更新日:2023/02/27
生命保険の非課税枠を使うと1番節税になる!受取人は誰にする?
生命保険の非課税枠を使うと、主に相続税での節税が期待できます。しかし、誰が受取人になるか次第で、税金の種類が変わり、非課税枠も変わります。この記事では、生命保険の非課税枠を最大限活用するために最適な受取人は誰か、具体例も挙げて解説しています。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 生命保険の非課税枠を使うと1番節税になる!受取人は誰にする?
- 生命保険の相続の非課税限度額=500万円×法定相続人の数になります
- 平成27年の相続税改正により基礎控除額などが変わった
- 生命保険を利用しない場合の相続税率と控除額
- 生命保険の非課税枠を利用した場合、かなりの節税になる
- 保険金受取人が複数人の場合の非課税額の計算方法
- 死亡保険金の合計が非課税限度額の合計以下の場合
- 死亡保険金の合計が非課税限度額の合計を超える場合
- 契約者・被保険者・受取人が誰かで「相続税」ではない課税方法になることも
- 結局、生命保険の被保険者・受取人を誰にするのが1番お得?
- 「相続税」は生命保険の死亡保険金の最も課税対象額が少なくなる受け取り方
- 生命保険の非課税枠を活用する以外の節税方法
- 生命保険金の受取人はいつでも変更できる
- 参考:相続人を増やす手段として「養子制度」の活用も
- まとめ
目次
生命保険の非課税枠を使うと1番節税になる!受取人は誰にする?
生命保険の相続の非課税限度額=500万円×法定相続人の数になります
生命保険の非課税枠について、まずは説明していきましょう。
生命保険料の支払いを被相続人(大体の場合で死亡者)が支払っていた場合、受け取ることができる保険金は相続税の対象として扱われます。
これは「故人から遺族にお金を相続した」と見なされるためです。
しかし、そのなかにも非課税枠というものがあり、一部は税金がかからないようになっています。
そもそも生命保険は、「自分に万が一のことがあった際に家族にお金を遺しておく」こういった目的で加入されるものです。
せっかく遺族のために置いておいたお金の大半が税金として徴収されてしまったら、元も子もありませんよね。
確実に保険金の受取人が手元に残せるお金を準備しておくために、非課税枠が存在するのです。
この生命保険の非課税枠には、当然ながら限度額があります。
非課税限度額=500万円×法定相続人の人数
これで求めることが可能です。
仮に相続を放棄した人がいたとしても、その人も法定相続人の人数には含まれます。
つまり本来法定相続人となる人は相続の有無にかかわらず、非課税枠の計算時には頭数に入れられるということです。
このあたりの注意事項は、国税庁「相続税の対象になる死亡保険金」でも説明されています。
平成27年の相続税改正により基礎控除額などが変わった
平成25年に発表され、平成27年1月1日を持って実に40年ぶりに改正た相続税。
この改正により、
- 相続税率の変更
- 基礎控除額の引き下げ
課税対象被相続人の人数 | |
---|---|
平成25年 | 5万4,000人 |
平成26年 | 5万6,000人 |
平成27年 | 10万3,000人 |
平成28年 | 10万6,000人 |
生命保険を利用しない場合の相続税率と控除額
改正後の相続税率
現在に至るまで適用されている相続税率は、下記のようになっています。
相続金額 | 相続税率 | 控除額 |
---|---|---|
〜1,000万円 | 10% | × |
〜3,000万円 | 15% | 50万円 |
〜5,000万円 | 20% | 200万円 |
〜1億円 | 30% | 700万円 |
〜2億円 | 40% | 1,700万円 |
〜3億円 | 45% | 2,700万円 |
〜6億円 | 50% | 4,200万円 |
6億円超え〜 | 55% | 7,200万円 |
(参考:国税庁「相続税の税率」)
色の変わっているところが実際に引き上げられた箇所です。
具体的には、相続金額が〜3億円の場合は従来の40%から45%に、6億円を超過する場合は従来の50%から55%に相続税率が引き上げられています。
改正後の基礎控除額
現在に至るまで適用されている基礎控除額についてですが、
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
以上の式から算出することができます(参考:国税庁「財産を相続したとき」)。
ちなみ、相続税改正で基礎控除額の引き下げられた割合は4割です。
先ほど課税対象者の推移をご紹介しましたが、改正に伴い一気に倍近く課税対象の被相続者数が増加したという結果にも頷けるのではないでしょうか。
生命保険の非課税枠を利用した場合、かなりの節税になる
非課税枠を利用した際の相続税の課税のされ方を一緒に見ていきましょう。
例えば、夫、妻、子ども2人の家庭として、
- 生命保険の死亡保険金:2,000万円(受取人は妻)
- それ以外の相続財産:4,000万円
500万円×3人=1,500万円
2,000万円ー1,500万円=500万円
4,000万円+500万円=4,500万円
3,000万円+600万円×3人=4,800万円
4,000万円+2,000万円=6,000万円
6,000万円ー4,800万円=1,200万円
保険金受取人が複数人の場合の非課税額の計算方法
死亡保険金の受取人が複数人に設定されているということもありますよね。
こういった条件の場合、受取人1人1人ごとに非課税枠を使用できると勘違いを起こされがちです。
平たく言うならば、受け取る保険金額に関わらず1人あたり
500万円×1人=500万円
が非課税になるというのは間違いということになります。
実際の場合は、全体に対して非課税枠が適用され、それをそれぞれの受取人の生命保険金に応じて分配するのです。
つまり
500万円×法定受取人の数=X円(非課税限度額)
このX円を「誰が何円受け取るか」の割合に基づいて分配し、それに当てはめていくということになります。
式で表すならば、
X円×受け取る保険金額/保険金額の総額=1人あたりに適用される非課税金額
です。
と言葉でいくら説明したとしても、具体的にどういうことなのか想像しづらいかもしれません。
そこで、保険金受取人が複数いる場合の非課税額について
- 「死亡保険金の合計≦非課税限度額の合計」となる場合
- 「死亡保険金の合計>非課税限度額の合計」となる場合
死亡保険金の合計が非課税限度額の合計以下の場合
まずは「死亡保険金の合計≦非課税限度額の合計」となる場合について、解説します。
こちらの場合も例として、夫、妻、子ども2人の家庭で考えていきましょう。
夫の死亡保険金に対し、
- 妻:1,000万円
- 子ども:1人あたり250万円
非課税限度額(非課税枠)の算出
500万円×3人=1,500万円
妻の非課税枠:1,500万円×1,000万円/1,500万円=1,000万円
子ども1人あたりの非課税枠:1,500万円×250万円/1,500万円=250万円
上記が示すのは、子どもも全額が非課税であり、妻のものと同じく相続税を納付したり申請を行う義務がないということです。妻 | 子ども (1人あたり) | |
---|---|---|
受取金額 | 1,000万円 | 250万円 |
非課税額 | 1,000万円 | 250万円 |
課税対象額 | なし | なし |
死亡保険金の合計が非課税限度額の合計を超える場合
次に、今とは反対のパターンである「死亡保険金の合計>非課税限度額の合計」このようになるケースについて解説します。
先ほどと同じように、夫、妻、子ども2人の家庭としてシミュレーションしましょう。
夫の死亡保険金に対し
- 妻:5,000万円
- 子ども:1人あたり500万円
以上の配分で、総額にして6,000万円を給付されるものとします。
非課税限度額(非課税枠)の算出
生命保険への相続に対する非課税限度額は、先ほどのパターンと同様ではありますが
500万円×3人=1,500万円
であり、生命保険の中から相続税の納付義務が発生する可能性があります
課税対象額の算出
まずは妻の非課税枠を求めると
妻の非課税枠:1,500万円×5,000万円/6,000万円=1,250万円
です。
課税対象額は、
5,000万円ー1,250万円=3,750万円
となります。
同様に子どもも計算すると
子ども1人あたりの非課税枠:1,500万円×500万円/6,000万円=125万円
よって、子ども1人あたりの課税対象額は
500万円ー125万円=375万円
です。
ここまで計算してきた金額をまとめると、
妻 | 子ども (1人あたり) | |
---|---|---|
受取金額 | 5,000万円 | 500万円 |
非課税額 | 1,250万円 | 125万円 |
課税対象額 | 3,750万円 | 375万円 |
上記のようになります。
基礎控除額の算出
課税対象額は
3750万円+375万円+375万円=4,500万円
となりますが、基礎控除額が次のように計算されます。
3,000万円+600万円×3=4,800万円
この場合は「課税対象額≦基礎控除額」ということになるので、生命保険のうち課税対象となった部分は全額において基礎控除の対象となります。
もしここで「課税対象額>基礎控除額」となった場合は、その超過分に課税されることとなるのです。
契約者・被保険者・受取人が誰かで「相続税」ではない課税方法になることも
実は、生命保険の死亡保険金に課される可能性があるのは、相続税だけではないのです。
これは「生命保険の契約者・被保険者・保険金受取人が誰か」によって左右されます。
まずここまで解説してきた、相続税が課されるケース。
これは、被相続人が契約者と被保険者を兼ねていた場合に該当します。
関係性を明らかにすると、
間柄 | |
---|---|
契約者 | 被相続人 (故人) |
被保険者 | 被相続人 |
保険金受取人 | 法定相続人 (配偶者・子ども) |
ということです。
間柄 | |
---|---|
契約者 | 法定相続人 (配偶者・子ども) |
被保険者 | 被相続人 (故人) |
保険金受取人 | 法定相続人 (契約者と同じ人) |
間柄 | |
---|---|
契約者 | 法定相続人1 (配偶者・子ども) |
被保険者 | 被相続人 (故人) |
保険金受取人 | 法定相続人2 (契約者と異なる人) |
生命保険の契約者 | 保険金受取人 | |
---|---|---|
相続税 | 被相続人 | 法定相続人 |
所得税 | 法定相続人 | 契約者と同じ法定相続人 |
贈与税 | 法定相続人 | 契約者と異なる法定相続人 |
結局、生命保険の被保険者・受取人を誰にするのが1番お得?
課税のされ方や、節税にどの程度役立つのかということはご理解いただけたでしょうか。
さて、結局のところ
- 生命保険の被保険者
- 死亡保険金の受取人
- 1番節税に役立つのは「相続税」が課税されるケース!
- 非課税枠を活用する以外の節税方法を知りたい
- 保険金の受取人をやっぱり変更したい!そんなことはできる?
「相続税」は生命保険の死亡保険金の最も課税対象額が少なくなる受け取り方
結論から言うのであれば、「相続税」の課税対象となる可能性のある契約方法が1番お得です。
具体的に言うなら
- 被保険者(兼契約者):被相続人
- 保険金受取人:法定相続人
先ほどから度々登場している、夫、妻、子ども2人の家庭で比較してみましょう。
相続する遺産や保険料は
- 死亡保険金:2,000万円
- 死亡時までに払い込んだ保険料の総額:300万円
2,000万円ー1,500万円=500万円
- 一時所得の特別控除:50万円
- 課税対象額:一時所得の1/2
課税対象額=(死亡保険金ー払込保険料ー特別控除額)×1/2
(2,000万円ー300万円ー50万円)×1/2=825万円
2,000万円ー110万円=1,890万円
生命保険の非課税枠を活用する以外の節税方法
1番おすすめの税金対策は非課税枠の利用ですが、それ以外にも節税として
- 一時払いの終身保険に加入する
- 子どもや孫を生命保険の被保険者とする
- 保険金を一時所得として受け取る(所得税が課されるパターン)
生命保険金の受取人はいつでも変更できる
ここまでをご覧になった方のなかには「保険金の受取人を変更したい」という考えが芽生えた方もおられるかも知れません。
ご安心ください。
生命保険の保険金受取人は、いつでも変更することが可能です!
「やっぱりこの人にしようかな…」という時は、手続きをしましょう。
また、「受取人を誰にしたら良いかまだ決めあぐねている」という方もおられることと思います。
そんな方にはマネーキャリアの保険相談がおすすめです!
あなたの生命保険のお悩みに、プロの視点から寄り添って解決へ導きます。
スマホ1つで簡単に相談でき、保険に関することなら何でも質問可能です。
この機会に、保険の疑問や不安をすっきりさせましょう。
参考:相続人を増やす手段として「養子制度」の活用も
例えば独身であるとか子どもがいないなど、極端に相続人が少ないという方もおられると思います。
そんな時に相続人を増やす手段として活用できるのが「養子制度」です。
相続税の基礎控除額は、法定相続人の数により増加します。
具体的には、1人あたり600万円。
基礎控除額を増やし課税対象とならない資産をより多く確保するために、養子制度を活用しようという方も多いです。
ただし必ずしも節税できるとは限りません。
例えば、自身が未婚かつ子なしで、代わりに自分を除く兄弟姉妹が3人以上いる場合。
この場合、本来は兄弟姉妹が法定相続人となるのですが、1人ないし2人を養子としてしまうと法定相続人が1〜2人に減ってしまうのです。
すると基礎控除額も当然少なくなってしまうので、節税としては失敗例となってしまいます。
またどうして養子の人数を1〜2人と指定したかというと、法定相続人と認められる養子の数には限度があるためです。
具体的には
- 実子がいる場合:1人まで
- 実子がいない場合:2人まで
まとめ
生命保険の非課税枠を利用した相続税の節税方法について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
今回の記事のポイントは
- 生命保険の非課税枠は「500万円×法定相続人の人数」が限度額
- 平成27年より相続税率や基礎控除額が改正された
- 保険金には相続税以外にも、所得税・贈与税が課される可能性がある
- 1番節税としてお得なのは、相続税扱いとなるケース
- 保険金受取人はいつでも変更できるので安心
- 節税として養子制度を活用することも
突然ですが皆さんは、節税のためにしていることはありますか?
「特に何もしていない…」というあなた!
実は生命保険の非課税枠を利用すれば節税になるのです。
そこで今回は、生命保険の非課税枠の使い方について