取締役の方にとっての個人型確定拠出年金(iDeCo)のメリット

最近人気の個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入するかを検討中の取締役・経営者の方もいるでしょう。取締役の方がiDeCoに加入するにはいくつか条件はありますが、節税効果を期待できます。今回は取締役の方にとってのiDeCoの加入条件とメリットを解説します。

取締役、経営者の方には個人型確定拠出年金(iDeCo)がおすすめな理由

最近、iDeCoという言葉をよく耳にする機会が増えましたよね。


個人型確定拠出年金の愛称で親しまれ、iDeCoの加入者は年々増加傾向にあると言われており、国民年金の保険料を納付していれば、誰でも加入することができます。


そんな話題の個人型確定拠出年金(iDeCo)ですが、取締役や経営者の方にも加入するメリットがあることをご存知ですか?


加入できる条件はあるものの、上手く活用することができれば、税制面をはじめ、さまざまなメリットを享受できるかもしれません。


そこで、この記事では、取締役や経営者の個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入について

  • 取締役、経営者の個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入条件について
  • 取締役、経営者が個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入するメリットについて

以上のことについて解説してきます。


この記事を読んでいただければ、現在、企業の取締役や経営者の立場にあり、これから個人型確定拠出年金(iDeCo)への加入を検討している方の参考になるかと思います。


ぜひ最後までご覧ください。

取締役、役員の個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入できる条件

取締役や役員の方は、原則として厚生年金の第2号被保険者に分類され、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入条件としては、次のように定められています。


  1. 60歳未満であること
  2. 厚生年金に加入していること
  3. 企業型確定拠出年金の加入対象者は、規約に個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入できる旨が定められていること

加えて、企業型の加入者である場合と、個人型の加入者である場合とでは、1年間あたりの拠出限度額が変わってきます。


第2号被保険者は、主に会社と雇用契約を結んでいる従業員が対象であるため、取締役や役員の場合、これらの加入条件に加えて、以下のことについて注意をする必要があります。

取締役は個人型確定拠出年金(iDeCo)もしくは企業型確定拠出年金のどちらかしか加入できない

企業型確定拠出年金の規約では、役員の加入が対象外である旨が定められていることがあるため、取締役のような役員就任時には、資格喪失に伴い、個人型確定拠出年金(iDeCo)への移管手続きが必要になることがあります。


会社と雇用契約を結んでいる従業員と比べ、会社と委任契約を結んでいる取締役は、規約に定めがない限り、個人型確定拠出年金(iDeCo)か企業型確定拠出年金のどちらか一方しか加入することができないのです。

ただし小規模共済や国民年金基金に加入していても確定拠出年金には加入できる

国民年金基金との併用は認められてないものの、小規模共済との併用は認められており、小規模企業の取締役や役員の方は、小規模共済と確定拠出年金の両方に加入することができます。

どちらの場合も、掛け金が全額所得控除の対象になるため、保険料を支払った分だけ所得税を計算する際の所得金額が小さくなり、節税効果を期待することができます。

取締役、経営者が個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入するメリット


取締役や経営者が確定拠出年金に加入するメリットとしては、次のようなものがあります。

  1. 個人型確定拠出年金(iDeCo)への加入による大幅な節税効果
  2. 企業型確定拠出年金への加入による社員の節税効果
どちらの場合も、所得控除の対象になるため、節税効果を期待することができます。

では、具体的にどのくらい金額が変わってくるのか見ていきましょう。

大幅な節税が期待できる

第2号被保険者の個人型確定拠出年金(iDeCo)では、通常、拠出金額の上限を次のように定めています。
個人型確定拠出年金(iDeCo) 月々の拠出金額上限  年間の拠出金額上限  
第2号被保険者 23,000円276,000円

例えば、仮にある企業の取締役Aさんが、年間1,200万円の役員報酬を受け取り、月々23,000円を拠出していた場合には、下記のような節税効果が期待できることになります。


【個人型確定拠出年金(iDeCo)で月々23,000円を拠出していた場合】

  • 給与所得1,200万円 給与所得控除額220万円
  • 課税所得=1,200万円−220万円−38万円−27万6千円=914万4,000円
  • 所得税=914万4,000円×33%−153万6,000円=148万1,520円
  • 住民税=914万4,000円×10%=91万4,400円
  • 税額合計(所得税+住民税)=239万5,920円


【個人型確定拠出年金(iDeCo)を利用しなかった場合】

  • 課税所得=1,200万円−220万円−38万円=942万円
  • 所得税=942万円×33%−153万6,000円=157万2,600円
  • 住民税=942万円×10%=94万2,000円
  • 税額合計=(所得税+住民税)=251万4,600円


節税効果=251万4,600円−239万5,920円=11万8,680円


結果として、11万8,680円という大幅な節税効果が期待できるでしょう。


ただし、原則60歳を迎えるまで個人型確定拠出年金(iDeCo)を解約できないことには注意が必要です。

企業型確定拠出年金に加入すれば取締役だけじゃなく社員の節税にもなる

また、企業型確定拠出年金では、加入している企業だけでなく、その企業の社員に対してもメリットがあります。


というのも、企業型確定拠出年金に加入するメリットは、厚生年金制度における健康保険料の金額の目安となる標準報酬月額が少なくなることにあるからです。


厚生年金の健康保険料は、基本的に会社と折半であるため、支払う保険料が安くなることで会社と社員の両方に節税効果が現れることになるのです。

まとめ

取締役や経営者の個人型確定拠出年金(iDeCo)について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは、

  • 取締役や経営者の方は、規約によって個人型確定拠出年金(iDeCo)か企業型確定拠出年金のどちらか一方しか加入できないが、小規模共済との併用は可能である
  • 確定拠出年金は個人型、企業型のどちらも大幅な節税が期待できる

です。


取締役や経営者の方であっても、個人型確定拠出年金(iDeCo)を利用することによって、大きなメリットについてご理解いただけたかと思います。


また、企業型確定拠出年金も同様にメリットがあることから、個人にとってだけでなく、会社にとって、どちらの方がよりお得なのか検討してみることをおすすめします。


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