出口戦略を考える!50歳で見直す「iDeco」の活用方法

将来受け取る年金への不安と年々負担が増える社会保障費や税金の節約に対して、個人型DC(iDeco)の活用は不可欠です。「iDecoはもう始めているよ」という方も多いと思いますので、ここでは、DCの税制について改めておさらいするとともに、「iDeco」の拠出額や受取方法の効果について解説します。

この記事の執筆者
京極 佐和野
大阪市東成区出身、学校卒業後、株式会社マンダムに入社。商品ブランドのリニューアルや開発プロジェクトに携わり、マーケティングの基礎を実践の中で学ぶ。結婚・子育てのブランクを経て、代理店研修生として損害保険会社に入社。27か月の研修終了後、独立し、FPの資格を取得する。お客様に寄り添うコンサルティングが好評で、現在まで延べ1,200件以上の相談実績をもつ。現在は、保険などの金融商品を一切販売しないFPとして活躍中。セミナーやコラムを通して、女性の視点を活かしたセカンドライフ情報を発信し、定評がある。

まずはじめに

50歳の誕生月に受け取る「年金定期便」をみても、本当に65歳から年金はもらえるの?いくらもらえるの?と不安を抱く人は少なくないと思います。


一方、子育てもひと段落、少し余裕ができ、本格的に老後の準備を始める人が多いのも50代です。将来受け取る年金への不安と年々負担が増える社会保障費や税金の節約に対して、個人型DC(iDeco)の活用は不可欠です。


「iDecoはもう始めているよ」という方も多いと思いますので、ここでは、DCの税制について改めておさらいするとともに、「iDeco」の拠出額や受取方法の効果について解説します。

DC(確定拠出年金)の仕組みの大枠

DC(確定拠出年金)は、国民年金・厚生年金の上乗せの年金制度で、会社が掛け金を拠出する「企業型DC」と個人が拠出する「個人型DC(iDeco)」があります。


なかでも「iDeco」は、2017年1月から対象外だった専業主婦や公務員等も加入できるようになり、ほぼ現役世代の全ての人が活用できるようになりました。2019年2月現在の加入者数は、1,180,665人(第1号146,388人、第2号997,996人、第3号36,281人)と2016年12月加入者数の4倍弱となっています。




参考:厚生労働省「確定拠出年金の対象者・拠出限度額と他の年金制度への加入の関係」

DC(確定拠出年金)の税制

1.拠出時

「iDeco」や企業型のマッチング拠出する掛金は、全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)です。


2.運用時

運用収益は全額が非課税です。


3.受給時

①老齢給付金(一時金・年金)

  • 一時金で受給する場合
勤務先から支給される退職一時金と合算し、退職所得として課税(退職所得控除が適用)されます。

退職所得の金額= (収入金額(源泉徴収される前の金額)-退職所得控除額)× 1/2

退職退職所得控除額は、勤続年数に応じて計算されますが、DCでは、加入年数を勤務年数に読み替えます。ただし、拠出の中断期間(運用指図者期間)は加入期間には含まれません。
※勤続年数の端数月は1年に切上げします



  • 年金で受給する場合
公的年金や企業年金と合算の上、雑所得として課税(公的年金等控除の適用)されます。



②障害給付金(一時金・年金)

一時金・年金いずれで受け取る場合でも非課税です。

③死亡給付金(一時金)

遺族に相続税が課税されます。ただし、みなし相続財産(退職手当等に含まれる給付)の非課税枠があり、他の死亡退職金と合算し、500万円×法廷相続人の数まで非課税となります。また、死亡給付金の受取は一時金のみです。

DC(確定拠出年金)の活用例

1.拠出時の活用例

①扶養控除がなくなった

子どもが独立してうれしいのだけれど、38万円もしくは63万円の課税所得が増えたのでは困ります。社員・公務員・自営業・専業主婦やフリーターなどの働き方や勤務先の年金制度の内容によって、拠出できる金額に差がありますが(年間14.4万円~81.6万円)、限度額いっぱい拠出することで、課税所得の増加を抑えることができます。




②住宅ローン控除の適用を受けている

住宅ローン控除額が大きい方は、所得税がゼロとなることもあります。この場合「iDeco」のメリットがないように思われるかもしれません。しかし、「iDeco」の拠出額は「所得控除」の対象で課税所得が減額されるのに対して、住宅ローン控除は「税額控除」の対象で、所得税や住民税そのものが減額されます。個々のケースによって違いますが、たとえば【例】のように、住宅ローン控除をした結果、所得税がゼロになっても、なお控除しきれない住宅ローン控除額を一定額まで住民税から控除できることから、「iDeco」に加入した方が税金の負担合計額は少なくなります。






③専業主婦(夫)など課税所得がゼロ

課税所得がゼロの専業主婦(夫)やパート収入の方が「iDeco」に加入する場合、「iDeco」による所得控除のメリットはありません。また配偶者の所得控除の対象とすることもできません。ただし、老齢給付金を一時金として受け取れば、退職所得控除の対象となり、私的退職金として活用できます。つまり、専業主婦やパートなど一般的には退職金などない方にも、退職所得控除のメリットを受けられます。


※個人住民税からの控除額

居住年が2014年4月から2021年12月の場合(次のいずれか少ない方となる。)

  • 住宅ローン控除の控除可能額の内、所得税から控除しきれなかった金額
  • 所得税の課税所得金額の7%(上限13万6500円)

居住年が2009年1月から2014年3月場合(次のいずれか少ない方となる。)

  • 住宅ローン控除の控除可能額の内、所得税から控除しきれなかった金額
  • 所得税の課税所得金額の5%(上限9万7,500円)

2.運用時の活用例

「iDeco」は、定期預金などにも運用できる


「iDeco」の運用商品の中には、投資信託以外に定期預金や保険商品といった元本確保型商品も含まれています。「投資はちょっと」という方でも定期預金などからはじめることができます。また、年払いにすると手数料も1回分で済みますので、コストを抑えることができます。拠出を月払いにする理由は、投資信託によるドルコスト平均法を活用することなので、超低金利の定期預金を積み立てる場合には、年払いがよいでしょう。


とはいったものの、投資経験を積むことができるというのも「iDeco」活用方法の一つです。60歳には、まとまった金額の退職金を受け取りますが、投資経験なしに「丸投げ状態で金融機関や保険代理店・証券会社に相談し、後悔する」という事態が起こります。できれば、そういった事態を防ぐためにも「iDeco」を通して投資を始められてはいかがでしょうか?

3.給付時の活用例

①受取開始時期はセカンドライフに沿って、70歳までに受け取りを開始することができる

平成30年労働調査(総務省)では、60歳~64歳の男性の8割、女性で5割以上の人が就労しています。セカンドライフの計画を立てて働き方や、給付の受け取る時期を計画しましょう。


「iDeco」拠出は60歳未満なので、受取開始までは運用のみとなり、加入期間には含まれません。また、在職老齢年金の対象となるのは、厚生老齢年金部分ですので、「iDeco」の老齢年金を減額されることはありません。




②「iDeco」の老齢一時金と退職一時金を受け取る場合

同じ年に老齢一時金と退職一時金を受け取った場合は、合算した金額に対して課税されます。退職所得控除額を計算する際の勤続年数は、退職一時金の対象期間と「iDeco」の加入期間を比較し長い方を基準にします。重複していない「iDeco」の加入期間があればその期間を加算します。

「iDeco」の老齢一時金を受給する年の前年以前14年以内に、退職一時金を受け取っている場合には、先に受け取った退職一時金が、退職所得控除額より多かったか少なかったかで、計算が異なり、退職所得控除額の調整が行われます。

50歳で見直す「iDeco」の活用方法のまとめ

最後に、気を付けたいことは、新たに「iDeco」を始められる方は、どこの金融機関を選ぶかで手数料や運用商品の内容が違ってきます。iDeco公式サイトなどを利用し、何社か比較してから始めましょう。


すでに始められている方は、年金資産をほったらかしにせず、資産配分をチェックしたり、運用商品や投資に係る情報を定期的に入手しましょう。


また、今年は5年に一度の年金の健康診断ともいえる「財政検証」の年です。制度の変化などに対応できるよう早めに老後の準備をすすめていきましょう。

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