こちらは子供が1人いるため、

  • 固定額+子供人数分の加算=遺族基礎年金額
  • 780,100+224,500=1,004,600
このような計算式となり、受給額は年間で「1,004,600円」となります。

次は遺族厚生年金がいくら受給できるかという点です。


加入期間を全て平成15年4月以降と仮定し、ボーナス含む平均標準報酬額を35万円、加入期間を25年(300カ月)とすると、

  • 平均標準報酬額×0.005481×加入月数=遺族厚生年金額
  • 350,000×0.005481×300=431,628円

このような計算式となり、遺族厚生年金の受給額は「431,628円」となります。


最後に2つの受給額を合算すると、

  • 遺族基礎年金額+遺族厚生年金額=総支給額
  • 1,004,600+431,628=1,436,228円

このようになり、総支給額は「1,436,228円」と算出できます。

自営業の夫が亡くなった場合に専業主婦の妻と10歳の長男・7歳の次男がもらえる金額

次は、自営業の夫と専業主婦の妻、そして子供が2人いる場合です。


この場合は「遺族基礎年金」のみが対象となりますが、いくら受給できるのでしょうか。


子供が2人いるため加算額が増えますので、

  • 固定額+子供人数分の加算額=遺族基礎年金額
  • 780,100+(224,500×2)=1,229,100円

このような計算式となり、受給額は年間で「1,229,100円」となります。

公務員の夫が亡くなった場合に子なしの配偶者が受け取れる金額

次は、夫が公務員で子供がいない場合にいくら受給できるかという点です。


以前は公務員の場合「遺族共済年金」という仕組みがありましたが、現在は公務員も会社員と同様に「遺族厚生年金」の対象となります。


この場合は子供がいないため「遺族基礎年金」の対象とはなりません。


先程と同様に加入期間を全て平成15年4月以降と仮定し、ボーナス含む平均標準報酬額を35万円、加入期間を25年(300カ月)とすると、

  • 平均標準報酬額×0.005481×加入月数=遺族厚生年金額 
  • 350,000×0.005481×300=431,628円
このような計算式となり、受給額が「431,628円」となります。

共働き夫婦で妻が死亡した場合、夫と15歳の子供が受け取れる金額

次は、共働き夫婦のうち妻がなくなり、夫と子供1人が残された場合にいくら受給できるかという点です。


この場合も夫か妻かでは差がないため「老齢基礎年金」「老齢厚生年金」両方が受給対象となり、寡婦年金は対象外となります。


まず遺族基礎年金ですが、こちらは子供が2人いるため、

  • 固定額+子供人数分の加算=遺族基礎年金額 
  • 780,100+(224,500×2)=1,229,100円

このようになり、遺族基礎年金の受給額は年間「1,229,100円」となります。


次は遺族厚生年金です。 


今回はボーナス含む平均標準報酬額を30万円、加入期間を20年として計算してみましょう。


実際は加入期間が25年に満たない場合でも25年(300カ月)として計算するため、

  • 平均標準報酬額×0.005481×加入月数=遺族厚生年金額 
  • 300,000×0.005481×300=493,290円

このようになり、遺族厚生年金の受給額は「493,290円」となります。


最後に2つの受給額を合算すると、 

  • 遺族基礎年金額+遺族厚生年金額=総支給額 
  • 1,229,100+493,290=1,722,390円

このようになり、総支給額は「1,722,390円」と算出できます。

離婚していた会社員の夫が死亡した場合、妻と10歳の子供が受け取れる金額

最後は、少し複雑な場合を考えてみましょう。


以前は婚姻関係にあった夫婦がすでに離婚しており、元夫が亡くなった場合です。


すでに元夫と元妻の双方は婚姻関係にないため、元妻は基本的に遺族年金を受給することはできません


ただし、亡くなった元夫が再婚等をしておらず、再婚相手との子供もいない場合は、遺族基礎年金および遺族厚生年金に関して、元夫婦間の子供である10歳の子供が受給できる可能性があります。


ですからその場合は、

  • 固定額+子供人数分の加算=遺族基礎年金額
  • 780,100+224,500=1,004,600

年間で「1,004,600円」を遺族基礎年金として受給できるかもしれません。


遺族厚生年金の場合も同様に、ボーナス含む平均標準報酬額を40万円、加入期間を25年(300カ月)とすると、

  • 平均標準報酬額×0.005481×加入月数=遺族厚生年金額
  • 400,000×0.005481×300=657,720

この「657,720円」を遺族厚生年金で受給できる可能性があります。


その逆の場合で、すでに元夫が再婚しており再婚相手との間に子供もいる場合は、そもそも現在形で婚姻関係にある夫婦と子供が優先されますので、元妻とその子供には支給されません。


なぜならそれぞれにおける優先順位が、

  • 子供のいる配偶者
  • 子供
  • 子供のいない配偶者(遺族厚生年金のみ)

このように決められているからです。


離婚相手との間に子供がいる場合でも、あくまで「現在形で生計を共にしている」方が優先されることを覚えておきましょう。

遺族年金はいくらかのまとめ

今回は遺族年金がいくら受け取れるかというテーマに基づいて様々な点を取り上げてきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは、

  • 遺族基礎年金の対象者:子供のいる国民年金加入者の配偶者、または子供
  • 遺族厚生年金の対象者:厚生年金加入者の配偶者、または子供
  • 遺族年金が受け取れない場合でも死亡一時金や寡婦年金の対象となる場合がある
以上の点です。

実際のところ、ねんきん定期便等を参照しながら自分で遺族年金がいくら受給できるのかを計算するのはハードルが高いと感じられる方が多いでしょう。

遺族年金は夫婦間や家族の形態、年齢等によってケースバイケースであることが非常に多いため、問題が発生した際にはFP(ファイナンシャル・プランナー)や弁護士に相談することをおすすめします。

ほけんROOMではこの記事以外にも役に立つ記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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