更新日:2022/04/01
医療保険で生じる税金の有無と医療費控除の仕組みをプロが徹底解説!
急なケガや病気にも医療保険で備えておけば一安心。しかし「保険から給付を受けたけど税金はかかる?」「医療費をさらに抑えられる方法は?」と気になる方もいるのではないでしょうか。医療保険にかかる税金や医療費控除について、うまく利用するコツもあわせて解説していきます。
内容をまとめると
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 医療保険の給付金で非課税なケース
- 医療保険の給付金で課税されるケース
- 医療保険の受取人の種類に応じた4パターンの税金のかかり方
- パターン①:入院・通院給付金を被保険者が受け取った場合
- パターン②:入院・通院給付金を親族が受け取った場合
- パターン③:死亡保障金を受け取った場合
- パターン④:満期保険金を受け取った場合
- 医療費控除の仕組み・計算方法
- 給付金を受け取った場合は医療費から差し引いて計算する
- 年間所得200万円未満なら「所得金額×5%」の超過分を控除
- 医療費控除額は年間200万円までが上限
- 医療費控除の対象
- 医療費控除を申請するときの手続き・必要書類
- 【注意】給付金の確定申告は忘れないようにしよう!
- セルフメディケーション税制の保障内容
- 医療費控除とセルフメディケーション対象額ごとの使い分け
- 医療費控除のかしこい使い方を4つのポイントで紹介!
- ポイント①:医療費はできるだけ同一年内で支払う
- ポイント②:医療費控除は家族単位で利用する
- ポイント③:家族の稼ぎ柱が医療費控除を申請する
- ポイント④:5年前までの申請し忘れた医療費控除も申告する
- まとめ:医療保険選びで不安や疑問があればプロに相談しよう!
目次
医療保険の給付金で非課税なケース
医療保険で受け取ることのできるお金は2種類あります。それは給付金(何度も支払われる可能性のあるもの)と保険金(一度のみ支払われるもの)です。
給付金は基本的に税金がかかりませんが、保険金は税金がかかります。
まずは医療保険の給付金で非課税となるケースを見ていきましょう。病気やケガをした際に支払いを受けるものに関しては非課税です。
非課税となる給付金には以下のようなものがあります。
- 入院給付金
- 手術給付金
- 通院給付金
- 障害給付金
- 先進医療保険金
- 介護給付金
- 高度障害保険金
- がん診断給付金
- 三大疾病保険金
- リビング・ニーズ特約保険金
- 就労不能給付金
これは一部の例で、ほかにも該当する給付金がたくさんあります。
医療保険の給付金で課税されるケース
つぎに、医療保険の給付金で課税されるケースについてです。
給付金は先ほど非課税であると申し上げましたが、場合によっては課税対象となることもあります。
それは以下のような場合です。
- 受け取った給付金を遺族が相続したとき
- 生存給付金や健康祝い金を受け取ったとき
医療保険の受取人の種類に応じた4パターンの税金のかかり方
まず、医療保険には三者が関係しています。それは「契約者」「被保険者」「受取人」です。
用語 | 説明 |
---|---|
契約者 | 保険の契約者 |
被保険者 | 保険の対象者 |
受取人 | 保険金/給付金の受取人 |
契約者はその名の通り、保険を契約する人のことです。
被保険者とは、ケガや病気をした際に保険の対象となる人です。
受取人とは、給付金や保険金を受け取る人のことを指します。
販売されている多くの医療保険で、受取人=被保険者となっています。被保険者となれるのは、契約者本人か契約者と血縁関係のある人となっています。
被保険者になれる人
- 契約者本人
- 契約者の配偶者
- 二親等以内の血族
二親等以内の血族とは、子・兄弟・祖父母・孫を指します。保険の受取人になる人によって、税金のかかり方が違ってきます。
パターン①:入院・通院給付金を被保険者が受け取った場合
医療保険からの入院・通院給付金を被保険者が受け取った場合は非課税となります。
所得税法施行令第30条では身体の傷害に基因して支払を受けるものに関しては非課税と定められています。非課税のため税金の申告は不要です。
パターン②:入院・通院給付金を親族が受け取った場合
医療保険から支払われる入院・通院給付金を親族が受け取った場合はケースによって分かれます。
まず税金がかからないパターンを見ていきましょう。それは生計を共にする直系の血族が給付金の受取人になっている場合です。(配偶者・子供など)この場合は非課税となります。
つぎに税金がかかるパターンを見ていきます。それは受取人以外が入院・通院給付金を受け取った場合です。この場合は課税されます。先の項目でも出てきましたが、遺族が給付金を相続した場合などがそれにあたります。
パターン③:死亡保障金を受け取った場合
これまでは、医療保険から何回も支払われる可能性のある給付金について詳しく見てきました。
これに対して死亡保証金は一度しか支払われない保険金にあたります。先に申し上げたとおり、給付金は基本非課税ですが保険金は課税されます。そのため死亡保証金は税金がかかります。
かかる税金の種類は医療保険の契約者・被保険者・受取人の関係によって変わります。
- 契約者と被保険者が一緒のとき
- 契約者と受取人が一緒のとき
- 契約者・被保険者・受取人が全てちがうとき
契約者 | 被保険者 | 受取人 | 税の種類 |
---|---|---|---|
夫 | 夫 | 夫 | 相続税 |
夫 | 妻 | 夫 | 所得税 |
夫 | 妻 | 子 | 贈与税 |
2.契約者と受取人が一緒のとき
契約者と受取人が一緒のときは、所得税の対象です。たとえば契約者と受取人が夫で、被保険者が妻である場合などが該当します。
3.契約者・被保険者・受取人が全てちがうとき
契約者・被保険者・受取人が全てちがうときは、贈与税の対象です。たとえば契約者が夫で被保険者が妻、受取人が子供の場合などが該当します。
パターン④:満期保険金を受け取った場合
満期保険金も死亡保証金と同じく医療保険からの保険金という扱いになります。そのため課税対象となります。
こちらも医療保険の契約者・被保険者・受取人の関係によって、かかる税金の種類が違います。
- 契約者と受取人が一緒のとき
- 契約者と受取人がちがうとき
契約者 | 受取人 | 税の種類 |
---|---|---|
夫 | 夫 | 一時所得 |
夫 | 妻 | 贈与税 |
1.契約者と受取人が一緒のとき
契約者と受取人が一緒のときは、一時所得の対象となります。たとえば契約者が夫、受取人が夫などの場合が該当します。
2.契約者と受取人がちがうとき
契約者と受取人がちがうときは、贈与税の扱いになります。たとえば契約者が夫、受取人が妻といった場合が該当します。
医療費控除の仕組み・計算方法
医療費控除とは1年間に10万円を超える医療費をはらった際に受けられる控除のことです。
その年の1月1日~12月31日の期間に本人や家族にかかった医療費が一定額を超えると、その費用に対応した金額を所得から差し引くことができます。
医療費控除の計算式は以下のようになります。
医療費控除(200万限度)=医療費合計(保険金などの補填を除く)-10万円 または 総所得金額の5%超過分(総所得金額200万円以下の場合)
この計算式で出した医療費控除に所得税率と住民税率をかけて還付金を計算します。
医療費控除による所得税の還付金
医療費控除による所得税の還付金=医療費控除額×所得税率
所得税率は以下のようになります。(平成27年分以降)
課税される所得金額 | 税率 |
---|---|
1000円 から 194万9000円まで | 5% |
195万円 から 329万9000円まで | 10% |
330万円 から 694万9000円まで | 20% |
695万円 から 899万9000円まで | 23% |
900万円 から 1799万9000円まで | 33% |
1800万円 から 3999万9000円まで | 40% |
4000万円 以上 | 45% |
国税庁HPをもとにほけんROOMが作成
医療費控除による住民税の還付金
医療費控除による住民税の還付金=医療費控除額×10%
たとえば課税所得金額が400万円で年間医療費が20万円、給付金が3万円あった場合(総所得金額は200万円以上)
医療費控除額は
20万円-3万円-10万円=7万円
還付される所得税の額は
7万×20%=1万4000円
還付される住民税の額は
7万×10%=7000円
となり、合計で2万1000円の税金還付を受けることができます。
給付金を受け取った場合は医療費から差し引いて計算する
医療費控除額は医療費から保険などで補填された金額を差し引いて計算しなければいけません。つまり、純粋に自分で支払った金額のみが控除の対象となります。どのようなものが補填にあたるのでしょうか。
補填の例
- 保険会社などからうけとった金額
- 社会保険から支給された給付金
- 医療費への賠償金
- 互助組織からもらった給付金
1つずつ詳しく見ていきましょう。
1.保険会社などから受け取った金額
生命保険や損害保険から支払われた保険金・給付金が該当します。
2.社会保険から支給された給付金
たとえば、高額療養費や出産育児一時金などが該当します。
3.医療費への賠償金
事故にあったときに相手から治療費として支払われた金額などが該当します。
4.互助組織からもらった給付金
会社からのお見舞金やお祝い金が該当します。
これらの補填は医療費から差し引いて医療費控除額を計算する必要があります。
年間所得200万円未満なら「所得金額×5%」の超過分を控除
先ほど医療費控除は医療費が年間10万円を超えたときに利用できるとお伝えしました。
ですが10万円という金額は、所得の多さによって価値が変わってきます。所得が少ない方にとっては10万円は重い負担となります。
そのため年間の所得金額が200万円未満の方は医療費総額が10万円に満たなくても医療費控除を利用できます。
その年の医療費が「所得金額×5%」を超えていれば、その超過した分を控除できるようになっています。
例えば所得100万円の場合
100万円×5%=5万円
年間の医療費が5万円を超えた際は、医療費控除を受けることができます。
医療費控除額は年間200万円までが上限
現在日本は少子高齢化によって医療費が国家の財政を圧迫しています。医療費の削減は重要な課題となっています。そのため医療費控除は無制限ではありません。
所得税法で医療費控除は年間200万円までというルールが設けられています。長期的な入院や通院で医療費がかさんだ場合でも200万円までならば控除できます。
とはいえ、一度の治療で莫大な医療費がかかってくることもあります。
その際は公的医療保険で高額療養費制度を利用することも可能です。これは1か月の医療費自己負担額が上限額を超えた場合、その超過分を支給する制度です。
医療費控除とともに医療費の負担を和らげることのできる制度となっています。この上限額は年齢や所得によって異なってきます。合わせて確認しておくとよいですね。
医療費控除の対象
医療費に含まれるのは治療費だけではありません。病院への交通費や処方された薬代などさまざまな物がかかってきます。
医療費控除の対象となるものもあれば、対象外のものもあります。簡単にいえば病気やケガの治療に関する費用に関しては控除対象になります。反対に治療以外の用途のもの、たとえば美容関係や健康診断などは控除対象外です。詳しく見ていきましょう。
医療費控除の対象となるもの
- 医師に支払った診療費や治療費
- 入院中の食事代(病院が提供したもの)
- 入院・通院のための交通費(バスや電車など)
- 入院中の部屋代
- 分娩費用
- 妊婦検診の自己負担額
- 虫歯治療
- 歯列矯正(治療のためのもの)
- レーシックの手術費
- 医師の処方により購入した医薬品
- 病気やケガの治療のため購入した市販の医薬品
医療費控除を申請するときの手続き・必要書類
医療費控除を受けるには確定申告が必要となります。その必要書類と手続きの方法を見ていきます。
必要書類
- 1年間で支払った医療費の領収書や医療費通知
- 1年間で得た給付金の金額がわかるもの
- 医療費控除明細書
- 確定申告書Aまたは確定申告書B
医療費控除明細書は国税庁のHPから印刷するか、直接税務署にいけば貰うことができます。確定申告書は税務署や確定申告会場、市区町村担当窓口で配布されています。
医療費控除のための手続き
- 医療費控除の対象となるか確認し、控除額を計算
- 医療費控除の明細書を作成
- 医療費控除の明細書を確定申告書とともに税務署へ提出
1.医療費控除の対象となるか確認し、控除額を計算
まず医療費の領収書や通知書、支給された給付金が分かる書類を用いて医療費控除額を計算しましょう。
年間所得200万円以上の場合は1年間の医療費が10万円を超えるとき。
年間所得200万円以下の場合は1年間の医療費が総所得金額×5%を超えるとき。
それぞれ医療費控除の対象となります。ここで注意しなければならないのは、医療費控除額は自分だけでなく生計を共にする家族の医療費を合算できるという点です。
2.医療費控除の明細書を作成
医療費の領収書・通知書と保険などの給付金が分かる書類をもとに、詳細を医療費控除の明細書に記入します。
医療を受けた方の氏名、病院薬局などの支払先の名称、支払った医療費の額、保険からの補填額を項目ごとに記載していきます。最後に医療費の総計、控除額の計算を行います。
3.医療費控除の明細書を確定申告書とともに税務署へ提出
作成した医療費控除の明細書と確定申告書を所轄税務署に提出します。所轄税務署は国税庁のHPから調べることができます。
医療費控除の明細書を作成したあとも、医療費の領収書や通知書は破棄してはいけません。医療費控除の明細書が正確なのか確認するため、税務署から提出を求められることがあります。そのため医療費の領収書や通知書は5年間保管するようにしましょう。
【注意】給付金の確定申告は忘れないようにしよう!
医療費控除を計算するには手間がかかります。 とくに医療保険からの給付金は、差し引き忘れて計算することが多いです。
しかし誤った金額を申告すると「過少申告加算税」が課されてしまいます。
過少申告加算税の計算式
過少申告加算税=追加の税金×原則10%
本来支払うはずだった税金より、多くの税金が課されることになります。
さらに、意図的に虚偽報告をすればペナルティが待っています。それは「延滞税」と「重加算税」です。延滞税は期限を過ぎて支払った税金に対してかかります。
その税率は期限から遅れた日数によって異なります。
- 期限の翌日から2か月間:原則7.3%
- 上記の翌日以降:原則14.6%
重加算税は不正が発覚した場合に支払わなければいけない税金です。税率は以下のように決められています。
- 確定申告が期限内におこなわれている場合:35%
- 確定申告が期限を過ぎておこなわれた場合:40%
重加算税には重い税金が課されているのが分かります。面倒ですが、しっかりと給付金は計算していきましょう。
セルフメディケーション税制の保障内容
セルフメディケーション税制は平成29年に新設されました。これは政府が医療費の削減を目指し、軽度な体の不調は自分で治療できるようにと設置しました。
セルフメディケーション税制では一般医薬品の購入額が一定額を超えたとき、その超過分の金額が課税所得から差し引かれます。具体的にみていくと、一般医薬品を購入した金額が一年間で1万2000円を超えたときに所得控除を受けることができます。
これも医療費控除と同じく、本人だけでなく生計を同一とする家族の金額も合算できます。控除額の上限金額は年間8万8000円になっています。
そして控除の対象となるのは一般医薬品の購入のみです。一般医薬品も全て対象になるわけではなく、セルフメディケーション税控除対象マークがついている物のみが控除の対象となります。セルフメディケーション税制の利用には一般医薬品を購入したレシートが必要となるので、忘れずにとっておきましょう。
また、セルフメディケーション税制を使う場合は下記のいずれかを受けている必要があります。
- 特定健康巡査
- 予防接種
- 定期健康診断
- 健康巡査
- がん検診
セルフメディケーション控除は医療費控除と併用することができません。どちらか選択する必要があります。
医療費控除とセルフメディケーション対象額ごとの使い分け
では、医療費控除とセルフメディケーションはどのように選択すればよいのでしょうか。
まず医療費控除とセルフメディケーションの違いを表にまとめました。
医療費控除 | セルフメディケーション税制 | |
---|---|---|
対象額 (年間) | 10万円以上 | 1万2000円以上 |
控除費上限 | 200万円 | 8万8000円 |
対象となる 費用 | 控除対象となっている医療費 | 控除対象となっている一般医薬品 |
控除の条件 | なし | 特定健康巡査 予防接種 定期健康診断 健康巡査 がん検診 のいずれかを受けている |
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医療費控除とセルフメディケーションの使い分けはパターンによって変わります。
- 医療費が10万円以下で、セルフメディケーション対象額が1万2000円以下
- 医療費が10万円以下で、セルフメディケーション対象額が1万2000円~10万円
- 医療費が10万円~18万8000円で、セルフメディケーション対象額が1万2000円~10万円
- 医療費が18万8000円~で、セルフメディケーション対象額が10万円~
1.医療費が10万円以下で、セルフメディケーション対象額が1万2000円以下。
この場合は医療費控除とセルフメディケーションどちらも対象外です。
2.医療費が10万円以下で、セルフメディケーション対象額が1万2000円~10万円。
この場合はセルフメディケーションが対象となります。
3.医療費が10万円~18万8000円で、セルフメディケーション対象額が1万2000円~10万円。
この場合は医療費控除とセルメディケーションを比較して、控除額が大きい方を選択します。
4.医療費が18万8000円~で、セルフメディケーション対象額が10万円~
この場合は医療費控除を選択すれば控除額が大きくなります。
これらをまとめると次の表のようになります。
選択 | |
---|---|
医療費10万円以下/ セルフメディケーション 対象額1万2000以下 | セルフメディケーションと 医療費控除 どちらも対象外 |
医療費10万円以下/ セルフメディケーション 対象額1万2000~10万円 | セルフメディケーションを 選択 |
医療費10万~18万8000/ セルフメディケーション 対象額1万2000~10万円 | セルフメディケーションと 医療費控除 控除額が 大きい方を 選択 |
医療費18万8000~/ セルフメディケーション 対象額10万円~ | 医療費控除を 選択 |
医療費控除のかしこい使い方を4つのポイントで紹介!
医療費控除を利用できれば総所得が下がり、所得税と住民税が少なくなります。また控除額が大きくなるにともなって所得税と住民税の減税額も上がります。
では医療費控除を上手く利用するためのポイントを見ていきましょう。
ポイント①:医療費はできるだけ同一年内で支払う
医療費控除はその年の1月1日〜1月31日までの医療費が対象です。
医療費控除は年間の医療費が10万円を超えたときか、総所得の5%を超えたときに利用できます。なので、なるべく同じ年に医療費をまとめた方が申請しやすくなります。
たとえば通院をなるべく年内に収まるように調整したり、できる限り薬をまとめて処方してもらったりします。自分だけでなく家族の医療費も合算できるので、同じように家族も診察や薬の処方は年内に収めたほうがよいです。
ただし未払いの医療費があった場合は、実際に払った年の医療費という扱いになるため注意してください。
ポイント②:医療費控除は家族単位で利用する
医療費控除では自分だけでなく生計を共にする親族(配偶者・子ども・両親など)の医療費を合算して申告できます。この親族は扶養家族でなくとも大丈夫です。
たとえば年間医療費が 父:2万円、母:5万円、子:4万円であった場合。
1人では年間10万円に届きませんが、合算することで年間医療費11万円となり医療費控除の対象となります。
ただし、この医療費はあくまで実際に自分が負担したものに限られます。小児医療費助成などで費用が発生しなかった場合は医療費に算入できませんので注意してください。
ポイント③:家族の稼ぎ柱が医療費控除を申請する
医療費控除は課税所得が高いほど税率が高くなり、所得から控除できる金額があがります。 すると所得税や住民税がさらに減税されます。 つまり一番所得を稼いでいる人が医療費控除を申請したほうが、減税額がおおきくなります。
たとえば
夫:課税所得500万、年間医療費10万円
妻:課税所得250万、年間医療費10万円の場合。
医療費控除額は
20万円-10万円=10万円
夫が医療費控除を申告した場合は
住民税還付額=10万円×20%=2万円
所得税還付額=10万円×10%=1万円
となり合計で3万円の税金還付を受けることができます。
いっぽう妻が医療費控除を申告した場合は
住民税還付額=10万円×10%=1万円
所得税還付額=10万円×10%=1万円
となり合計で2万円の税金還付を受けます。
所得金額の多い夫が医療費控除を申告した場合は3万円の節税になり、所得金額の少ない妻が申告した場合は2万円の節税になります。
このとおり、医療費控除額がいっしょでも申告する人によって減らせる税金の額が異なります。そのため収入が多い方が医療費控除を申請するようにしましょう。
ポイント④:5年前までの申請し忘れた医療費控除も申告する
確定申告の期限は翌年の3月15日までになります。この日までに基本的に医療費控除の申請も行わなければなりません。
しかし医療費控除は5年間さかのぼって申請することが可能です。忙しくて期限内に医療費控除申請ができなかったときや、医療費の領収書をあとから発見してしまったとき。
5年以内ならば医療費控除を申請することができます。超過して払った税金の還付を受けられます。
確定申告していない年の医療費控除申請を行う場合は、確定申告書と医療費控除明細書を提出すれば大丈夫です。
ただし確定申告している年は「更正の請求」という手続きが必要となります。更正の請求書や修正申告書は税務署で手に入れることができます。
まとめ:医療保険選びで不安や疑問があればプロに相談しよう!
この記事では医療保険で生じる税金と、医療費控除について解説していきました。しかし正直仕組みが複雑で不安という方もいらっしゃると思います。
自分は医療費控除の対象なのか?セルフメディケーションとどちらがお得なのだろうか。
医療保険からお金が支払われたけど税金はかかるのだろうか。
節税したいけど、どのように医療保険を選べばよいか分からない。
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