更新日:2022/12/28
出産手当金に税金はかかるの?産休、育休中の手当の税金について解説!
出産手当金や育児休業給付金等、出産に関する手当には基本的に税金はかかりません。そのため、産休、育休中は税金上の扶養に入ることも出来ます。この記事では、出産手当金と税金に関する知識や年末調整について分かりやすくまとめています。
目次を使って気になるところから読みましょう!
出産手当金に税金はかかるのか
出産手当金を初めてもらう人は、所得税や住民税などの税金はかかるのかわからない人も多いでしょう。
結論から言うと、出産手当金は非課税なので税金はかかりません。
しかし、初めて給付を受ける人は、知識がないと戸惑ってしまうこともあるでしょう。
それでは、出産手当金を受け取るときはどのようなポイントがあるのでしょうか。
それは、住民税は前年の所得分は払わなくてはいけないことや、出産手当金は所得計算には含めないことなどです。
そこで、この記事では「出産手当金の税金」について、
- 出産手当金は非課税なので税金は引かれない
- 産休中も住民税の支払いは必要
- 産休・育休中は扶養に入ることができる
- 年末調整の所得と税金の関係性
以上のことを中心に解説していきます。
この記事を読んでいただければ、出産手当金を受け取る際の役立つかと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
出産手当金は原則非課税なので税金が引かれることはない
一般的な会社員であれば、健康保険や雇用保険に加入していることでしょう。
このような人が産休を取得した場合は、出産手当金という一定額の給付を受けることができます。
しかし、初めて出産手当金を受け取った場合は税金がかかるのか不安に思う人もいるかもしれません。
出産手当金は、所得税や住民税は非課税となっています。
そのため、配偶者控除の際に使う所得には含まれません。
ここでは、
- 出産手当金と所得税・住民税の関係
- 育児休業給付金も課税対象外であること
について説明します。
一つずつ確認していきましょう。
出産手当金に所得税、住民税は課税対象外
出産手当金に所得税や住民税などの税金はかかりません。
産休を取ると、ほとんどの会社が給料を支払わなくなるので収入がなくなってしまいます。
しかし、収入がなくなってしまうと、ちゃんと生活ができるのか、出産費用は払えるのかなどお金に関する不安な面が出てくるでしょう。
産休や育休を取得した場合は、安心して出産・子育てができるような支援制度があります。
勤務先の健康保険に加入していて、産後も仕事を継続する予定の人が産休や育休を取得すると、安心して子供を産んで育てるためのお金をもらうことができます。
産休中には、
- 出産手当金
- 出産育児一時金
が給付されます。
育休中には、
- 育児休業給付金
が給付されます。
この中の産休中にもらえる出産手当金は、非課税なので税金はかかりません。
産休とは、原則としては出産を挟んで産前42日、産後56日の休みのことを言います。
この期間は、加入している健康保険から出産手当金が給付されることになります。
出産手当金の計算方法は、
月給÷30=日給
(日給×2/3)×産休した日数
です。
出産手当金の計算ツールを利用すると簡単に計算することができます
育児休業給付金も課税対象外
多くの人が産休を取得した後、続けて育休を取得します。
育休を取っている間も、ほとんどの場合で給料がもらえません。
そこで、加入している雇用保険から育児休業給付金をもらうことができます。
育児休業給付金も課税対象外となっています。
育児休業給付金で給付される金額は、期間によって違いがあります。
- 1日目〜180日目:月給×67%
- 181日目〜:月給×50%
それぞれに上限が設定されており、1日目〜180日目は28万円程度、181日目〜は21万円程度です。
上限の金額は毎年変わりますが、大きな違いはありません。
育児休業給付金も、計算ツールを使用することで簡単に計算できます。
こちらの計算ツールでは、育児休業給付金を計算する際に、
- 子どもが1歳の時点で職場に復帰する場合
- 子どもが1歳の時点で保育園に入園できない場合
- 子どもが1歳半の時点でも保育園に入園できない場合
の3つから選ぶことができます。
育児休業給付金は、原則として子どもが1歳になるまで受給できます。
しかし、保育園に通わせようと思っても、保育園の抽選に落ちてしまうこともあるでしょう。
すると、子どもが1歳になっても職場復帰することが難しくなります。
この場合は、育児休業の延長手続きを行うと受給期間を1歳半まで延長できます。
また、育児休業給付金の支払いは2ヶ月ごとです。
しかし、最初に給付金がもらえるのは4〜5ヶ月後になる場合があるので注意しましょう。
産休中も住民税の支払いは必要
さて、ここまで出産手当金や育児休業給付金にかかる税金について説明してきました。
出産手当金を給付されても、税金はかからないとご紹介しましたが、初めて給付を受ける人が間違えやすいポイントがあります。
それは、
- 産休中も住民税の支払いが必要になる
ということです。
住民税は後払い方式を採用しているので、前年度の所得分にかかる住民税は産休中でも支払う必要があります。
例えば、出産をして出産手当金を受け取ったとしても、昨年分の所得に対する住民税を支払う必要があるのです。
昨年の所得が低くなった場合は、翌年の住民税は安くなります。
ちなみに、産休・育休中でも会社から給料が出る場合は、産休・育休前と同じように住民税がかかります。
また、産休前は給料から住民税が天引きされていますが、産休中は納付書で納める必要があります。
会社によっては、住民税は産休前や育休明けにまとめて徴収される場合があるでしょう。
一般的には産休中でも住民税を支払う必要がありますが、自治体によっては住民税の減免措置がある場合があります。
次の項目では、
- 住民税の減免措置がある自治体もあること
について説明します。
住民税の減免措置がある自治体もある
産休中も、昨年の所得に応じて住民税が発生します。
しかし、自治体によっては前年度の収入から大幅に減ってしまい、住民税の支払いが厳しい場合は減額、または免除される場合があります。
減額か免除なので、減免と呼ばれています。
住民税は、前年度の所得に対して計算されていますが、税金の中でもかなり高い金額を支払っている人が多いのではないでしょうか。
給料から天引きされているので、支払っているという感覚があまり実感できないかもしれませんが、給料明細を見たときに「たくさん払っている」と感じる人も多いでしょう。
産休や育休に入って、収入がなくなってしまったときに高額の住民税の請求がきて困ってしまう人もいるでしょう。
そのような方は、自治体に確認してみることがおすすめです。
産休・育休中は「税金上の」扶養の入ることが出来る
さて、ここまで産休中の住民税について説明してきました。
共働きでバリバリ働いている人は、収入が多いので扶養に入ることができないという人は多いでしょう。
しかし、産休中は収入がなくなり、出産手当金も課税所得としてみなされないので配偶者控除を受けることができます。
控除には、「配偶者控除」と「配偶者特別控除」があります。
妻の給料年収が103万円以下の場合は「配偶者控除」となり、給料年収103万円超201万5,999円以下の場合は「配偶者特別控除」となります。
妻の年収が103万円以下の場合は配偶者控除を利用することができます。
産休が育休を使うと、収入がなくなってしまう人が多いでしょう。
そのため、働いていたときは年収が高いので控除を受けることができなかった人でも、産休や育休に入ると年収が103万円以下になる人も多いはずです。
また、妻の給料が年収103万円を超えても、年収201万5,999円以下までは配偶者特別控除を利用することができます。
例えば、1月から5月まで働いて、6月以降に産休を取得して仕事を休んだ場合は、5ヶ月分の給料なので年収103万円は超えてしまっても、201万円以下になる人は多いでしょう。
ちなみに、健康保険と厚生年金の社会保険については扶養になることはできません。
そのため、今まで通り自分の社会保険に加入し続けることになります。
次の項目では、
- 健康保険は扶養に入る必要がないこと
について説明します。
健康保険は、扶養に入る必要がない
産休を取得すると、自分が加入している健康保険から出産手当金をもらうことができます。
もちろん、産休や育休中も勤務先に在籍していることに変わりはありません。
そのため、社会保険は加入したままとなります。
健康保険や年金などの社会保険に関しては、扶養に入ることはできません。
つまり、社会保険は扶養にはならないけれど、所得税法は扶養になるという状態になるのです。
この状態を不思議に思う人もいるかもしれません。
しかし、適用される法律が違うので、起こり得ることなのです。
産休・育休中は社会保険上の扶養に入らなくても、今までの通り自分の健康保険や厚生年金に加入したままでも保険料の払い込みが免除されるので安心でしょう。
参考:年末調整における所得と税金の関係性
さて、ここまで産休・育休中は扶養に入れることについて説明してきました。
ここでは、
- 年末調整における所得と税金の関係性
について説明します。
配偶者控除や配偶者特別控除を年末調整でする場合は、年末調整の書類に書くだけで完了します。
所得税は1月から12月の給与で計算するので、産休に入った時期によって申請する所得が違ってきます。
この場合の給与とは、給与明細に書かれているもので、税金などが引かれる前のもののことです。
年間103万円以下の場合は、配偶者控除を利用しましょう。
年末調整をすることで所得税が返ってきます。
年間103万円から150万円以下の場合は、同様に配偶者控除を利用できます。
自治体によっては住民税が減額されたり、免除されたりする場合があります。
年間150万円以上201万円以下の場合は配偶者特別控除を利用しましょう。
配偶者特別控除は、2018年から制度が大きく変わり、配偶者の合計所得金額が123万円に引き上げられました。
年間201万円以上の場合は、配偶者控除や配偶者特別控除も利用することができません。
産休手当金に税金はかかるのかまとめ
出産手当金の税金について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回のこの記事のポイントは、
- 出産手当金に税金はかからないこと
- 育児休業給付金も税金はかからないこと
- 産休中も住民税の支払いは必要になること
- 産休・育休中は扶養に入ることができること
です。
健康保険や雇用保険に加入している人が出産のために休暇を取得した場合は、出産手当金が給付されます。
出産手当金は非課税となっているので税金はかかりません。
しかし、前年の所得分にかかる住民税は支払う必要があります。
また、出産手当金は会社からもらう給料とは違うので、所得としての計算に含めません。
共働きの夫婦でも、奥さんが産休や育休に入ったら配偶者控除を受けられる場合があるので、適用されるのか事前に検討しておくことが大切です。
産休や育休を取得した際の年末調整は非常に煩雑な作業ですが、産休・育休を取得する時期を確認して申請したり、扶養に入ったりすることで節税できるでしょう。
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