【先進医療のみ特化】先進医療保険の特徴・必要性をプロが徹底解説!

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特約部分としての取り扱いが多い先進医療。それが先進医療保険として単独商品の取り扱いがあるのをご存知ですか?公的医療保険があれば十分と聞くけど、本当に医療保険が要らないのか?先進医療保険をどう組み合わせたらいいか?公的医療保険の例を交えながら紹介していきます。

先進医療保険は先進医療の保障のみに特化した商品!



公的医療保険をはじめ民間の保険会社が運営している保険まで、保険の仕組みが複雑で「ちょっと知りたい」と思っても、難しく感じてしまってイマイチ理解できなかったりしませんか?


「日本は公的保障制度が充実しているから民間の医療保険は必要ない」と思っている方もいらっしゃることでしょう。


ただ、公的保障制度が全て治療に対応しているわけではありません。



先進医療も公的保障制度の対象外になる治療の一つになります。

先進医療とは?高度な医療技術で高額になりやすい

先進医療とは、厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養のことをいいます。先進医療は、公的医療保険の対象にするかを評価する段階にあるのです。


先進医療は公的保障制度の対象外となり、その費用のすべてが自己負担となります。また、厚生労働省の指定を受けた医療機関でのみ治療を受けることが可能です。


先進医療は第2項先進医療(先進医療A)と第3項先進医療(先進医療B)の2つに大別されます。


先進医療Aは未承認の医薬品、医療機器の使用を伴わない、また医薬品、医療機器の適応外使用を伴わない医療技術のことで、先進医療Bは未承認の医薬品、医療機器の使用を伴う、または医薬品、医療機器の適応外使用を伴う医療技術を指します。


2022年5月1日時点で86種類が登録されています。

先進医療保険と先進医療特約の違いは?

医療保険の主契約をベースに特約として付加するのが先進医療特約です。今まではこのスタイルが一般的で、独立した先進医療のみの保険はありませんでした。


今は、この特約のみでしか扱われなかった先進医療が、単独で月500円程度で加入することができる保険商品がでており、公的医療保険にプラスする事ができるようになっています。それが先進医療保険です。


先進医療保険のメリットとして

  • 主契約部分がないためコストが安い
  • 先進医療だけの保障がつけられる

主契約に月数千円・特約に数百円の医療保険より、500円程度で入れる先進医療保険の方が安く欲しい分だけの保険に入る事ができます。

先進医療保険のデメリットとして
  • 先進医療の対象となる病気は将来変わる可能性がある
  • 先進医療を生涯受けなければ掛け捨てたことになる

先進医療の対象となるかは時とともに変化しており、最新の情報を入手する必要があります。また、先進医療を受けることがなければ保険料を払っただけと感じてしまうかもしれません。

先進医療の対象となる病例と費用・施術確率


先進医療名件数(年間)平均費用
高周波切除を用いた子宮腺筋症核出術105約30万円
陽子線治療(ガン)
1285約265万円
重粒子線治療(ガン)683約319万円
ウイルスに起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断
(PCR法)
614約3万円
内視鏡的胃局所切除術5約21万円
MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法
(前立腺ガン)
1338約7.5万円
腹腔鏡下スリープ状胃切除術及び十二指腸空腸バイパス手術10約72万円

2020年7月1日~2021年6月30日までの先進医療の実績の報告をまとめた表です。

自己負担額が10万円以下の先進医療もありますが、ガンの治療である陽子線治療や重粒子線治療には平均して200~300万円超の多額の費用がかかっていることが分かります。

先述したように、先進医療には入れ替わりがあるため、治療を受ける時点で先進医療の登録から外れてしまった病気については対象とならず、給付金を受け取る事ができません。

例えば、過去先進医療に登録があった白内障の「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」は、2020年4月より先進医療から外れています。

先進医療を受ける確率はどのくらいになるのでしょうか。ここではガンの場合を例に考えてみます。
2017年の厚生労働省の患者調査によると、ガンによる入院患者数は約14万2200人です。
ガンについての治療である陽子線治療と重粒子線治療の件数から確率を算出してみると

(1285件+683件)÷14万2200人×100=1.38(%)

結果は1%程度となり、ガンにかかったとしても先進治療を受ける確率はかなり低いといえるでしょう。

ちなみに300万円以上の自己負担が必要な先進医療は下記のとおりです。

先進医療名件数(年間)平均費用
重粒子線治療 肝細胞がん6約332万円
重粒子線治療 非小細胞肺がん5約335万円
ゲムシタビン静脈内投与及び重粒子線治療の併用療法 膵臓がん5約342万円
ニボルマブ静脈内投与及びドセタキセル静脈内投与の併用療法
 進行再発非小細胞肺がん
8約462万円
重粒子線治療 直腸がん6約315万円
自己軟骨細胞シートによる軟骨再生治療 変形性膝関節症6約404万円
イマチニブ経口投与及びペムブロリズマブ静脈内投与の併用治療 進行期悪性黒色腫1約919万円
周術期デュルバルマブ静脈内投与療法 肺尖部胸壁浸潤がん2約609万円

公的保障制度を補うために先進医療保険に加入する事も一つの選択肢ですが、年間で39件とそれほど多くなく、実際に300万円を超える先進医療の治療を受けるのかは疑問に感じる部分ではあります。

先進医療特約を付加した医療保険が向いている人の2つの特徴


保険は大手から名前が知られていない外資のものまで種類はたくさんあり、公的医療保険の内容を把握した上で、先進医療保険を選択する人もいます。ですが、医療保険がなくても本当に安心できる状態でしょうか?


病気で何かがあった時に費用として思い浮かべやすいのが治療費や通院費の部分ですが、治療以外の費用についても考えておきましょう。


主に以下のようなものが治療以外に発生する費用です。

  • 差額ベッド代
  • 食事代
  • 交通費
  • 快気祝い
これらは全額自己負担となります。

さらに長期の入院となると負担も大きくなります。ここでは、医療保険をベースに先進医療特約を付けるべき人のポイントを上げていきます。


また、以下の記事「民間医療保険の必要性」で年代や性別、備えたい病気などによって、どういった医療保険が必要であるかを詳細に解説していますので、自分に合った保障や特約を詳しく知りたいという方は是非ご覧いただければと思います。

特徴①:数ヶ月程度の長期入院に備えたい

長期治療で有効な公的医療制度

長期入院で支給される公的保障制度は2種類あります。


高額医療制度69歳以下の場合、高額療養費は所得区分によってかわりますが年収約370~約770万円までの方なら、約8万円の自己負担になります。


所得区分ひと月の上限額
年収約770~約1,160万円167,400+(医療費―558,000)×1%
年収約370~約770万円80,100+(医療費-267,000)×1%
~年収約370万円57,600
出典:厚生労働省高額療養費制度を利用される皆様へ平成30年8月診療分より一部抜粋


傷病手当は健康保険に加入していて条件がはまれば、1年6カ月の期間を月収の約3分の2が保障されます

  • 業務外の病気やケガで療養中であること
  • 療養のために労務不能であること
  • 4日以上仕事を休んでいること
  • 給料の支払いがないこと
傷病手当の計算式

傷病手当=(支給開始日の以前12カ月間の各標準報酬月額を平均した額)*÷30日×2/3

*支給期間が1年に満たない場合は次のいずれか低い額を使用して計算

  1. 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
  2. 標準報酬月額の平均額

(参照:全国健康保険協会)


長期治療における医療保険の必要性

1ヶ月以内の短期治療に対して目がいきがちですが、長期で考えたときには医療保険の必要性は大きく感じます。


例えば、月収30万円の方が1カ月の長期入院した場合


治療費以外に関わる費用や自己負担の合計額38万円

  • 保障以外の費用(差額ベット・食事・アメニティ用品/1日10,000円)30万円
  • 高額療養費の自己負担部分 8万円
会社員だった場合、傷病手当金20万円
  • 傷病手当が月収30万円の約2/3支給 20万円
計算していくと、18万円の赤字になります。

これが、3ヶ月以上の長期間になると、50万以上の費用が必要になり、さらに収入や貯蓄の少ない20代~30代だった場合、治療費の支払いがより重くのしかかってきます。

もし、医療保険に入っていたとしたら…
例えば入院日額保障(1日8,000円の場合)に入っていたら、24万円の保険金の支払いがあり、さらに手術をしていたら、手術給付金として8万円(入院日額10倍の場合)として受け取ることができます。

医療保険に入っていたら、公的保障制度の対象とならない費用を給付金でまかなえる事ができますし、特約で先進医療をつければより安心ですね。

さらに、傷病手当が支給される1年6カ月の期間以上の保障が欲しい方や傷病手当など公的保障制度の加入がない自営業者には、就業不能保険など収入の保障をしてくれる保険もあるので、気になる方は、これらも検討してみてはいかがでしょうか。

長期治療による収入の減少に備える

長期入院の必要性があるということは、かなり大きな病気である可能性が高いです。治療によって退院することができるぐらいに回復した場合でも、入院前と同じような働き方ができないことも考えられます。

入院前はフルタイムの正社員として勤務していた方が時短勤務にしたり、勤務形態を変えたりすると、収入の減少が考えられます。また、入院する前は残業を多くしていたが、体調を考慮すると残業も控えるようになると手取り給与額は減ることになります。

退院はできたものの、通院が続くようなケースでは最悪の場合、会社を辞めなければならない可能性もあります。

医療保険には、三大疾病の場合の一時金や通院にかかる費用についての保障もつけることができますので、ご自身の予算も考えながら検討してみるとよいでしょう。

特徴②:病気の罹患前後の経済的かつ精神的負担を減らしたい

会社員としてお給料を定期的にもらえるとはいえ、【先進医療特約を付加した医療保険に加入すべき人 特徴①】の計算から月18万円の出費は経済的に負担です。


また、高額医療制度は申請から2~3ヶ月の期間が必要で、給付金として手元に戻ってくるには時間がかかります。


一時的ではあっても、突然的な支払いは精神的に負担となり、その後も通院するなど長期にわたっての療養が必要になるなら、なおさら心配になります。


身体が若く、健康で、病気になる可能性を感じにくい20代~30代の方でも注意が必要です。働き始めたばかりだと、収入は少ないので医療費に充てることができる貯蓄を備えられている人は少ないでしょう。まとまったお金を支払う事は大きなリスクとなります。


また、医療保険に加入する際には保険会社に対して、自身の健康状態を「告知」する必要があり、健康でないと保険に加入できないことも考えられます。また、加入できたとしても健康な人と比較すると良くない条件での加入となります。


家族がいる場合には、独身の人と比較して保障を充実させておく必要があります。パートナーに収入がない場合は2人分の生活費を考えなくてはなりません。子どもがいる家庭では、子どもの教育費や習い事の費用にも備えておきたいところです。


公的保障制度だけで十分とメディアやインターネットで見聞きしますが、十分な収入を得ているのか?突発的な支払にも耐えれる蓄えがあるのか?情報に惑わされず自分自身の資産状況と実際にかかる費用を冷静に見ていく必要があります。


資産状況、ライフスタイルや家族構成などにより病気になった場合の負担も大きく変わってきます。


現状を知った上で、健康なうちに医療保険などで備えておけば、もしもの病気やケガになった時にも安心できます。また、保険掛金が数千円で入れる医療保険もあるので、収入に見合った商品を選べば、毎月の掛け金の負担の心配はありません。

先進医療保険のみが向いている人の2つの特徴


ここまでは、医療保険の必要性についてお話してきました。逆に医療保険がいらない人はどんな人でしょうか?


公的医療保険のみで医療保険はいらないと言っている人でも、先進医療保険は必要と考えていることもあります。理由は、ガンでの先進医療を受診する際は保険適用外となり、約200万円以上は自分負担となる可能性があるからです。


今まで医療保険の特約部分でしか見かける事のなかった先進医療の保障が、単独で先進医療保険の商品となっているものもあります。


「医療保険は必要ない。ただ、先進医療を受けた場合については高額になるから心配だな。」と先進医療への保障は欲しいが、そのほかの治療費については問題ないと考えている人は前向きに検討できるのではないでしょうか。


では、医療保険に入らず、公的医療保険と先進医療保険のみで大丈夫な人はどんな特徴があるのか?具体的にみていきましょう。

特徴①:医療費に充てる余裕のある貯金が100万円程度ある

先ほどの、【先進医療特約を付加した医療保険に加入すべき人 特徴①】の例で、差額ベット代や食事代などの出費が月々18万円と考えたとします。


自己負担18万円が3ヶ月以上続くと54万円以上の支出になるうえ、治療に関わる医療費が加わり、100万円程度の支出が予想されます。


また、高額療養費制度や傷病手当などは手続きをしないと戻ってこないので、給付金が支給されるまでのタイムラグがある事にも注意が必要です。


ここで注意しておきたいのが医療費に充てることのできる貯金が100万円程度ある、というところです。


例えば、子どもの将来の貯金や自身の老後のための貯金といったように目的をもって貯金している費用に手をつけてしまうと、その場は回避できても将来的に困ってしまいます。医療保険への加入をしない場合は、病気になった場合の備えとして医療費のための貯金をコツコツしていくことも賢い方法でしょう。


常に自由に使える貯蓄が100万円程度あれば、医療保険に加入をしなくても問題ないといえるでしょう。

特徴②:収入が高いことにより傷病手当金の額が大きい

収入が高ければ傷病手当金の金額が必然的に高くなる事から、収入が高く支出が少ないという条件であれば、医療保険は必要ないでしょう。


傷病手当の支給額は月収額の約3分の2が支給されます。例えば、前述の例にあてはめると


月収60万円で長期入院した場合の医療費用(/1カ月):合計38万円

  • 保障以外の費用(差額ベット・食事・アメニティ用品/1日10,000)30万円
  • 高額療養費の自己負担部分 8万円 

会社員だった場合、傷病手当金 40万円 

  • 傷病手当が月収60万円の約2/3支給 40万円

月々の支払が2万円の黒字となります!


月収40万円で長期入院した場合の医療費用(/1カ月):合計38万円

  • 保障以外の費用(差額ベット・食事・アメニティ用品/1日10,000)30万円
  • 高額療養費の自己負担部分 8万円 
月収が60万円の場合でも40万円の場合でも高額療養費の自己負担額は変わりません。

会社員だった場合、傷病手当金 約26万円
  • 傷病手当が月収40万円の約2/3支給 約26万円
月々の支払が12万円の赤字となります。

月収が違うと傷病手当金の額が大きく違う!

月収の差により、傷病手当金にも大きな差があることがわかります。自分の月収だとどの程度の傷病手当金がもらえるのかを把握しておくことも大切です。

これらはローンや家賃などのプライベートでの支払いがないことが条件になってきますが、高額医療制度なども含めて、公的保障制度を上手に使えば医療保険への加入の必要はないといえます。

まとめ:医療保険選びで不安や疑問があればプロに相談しよう!

先進医療の内容などを見てきましたが、高額な先進医療を利用する可能性が低い印象ではなかったでしょうか。


反対に病気に関わる長期の療養費用に対して保障をしっかりと考えていく方が、より身近で現実的です。そこに先進医療が気になる方は、特約を付けたプランに入るのがベストと感じました。


個人それぞれが保険に対する考え方や価値観が違うので、現状を見極めながら自分や家族が安心できる保険選びが大切になってきます。


また、保険は一度加入して終わりではなくライフステージに合わせた見直しも必要です。独身の場合とパートナーがいる場合、子どもがいる場合では必要な保障にも変化が現れます。


本当に医療保険はいらないのか?第三者目線でアドバイスをくれる、保険の専門家に相談してみるのがオススメです。多種多様な保険商品の中から、ベストな保険を選んでくれます。


あなたに合っているのは先進医療特約を付加した医療保険なのか、先進医療保険のみに加入すべきなのか、相談してみるとよいでしょう。


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